マイナス金利だからって変動金利は下がらない
どうも千日です。長期金利(新発10年国債利回り)が再びマイナス圏に入る日が増えてきましたね。しかし、それ(長期金利の低下)によって変動金利も下がるのか?というとそれはありません。変動金利は日銀が民間銀行に融資するときの利率(政策金利)の影響を受けるからです。
そしてその政策金利は2008年のリーマンショックから0.1%でずっと変わっていないのです。
では、変動金利はもう底なのか?というと、そうでもありません。
一応まだ下がる余地は残っている、というのが私の立場です。但し、下げられるけど銀行の方はこれ以上変動金利を下げるインセンティブは無いという感じでしょうね。
今日は住宅ローンを変動金利で借りる人は…
- どんな銀行の商品を選ぶべきか?
- どうやって返済していくのがベストなのか?
この2点について書きたいと思います。
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- マイナス金利だからって変動金利は下がらない
ネット銀行の変動金利はまだ下がるのか⁉
まず、変動金利の動向についてお話しておきましょう。結論から先に言いますと、今後もネット銀行を中心として少しずつ変動金利は下がるでしょう。
専門家の中には「変動金利は今が底だ」という人が多いですが、私はちょっと違う視点を持っています。
ネット銀行は手を変え品を変えて実質的な金利を下げ続けることで常に住宅ローンの取り扱い高を増やしていかなければならないのです。
金利を下げても増収増益になるネット銀行のビジネスモデル
住信SBIネット銀行は変動金利を下げ続けていますが、増収増益で今まで来ています。
2018年度の業績は経常利益は前年同期比12.2%増の78憶円、当期純利益は前年同期比15.1%増の53億円です。
これはなぜかというと、もちろんネット銀行は家賃や人件費などの固定費を低く抑えられるというのもあるのですが、高い融資事務手数料を融資実行時のタイミングで計上しているからということが大きいです。
一般的にネット銀行の融資事務手数料は2.2%(10月1日以降税込み)です。実質的には保証料のようなものなんですが、保証料と違うのは繰上げ返済されても返金する必要が無いという点です。なので、会計上は(収益の実現)一時に収益計上するのが原則なのです。
つまり、仮に無利子で融資したとしても、住宅ローンの取り扱い高を増やしている限りは増収増益になるのがネット銀行のビジネスモデルなのですね。
その住信SBIネット銀行の住宅ローン取り扱い高を時系列にグラフにしたの下記です。
(単位:億円)
10年もしないうちに住宅ローンの取り扱い高が10倍になっています!
単なる薄利多売ということではなく、前年よりも住宅ローンの実行を増やすということがミソなんですよね。
成長し続ける限りは増収増益を続けられる、しかし伸びが止まってしまうと赤字に転落するのがネット銀行なのです。
常に住宅ローンを増やし続けようとするネット銀行のキャンペーン
なので、ネット銀行は今後も住宅ローンの取り扱い高を増やすために色々な取り組みを行ってきます。
そうしたキャンペーン情報を十分に収集し、利用する住宅ローンを絞っていくのが賢い方法です。
住信SBIネット銀行はキャッシュバックと全疾病保障の団信
まず変動金利で業界最低金利の住信SBIネット銀行からです。三井住友信託銀行のグループ会社です。さらに、不定期で1万円キャッシュバックのキャンペーンをしていますね。
また、全ての病気とケガをカバーする全疾病保障団信が金利上乗せ無しで付帯するのも魅力です。
ネット銀行で唯一!リアル店舗で相談できるSBIマネープラザ
さらに住信SBIネット銀行ではSBIマネープラザという店舗で直接相談できるサービスを展開しています。大都市だけでなく、地方銀行とも業務提携してSBIマネープラザは今も増殖中です。
もちろん土日も相談できます。住信SBIネット銀行の代理店という位置づけですので商品の中身は住信SBIネット銀行と同じものです。ですから全疾病保障も当然に付いてます。
ネット銀行で店舗で相談できるというのは、業績をずっと伸ばし続けられている住信SBIネット銀行ならではでしょう。他のネット銀行で同じことをやったら赤字になってしまいます。
auじぶん銀行はガン50%保障+全疾病保障で死角なし
全疾病保障のSBIに対して、ガン50%保障(ガンと診断されたら住宅ローンが50%になる)のauじぶん銀行という様相だったのですが、auじぶん銀行がガン50%に加えて全疾病保障団信を追加したのです!
両行の団信の特約内容をザックリ比較してみました。
団信の特約 | auじぶん銀行 | 住信SBIネット銀行 |
---|---|---|
ガン | 医師にガンと正式診断されたらその時点のローン残高が50%になる。 | なし |
全疾病 | 全てのケガ、病気で入院が継続180日以上となった場合、住宅ローンがゼロ円になる。 | 8疾病で12カ月継続して働けなくなったらローン残高がゼロ円になる。8疾病以外の病気やケガの場合でも入院により12カ月継続して働けなかったら、ローン残高がゼロ円になる。 |
まず、ガンと診断された時点で住宅ローンが半分になるのはじぶん銀行だけですね。
そして、全疾病保障については、どちらも「全疾病」には精神障害は含まれません。
しかし、入院や就業不能となる期間については、住信SBIは12か月に対してじぶん銀行は180日なので、auじぶん銀行の方が早く保険金が支払われるので有利だと言えます。
このリニューアルによって、団信の保障という面ではじぶん銀行が完全に頭一つ抜けたと言えます。
auじぶん銀行は金利を下げるのではなく、団信の保障を厚くするという面でアピールしているのですね。
これらネット銀行の住宅ローンはネットだけで仮審査から本審査まで完結しています。なかなか銀行に行く時間が取れない人でも、ネット銀行で仮審査を通しておけば不動産の価格交渉ではかなり有利です。
変動金利で借りる人の残念な勘違い=「金利が上がらなければ」
住宅ローンのシミュレーションで変動金利と固定金利を比べると、総支払額では変動金利の方が数百万円安くなりますよね。
今後、もし変動金利が上がらなければ、変動金利で借りた方がトクだ。
もし、このような考え方(ポリシー)で変動金利を選ぶのだとしたら、もう少し考えてからでも遅くないと思いますよ。
- 変動金利は実行後に銀行が任意に基準金利を上げることができる契約です。
- 固定金利は実行日の金利で固定され銀行が後から上げられない契約です。
金利を上げるか上げないか?は私たちが決めることではなく、銀行が決めることです。
つまり、以下のようなメンタルでなければならないのです。
今後もし銀行が金利を上げたとしても繰上げ返済or売却すれば大丈夫。
私がダメ出しした前者との違いは何か分かりますか?
前者は「金利」という自分にコントロールできない要素に寄りかかって決断しています。これは目をつぶって手放しで自転車を漕いでいるのと同じですよ。
後者は「繰上げ返済」「売却」という自分でコントロール可能な要素によって決断しています。もちろん不確定要素がありますが、金利などよりもよっぽど何とかなるものですよね。
売却ならば、物件選びをするときに将来売却可能か?という視点からも検討し、客観的に誰もが住みたい、欲しいと思うような立地や間取りを選ぶでしょう。
繰上返済ならば、必要な分だけ貯金をすればいいです。当初の10年間で1000万円を貯める方法もあります。
変動金利で借りる場合のセオリー2つの「四」
千日は変動金利で借りられるかどうか?の判定方法として2つの「四」を提唱しています。
- 毎月の元利均等返済額の4分の1を貯蓄する。
- その貯蓄と返済額の合計額を手取り月給の4割以下にする。
なぜ4分の1の貯蓄をする余裕が必要なのか?5年ルールと125%ルール
変動金利は、銀行が任意に金利を上げることができるのですから上がることを前提に考えておくべきなのです。
ただし変動金利が上がるとすぐに毎月の返済が増えるわけではありません。5年ルールと125%ルールがあるからです。
- 5年ルールとは、金利が変動しても5年は元利均等返済額を変えないというルールです。
- 125%ルールとは、1度に上げる元利均等返済額は125%を上限とするというルールです。
つまり、毎月の返済額の4分の1以上を貯金しても無理なく家計が回る、ということは銀行が1度に上げる上限の125%にいつでも対応可能なのだということです。
5年ルールと125%ルールが適用されない銀行、ケース
注意が必要なのが、この5年ルールと125%ルールの適用が無い銀行もあるということです。特に手数料が安い銀行に多いのですが、新生銀行、楽天銀行、ソニー銀行にはこの5年ルールと125%ルールがありません。
また、元金均等返済方式にすると、全ての銀行で5年ルールと125%ルールの適用はありません。金利が上がるとその月から毎月の返済が増えますので、そこにも注意が必要です。
1段階上がったときに対応できるなら10年は大丈夫
5年ルールと125%ルールの適用があると、住宅ローンを借りた直後にどんなに金利が上がっても10年は持ちこたえられるようになっています。
こちらは3000万円を変動金利0.45%で35年元利均等返済で借りたケースで5年ルールと125%ルールが適用された毎月返済額とそれに対応する金利を並べたものです。
(単位:円)
毎月返済 | 対応する金利 | |
最初 | 77,250 | 0.45% |
↓×125% | ||
6年目から | 96,562 | 1.82% |
↓×125% | ||
11年目から | 120,703 | 3.31% |
0.45%での毎月の返済額は7万7千円です。この直後に金利がどんなに上がったとしても5年間は毎月7万7千円のままです。
6年目から返済額が上がるのですけど、その上限は直前の125%までです。つまり最初から10年は金利がどんなに上がったとしても9万6千円です。
少なくとも一段階上がるケース=直前の125%になる場合に対応できるということは、10年は住宅ローンを払いながらその家に住むことが出来るということです。
変動金利で将来金利が上がっても完済できるのか?の判定方法
また、注意が必要なのは、返済額がそのままで金利だけが上がると、元本の減りが遅くなることです。底だまりになった元本は最終回に返済することになります。
住宅ローンは完済しなければ終わりません。そこで、変動金利で確実に完済しきるには、どういう条件をクリアする必要があるのか?という判断の物差しが必要になってきます。
例えば4000万円を変動金利0.5%で35年元利均等返済で借り入れた場合、毎月の返済額は7万7876円です。金利があがってもこの7万7876円を維持したまま、当初の35年で完済するには、その時点で幾ら繰上げ返済すればいいか?という金額を計算するのです。
(単位:万円)
3000万円借入から金利上昇したら繰上返済すべき金額 | ||||
---|---|---|---|---|
残期間 | 30年 | 25年 | 20年 | 15年 |
残高 | 2607 | 2199 | 1781 | 1352 |
0.5→1.0% | 182 | 129 | 85 | 49 |
0.5→1.5% | 347 | 249 | 165 | 96 |
0.5→2.0% | 497 | 359 | 239 | 140 |
0.5→2.5% | 633 | 460 | 309 | 183 |
0.5→3.0% | 757 | 554 | 375 | 223 |
0.5→3.5% | 870 | 641 | 436 | 261 |
0.5→4.0% | 973 | 721 | 494 | 298 |
例えば借入から5年後には、残期間30年になっていて、そのときの残高は2607万円です。
その時点で金利が0.5%から2.5%に上昇したとしたら、633万円を繰上げ返済することで、今後も7万7876円の毎月の返済で完済できるということですね。
他の借入額の場合はこれをベースに計算できます。例えば6000万円ならばこの2倍ということになります。色んな借入額での表はこちらをどうぞ。
まとめ~変動金利の金利動向よりも重要なこと
変動金利で借りる場合、どうしても金利がいつ上がるのか?どれだけ上がるのか?ということが気になると思います。
しかし、金利に関しては銀行に握られているのです。この土俵で戦ったのでは勝ち目はありません。
私たちが「金利を上げないで!」といくら懇願しても、銀行は上げるときは上げてきます。そうした漠然とした不安を抱えながら変動金利で借りる人が多いです。
このブログを読むことで、何がリスクなのか?そのリスクにどう対応すればいいのか?が見えてきたなら嬉しいです。
「対応できない」なら潔く固定金利を選んでください。
「対応できる」なら固定金利によって増える金額=保険料と考え、その保険を買うか買わないか?と自身に問いかけてください。もしくは「売る」ということも視野に入れてマイホームを選んでください。
千日太郎に出会った皆さまが、家と住宅ローンで賢い選択を行い、素敵な人生を送られることを願っています。
以上、千日のブログでした。
《あとがき~「住宅ローン」で2位!》
ダイヤモンド社への寄稿記事がGoogleの「住宅ローン」キーワードで2位(モバイル)につけることができました!
ちなみに次のような順位です(若干変動はあるでしょう)。まだ読んだことの無い方は是非よんでください。
1位:じぶん銀行の住宅ローンシミュレーター
2位:2019年のマイナス金利再来で、住宅ローンの変動金利はもっと下がるのか? 千日太郎が解説!
3位:住宅金融支援機構の住宅ローンの基礎知識
4位:イオン銀行
5位:価格ドットコム
「住宅ローン」というのは超ビッグワードです。そんなキーワードで金融機関や大手比較サイトよりも上位に掲載され、そこに「千日太郎」という名前が出ていることはひょっとしてスゴイんじゃないの?と思ってます。
今のクオリティを下げずに役に立つ情報を発信していく励みになります。これに満足せず、これからも頑張ります!
何だったら住宅ローンに関する全部のキーワードで千日太郎のコンテンツで一位を独占してやりたいですね、さすがにそれは無理か。
2019年2月2日
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ランキング | 年齢 | |||
---|---|---|---|---|
20代 | 30代 | 40代 | 50代以上 | |
新規借入 | 20代800未満 | 30代600未満 | 40代600未満 | 50代1000未満 |
30代600~1200 | 40代600~1200 | 50代1000以上 | ||
20代800以上 | 30代1200以上 | 40代1200以上 | ||
借り換え | 20代借換 | 30代借換 | 40代借換 | 50代借換 |
団信 | 20代団信 | 30代団信 | 40代団信 | 50代団信 |
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千日の住宅ローン無料相談.comで変動金利の質問に答えています