初心者が騙されていることにすら気づかない3つのポイント
どうも千日です。何度もマイホームの売買を繰り返す人は珍しいですから、多くの人が1度か2度しか経験しないことです。
つまり、ほとんどの人が「初心者」なんですよね。そして金額はべらぼうに大きいです。なので、
- ちょっとした違いに見えて実は大きな違いになっている。
- 一見大きな違いに見えるけど、実はたいした違いは無い。
こんな錯覚によって思わぬ損をしている、というケースは意外と多いです。
住宅ローンの契約をする相手は銀行ですから、法律に違反するような嘘をついたりすることは無いですけど、それでもギリギリのところで自分の商品が一番であるかのようなアピールをしてきます。
どこまでが健全な競争の範囲内なのか?ということは横に置いておいて、今日は初めて住宅ローンを組む人が、つい騙されがちなポイントで、お金の損得に直結する部分を解説しておこうと思います。
- 初心者が騙されていることにすら気づかない3つのポイント
その1:変動金利の毎月返済額で家の価格をイメージしてはいけない!
よく新築マンションのチラシに載っている毎月の返済額(フルローン)の目安があります。すごく安いのでついつい「お!これならイケるかも」と思いがちなんです。
しかし、変動金利がなぜそんなに安いのかというと、銀行がいつでも任意に金利を上げることができるという契約になっているからなのです。
銀行が金利をいつ、どれだけ上げてくるのか?それは予想できることではないですが、最長35年という長期間の契約なので、その長い期間の中でいずれ上がることもあるんだという想定はしておくべきですよね。
つまり、将来金利が上がった場合でも対応できる人でなければ変動で借りてはダメなんですよ。
変動金利の5年ルールと125%ルールを知る
多くの銀行の変動金利には5年ルールと125%ルールの適用があります。
- 5年ルール:金利が上げても5年間は直前の毎月の元利均等返済額を維持する。
- 125%ルール:金利を上げてから5年経過したら、そのときの金利とローン残高に見合った返済額に増やすが、その上限は直前の元利均等返済額の125%までとする。
つまり、金利がどれだけ上がったとしても5年間は直前の元利均等返済額のままで、5年経過したらその直前の125%まで上がることがある、ということで支払額は急激に上がらないようになっています。
詳しくはこちらに書いています。
底だまりになった元本にも利息を払うことになる
つまり、変動金利の毎月の返済額は今の125%まで上がる可能性があるということは想定しておかなければならないんですが、それを払えたからといって安心はできません。
金利が上がって支払が減らないということは、元本が予定よりも減らないということです。
底だまりになって返済できていない元本にも利息がかかります。
そして底だまり元本は最終日に一括で払うようになっている銀行が多いです。
金利が大きく上がったら、毎月の返済が増えなくても、まとまった金額を繰上げ返済して元本を減らしておきたいですよね。
変動金利の毎月返済額の1.25倍を目安にする
なので、千日は変動金利で借りる場合には、二つの「4」をクリアすることを推奨しています。
- 毎月返済額の4分の1を貯蓄した上で、
- 毎月返済額と貯蓄額の合計額を手取り月収の4割以下に抑える。
この二つの4の意図は、2つあります。
- 元本が底だまりにならないように繰上げ返済するための資金を貯蓄していく。
- 金利が上がったときの返済増に対応できる余裕をもっておく。
こういうことです。
なので、チラシにある変動金利での毎月の返済額を1.25倍して読み替えるということが必要になってくるのです。
そうすれば、高いけどなるほど納得な金額になるでしょう。
固定金利でシミュレーションすれば1.25倍しなくていい
そもそも、1.25倍して読み替えるってまどろっこしいですし、なんかモヤっとしませんか?
二つの「4」は、最低限これだけはクリアしておきましょうというラインであって、どんなに金利が上がっても大丈夫!というラインではありません。そもそも、そんなの誰にも分かりませんからね。
そこでオススメなのが、はじめから固定金利で毎月の返済額を把握することです。固定金利っていうのは住宅ローンの実行時の金利でその後ずっと金利を固定するということなので、金利が上がるということが無いですからね。
上がった時のために…なんていうことを考えなくていい訳です。簡単でしょ。
それに今は固定金利も低金利ですので、変動金利の毎月返済額を1.25倍した金額よりも固定金利の毎月返済額の方が小さくなるんですよ!
なので、最初から固定金利でシミュレーションすることをお勧めしています。
ローンの返済以外に家の維持費がかかる
あと、これは良く言われていることなのでオマケとして書きますが、持ち家では住宅ローンの返済以外にも家の維持費がかかります。
家を維持するコストとしては、固定資産税及び都市計画税、そして火災保険料がありますね。
固定資産税及び都市計画税とは毎年の1月1日に固定資産を所有している人に課税される地方税で、購入した家にも課税されます。
課税される金額はもちろん所有している不動産の価値によっても違いますが、平均的な住宅では、あわせて年に10万~15万くらいが目安です。
火災保険料は住宅ローンを組む際には必須となります。これも家によってちがいますけど年間1万~2万円ほどでしょう。
マンションの場合なら毎月、管理費と修繕積立金が必要になります。
これもマンションによって様々ですが、だいたい合わせて2万円前後のところが多いです。
これらを合わせるとだいたい月平均で3万円から4万円位がローンの返済額(変動金利なら1.25倍)にプラスしてかかってくるんです。
こうなってくると、けっこうかかるな…という気分になってくると思います。
しかし、マンションのモデルルームやモデルハウス、またはその現物を見ると、それでも欲しくなるものなんですよね。つまりオトリなんですよ。
その2:「無料のサービス」はホントは無料じゃない!?
よく銀行のホームぺージに並ぶ無料の文字ですけど、多くはどこの銀行でも無料なので、他行との比較でメリットではないものとか、そもそも実質的には無料じゃないものが8割を占めます。
こんなに無料のサービスが多いんだからコストが安いんだな…
こうした錯覚を狙って自分の商品を売ろうという魂胆なんですよね。ご説明しましょう。
auじぶん銀行が分かりやすいでしょう6つの「ゼロ円」というキャッチーなキャッチコピーが印象的です。
- 一般団信の保険料
- がん50%保障団信の保険料
- 保証料
- 資金移動
- 一部繰上げ返済手数料
- 収入印紙
このうち、本当にメリットなのは2.がん50%保障団信だけです。他の無料は「他の銀行でも無料」又は「実質的に無料じゃない」又は「無料な分デメリットがある」ので無視していいです。
1.一般団信の保険料は民間銀行では全て無料だし実質無料ってわけでもない
まずしょっぱなからですけど、一般団信(死亡又は高度障害になったら住宅ローンがゼロ円になる生命保険)は民間銀行で住宅ローンを借りる際には必須になっていて、その代わりといっては何ですが、保険料は銀行の方が負担することになっています。
つまり、auじぶん銀行だけじゃなく、他のどの民間銀行で借りても一般団信は無料です。
公的融資のフラット35では団信は必須ではなく、加入しないことも選択できます。その場合金利から0.24%引き下げとなります。
つまり、民間銀行も保険料として請求しないだけで、ちゃっかり金利に団信保険料がオンされているわけですよ。だって銀行が負担するといっても、結局それは売上(住宅ローンの利息)から払っているわけですからね。
「保険料としては取りません、利息に上乗せしてます」というのが真実です。
「へー無料なんだ!ありがたい!」なんて言ってる人は体よく騙されているんです。
2.がん50%保障団信の保険料も利息に含まれているけど金利は最安なのでこれはメリット
次のがん50%保障団信がゼロ円というのも同じです。保険会社に払う保険料はauじぶん銀行が払っています。その保険料を払ってもちゃんと儲けの出る金利で住宅ローンを貸しているんです。
しかし、これはメリットです。
auじぶん銀行の変動金利、10年固定は今の時点(2020年8月)で全ての銀行の中で最安級です。
その上で、ガン50%保障団信というのはガンと診断されたら、その時点で住宅ローンの残高の半分を保険会社が銀行に返済してくれるので、それ以後の返済が半分に減るという保険です。
これは有難いですよね!
保険料を利息から払っているとはいっても、その保険料込みでも業界で最安金利なのですから、これはメリットと言って良いと思います。
ホームぺージでアピールする無料は実質これだけでいいと思うんですよね、他のどうでもいいヤツもアピールするから胡散臭いんですよ。
3.保証料はゼロ円だけどそれ以上の融資手数料がかかる
保証料ゼロ円、これはハッキリ言って騙しですよ。保証料とは、保証会社が銀行の住宅ローンの債権を保証する料金のことです。
保証会社は私たち住宅ローンの利用者が返済できなくなった時に、私たちに代わって銀行に住宅ローンを払います。これを代位弁済と言います。もちろん保証会社は払った住宅ローンを私たちに請求します。これを求償と言います。
最終的には住宅を売却(又は競売)して返済するのです。
《メリットは無いが必須の保証料》
それがゼロ円というのは一見メリットですけど、結局その保証料と同額以上の融資手数料を取るようになっているんです。
保証料がトクか?融資手数料がトクか?というのは借りる期間や何年で完済するかによって違ってきます。その費用の名目が違うので計算方法が違ってくるのがミソです。
- 保証料=貸金を保証する:住宅ローンの金額と保証期間(返済期間)による。
- 融資手数料=事務の手間:住宅ローンの金額に対して一律の手数料率になる。
つまり、住宅ローンの期間が短い場合は明らかに保証料形式の方が安くなるのです。実際にどのような差になるか4,000万円の借入で比較してみましょう。
(単位:円)
借入4,000万円 |
メガバンク保証料 |
ネット銀行融資手数料 |
差額 |
35年 |
824,400 |
864,000 |
△39,600 |
25年 |
690,160 |
864,000 |
△173,840 |
15年 |
479,280 |
864,000 |
△384,720 |
最長の35年でも保証料の方が若干安いです。特に期間が短くなれば確実に保証料の方が安いです。
つまり、保証料ゼロ円というのはメリットじゃないんですよ。
4.資金移動はネット銀行ならどこでもゼロ円
ネット銀行は、前述したように店舗を持たない、あったとしても少ないので普段遣いの銀行としては、使いにくかったりもします。
住宅ローンを組んだからといって、ネット銀行を給料の振込口座にしなければならないとなったら、ちょっと負担ですよね。
そこで、ネット銀行では給与の振り込み口座(メインバンク)を変えなくても良いように、ネット銀行の返済口座への資金移動を無料にしているのです。
なので、ネット銀行ならどこでも大抵は資金移動はゼロ円です。
じぶん銀行だけのメリットじゃないですし、ネット銀行のデメリットを補うためのゼロ円なんですよね。
5.一部繰上げ返済手数料は今どきどこでもゼロ円
auじぶん銀行では一部繰上げ返済手数料が無料で、これもアピールしていますね。
しかし、最近はメガバンクやフラット35でも手続きの電子化を取り入れていて、店舗ではなくインターネットバンキングで手続きすれば手数料は無料というところが増えています。
今日び、インターネットバンキングでの繰上げ返済を導入していない銀行の方が珍しいくらいです。
6.2万円の印紙代は契約書を紙に残さないのでゼロ円
auじぶん銀行では契約自体を電子化しているので、契約書に貼り付ける収入印紙代がゼロ円ということですね。
ちなみにですがauじぶん銀行は三菱UFJ銀行とKDDIとの戦略子会社で、この契約の電子化は三菱UFJ銀行が先駆けてやっている施策です。
つまり三菱UFJ銀行でもネットで契約すれば印紙代はゼロ円です。
その3:金利は後からでも下げられる
これは住宅ローンを借りた後のことですが、住宅ローンの金利って後から銀行に交渉して下げてもらうということが出来るんですよ。
これも以外と知らない人が多いですね。
2016年1月の日銀によるマイナス金利政策から低金利になっていますが、金利が高いときに借りて今も高い金利で住宅ローンを払い続けている人が一定数います。
だって借り換えるのは面倒だから…
そんな風に考えているんでしょう。確かに借り換えようと思ったら、借り換え費用もかかりますし、平日に一日休みをとって借り換えの手続きをしなければなりません。
確かに、まあまあ面倒です。
でも「借り換えメリットがある」という状況になれば、昼休みに銀行に電話一本かけるだけで金利を引き下げてもらうことが出来るんです。
借り換えメリットを判断するための3条件はウソ!
また、一般的に言われている借り換えメリットの3条件というものがありますよね。こんなだったと思います。
返済の残り期間が10年以上
返済残額が1000万円以上
現在の住宅ローンのとの金利差が1%以上
これ、真っ赤なウソです。今日までの金利動向の趨勢から言うと、2015年以前に住宅ローンを組んだほとんどの人は借り換えメリットがあり、電話一本かけるだけで金利を引き下げできる状態にある人です。
競合銀行の住宅ローンの借り換え審査に通る必要がありますので、それに通らなかったら難しいですけどね。
詳しくはこちらをご一読ください。
「金利を下げて」と言った人だけ下げてもらえる
住宅ローンは借りて終わりではありません。その後もずっと続くなかで市場の金利が下がれば、交渉して金利を下げてもらえるのですよ。
交渉しない人はずっとそのままです。「下げてくれ」と言った人だけ下げて貰えるのです。銀行だって商売ですからね。
当たり前と言えば当たり前なんですが、銀行がそんなこと宣伝するわけないですからあまり知られていないんです。
まとめ~「知らない」だけで損している
住宅ローンは個人として最も大きな金額の契約であり、長期間の契約です。ほんのちょっとしたことで、けっこう大きな金額の影響があるんですよ。
例えば、金利にしても0.1%って聞くと、すごく僅かな差って思いますよね。だってパーセント自体が100分の1ですもんね。
しかし、住宅ローンの0.1%って意外と大きいです。
例えば、住宅ローンの金利を0.1%下げてもらったら利息の負担が幾ら減るのか?という一覧表は次のようになります。
(単位:万円)
現在元本 |
残りの期間 |
||||
10年 |
15年 |
20年 |
25年 |
30年 |
|
1000万円 |
5 |
8 |
10 |
13 |
15 |
2000万円 |
10 |
15 |
20 |
25 |
30 |
3000万円 |
15 |
23 |
30 |
38 |
45 |
4000万円 |
20 |
30 |
40 |
50 |
60 |
元本が数千万となると、わずか0.1%の金利差であっても何十万もの影響があるのですよね。
これが0.2%になると2倍で0.3%ならば3倍!
0.1%くらい金利を下げてもらってもたかが知れてるだろう…
とか
ちょっと前に住宅ローンを借りたばかりだから、見直すのは早すぎる?
と思っていたとしたら損しているということですよね。
0.1%でも大きいですし、0.05%であっても残り期間が長ければ大きな金額影響があります。「ちょっと前に借りた」という人こそ、見直す好機なんですよ。
知らないだけでかなりの人が損をしているんだろうなと思います。
以上、千日のブログでした。
《あとがき》
最近また家を買いたくなってきました。どうしたもんでしょうね…ずっと住宅ローンとか家のことばかりブログで書いているからでしょうか?
ちょっと前からいくつか資料請求などしたりし始めました。すると電話がかかってくるんですよね。
電話をかけてくるのは良いんですけど、いきなり「〇〇さまの携帯でよろしかったでしょうか?」って聞いてくるんです。
いや、そういうオマエは誰よ?と思うんですよ。思いません?こっちから資料請求しているんですから、べつに名乗っても問題ないと思うんですよね。
なんでわざわざ怪しい投資マンションの売り込みみたいな体で電話してくるのか、よくわかりません。
普通に「〇〇マンション営業担当の〇〇です」って名乗ればいいのにって思う今日この頃です。
2018年9月13日
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ランキング | 年齢 | |||
---|---|---|---|---|
20代 | 30代 | 40代 | 50代以上 | |
新規借入 | 20代800未満 | 30代600未満 | 40代600未満 | 50代1000未満 |
30代600~1200 | 40代600~1200 | 50代1000以上 | ||
20代800以上 | 30代1200以上 | 40代1200以上 | ||
借り換え | 20代借換 | 30代借換 | 40代借換 | 50代借換 |
団信 | 20代団信 | 30代団信 | 40代団信 | 50代団信 |
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