2019年の先行き業績判断は悪化|消費増税まで長期金利は低空飛行
どうも千日です。今日は2019年4月以降に住宅ローンの実行を予定している人向けに金利動向について書こうと思います。
日銀が公表した「全国企業短期経済観測調査(短観)」によると、直近の企業の業況判断は横ばいで推移しているものの、消費増税を懸念する声が多く、先行きの見通しに慎重な企業が増えているようです。
先に結論を書いておくと、2019年4月~9月までの住宅ローンの金利動向は次のようになると予想しています。
- 変動金利は今と変わらず(ちょっと下がるかも?)。
- 固定金利は2019年2月3月の実績の延長線上で小幅な動きで推移する。
ではさっそく始めましょう。
2019年1月~3月はこれまでよりも業績が悪化すると予想
日銀短観では、景況感が「良い」と答えた企業のパーセンテージから「悪い」と答えた企業のパーセンテージを差し引いて、企業の景況感を示す「業況判断DI」を算出しています。
- 業況判断DIが大きい=良い
- 業況判断DIが小さい=悪い
ということです。回答期間は2018年11月13日~12月13日で、調査対象企業数は9,860社です。
2018年12月の業況判断DIは、全産業がプラス16で2018年9月の調査結果から1ポイント増加したものの、3カ月先の業況判断DIはプラス10で12月から6ポイント悪化しています。
つまり、
今は悪くないんだけど、今後3か月先は悪くなる。
という判断をしているんですね。この調査の時期的には自社でも3月本決算の業績予想をするタイミングですので、回答する企業側の予想の精度も高めです。
製造業の業況判断は規模にかかわらず悪化
製造業の12月の業況判断DIは次のようになっています。
2018年12月時点の最近の業況判断は次のように横ばいか上昇です。
- 大企業(資本金10億円以上)がプラス19で前回から横ばい。
- 中堅企業(資本金1億円以上10億円未満)がプラス17で同2ポイント上昇。
- 中小企業(資本金2,000万円以上1億円未満)がプラス14で同横ばい。
しかし、3カ月先の業況判断DIは、次のように軒並み下落です。
- 大企業がプラス15で12月から4ポイント下落。
- 中堅企業がプラス11で同6ポイント下落。
- 中小企業がプラス8で同6ポイント下落。
非製造業の業況判断も規模にかかわらず悪化
非製造業の12月の業況判断DIは次のようになっています。
2018年12月時点の最近の業況判断は次のように基本的に横ばいか上昇でした。
- 大企業がプラス24で9月調査から2ポイント上昇。
- 中堅企業がプラス17で同1ポイント下落。
- 中小企業がプラス11で同1ポイント上昇。
しかし、3カ月先の業況判断DIは、次のように軒並み下落です。
- 大企業がプラス20で12月から4ポイント下落。
- 中堅企業がプラス13で同4ポイント下落。
- 中小企業がプラス5で同6ポイント下落。
金融機関の業況判断から住宅ローンの金利は上がらないと予想
こうした企業の業況判断は金融機関にも波及していきます。業績を拡大しなくなる=企業がお金を借りなくなるからです。
保険業は先行きが高くなっていますが、銀行業、貸金業等については大きく下落していることが分かりますよね。
今後3か月については低金利が続き、業績は上がらないと金融機関自身が判断しているのです。
ということは?
銀行は住宅ローンをはじめとする貸金の金利を上げない(上げることができない)と現時点で予想していることを意味します。
今回の予想はあくまで12月時点で今後3か月の予想です。なので、4月以降の予想をしているわけではありません。しかし会社として一番のかき入れ時である3月までの業況が悪いのに、それ以降が良くなる予想などできるわけがないのです。
業績悪化の原因は消費増税であると55.3%の企業が回答
では、なぜ2018年12月までは横ばいか少し上向いていた業況が今後悪くなるのでしょうか?
その答えは2019年10月に予定されている消費増税です。
帝国データバンクが全国の企業2万3,052社を対象に行った「2018年の景気動向と2019年の景気見通しに対する企業の意識調査」の結果を見てみましょう。調査期間は2018年11月16日から30日で、9,746社から有効回答を得ています。
2019年の景気への懸念材料を複数回答(3つまで)という質問に対しては次のような結果となっています。
「消費税制」:55.3%(25.7%)
「人手不足」:46.2%(47.9%)
「原油・素材価格の上昇」:45.4%(40.0%)
「中国経済」:18.2%(13.1%)
「米国経済」:17.5%(14.1%)
「貿易摩擦の激化」:14.5%(前回なし)
帝国データバンク|2018年の景気動向と2019年の景気見通しに対する企業の意識調査(かっこ内は前回の回答割合)
半数超の企業が2019年10月に予定されている消費増税の悪影響を懸念しており、2019年の景気に悪影響をあたえると感じているんですね。
ということは、消費増税の影響が出そろうまでの間は今の「悪化するだろう」というムードが続くということになります。少なくとも9月まではこの傾向が続くだろうと個人的に予想しています。
日本の長期金利はマイナス0.2%の下げ代を残しながらゼロ%前後で推移
新年早々マイナスからのスタートとなった長期金利ですが、3日のアップルの業績下方修正やアメリカの経済指標の悪化からリスクを避けようとする投資家が安全資産とされる国債や円を買いに動いたのが主な原因です。
債券の価格が上がると、利回り(金利)が下がります。金利が下がるということは、私たちが借りる住宅ローンの金利もまた下がるということを意味しますので、家を買う人にとっては悪いことばかりではありません。
銀行もまた金融市場から資金を調達し、その調達金利に銀行の利益をのせて私たちに貸しているからです。
金融市場の「長期金利」の上がり下がりというのは、銀行にとっての仕入れ値の上がり下がりです。
今後の日本の長期金利はどこまで下がるか?
その日本の長期金利の動向を考えるうえで、米国の長期金利の影響は無視できない要素です。以下のグラフは日米長期金利の終値の推移を2018年12月11日から2019年1月11日まで取り、目盛りのスケールを揃えて重ねたものです。
日本の0.3%=米国の3.1%で概ね重なりますね。日米の長期金利の金利差は日本のバブル崩壊後から今まで概ね3%前後で維持されてきています。
この1カ月だけ見ても、米国の長期金利は大きな振れ幅で変動しつつ、より低く沈みこんでいることが分かりますよね。日本の変動はなだらかです。
日本の長期金利の振れ幅は小さいですが、米長期金利の低下と連動してまだ下がり代を残しているような状態だと言えます。日銀としては金利が一時的にマイナスになったとしてもマイナス0.2%までは許容する方針になっているからです。
今は、主に米国側の変動要因が大きくて日本がそれに引っ張られているような状態ですが、日本に固有の事象で金利が下がるようなことがあればマイナス0.2%くらいまで下がる可能性は十分にあると言えます。
もし長期金利がマイナスになったら、フラット35の金利はどうなるか?はこちらをどうぞ。
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以上、千日のブログでした。
《あとがき》
この予想は記事の執筆時点で公開されている情報に基づき、千日太郎が予想をしたものです。したがって実際の金利の動向と異なってくることは大いにあり得ることです。
それをご了承のうえでご利用くださいませ。
また当ブログでは住宅ローンを早くから一つに絞るのではなく、複数の金利タイプ、金融機関で住宅ローンを通しておき、直前の月までに決めることをお勧めしています。
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2019年1月12日
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