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変動金利で住宅ローンを借りて金利が上がったらどうする?プロの答え

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変動金利が上がるとき

どうも千日です。安いですよね変動金利。住宅ローンをシミュレーションするときに「一番安い金利の場合」を確認するのに使うのが変動金利です。でも、変動金利は銀行の都合で上げることが出来る金利タイプで、金利を上げるときに利用者の都合を一切聞く必要が無いんですよね。

なので、多くの人は「金利は安いけど怖いな…」という意識を持っています。そこから2つのタイプに分かれるんですよ。

  1. 変動金利は上がるかもしれないから固定金利にするタイプ
  2. 変動金利は上がるかもしれないけど変動金利にするタイプ

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1.の根拠は明確です。

  • 固定金利の方が高いけど、その差額は金利が上がったときの「保険料」だ。

という考え方です。今は長期金利が低いので固定金利も低く、この保険は割安です。千日が固定金利、特にフラット35をお勧めする理由の一つです。 

フラット35の知られざるメリットと銀行や営業マンがなぜお勧めしないのか?プロが答えます - 千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える

2.の根拠はどうでしょう?

  • 変動金利は上がるかもしれないけど今の収入では変動でないと家計が苦しい。
  • 変動金利は当分上がらないと思う。
  • 先のことは分からない、上がったら上がったときに考えればいいさ。

様々だと思います。何となくわかると思うんですがこれって素人の考え方ですよね。今日の内容は、それをレベルアップさせることを目的にしています。

では始めましょう。

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変動金利は「上がる」のではなく「銀行が上げる」もの

これ、ちゃんと知らない人が多いです。誰に聞いても「上がる」とか「上がらない」とか、誰かの意思とは関係ないところで勝手に決まることのように言うからです。

確かに長期金利についてはその通りです。金融市場で売り買いされる国債価格の上がり下がりによって日々変わっていきますからね。でも、銀行の変動金利は「銀行が決めている」んですよ。

銀行が明確な意思をもって変動金利を「上げる」のです。

もちろん、不動産の営業マンとか銀行の融資担当者がその意思決定に絡めるわけではありませんから、彼らに言わせると「上がる」とか「上がらない」とかいう表現になるんです。

それに彼らからすると、仮に金利が上がったときに「それは私のせいじゃないし」と言いたいですもんね。確かにそれはその通りです。

ですが、我々からしたら金利が上がったときには、直接その損を被るんですから銀行がどんなタイミングに変動金利を上げてくるのか?について知っておかなければなりません。

 

銀行が変動金利を上げるタイミングとは?銀行の懐勘定を見れば丸見え

じゃあ、どんなタイミングで銀行が変動金利を上げてくるのか?これに対して答えられる人はいません、という人がほとんどでしょうね。銀行の金利を決めるような人が住宅ローンの相談のテーブルに出てくるわけが無いですし、出てきても言う訳が無いからです。

しかし、銀行が儲ける仕組みと銀行の財務諸表が読める人には、自ずと分かってくる話なんです。ご説明しましょう。

 

調達金利と運用金利の差(利ざや)で儲ける銀行

銀行が貸すおカネは金利があります。銀行もまた、金融市場等からお金を調達するときに金利を払っています。

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  • 調達金利:銀行が資金を外から調達するときに払う金利(仕入)
  • 運用金利:銀行が資金をお客に貸すときに貰う金利(売上)

意外と単純でしょ?もちろん調達方法にはたくさんの種類がありますし、銀行の商品や投資の対象になる金融商品にも様々なものがありますので、全てを理解するのは非常に難しいですが、基本的な理解はこれで十分です。

要するに、調達金利と運用金利の差である利ザヤを大きくすることを目的に、彼らは頑張っているんです。その一つが住宅ローンなんですよね。

 

住宅ローンの価格競争から降りたみずほ銀行の財務諸表

最近は低金利でこの調達金利と運用金利の利ザヤが稼げなくなってきています。

メガバンクのみずほフィナンシャルグループでは東北や中国、九州といった一部の地方で新規の住宅ローン業務の撤退を検討していると報道されています(2017年11月1日日経新聞)。

どうなってるか見てみましょうか。

2017年3月期のみずほ銀行(単体)の資金調達と資金運用勘定はこんな感じです。

資金調達 金利 資金運用 金利
144兆円 0.33% 144兆円 0.83%

つまり、144兆円を0.33%で借りてきてそれを0.83%で貸して儲けていたんですね。儲けは0.5%ということです。144兆円で0.5%儲かるということは7千200億円の儲けですね。ここから人件費や家賃、税金などを払っているのです。

銀行の利益の足を引っ張る住宅ローンの価格競争

資金運用のざっくりした内訳をみてみましょう。住宅ローンの変動金利は利益の足を引っ張っていることが分かると思います。

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貸付金の平均資金運用金利は1.15%ですが、住宅ローンの変動金利は0.625%です。明らかに足を引っ張っているんですね。貸付金の運用金利が高いのは過去の高い金利の残高が残っているからです。

いずれこれが完済されると、低金利ばかりになっていきます。みずほ銀行や三菱UFJ信託銀行はこれを見越して住宅ローンからの撤退を検討しているわけです。

 

銀行が最も嫌がる借り換えの影響

銀行がこの運用金利を上げるには変動金利を上げれば良いですね。しかし、自行だけが金利を上げると、こぞって借換に走る利用者が増えるでしょう。

この住宅ローンの借り換えだけは銀行は避けたいのです。

なぜか?

借り換えは預金の減少にもつながるからです。調達金利は平均で0.33%ですが、預金の金利は平均で0.18%ですね。

資金調達 金利 資金運用 金利
144兆円 0.33% 144兆円 0.83%

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私たち利用者は住宅ローンを借りている銀行に給料の支払い口座を作り、そこをメインバンクにしますから、住宅ローンの借り換えは預金の引き出しにも繋がってしまうんです。

預金は銀行にとっては資金調達=借金です。すごく安い普通預金の金利でお金を貸してくれるのが我々預金者なんですよ。さらに銀行のカードローンなどを利用すれば年利10%位の高金利を払ってくれる上客にもなるんです。

 

銀行が変動金利を上げるのは横並びで一斉のタイミング

ですから、銀行が住宅ローンの変動金利を上げるタイミングは横並びで一斉に行うタイミングということなんですね。

そうなると、大きく分けて2通りのシナリオが考えられるのです。

  1. 景気が上向いて日銀が政策金利を上げるタイミング
  2. 全ての銀行の利益が厳しくなり横並びで変動金利を上げるタイミング

詳しくはこちらの記事をご一読ください。具体的に書いています。みずほFGのリストラ、三菱UFJ信託の住宅ローン撤退より前に公開したものですので、割と先取り出来ているんじゃないかなと思います。

むろん、銀行の利益が厳しくなったら変動金利を上げるしか無い、とは限りません。

みずほ銀行のように人件費をリストラして住宅ローンから部分的に撤退する。三菱UFJ信託のように完全に撤退するなど取り得る方法は様々です。

 

銀行が変動金利を上げたら繰上げ返済

では、銀行が変動金利を上げてきたらどうすればいいか?もっとも有効な手段は『繰り上げ返済』です。

 

固定金利への借り換えは間に合いません。

 

銀行は『大量借り換え』によって預金を他行に取られる事だけは避けたいですからね。横並びで一斉に上げます。今の低金利の固定金利で借り換えるのは無理でしょう。

上がった変動金利よりも高い金利になります。だったらまだ変動の方がマシだ、とそういう金利になります。

 

5年ルール125%ルールと住宅ローン控除で切り抜ける

5年ルールとは、金利が上昇しても5年間は直前の元利均等返済額を維持するというものです。つまり、急に金利が上がったからといって毎月の支払いが急に増えるわけでは無いんですよね。

125%ルールとは、金利が上昇してから5年経過して毎月の元利均等返済額を増やす時には、直前の125%までを上限にするというものです。つまり大きく金利が上がっても毎月の支払いは125%までしか上がらないということです。

ですから、住宅ローンを変動で借りる人は、以下の条件を満たせることをお勧めしてます。

  • 毎月の返済額の4分の1を貯蓄する。
  • 貯蓄込みで手取り月収の4割以下に抑える。

詳しくは、住宅ローンを変動金利にする人は必見!2つの『四』=返済額の4分の1と収入の4割 - 千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答えるをご一読下さいね。

また、ローン残高が多い前半10年には住宅ローン控除があります。1%は利息が返って来ますから、金利上昇によるコストの増加は緩和されるんです。

ですから、ちゃんと2019年住宅ローン控除の条件をわかりやすく説明|新築,中古,増改築 - 千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答えるを把握しておく必要があります。

 

変動金利がマッチする人=ローン残高をコントロール出来る人

まず大前提として、金利を見て借り換えたり、金利タイプを変更して安い金利を維持するというのは現実的ではありません。

 

  • 金利を握っているのは銀行です。
  • 我々は残高を握っているのです。

 

いつ金利が上がるか?どれだけ上がるか?というポイントは銀行に握られています。完全に不利な状況です、その土俵で戦っては勝ち目ナシです。

では銀行の立場に立ってみましょう。金利を上げたら我々がどれだけ繰り上げ返済するか?これは銀行にはコントロール出来ませんよね。ネットで手続きすればいつでも、ノータイムで、無料で、繰り上げ返済出来ます。

 

金利を握られるのはしょうがないです。だから金利が安いんです。

 

金利が低い今のうちに、また、住宅ローン控除で守られているうちに、繰り上げ返済の為の貯蓄を貯めていくことが対抗手段となります。

繰り上げ返済によって同時に銀行の預金を奪うことになります。これも銀行には痛いですね。

おたくが金利を上げるんだからしょうがないよね。

こういうスタンスに立てるようにしておくことが、変動金利で借りた人が金利が上昇したときの為に準備しておくべきことです。

 

まとめ〜現実を見て対処しよう

変動金利について書いてるブログで良く見かけるのがバブルの頃は7%位だった…のくだりです。

昔は高かったから上がってもおかしくない。

←これも素人の考え方です。

 

昔高かったということが、今後高くなる事の根拠にはなりません。良くわからない事に関しては、ついつい、そういう競馬新聞的な感じになるんでしょうね。

バブル期並みに金利が上がることを心配するより、むしろ少子高齢化で不況が長期化し自分の給料やボーナスを心配する方が先だと思います。

現実的な対応策を用意しておくべきシナリオは、バブルではありません。

不況による変動金利の上昇の方です。

 

以上、千日のブログでした。

《あとがき》

住宅ローンに関するカテゴリーを整理してたら、変動金利についてほとんど書いてなかった事に気づきまして、最近ちょっと強化してます。

去年は変動金利も安かったですけど、固定金利、特に10年固定が安すぎましたからね。ただ、最近のトレンドとしては10年固定は上がり、銀行の価格競争は変動金利にシフトしてます。

安くてお勧めの変動金利としては、今なら住信SBIネット銀行ですね。ただネット銀行は安い反面注意すべきポイントがあります。ネット銀行の住宅ローンを借りるなら金利の安さの裏にあるデメリットを知ってから - 千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答えるも読んだ上で検討して下さい。

2017年11月6日

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