千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える

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FPでもやりがち⁉管理費等を含めて住宅ローンシミュレーションする人の残念な勘違いとは?

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毎月のローン返済に管理費や修繕積立金も足して判断する方がより厳密?

どうも千日です。この住宅ローンは返済できるのか?それを判断するために住居費を全部ひっくるめてシミュレーションする人がいますけど…

それは実は間違いなのですよ!たまにFP(ファイナンシャル・プランナー)でも分かってない人がいるので注意です。

確かにマンションの購入後には住宅ローンの支払いだけでなく、管理費、修繕積立金、火災保険料、固定資産税などがかかってきます。

なので…

管理費や修繕積立金だって家を維持するのに不可避の費用でしょう?

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専門家であるはずのFP(ファイナンシャル・プランナー)でもこんな風に言う人がいます。

同じ住居費であっても、住宅ローンの返済とそれ以外では質の面で全く別次元のものなのです。

間違った住宅ローンシミュレーションの一例

借入3000万円、変動金利0.5%、35年、元利均等返済ボーナス払いなしだと、一応、次のような家賃なみの返済になります。

項目 金額(円) メモ
ローン毎月返済 77,876 上がるリスクあり

でも、例えばマンションなら、毎月の管理費、修繕積立金に加えて、年1回の火災保険料、固定資産税が必要になります。

ここまでは専門家でなくても、ちょっと調べたらわかります。なので次のような表をつくります。

項目 金額(円) メモ
ローン毎月返済 77,876 上がるリスクあり
管理費 9,500 毎月支払い
修繕積立金 4,300 毎月支払い
火災保険料 500 月割り概算
固定資産税 30,000 月割り概算
合計 122,176  

これを見てガク然とするんですよ。おいおい12万かよ!

しかし、最初の7万円台のチラシでモデルルームの内見もして、すっかり欲しくなってしまっています。

これを毎月の収入から捻出しないとダメなんだ… 金利が上がるのは恐いけど、買うなら変動金利しか無理だな。

当分は上がらないよ。大丈夫、大丈夫…

こんな風に自分で自分に言い聞かせようとします。ダメな意思決定の典型ですが、こういう人が多いのです。

そしてイケてないFPは「そうですね、たぶん当分は上がりませんよ」なんて白々しく言って背中を押します。

住宅ローンの本質は毎月決まった額を35年なら420回銀行に払うこと

千日が住宅ローンとは何か?と聞かれたら、「毎月決まった金額を35年なら420回銀行に払うことだよ」と答えます。

教科書的に正確な定義でないことは百も承知ですが、これが住宅ローンの本質なのです。

ですから、千日がこの住宅ローンを払えるのか?を判定するときには火災保険料、固定資産税はおろか、管理費も修繕積立金も入れません。変動金利で借りる場合は2つの「四」をクリアすることをお勧めしているのみです。

  1. 毎月返済額の4分の1を貯蓄する(金利が上がったときのため)。
  2. その4分の1の貯蓄と毎月返済額の合計を手取り月収の4割以下にする。

住宅ローンを変動金利で借りる人は必見!2つの『4』|千日太郎YOUTUBE

借入3000万円、変動金利0.5%、35年、元利均等返済ボーナス払いなしとすると以下の表になります。

項目 金額(円) メモ
ローン毎月返済 77,876 上がるリスクあり
4分の1を貯蓄 19,469 5年後に上がるMAX
合計 97,345  

毎月の手取りの月収で、この支払が厳しいのなら絶対に変動金利で借りてはダメです。金利が上がったら10年以内に家を手放す未来が予測できるからです。

住居関連支出と「払わなければ家を取り上げられる支出」は違う!

ここでちょっと知ってる人だと「さすがに管理費と修繕積立金は入れるべきでしょう、毎月必要な住居関連支出ですから。」と言うのです。

でもね、管理費や修繕積立金を延滞しても家を取り上げられることはありません。

ローンの支払額と管理費、修繕積立金はどちらもマンションの購入した後に毎月払う義務のある住居費という点では同じですけど、全く次元の異なる支出なのです。

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  • 住宅ローンの返済額=家に抵当権が設定されている債務の返済、さらに上がるリスクもある。
  • 管理費、修繕積立金=電気代やガス代と同レベル。

これは管理費や修繕積立金ならば延滞しても構わないと言っているのではありません。

賃貸に住んでいても払っていた、住居に関する様々な費用と同じレベルのものだということです。

住宅ローンの返済だけが、いままでとは全く異質の支出なのだということです。

変動金利なら金利が上がるリスクを先に手当せよ!意思決定の優先順位

その、家を取り上げられてしまう厳しさのある支払が、将来上がるリスクがあるのです。

これを管理費や修繕積立金と同列に見ていいものでしょうか?否ですよ。

なのに多くの人が「そんなに上がらないだろう」とか「上がった時に考えよう」で済ませようとしているんですよね。

管理費や修繕積立金の方こそ、「上がったとしてもこのくらいだろう」とか「上がったら支出を見直して捻出しよう」というレベルで考えていいものじゃないでしょうかね。

これは管理費や修繕積立金を延滞してもいい、とか、無視していいという意味じゃないですよ、念のため。

重要度の次元の異なる住宅ローンの支払と同列になっていて、しかも、致命的な問題になる金利の上昇リスクというものがおざなりにされがちなので、その警鐘を鳴らしているのです。

  1. まず、金利上昇リスクも含めてローンの返済が出来るか?
  2. できるなら、家計を見直して管理費や修繕積立金をねん出できるか?

こうした意思決定優先順位があってしかるべきなのです。

なぜ4分の1の貯蓄をする余裕が必要なのか?5年ルールと125%ルール

変動金利とは、銀行が任意に金利を上げることのできる金利タイプです。ですから上がることを前提に考えておくべきなのです。

ただし変動金利が上がるとすぐに毎月の返済が増えるわけではありません。5年ルールと125%ルールがあるからです。

  • 5年ルールとは、金利が変動しても5年は元利均等返済額を変えないというルールです。
  • 125%ルールとは、1度に上げる元利均等返済額は125%を上限とするというルールです。

つまり、毎月の返済額の4分の1以上を貯金出来るということは、銀行が1度に上げる上限の125%にいつでも対応可能なのだということです。

1段階上がったときに対応できるなら10年は大丈夫

こちらは3000万円を変動金利0.45%で35年元利均等返済で借りたケースで5年ルールと125%ルールが適用された毎月返済額とそれに対応する金利を並べたものです。

(単位:円)

  毎月返済 対応する金利
最初 77,250 0.45%
  ↓×125%  
6年目から 96,562 1.82%
  ↓×125%  
11年目から 120,703 3.31%

0.45%での毎月の返済額は7万7千円です。この直後に金利がどんなに上がったとしても5年間は毎月7万7千円のままです。

6年目から返済額が上がるのですけど、その上限は直前の125%までです。つまり最初から10年は金利がどんなに上がったとしても9万6千円です。

少なくとも一段階上がるケース=直前の125%になる場合に対応できるということは、10年は住宅ローンを払いながらその家に住むことが出来るということです。

変動金利で将来金利が上がっても完済できるのか?の判定方法

また、注意が必要なのは、返済額がそのままで金利だけが上がると、元本の減りが遅くなることです。底だまりになった元本は最終回に返済することになります。

住宅ローンは完済しなければ終わりません。

当たり前ですよね。

そこで、変動金利で確実に完済しきるには、どういう条件をクリアする必要があるのか?という判断の物差しが必要になってきます。

例えば4000万円を変動金利0.5%で35年元利均等返済で借り入れた場合、毎月の返済額は7万7876円です。金利があがってもこの7万7876円を維持したまま、当初の35年で完済するには、その時点で幾ら繰上げ返済すればいいか?という金額を計算するのです。

(単位:万円)

3000万円借入から金利上昇したら繰上返済すべき金額
残期間 30年 25年 20年 15年
残高 2607 2199 1781 1352
0.5→1.0% 182 129 85 49
0.5→1.5% 347 249 165 96
0.5→2.0% 497 359 239 140
0.5→2.5% 633 460 309 183
0.5→3.0% 757 554 375 223
0.5→3.5% 870 641 436 261
0.5→4.0% 973 721 494 298

例えば借入から5年後には、残期間30年になっていて、そのときの残高は2607万円です。

その時点で金利が0.5%から2.5%に上昇したとしたら、633万円を繰上げ返済することで、今後も7万7876円の毎月の返済で完済できるということですね。

まとめ~変動金利がいつ、どれだけ上がるか?よりも重要なこと

変動金利で借りる場合、どうしても金利がいつ上がるのか?どれだけ上がるのか?ということが気になると思います。

しかし、金利に関しては銀行に握られているのです。この土俵で戦ったのでは勝ち目はありません。

私たちが「金利を上げないで!」といくら懇願しても、銀行は上げるときは上げてきます。

私たちは残高を握っているんですよね。金利が上がった場合に幾ら繰上げ返済して残高を減らすことが出来るのか?です。

銀行が「繰上げ返済しないで!」といくら懇願しても、「そっちが金利を上げるからだよ」とザックリ繰上げ返済して利息の負担を減らせばよいのですね。

以上、千日のブログでした。

《あとがき》

10月に入ってから、米経済指標の好調を背景とした米長期金利の上昇に引っ張られるように日本の長期金利が上昇を始めました。

それに伴って、銀行の住宅ローン金利もジリジリと上がり始めています。変動金利とフラット35の金利については今のところ上昇が抑制されていますが、いつ上昇に転じてもおかしくない分水嶺が近いような気もします。

以下に当てはまるのであれば、今のうちに初めから固定金利を選択する、ないしは固定金利へ借り換えることをお勧めします。

  • 金利上昇に対応できる収入や繰上げ返済資金のアテは無い。
  • まだローン残高が大きいので金利上昇の影響が大きすぎる。

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2018年10月21日

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