将来の金利予想は当たらないものだと知りながら行うべし
どうも千日です。今は人類史上最も変動金利が安い時期です。そして銀行間の競争も一番加熱してます。
今、変動金利で借りるなら金利引き下げ競争が激化している住信SBIネット銀行、auじぶん銀行、りそな銀行の3つに審査に出しておき、通ったところから選べば、ほぼ間違いなく最低水準の金利で借りることが出来ます。
変動金利は過去最低ということは間違いありません。しかし、安いということは、今後上がるんじゃないの?という不安が付いて回りますよね。
上がるとして何パーセント位まで上がるんだろう?
こういう疑問を持ってるのならば、この後に書かれている内容を読むことで、さらに戦略的に金利タイプを選ぶことが出来るようになるでしょう。
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過去の金利推移から将来予想する人の残念な勘違い
一般的なFPが行う住宅ローンの無料セミナーなんかに行って、住宅ローンの金利予想の話題になると大抵でてくるのがこんなグラフです。
過去10年の長期金利の推移(今は未曾有の低金利!)
そして間違いなく、こんな説明を受けます。
過去はこんなに金利が高かったです。
今は低すぎます。
だから、今後このくらい高くなることは予想できます。
(それがいつか?そんなのわからないけどね)
こういう人にはドラッカー(1909~2005経営学者)のこの言葉を送りたいです。
未来を予言しようとすることは、
バックミラーを見ながらライトもつけずに、
夜の田舎道をドライブすることのようだ。
ライトを点けずにバックミラーを頼りに暗闇をドライブする。言いえて妙ですね。そもそも、未来についての私たちが置かれている状況はみんな等しく同じなんですよ。
リアルでそういうことをするのは自殺行為ですが、それほどに一寸先は闇であるということです。
ここでは、過去の推移によって未来のことが少しでも分かるかのような勘違いをすることの危険性を自覚して頂きたいのです。
本当に少しも分からないんです。バックミラーに映る景色はこの先のカーブや断崖絶壁を教えてくれるものではありませんよ。それまでの道のりがそうであった、ということ以上のものでも、それ以下のものでも無いのです。
今言えることは「今の金利が過去最低であること」だけ
ですから、過去の金利推移を見て言えるのは、今の金利が過去と比べていかに安いのか?ということまでなんですよ。
だって、見た通りですよ。
過去高くて今低い、でしょ。
なので、今の低金利をベースとして固定する長期固定金利で住宅ローンを借りるというのは理にかなっているのです。
さらに固定金利よりも低い変動金利にするということは、今の金利の低さというものを最大限に享受するという選択です。
未来について唯一言えることは今とは違ったものになるということ
ドラッカーの言葉をもう一つご紹介しましょう。
未来について我々が知っている唯一のことは、
今とは違ったものになるということである。
住宅ローンの期間は最長35年です。
35歳以上の人なら、経験したと言えるかもしれませんが、自分でこのくらいというような物差しの無い期間です。
そして、その未来についてわかる唯一のことは「今とは違う」ということだけなんですよ。
勘違いしてほしくないのは、今は低いんだから高くなるしかない、みたいな短絡的な解釈です。金利が下がっていることだってあり得ます。だったらOK?いえいえ、金利が下がっていても自分の収入が激減していてローンを払えなくなっているかもしれません。
「今とは違う」の意味するところというのは、今想像しているものとは、前提からして全く違うものになっていることが考えられるということなのです。
金利予想を決め手に意思決定する人の残念な勘違い
ここまでで、将来の金利を予想するにあたってのスタンスを説明しました。そもそも当たる可能性の薄い金利予想を決め手に意思決定するのは愚かなことです。
変動金利は銀行が握っている
変動金利というのは、銀行の都合で上げたり下げたりすることが出来る金利タイプです。だからこそ、今低金利競争が行われているんですが、十中八九、今後上げてやろうと思っているからこそ低いんです。
私はいずれこの価格競争には終わりが来ると思っていて、それは2023年ごろが濃厚だという記事を書いています。
このエントリーではナンセンスだと言ってる金利予想をやってるんですよねアハハ。
- リーマン以前に借りた人が住宅ローンを完済する2023年に上がる
- 団塊ジュニア世代の人件費がピークを迎える2023年に上がる
絶対的に割安な価格のツケをそれを享受した利用者に一律に平等に要求するという図式です。
金利を予想したのではなく銀行の行動を予測した
この金利予測はいいの?
と思われると思います。しかし、この予想は「過去こうだったから、未来はこうなる」というような予想ではありません。
変動金利はあくまで銀行が操作するものであるため、「営利企業としての銀行の習性から銀行の行動を予測した」ものなのです。
なので、千日太郎の変動金利の予想というものが、他の専門家と大きく違う点というのは、厳密には金利予想ではなく、行動予想だという点なんですよね。
金利は銀行が握っている
これは色んなエントリーで書いていることですが、金利は銀行が握っているのです。
変動金利はもちろんそうですが、固定金利だってそうですよ。
民間銀行の固定金利は月のはじめに発表されて、それが一か月にわたり適用されることになっていますけど、市場の長期金利が下がっていても、金利を上げるケースもあります。
また、固定金利も銀行がヤバい状態になったら上げることもあります。
本当です。
日本経済がひっくり返るような大事件やルールの変更など「相当の事由」があるなら固定金利であっても銀行が借入金利を変更できるという条項が必ず規定されているんです。
住宅ローン契約書なんて、みんなマトモに読まないんで知らないんです。
前条(項)にかかわらず、銀行は金融情勢の変化その他相当の事由があると認められる場合には、借入金利を相当の範囲で変更することが出来るものとします。
こんな条文が変動金利だろうが固定金利だろうが書かれてますよ。
ただしフラット35にはありません。フラット35だけが正真正銘の固定金利なのです。
我々は残高を握っている
金利に関しては銀行の方が一枚上手で、その土俵で勝負しても勝ち目はありません。
- 「金利」は銀行がコントロールします
- 私たちは「残高」を握っているのです
なので、金利を上げてくる銀行に対して、シンプルかつ最も有効な対処方法は繰上げ返済です。
その繰上げ返済の金額について、ホントざっくりでいいんですが、だいたいのボリュームを金額で把握しておくことで、自分が負うことになるリスクの大きさが目に見えますよね。
「いつどれだけ上がるか分からないから、そういうことは考えない。」なんて考えで何千万円もの住宅ローンを借りるなんて危なすぎますよ。
逆に「上がったら怖いから固定金利一択だ」なんていうのも、この人類史上最低金利の変動金利のメリットをみすみす見逃してしまうことになって損なのです。
利上げに備えて繰り上げ返済資金を貯蓄しておく
典型的な例で4000万円を変動金利0.5%、借入期間35年、元利均等返済、ボーナス払い無しで借りた場合の表を作りました。
このときの、毎月の元利均等返済額は103,834円になります。
(単位:万円)
4000万円借入から金利上昇したら繰上返済すべき金額 | ||||
---|---|---|---|---|
残期間 | 30年 | 25年 | 20年 | 15年 |
残高 | 3470 | 2927 | 2371 | 1800 |
0.5%→1.0% | 246 | 173 | 114 | 65 |
0.5%→1.5% | 465 | 331 | 221 | 128 |
0.5%→2.0% | 666 | 477 | 320 | 187 |
0.5%→2.5% | 847 | 612 | 413 | 243 |
0.5%→3.0% | 1010 | 738 | 500 | 297 |
0.5%→3.5% | 1162 | 852 | 581 | 347 |
0.5%→4.0% | 1298 | 960 | 659 | 396 |
0.5%→4.5% | 1423 | 1060 | 730 | 443 |
0.5%→5.0% | 1541 | 1150 | 799 | 488 |
例えば借入から5年後には、残期間30年になっていて、そのときの残高は3470万円です。
その時点で金利が0.5%から2.5%に上昇したとしたら、847万円を繰上げ返済することで、今後も103,834円の毎月の返済で完済できるということです。
このように、金利が上がったときに即座にこれだけの金額を繰上げ返済して元本をコントロールすることが出来るなら変動金利も怖くないのですね。
残高をコントロールするのに必要な繰上げ返済資金を知る
変動金利は『残高をコントロールできる人』に向いた金利タイプと言えます。
では、どれだけ金利が上がったらどれだけ繰り上げ返済したらいいのか?ということを上記のように見越しておくことができれば、計画が立てやすいです。
今の変動金利は絶対的に今が底です。これは今、確実に言えることです。
ならば将来的にどれだけ金利が上がるのか?ではなくて、どれだけ繰上げ返済資金があれば安心できるのか?というのがポイントなんですよ。
まとめ~金利の低い今のうちに固定金利で借りる、借り換える
10月に入ってから、米経済指標の好調を背景とした米長期金利の上昇に引っ張られるように日本の長期金利が上昇を始めました。
それに伴って、銀行の住宅ローン金利も新規借入の10年固定金利を中心にジリジリと上がり始めています。
日銀は当分の間は今の長短金利の低い水準を維持するというフォア―ドガイダンスを採用していますので、変動金利とフラット35の金利については今のところ上昇が抑制されていますね。
ただ、いつ上昇に転じてもおかしくない分水嶺が近いような気もします。
- 金利上昇に対応できる収入や繰上げ返済資金のアテは無い。
- まだローン残高が大きいので金利上昇の影響が大きすぎる。
ならばまだ金利が低い今のうちにはじめから固定金利を選択する、ないしは固定金利へ借り換えることをお勧めします。
アルヒ㈱はフラット35の取り扱いで最大手であり、フラット35の金利では最も低金利です。特に審査のスピードが早いこと(事前審査当日、本審査3日)、全国に175か所に営業店舗があり相談できることが魅力です。
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- 2018年9月28日に金利情報を更新しました。
- 2018年10月17日に金利上昇の動向に伴い「まとめ」を加筆をしました。
以上、千日のブログでした。
《あとがき》
基本的には、将来の金利の動向を読まないというスタンスをとっているのですが、読まないということと、考えないということは違います。
金利が上がったとしても、対応できるようなプランを立てるのが千日メソッドです。
変動金利は借りた後からが勝負です。変動金利は今の安さが魅力ですが、安いうちから金融政策と金融市場の動きを注視し、繰上げ返済する準備を行う必要があります。
上がったら借り換えればいい?
みすみす借り換えられることが分かっていて、金利を上げる間抜けな銀行など無いのは前述したとおりですね。最も有効かつ確実なのは繰上げ返済です。
もしくは最初から固定金利を選ぶことですね、シンプルに。
本書では、こうした住宅ローンの勘所を突いたノウハウについて詳しく解説しています。
ブログでは、さまざまなエントリーに分散してしまいがちな情報を分かりやすく整理し、よりすぐりのノウハウと考え方をまとめた本です。
是非ぜひ、お手にとって頂ければ嬉しいです!
2018年11月25日
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ランキング | 年齢 | |||
---|---|---|---|---|
20代 | 30代 | 40代 | 50代以上 | |
新規借入 | 20代800未満 | 30代600未満 | 40代600未満 | 50代1000未満 |
30代600~1200 | 40代600~1200 | 50代1000以上 | ||
20代800以上 | 30代1200以上 | 40代1200以上 | ||
借り換え | 20代借換 | 30代借換 | 40代借換 | 50代借換 |
団信 | 20代団信 | 30代団信 | 40代団信 | 50代団信 |
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