2018年の固定金利は少し上がりつつ低位安定し変動金利は現状維持
どうも千日です。2017年から2018年の住宅ローンの金利タイプは変動金利か固定金利かどっちが有利なのでしょうか?
2016年9月から日銀の金融政策は長期金利を0%で推移させることに軸を移した「長短金利操作付き量的・質的金融緩和政策」(イールドカーブコントロール政策)で、長期金利は低い水準で安定しています。
日銀が長期金利を操作する。
そこで気になるのが今後の住宅ローンの金利はどうなるか?ということですがこれを考える際の大前提は、
今までと違うセオリーが適用される。
ということです。
- 固定金利と変動金利の今までとこれからの違いは何か。
- 今後いつどんな金利変動リスクがあり、それにどう対処するか。
フラット35の固定金利は団信0.28%上乗せで少し上がる
2017年10月1日の申し込みからフラット35の団信が大幅にリニューアルされています。この制度変更の骨子は2つです。
- 団信保険料は実質値下げ。従来年一回ローン残高の0.358%を払う方式だったが、今後はフラット35の金利に0.28%上乗せとなり毎月の返済と一緒に支払う。
- 住宅ローン残高がゼロ円になる保障の範囲は拡大。従来高度障害と死亡が条件だったが、今後は身体障害(身体障害者福祉法1級or2級)についても保障の範囲に含まれる。
なので、2017年10月以降は団信の0.28%が上乗せになった金利になります。
長期金利の先行きは不透明
トランプ大統領以後、上昇傾向にあった長期金利でしたが、日銀がイールドカーブコントロール政策でその上昇を抑えていたこと、北朝鮮リスクが顕在化してリスク回避の傾向も出てきたことから、先ゆきが不透明な状況が続いています。
変動金利は変わらず現状維持
これに対して変動金利は変わらず現状を維持するでしょうし、当分は変動しそうにありません。
変動金利の指標になる政策金利については日銀の決定でノータッチだからです。
めまぐるしく動く固定金利、対して変動金利は、変動しない。
何だか逆転?してますよね。こういう違和感を含め、今後新たに適用される住宅ローンのセオリーについて書いてみたいと思います。
- 2018年の固定金利は少し上がりつつ低位安定し変動金利は現状維持
- 固定金利と変動金利の本質と違いを知る
- 住宅ローンの固定金利は日銀が操作し、変動金利は金融機関が操作している
- まとめ〜住宅ローンの決断の肝
固定金利と変動金利の本質と違いを知る
- 利用者にとっての費用
- 金融機関にとっては収益
住宅ローンの金利タイプを固定金利にするか変動金利にするか?どっちにするか?悩ましいですよね、下手したら住宅そのものを選ぶよりも悩みます。
どっちも借金に適用される金利で、わたし達にとっては今後35年に渡って支払う、住宅の代金の使用料=費用です。
ということは、お金を貸す金融機関にとっては収益なんですよ。
金融機関は、この収益から貸すお金を調達する為のコスト(銀行が借りる金利、家賃、銀行員の給料)を払い、税金を払っています。
その収益のタイプが固定金利でも変動金利でも、ある程度利ざやを取れるように住宅ローンの金利を設定しています。
固定金利とは?変動金利とは?それぞれの金利の決まり方
固定金利とは借入期間に渡り金利を固定する金利タイプであり、変動金利とは銀行が必要に応じて金利を変動させることが出来る金利タイプだと定義されますね。
そんなこと常識でしょ。
なんて声が聞こえてきそうですが、一応言っておかないと、話せない性分なんです。踏むべき段階なんです。
それで、全く正反対の金利タイプでどうやって銀行が利ざやを得ているかという側面から定義すると、以下の定義になります。
- 固定金利は銀行の調達金利が長期金利である。
- 変動金利は銀行の調達金利が短期金利である。
銀行にとって家賃や給料は共通経費です。違うのは貸すお金を調達してくる金利という事です。
仕組みは「廻らないお寿司屋さん」と同じなんですよ。お店の家賃や寿司職人の給料は一定ですけど、その日のネタの仕入値によって、売値を決めているんです。
- 固定金利は、融資の実行時に銀行が長期で借りる金利に利益を上乗せして金利を決めて利ざやを稼ぐ。(銀行が金利変動リスクに対応するためには、住宅ローンの貸し付けと同時期に市場からお金を借りてくる必要がある。)
- 変動金利は、6カ月毎に金利を見直して、銀行が短期で借りる金利に利益を上乗せして金利を変動させて利ざやを稼ぐ。(銀行は半年単位で金利を上げ下げできるので金利変動リスクに対応する必要はない。)
銀行が住宅ローンで貸すお金と銀行が借りてくるお金が完全に一対一になっているわけではありませんが、上記が日銀が長短金利を操作するこれからの環境でおさえておくべき定義付けなんです。
住宅ローンの固定金利は日銀が操作し、変動金利は金融機関が操作している
従って、わたしたち住宅ローンの利用者は、これからの長期金利と短期金利がどうなるか?に気を付ければ良いのですね。
従来と今後でセオリーが大きく変わっているポイントです。
従来の長期金利は為替や金融市場での資金の受給関係を反映して市場原理によって決定されるものでしたが今後は国(日銀)が操作するようになります。
そして、
従来の短期金利は日銀の政策金利の影響を受けると言われて来ましたが、ここ数年の動きを見ると、むしろ金融機関の意向の方が優先している状況です。
長期金利(新発10年国債の利回り)は0%で安定するように日銀が操作していく
住宅ローンの固定金利の指標になる長期金利とは10年物国債の利回りです。
日銀の新たな金融緩和政策は「10年物国債の利回りが0%で安定するように国債を指値オペで購入して操作する」というものです。
ですから、日銀の「金利操作付き」金融緩和政策が適用されているうちは、長期金利が乱高下する可能性は極めて低く、ゼロパーセントで安定して推移するでしょう。
日銀の物価安定目標2%を達成するまで安定して低金利
ですから、2016年9月までの長期金利がマイナスになっていたときの水準より少しは上昇するでしょうが、それでも歴史的に見て十分に低い水準で安定するという事です。
この金利操作は日銀の目標としている『消費者物価の前年比上昇率』が安定して2%を超えるまで続けられるので、当分の間は安定して低金利が続きます。
- ほぼ住宅の完成引渡し前にシミュレーションした通りの金利で住宅ローンが借りられる。
- 今後長期金利が上昇した後も支払いは歴史的な低金利で固定される。
2016年9月の総括前までは日銀が金利の操作を行っていませんでしたから、固定金利は月によって上がったり下がったりしていたんですけど、今後はそういう月毎の変動は最小化されます。
2018年の黒田総裁任期満了、解散総選挙の影響
この金利操作は政策ですから時限的です。日銀黒田総裁の任期満了は2018年、安倍首相の任期満了も2018年ですが、2017年10月に解散総選挙となっていますね。
ただ、希望の党も今一つですし、有力な対抗馬なく『良くも悪くもならない』『毒にも薬にもならない』というのが市場の評価ではないでしょうか。金利への影響があったとしても、限定的なものになるでしょう。
トップが変わることによる政策の転換は付き物です。この法則で考えることができるのは2018年までということを頭に入れておいてくださいね。
変動金利は政策とは違う原理で銀行が操作していく
そして、変動金利の指標になる短期金利は短期プライムレート(略して短プラ)です。
短プラは金融機関同士がお金を貸し借りするときの「市中金利」に連動し、市中金利は日銀の政策金利に影響を受けます。
後述しますが、この影響と連動は方便なんです。
歴史的な低金利でも微動だにしない短期プライムレート
2016年1月のマイナス金利政策直後から長期金利が歴史的に下落して市場を驚かせました。長期金利と連動する住宅ローンの固定金利が軒並み史上最低を更新していきましたね。
しかし、住宅ローンの変動金利は微動だにしませんでした。
イヤ下がったでしょ
下がったのは、新規借入の人だけです。新規借入に対しては店頭金利からの優遇幅を拡大することで下げているんです。
店頭金利はいわば「定価」ですね。
ですから、変動金利と言いながら、既存債務者の金利は全く変動していないのが現状です。
変動金利は2008年のリーマンで既にゼロ金利という方便
なぜ短期プライムレートが変動していないかと言えば2008年のリーマンショックで「ゼロ金利政策」が復活したから、という理由です。
つまり市場の短期金利は一足早く2008年にはゼロとなっており、だとすれば、それに連動する短期プライムレートもすでにリーマンの時点で「底」に達したという理屈なんです。
そんなのアリ?
ですね。ずっと動いてない政策金利と短期プライムレート、店頭金利を縦に並べれば一目瞭然です。
- 政策金利 0.1%
- 短期プライムレート 1.475%
- 店頭金利 2.475%
政策金利は短プラに影響すると言いますけど、そもそもケタが違いますよね。
店頭金利は短プラに連動すると言いますが、ざっくりプラス1%です。
ね?
「連動する」「影響する」というのは方便でしかないと千日は思いますよ。あくまで金融機関にとっての利ざやの確保が優先されていると見て、当たらずとも遠からずです。
金融緩和政策下では短プラは現状維持
本当のところは銀行間でも短プラを下げる圧力があったんですけど、それをやるとますます自分達銀行の利益を圧迫するので敢えて下げなかったんです。
他行が下げないんだからウチも下げないよ。
ということです。
短プラを変動させるには、他行との歩調合わせが必要なんですね。自分だけが抜けるというのはナシです、横一列なんです。
サッカーのオフサイドトラップみたいですね。
2016年9月から適用された「長短金利操作付き金融緩和政策」はかなり銀行の利益に配慮したものになってます。
- 金融機関の利益を圧迫していた長期金利のマイナスをゼロまで引き上げ安定させる。
- 民間金融機関に低利の固定金利で資金を貸し出す期間を従来の1年から10年に延長する。
ですから現時点の金融緩和政策が継続しているウチに短プラを上げる大義名分は銀行側には無いということになります。
2018年問題と2023年問題と借換によるリスクヘッジ
固定金利のところでも書きましたけど、この金融緩和政策は時限的です。日銀黒田総裁の任期満了は2018年ですね。安倍首相の任期満了も2018年ですが、2017年10月に解散総選挙となりました。
トップが変わることによる政策の転換は付き物です。
固定金利なら、それまでに借りておけば影響を受けませんけど、変動金利の場合はモロに影響を受けることになります。
- 吉と出るか
- 凶と出るか
このリスクを回避する方法として、シンプルな方法は、固定への借換ですね。借換費用は金利に換算するとだいたい0.2~0.3%程度です。詳しくは銀行などのHPで確認してみてください。
金融機関が自ら短プラを下げることは考えにくいですけど、上げることに関しては「大義名分」さえあれば喜んで上げて来ます。
いつ上げるか?
これに対する千日の現時点の答えはこちらです。
2023年からの5年間は、全ての銀行が横並びで金利を上げる意思の統一を取りやすいタイミングだと思います。
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まとめ〜住宅ローンの決断の肝
いかがでしたでしょうか。新たな金融緩和政策下での変動と固定のポイントでした。
しかし、
政策に関係なく自分だけが不運に遭うことだって十分にあり得ます。しかし、リスクを恐れすぎては何も出来ません。
- 決断に中途半端な保留をしない。
- どんなことがあっても諦めない。
決断に中途半端な保留は禁物です。特に変動金利と固定金利の選択はリスクを取るか取らないかであり完全な二者択一となります。中間はあり得ません。
- ちゃんとした保険に入っておく。
- 払えなくなった場合の数々の方策について準備しておく。
住宅の購入は多くの人にとって一世一代の最大の買い物、必要なのは冷静な判断と十分な自己資金です。
千日のブログを読んだ方が、妥協せず、後悔しない、正しい選択をされれば、それが何よりの喜びです。
- 2017年10月8日に現時点の経済情勢を踏まえてアップデートしました。
- 2017年10月28日に変動金利の動向について追記、リンクしました。
以上、千日のブログでした。
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30代600~1200 | 40代600~1200 | 50代1000以上 | ||
20代800以上 | 30代1200以上 | 40代1200以上 | ||
借り換え | 20代借換 | 30代借換 | 40代借換 | 50代借換 |
団信 | 20代団信 | 30代団信 | 40代団信 | 50代団信 |
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