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2019年からフラット35で賃貸することは出来なくなったの?

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住宅金融支援機構の金融円滑化への取り組みに変化アリ

どうも千日です。フラット35を取り扱う住宅金融支援機構は「金融円滑化への取り組み」として2018年までHPで「賃料収入により返済を継続することも可能」と明記していました。

住所変更届を出すだけで転居できるルールになっている上、債権者自身がそのHPで賃料収入での返済継続を認めると公表していたのですね。

しかし、2019年3月現在は賃料収入での返済継続を認めるという記述が削除されています。

ではもう今は賃貸への転用が実質的にできなくなっているのでしょうか?分かりやすく解説します。

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結論①実質的に賃貸への転用は認められる

まず結論から先に言いますと、HPから「賃貸収入により返済を継続することも可能」という文言が消えた現在も賃貸に転用することは認められます。

私がこのように断言する理由は2つあります。

  1. フラット35の公的融資としての意義と、
  2. 貸金の利息によって利益を得る経済的な合理性です。

セーフティネットとして金融円滑化へ取り組む

賃貸への転用を認める根拠は「金融円滑化」にあります。

これは、住宅ローンの返済が困難となった利用者にとってのセーフティネットとしての役割を十分認識し、返済相談、返済方法変更に取り組み、利用者のその後の返済継続が可能となるよう、返済計画に十分配慮することを旨としています。

つまり、住宅ローンの返済が困難となった人が、その家を賃貸することによって返済を継続することが出来るのなら、十分に配慮するということなのです。

契約上は、住宅ローンの返済が困難となった人に対して、「絶対に賃貸は認めません、賃貸するなら全額返してもらいますよ、事業用ローンに借り換えてくださいね」というスタンスを取ることも可能です。

しかし、そうした態度を取っていると、キャッシングとか闇金とかでその場しのぎにお金を借りて住宅ローンの返済をするような人も出てきます。

メチャクチャ高金利ですから、やがて多重債務にまっしぐらです。賃貸への転用を拒否されたフラット35の利用者が自己破産し物件は競売なんてことになってしまったらセーフティネットとしての役割もクソも無いわけですよ。

住宅金融支援機構のフラット35が公的融資である以上、「賃貸への転用を認めない」とする取り扱いをすることは不可能なのです。

家賃返済特約付きフラット35の存在

その証拠に住宅金融支援機構には家賃返済特約付き【フラット35】:長期固定金利住宅ローン 【フラット35】というフラット35の制度があります。

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これは、返済が辛くなった場合に住宅を提携借上機関に賃貸し、その賃料を住宅金融支援機構が直接受領して住宅ローンの返済に充てるという内容の特約(家賃返済特約)を設定するものです。

つまりこれは最初から(返済が辛くなったら)賃貸することを前提としてフラット35を融資するという仕組みです。

日本住宅ローン、優良住宅ローン、日本モーゲージサービス、ハウス・デポ・パートナーズの取り扱うフラット35ではこの特約を付けることが可能です(2018年7月2日現在)。 

賃貸してでも返済を継続してくれる方がありがたい

また、経済的な面から言っても、当初の約定どおりに返済を継続してくれるならばその方が債権者にとってもおトクなのですよ。

フラット35の債権はその実行月ごとに資産担保証券(機構MBS)として、機関投資家(大手保険会社や銀行、証券会社など)に売り出されています。一般的に機構債と言われるものです。

図にすると以下のような仕組みです。

資産担保証券(機構MBS)

機関投資家はフラット35の利用者が返済する元本と利息を目当てにこの機構債を購入するのです。

なので、利用者が返済が辛くなった場合に家を売って元本を返してもらうというのも悪くはないのですが、その分については将来の利息収入が無くなってしまうのです。

できれば賃貸してでも利息を払い続けてくれる方がありがたいのですよね。

結論②事業(金儲け)目的の賃貸を厳しく制限し始めた

しかし、フラット35で購入した家を賃貸に回すことで、大きく儲ける。もっと拡大して手広くやる、ということになると話は別です。

公的融資を金儲けのために利用させない

あくまで、金融円滑化=返済が難しくなっている債務者の保護が主旨ですからね。金儲けのために賃貸することについては一貫して禁止なのです。

公的融資が個人の金儲けのために利用されるというのは、本末転倒なわけです。

フラット35を取り扱う住宅金融支援機構は国の機関ですからその活動には税金が使われます。

また、フラット35「S」や「リノベ」「子育て支援」などの金利引き下げ制度は、債務者が本来払うべき利息の一部を税金で肩代わりするものです。

国民から徴収した税金を使って一部の人の金儲けに利用させるというのは、マズいですよね。

賃貸収入で返済を継続できるという記載をHPから消した背景として、こうした事業目的の疑いの濃いケースが増えてきたということがあるのでしょう。

事業目的の融資なら高い金利でないと引き合わない

また機構債を購入する機関投資家の立場からしても、住宅ローンの中に「不純物」が混入するのは好ましい事ではありません。

賃貸事業目的で買った物件は、利回りが悪いとなると売却されます。また、売った方が有利となったら売る人もいるでしょう。

自分が住みたいから買ったという人とはスタンスが全く違うのです。

このように物件を住宅ローンの途中で販売されると、住宅ローンは期間の途中で完済されてしまいます。つまり、予定していた利息が得られなくなるリスクが高いのですよ。

最初から賃貸事業目的ならば、最初からそれなりに高い金利でなければ引き合わなくなるのですね。

機構債を販売する住宅金融支援機構としては、賃貸目的を隠してフラット35を利用しようとする人を篩い落とすことが、制度存続の為に重要な責務となるのです。

返済の為の賃貸は禁止できないが、最初から賃貸目的は排除する

つまり、返済を継続する為に賃貸に出すこと、そのものを予め禁ずることは出来ないのです。これが大前提としてあります。

しかし、一方で最初から賃貸目的でフラット35を利用しようとする人は徹底的に排除するべく、本腰を入れて来たのですよ。

これは内心の条件ですので、基本的には外見から判断することは出来ません。

しかし、融資前の面談等のヒアリングや、家を購入する客観的な状況によってある程度の判断は出来ます。

例えば…

  • 4人家族なのに1LDKのマンションを買う人。←ホントに家族で住むつもりなの?
  • 明らかに職場や生活圏から外れた地域の物件を買う人。←そこは住む場所として合理的なの?
  • 一世帯で複数の家を購入しようとする人←2軒の家を自己居住用とすることに合理性あるの?

明らかに賃貸目的なのに、それを黙っているだけで隠し通せると思っている人は意外に多いようですが、お金を貸す方もそこまでバカでは無いのですよ。

怪しいケースは追加調査して本当に自己居住目的かを確かめるという事は、審査の基本として前からやっていることです。

金融円滑化のために3つの返済方法変更メニューを公開

そして、そもそも所得の低下によって返済が厳しくなった場合の緩和措置として、賃貸を認めるだけでは無いのですよ。

そこで、返済が厳しくなった理由別に3つの「返済方法変更メニュー」を公開しており、手数料無料で変更できる方法を用意しています。

どれも審査があります。

離職や病気等で収入が減少し返済が大変になった場合→Aタイプ

離職や病気等で収入が減少した場合で一定の条件に当てはまり、審査に通った場合は最長15年間返済期間を延長できます。

さらに、現に失業中の方、または収入が20%以上減少した方は、返済期間の延長(最長15年)に加え、 元金の支払いを一時休止し、利息のみを支払う期間(最長3年)を設定できます。

ただし、いずれも返済期間は伸びるので総支払額は増えます。

しばらくの間返済額を減らして返済したい場合→Bタイプ

子どもの進学による教育費や入院による医療費など一定期間支出の増加が見込まれる場合、双方相談の上で一定期間内で毎月返済額を減額することができます。

ただし、減額期間が終了した後の返済額は増加します。また、総返済額も増加します。

ボーナス返済が負担になっている場合→Cタイプ

当初契約でのボーナス払いが負担になってきた場合には以下の選択肢があります。

  1. ボーナス返済月の変更
  2. 毎月・ボーナス月返済額の内訳変更
  3. ボーナス返済の取り止め

真面目な話をすると、賃貸を前面に出さずにこれら条件緩和メニューを強調した方が金融円滑化の主旨に沿ったものだったろうなと思いますね。

最初っからそうしておけばいいのに…と思うでしょうが、いちいち条件変更して良いかどうかを職員が審査するのにも、余計なコストがかかるのですよ。それはまわりまわって最終的にはフラット35の金利や税金にオンされるのです。

それより、知らんぷりして賃貸を認めた方がラクだしカネもかからない…?という事情もあったのかもしれません。これは想像の域を超えませんが。

転居し賃貸する合理的な理由とは何か?

もちろん、賃貸に出すことが合理的である状況を想定して「賃貸することを認める」ということは変わっていません。

これまでは「住所変更届を出すだけで転居できる」ということと「賃貸することを認める」ということを強調していたので、事業目的での賃貸を潜脱させてしまうような状態を作ってしまっていたんですよね。

今後は、住宅金融支援機構も転居の理由が適切なのかをチェックするようになっていくでしょう。

現時点の住所変更は変更届を提出するだけで可能ですが、住所変更の理由を自己申告する形になっています。具体的には以下の選択肢のどれかに✓を入れるようになっています。

転居される理由について、該当する内容に「レ」を付けてください(該当がない場合には具体的な理由をその他にご記入ください。)。

□転勤・転職

□長期出張

□療養・介護

□教育

□返済継続のための賃貸利用

□その他(             )

引用:3-1変更届(平成28年10月)

つまり、これらが転居の合理的な理由です。ここに記載している以外の理由で転居し、なおかつ賃貸していることが発覚したら、それは事業目的の賃貸ではないか?と疑われてもしょうがないですね。

もちろん、「その他」に✓して「財テク目的で賃貸するため」と書いたら、それはダメですと言われます。

期限前の全額返済義務にあたる

住宅金融支援機構と締結する金銭消費貸借契約書(住宅ローンの契約書)の規定の第3条には「期限前の全額返済義務」について規定されています。

債務者がこの条項のどれかに該当し、貸主が債務者に書面による返済請求を発したときは、債務者に請求が到達した日に住宅ローンの全額又は一部について期限の利益を失い、借入要項に定める返済方法によらず、直ちにその債務を返済するというものです。

その中に「借入金を借入要項で定めた借入金の使途以外の使途に使用したとき」というものがあるんですよ。

つまり、賃貸目的はバッチリこれに当てはまります。悪質と判断されたら有無を言わさず、一括返済を迫られるでしょう。

それでもフラット35は有利な選択であることに変わりなし

さんざん脅しましたけど、それでもフラット35は(後からなら)賃貸に出しやすいという点ですごく有利な住宅ローンです。この結論に変わりはありません。

届出だけで賃貸に出せる唯一の住宅ローン

最初は自己居住用として購入した家を賃貸したくなったら、届出書に「返済継続のための賃貸利用」に✓して提出するだけで賃貸に出せます。

もちろん、賃貸する目的は返済継続のためでなくてはなりませんが、この取り扱いについては去年も今も何ら変わっていないのですよ。

期限前に全額返済しなければならなくなるケースは「最初から賃貸目的でフラット35を借りた場合」です。

何度も書きますが、この条件は内心のものですので外観からは分かりません。ただ、悪質なケースは外観からしてモロに賃貸目的なので、その証拠をつかむのは難しくないです。

もちろん自分が住むために買うんだけど、もし返済が厳しくなったら賃貸したいな…もし転勤することになったら賃貸したいな…

このような観点から物件を選び、フラット35を借りるのは通常の範囲内のことです。全額返済にはなりませんので安心してください。

自宅を賃貸しながら自己居住用にフラット35を利用することもできる

加えて、フラット35は住み替えの際に現在の住宅を売却するもしくは賃貸に出す予定であれば、住宅ローンの残債はゼロとして返済負担率を審査してもらえる唯一の住宅ローンです。

現在の住宅ローンと新たな住宅ローンでダブルローンとなります。

普通の銀行でダブルローンを組む場合は両方の支払いができるか?という厳しい審査になりますが、フラット35ならば現在の住宅ローンはゼロとして審査するため、ほぼ満額の住宅ローンが組めます。

ダブルローンでフラット35を利用するときの流れは実にシンプルです。

  1. 現在のマイホームに暮らしながら新居を探す。
  2. 購入物件が決まったら、現在のマイホームの賃貸(or売却)を不動産仲介会社に依頼して媒介契約を結ぶ。
  3. フラット35に申し込む際に、媒介契約書を提出して仮審査に出す。
  4. 仮審査に通ったら現在の銀行に「賃貸への転用」を申し出る。

但し、現在の住宅ローンで既にフラット35を借りている場合はこれは使えません。

私はメガバンクで住宅ローンを借りていたのでこの方法が使えます。最近、住み替えのために上記の方法でアルヒのフラット35に審査を通しました。

その時の手順についてはこちらに詳しく書いてます。

アルヒ(ARUHI)は全国175店舗で対面の相談を受け付けるフラット35業界最大手

アルヒは本審査のスピードが早いことでも有名です。仮審査は当日、本審査も最短3営業日という革命的な早さです。

例えば千日のフラット35金利予想を見て急きょフラット35が下がることが分かり、フラット35で借りたい!となったときに、当月中の申込で唯一間に合う可能性があるのがアルヒです。

また、ネット銀行は店舗がなく、電話と郵送での対応となりますが、アルヒは全国175の店舗があり、対面で相談できるのが魅力で国内最大手になっています。

前もって審査を確認しておきたいならSBIマネープラザ

ネットで申し込めるとはいえ、本当に自分の場合に現在の住宅ローン残債をゼロとして審査してもらえるのか?直接確認したいですよね。

とは言え、あまり赤裸々に聞きすぎると心象的にマズいんじゃ…と思ったりもします。

そこで私はSBIマネープラザの無料相談でフラット35の審査が実際にそうなのか?自分のケースで大丈夫なのか?根掘り葉掘り聞きました。

SBIマネープラザはアルヒの代理店としてフラット35の仮審査の代行業務も行っているので、面と向かって聞ける相手としては一番確実な情報を持ってます。

ついでに審査に通りそうな金額も計算してもらいました。

この相談と情報が無料で手に入るというのは、すごいと思います、お勧めですよ。

以上、千日のブログでした。

《あとがき》

今回は読者の方からの情報提供で、住宅金融支援機構のHPから「賃貸収入で返済を継続できる」という記載が消えている!ということを知りまして書きました。

フラット35のメリットとして、賃貸に出しやすいというのがあることは確かですし、個人的な見解として返済方法の一つとして賃貸に出すこと自体は悪いことでは無いと思います。

ただし最初から事業目的で借りようとする人に対しては、お金を貸す側がそれなりの金利を要求するのは当然のことであって、それはフラット35についても例外ではありません。

そこは勘違いしてはイケナイ部分だと思うんですよね。

2019年3月23日

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