千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える

千日太郎が送る住宅ローンの最新ニュース、ほぼ毎日21時にYouTube生配信、失敗しないマイホームの購入から返済計画のバイブルとして、多くの方からご支持頂いています。

千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える

住宅ローンに精通した公認会計士千日太郎による専門サイト、21時からYouTube生配信、最新の金利動向から失敗しない住宅ローン、マイホームの購入計画についてWBS(テレビ東京)ほか多数の経済専門メディアでコメントしています。本サイトにはプロモーションが含まれています。

毎日更新!日米金利の最新動向➤
お勧め住宅ローン(CPA監修更新)➤
リスクと負担を減らす借り換えランキング➤
PR

フラット35の知られざる表と裏、メリットデメリット、建前と本音とは?

Sponsored Link

どうも千日です。最近は歴史的な低金利で注目のフラット35ですが、これを貸す住宅金融支援機構のHPにせよ、事務代行する銀行のHPにせよ、基本的に「良いこと」しか載せていないです。

この「良いこと」には二つの意味があります。

  • 利用者にとって「良いこと」つまりメリット。
  • 貸す側にとって「都合の良いこと」つまりアピールしたいこと。

つまり、表向きのフラット35の顔です。

今回の記事ではフラット35の裏の顔、つまり、利用者にとってのデメリットや貸す側としてはできればアピールしたくないことも丸裸にして解説します。

フラット35の表と裏

ずっと安心の固定金利【フラット35】の表と裏

フラット35は国内で唯一、何があろうが最後まで金利が固定される住宅ローンです。

金利が固定されるのはメリットですが、その裏返しとしてのデメリットがあることは、あまり強調されません。

  • メリット:民間銀行の固定金利は上がるかもしれないがフラット35は絶対上がらない。
  • デメリット:民間銀行の固定金利は後から金利を下げて貰えることがあるが、フラット35は一切交渉できない。

絶対に金利が上がらない唯一の住宅ローンというメリット

民間住宅ローンの固定金利は、絶対の固定金利ではありません。住宅ローンの契約には、日本経済がひっくり返るような大事件やルールの変更など「相当の事由」があるなら固定金利であっても銀行が借入金利を変更できるという規定があります

しかしこれまで、この規定によって固定金利を上げた例は存在しません。

もちろん、今後そういうことが無いとは言い切れないですが、もしそうなったら、住宅ローンの支払い以前に日本経済が大打撃を受けているでしょう。

なので、フラット35だから「金利が変わらないことのみ」をもって、安心とはいえないと思いますよ。

金利を下げてもらうこともできないデメリット

フラット35は金利が絶対上がらない代わりに、下がりもしないというデメリットがあります。

民間住宅ローンの固定金利であれば、住宅ローンの実行後に金利が下がって、他行に借り換えることでメリットがあるような状況になれば、銀行に電話一つかけるだけで金利を下げて貰えることがあります。

しかし、フラット35の場合は無理です。時間と通話料のムダです。

当初に借りたときよりも金利が下がって借り換えでメリットがあるような状況になったら、本当に借り換えるほかに金利の負担を下げる方法はありません。

フラット35からフラット35への借り換えも可能ですが、借り換えには手数料が必要ですし、住宅ローンを借りるときと同じく本審査~融資実行までの面倒な手続きをとらなければなりません。電話一本とはいかないのがデメリットです。

ただし、2019年10月時点のフラット35の金利は歴史的に最も低金利なので、いつ借りた人でも、数十万~数百万円の借り換えメリットがあります。

審査が甘い【フラット35】のメリットとデメリット

フラット35と言えば、審査に通り易いことで有名ですよね。民間銀行の審査に通らなかった人でもフラット35であれば融資してもらえるケースが多いです。

しかし、公的融資ならではの融通の利かなさがあることも確かです。

  • メリット:転職したばかりでも、非正規雇用でも借りられる。また団信加入は任意。
  • デメリット:融通が利かず、物件に対する審査が厳しい。

非正規雇用かつ転職したてでも借りられるメリット

どの民間銀行でも、雇用形態と勤続年数を審査の重要な要素としています。

最近は雇用形態が非正規でもそのキャリアを確認したり、転職したてであってもそれ以前の職歴や収入を斟酌して審査する銀行も増えていますが、まだまだ少ないですし、融資可能額にも差がつきます。

その点、フラット35は非正規雇用であっても正社員と同じ土俵で審査を受けられますし、融資額にも差はつきません。

また転職したてで、勤続年数が1年に満たない場合であっても、それまでの収入を1年に計算しなおして年収を計算します。例えば、転職してから6か月の収入が300万であったなら、12か月ならば600万となり年収600万の人として審査を行います。

こちら、私の例です。自営業で開業から半年分の確定申告しかなかったので、非正規雇用よりもさらに民間融資での審査属性は低いですが、フラット35で6千万近くの融資を受けました。

しかし、審査属性が低くても沢山借りられることが、必ずしも良いことばかりとは言えないですよね。

返せなくなってしまったら、家を手放さなければならないのが住宅ローンであり、それはフラット35も同じです。あくまで、自分が確実に返せる、返したうえで老後破産しない安全な金額に抑える必要があります。

フラット35の融資可能額は、千日のオススメする自分が完済できる住宅ローンの金額は?それを知るための4つのルールを遥かに超えた金額になっています。 

団信に加入できなくても借りられるメリット

もう一つのメリットは健康上の理由から団信に加入できない場合でも借りられるということです。団信は団体信用生命保険の略でして、主債務者が死亡又は高度障害になった場合にその時点の住宅ローンがゼロ円になる生命保険です。

民間住宅ローンでは団信への加入が必須です。つまり逆をかえせば、健康状態が良好でなければ住宅ローンを貸さないのです。

その代わり団信の保険料は銀行が負担します。

とは言いますけど、これは詭弁です。そもそも住宅ローンの金利に団信の保険料が込みになっているのですよ。だって銀行が払う経費は融資の利息からしか回収できないのですから。

そんな書き方止めればいいのに…と思うんですけど、どの銀行もこういう書き方をしていますよね。

ちなみに、フラット35の「買取型」で団信に加入しない場合は団信込みの金利から0.2%引き下げとなります。

この点、アルヒ㈱のスーパーフラットという商品は「保証型」と言われるタイプであり、団信に不加入とすることで団信込みの金利から0.28%引き下げになるので千日のブログでもよくおススメしています。

融通は利かず物件に対する審査は厳しい

フラット35は公的融資なので、審査のルールが硬直的だという面があります。住宅金融支援機構の規定から外れるとダメです。

フラット35をHPで出ているような低金利で借りるには融資率を9割以下にする必要があります。融資率=借入額÷住宅の建設費又は購入価格の割合です。

頭金が1割ならば融資率はちょうど9割になります。1割の頭金を自己資金で用意できない人は、1割の頭金がある人よりも0.26%も高い適用金利となってしまいます。

これが民間ならば、フルローンでも同じような金利で借りられます。

また、フラット35の融資を受けるには対象の住宅が住宅金融支援機構の定める一定以上の水準に達していることを証明する「適合証明書」を提出しなければなりません。あまりに築年数が古すぎるとこの水準をクリアできず、フラット35で融資を受けることが出来ません。

債務者に対する審査が甘い代わりに、物件に対する審査を厳しくしているんです。よく考えたら、この二つの条件は、もしその人が住宅ローンを返せなくなっても、物件を売ってその代金で貸金を回収する可能性を上げるものですよね。

賃貸・投資目的の利用はダメ!の建前と本音

少し前にフラット35を賃貸目的の投資物件に使うのは不正です!騙された方も詐欺の犯人に⁉が話題になりましたが、この建前と本音を解説します。

  • 建前:賃貸目的であれば、住宅ローンの金利では貸せない。
  • 本音:やむを得ない事情があり、債権者とって損でなければ賃貸してもいい。

そもそも住宅ローンは合意があれば後から賃貸に転用できる

実は、フラット35に限らず、住宅ローンは後から賃貸に転用することが出来るものです。

もちろん、住宅ローン契約は対象の物件を住居として使用することを規定しています。例えば、民間の住宅ローンでは借入後に賃貸物件として有償で他人に貸し出す場合には、予め銀行の承諾を得る必要があります。

そして、賃貸用の物件に関しては住宅ローンではなく事業性ローンとなり、金利は高くなります。

住宅ローンを融資する債権者は我々がその物件を住居として使用しているからこそ、安い金利でも貸すのです。自宅ではなく、金儲けの手段として持っている投資物件ならそれ相応の高い金利を取ろうとします。

住居として使用しているからこその低金利の住宅ローンなのです。

しかし、民間の住宅ローンでも転勤などでやむを得ない場合は賃貸し、住宅ローンの金利のままで返済を継続することが認められるケースがあります。

これに対して、フラット35では住所変更届を提出するだけで、住宅ローンの金利で借り続けることが出来るのです。

こういう事を書くと、よくアンチコメントが書かれます。簡単に賃貸を認めてしまったり、認めるケースがあることを大っぴらにすると、最初から賃貸目的で住宅ローンを利用しようとする人が出てくるからです。

しかし、住宅ローンは契約です。契約である限り、双方の合意によって修正されることがあるのは当然のことです。

賃貸に転用する契約の変更は、民間銀行では当事者間だけのクローズな関係で行われます。「Aさんの場合は認めたけど、Bさんのケースはダメ」というようなこともありますし、人によって取り扱いを変えた理由を公にする必要もありません。あくまで当事者間の決め事だからです。

これに対してフラット35は公的融資ですので、ルールはオープンにしなければなりませんし、取り扱いも公平にしなければなりません。賃貸を認めるケースがあるならば、包み隠さず公開し、全員に適用する必要があるのです。

賃貸への転用について、民間融資とフラット35で取り扱いがこれほどに違うのは、クローズかオープンかという違いによるところが大きいのです。

「ハズレ物件でも節税で儲かる」という営業トークのカラクリ

なぜ、こういう不正利用があるのかというと、悪徳不動産業者がサラリーマン大家さんに利回りの悪い物件を売りまくっているからなんですよね。その手口の一つをご紹介しましょう。

ポイントは相手がサラリーマン(給与所得者)ということです。サラリーマンの税金は給料から天引きになっています。経費もほとんど認められませんので、全くと言っていいほど節税できません。

しかし、不動産賃貸業を行うことで、不動産収入の方で経費が認められるようになるわけです。

そして、不動産賃貸業での儲けがマイナスになった場合には給与所得分で払っている税金から差し引いて還付を受けることが出来ます。

どういうことか?というと、個人の旅行代金なんかは「物件の調査のための必要経費だし」、個人の洋服代なんかも「業者との打ち合わせに来ていく服も必要だし」などという拡大解釈で経費にして、わざと赤字にするわけです。

赤字になった分、確定申告すれば税金が還付されます。

こういうのは、ひかえめに言って脱税ということになります。最近もある芸人さんが所得隠しと申告漏れでワイドショーのネタになっていましたよね。

不動産業者は売買が成立した時点で手数料が入りますから、後で買った人がどんな危なっかしい確定申告をやろうと知ったことでは無いです。

買った人はというと、面倒な割に税金の還付分しか儲けがないので(又は税務調査を受けて)、ほどなくして売りに出すことになります。

こうして、利回りの低い物件はサラリーマン大家さんの手から手へと譲渡されていき、不動産業者はそのたびに手数料を得るのです。そのうち一部の不動産業者がお客にフラット35の不正利用を勧めたんですね。

「赤字でも節税で儲かる」のウソ

確かに計算上は、副業で不動産賃貸をやる前には還付されなかった税金が還付されるようになりますので、儲かったと言えないことも無いです。

また減価償却費など、その年の支出を伴わない経費もあり、決算が赤字でも収支上は黒字ということもあるでしょう。

しかし、赤字が常態化するような物件であれば、その物件を所有し続ける限り、全期間トータルで損をするということですよ。

数字をこねくり回されると、つい素人は騙されてしまうんですが、普通に考えてみればごくごく当たり前のことですよね。

赤字の途中でそのことに気づいた人が売るのです。いわゆる損切り(損失をこれ以上増やさないようにするために取引を手仕舞って、損を確定させる)というやつです。

赤字が常態化しているけど、損にはなっていないヨ。

こういう人が居たとすれば、その人は自ら所得隠しをゲロっているのと同じですよ。

収入を隠しているなら、決算が赤字でも損じゃないです。また、経費を水増し計上しているなら、決算が赤字でも損じゃないですね。

不動産投資をするのならフラット35は使えないことはもとより「節税でトクになる」という営業トークにも気を付けてくださいね。

以上、千日のブログでした。

《あとがき》

折しも昨日、マンションのポストに、家を買った不動産屋さんから「住宅ローン控除1年目の確定申告のお手伝いを当社の顧問税理士が無料でお手伝いします」という案内が来ていて「へぇいいサービスだな」と思ったんです。

住宅ローン控除は2年目からは会社の年末調整でやってくれるんですが、初年度は自分で確定申告しなければならないんですよ。最初の1年目は会計士の私でも、ちょっと面倒だなと思った覚えがあります。

ワイドショーではお笑い芸人のタレントさんの脱税がネタになっていて、坂上忍さんが「結構な大人なのに信じられない」みたいなことを言ってますね。もちろんイケナイことではありますが、ただ面倒と思ってしまって3年というのは、まあ、あり得ない話じゃないなぁと思いますよ。

確定申告は住宅ローン控除の百倍は面倒です。一年の収入と支出を全て集計し、そのうえで、超絶分かりにくい申告書に記入していくのですからね。

住宅ローン控除ならば面倒な代わりに何十万もお金が返ってくるんですが、納税は面倒な作業をして、かつ身銭を払う。それが国民3大義務の納税です。

しっかりと儲けて、そこから納税するなら結構なことだと思います。しかし、実質収支トントンで決算を赤字にした分だけ税金が還付される、みたいなのは積極的にはおススメしませんね。

最後に2019年11月には第二弾の住宅ローンセミナーを開催しました!参加者にはもれなく著書家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本をプレゼントしました。

セミナーは現在終了していますがyoutubeでセミナーの内容を一部公開していますので、良かったら観てみてくださいね。

2019年11月18日

毎月更新!年齢、年収別の最適住宅ローンランキング➤姉妹サイト「千日の住宅ローン無料相談ドットコム」へ

ランキング 年齢
20代 30代 40代 50代以上
新規借入 20代800未満 30代600未満 40代600未満 50代1000未満
30代600~1200 40代600~1200 50代1000以上
20代800以上 30代1200以上 40代1200以上
借り換え 20代借換 30代借換 40代借換 50代借換
団信 20代団信 30代団信 40代団信 50代団信

千日太郎おすすめ住宅ローン

お勧め記事

千日の住宅ローン無料相談ドットコムでフラット35の質問に答えています