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2020年の住宅ローンは変動か固定か?公認会計士として答えます

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2020年7月14日更新

住宅ローン『変動か固定か?』問題にズバリ答えます

どうも千日です。2020年は長期金利の上昇に伴って住宅ローンの固定金利が上がってきました。しかし反対に変動金利については、もともと低金利だったのがさらに下がる傾向になっています。

  • 変動金利とは銀行が6か月ごとに金利を見直し、必要に応じて変動させることが出来る金利タイプです。
  • 固定金利とは原則として借入期間に渡り金利を固定する金利タイプです。

これは誰もが聞かされる変動金利と固定金利の違いです。しかし、これは表面的な違いです。

なお、2020年に入ってから変動金利が下がっている点に関しては、会計士としてちょっと不穏な空気も感じています。

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今日はこの2020年の金融情勢と銀行の動向を前提として、どうやって変動か固定かを決めればいいのか?を現役公認会計士の視点から解説します。

住宅ローンの3要素を知るべし

住宅ローンの3要素とは以下の3つで、住宅ローンというプロジェクトの根幹です。

  1. いくら借りるか?=大きさ
  2. いつ借りるか?=金額の配分
  3. 変動か固定か?=リスクの配分

いくら借りるか?はプロジェクトの総額として自分がいくら払うかということです。欲しい家が決まれば、家の価格ー自己資金でもって自動的にいくら借りるかが決まります。

いつ借りるか?は、この『2020年』です。もう決まってますよね。安定収入のある間に住宅ローンを完済するために、生涯収入をどう配分するか?それは現時点の自分の年齢と収入から自ずと配分方法が決まります。

多くの人はまず家を探し、自分が欲しい家に対して住宅ローンを考えます。

つまり、多くの人にとって住宅ローンの3要素のうち2つは、既定の条件になっているのです。 言い換えると、住宅ローンの「リスクの総量」はこの時点でもう決まっています。

「リスクの総量」は危険度と言い換えてもいいです。

変動か固定か?は前の2つの要素で決まった危険をコントロールする方法を決めるということです。これから変動金利を選ぶか固定金利を選ぶかによって、生涯にわたる住宅ローンの危険の大きさは変わりません。トータルの危険度は同じですが、その傾向が違ってくるのです。

  • 自分の得意なリスク傾向に合わせて、変動か固定かを決める。
  • 変動か固定かで変わるリスク傾向を知り、その対策を立てる。

こういうことです。

リスクは回避するものじゃなく「知り」「対策する」もの

わたしが推奨する方法はリスク回避ではありません。リスクを回避できるなんて幻想です。多くの人が変動か固定かで悩む理由の一つがこの幻想にあるのではないか?と思っています。

あるリスクを回避しようとすれば、別のリスクが持ち上がるものです。

  • 変動金利を選べば、毎月の返済額を最も低く抑えることができますが、今後上がるリスクがあります。
  • 固定金利を選べば、金利が上がるリスクは無くなりますが、毎月の返済額が増えますので家計への負担が増え、老後資金を残せなくなるリスクが上がります。

あちらが立てばこちらが立たず。こういう関係をトレードオフ関係といいます。大事なのは2つです。

  • どういうリスクがあるかを知ること。
  • そしてリスクに適切な対策を取ること。

どういうリスクか?がクリアに分かればわかるほど、その対策も明確にムダがなくなります。

変動金利と固定金利の違い=金利変動リスクを債権者と債務者どっちが負う?

金融市場の金利は日々変動しています。つまるところ、変動金利と固定金利の根本的な違いは金利変動リスクを誰が負うかということです。

  • 変動金利:金利変動リスクを私たち=債務者が負う。
  • 固定金利:金利変動リスクを金融機関=債権者が負う。
金利変動リスクをどちらが負うのか?という切り口から考えると、住宅ローンには変動金利(自分が金利変動リスクを負う)と固定金利(金融機関が金利変動リスクを負う)かのどちらかしか無いと言えます。

変動金利は債権者が自分の都合でいつでも金利を上げることができるから安いのです。

変動金利の金利変動リスクとは?

しかし、金利変動リスクについてこのように考えているなら、それは誤解です。

金利が上がると毎月の返済が増えるので住宅ローンの支払いがキツくなる。

対象の変動金利に5年ルールと125%ルールの適用が有る無しによって全く異なるのですよ。

5年ルールと125%ルールの適用が有る場合

変動金利が上がったときにどうなるか?元利均等返済方式を例にして図にしました。

5年ルールと125%ルールの適用が有る場合に金利が上がる元利均等返済方式

5年ルールとは、金利が上がっても5年間は直前の元利均等返済額を維持するというルールです。返済を継続する資金繰りの面ではリスクが下がります。

しかし、毎月の元利均等返済額のうち、利息の占める部分が増えるため予定通りに元本が減りません。そのため、完済できないリスクは上がります。

125%ルールとは、返済額を増加させる場合に直前の125%までを上限とするルールです。返済を継続する資金繰りの面ではリスクが下がります。

しかし、125%に増やしたことで取り戻せない元本の返済額は底だまりに溜まっていきます。そのため、完済できないリスクは上がります。

つまり、金利の上昇によって増える支払(リスク)を後ろに配分する面があります。金利が上がっても毎月の返済が増えないので「痛み」が無いのです。

金利が上がっても、予定通りに完済できるようにするには、次のような行動をとる必要があります。

  • 繰上げ返済する=元本を大幅に減らして利息の負担を減らす。
  • 物件を売却する=元本をゼロにして利息の負担をゼロにする。

幾ら金利が上がったら、幾ら繰上げ返済しなければならないか?についてはこちらの記事で詳しく書いています。

しかし、静かに元本が溜まっていくので、こうしたドラスティックな対応を行うキッカケを逸してしまいがちなのです。毎月の返済が増えていないのに、こうした行動がとれるでしょうか?

多くの人はとれないでしょう。確実に収入の減るであろう定年時に多額のローン残高に苦しめられることになります。つまり金利が上がった場合に老後破産のリスクを高めてしまうのです。

5年ルールと125%ルールの適用が無い場合

5年ルールと125%ルールは、元利均等返済方式の一般的な変動金利で適用されることが多いですが、まれに適用の無い銀行(ソニー銀行、ジャパンネット銀行、新生銀行など)もあります。

また、元金均等返済方式にすると全ての金融機関で5年ルールと125%ルールの適用は無くなります。

では5年ルールと125%ルールの適用が無い場合に金利が上がるとどうなるか?元金均等返済方式を例にして図にしました。

5年ルールと125%ルールの適用が無い場合に金利が上がる元金均等返済方式

金利が上昇した分だけ利息の額が増えますので、毎月の返済額に余裕が無い場合はダイレクトに家計を圧迫し、資金繰り面でリスクが上がりますね。

しかし、元本の返済額は予定通りです。元本が底溜まることはありません。支払の増加に対応できさえすれば、完済予定日に完済できないリスクは下がります。

つまり、金利の上昇によって増える支払(リスク)を前に配分する面があります。金利が上がれば即時に毎月の返済が増えるので、危険信号をリアルタイムに感知できます。

  • 繰上げ返済する=元本を大幅に減らして利息の負担を減らす。
  • 物件を売却する=元本をゼロにして利息の負担をゼロにする。

このような、金利上昇時の対策をすぐに行うキッカケがあります。5年ルールと125%ルールが無いのは危険な面もありますが、現役のうちに適切な対応を行えば老後破産してしまうリスクを低く抑えることができるでしょう。

固定金利のコストとは?

金利変動リスクを自分が負うということは、適時にそのリスクに合った行動をとらなければ、老後破産のリスクを上げたり、返済の継続が難しくなったりするということです。

変動金利を選ぶ場合は、金利の変動リスクへの対応を全部自分で準備してやらなければならないので、その分だけコストが安いわけですね。

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当初固定金利は、当初期間の金利変動リスクは銀行に負ってもらうので、その分住宅ローンの金利は変動金利よりも高くなります。

全期間固定金利は、全期間にわたって金利変動リスクを銀行が負うので、さらに住宅ローンの金利は高くなります。

つまり、住宅ローンを借りるための純粋なコストは変動金利であって、当初固定金利や全期間固定金利が変動金利よりも高くなる部分は、金利変動リスクに対する保険の対価なのですよ。

固定金利のコスト=「金利変動リスクに対する保険」のコスト

わたしは住宅ローンの相談者に対して、次のように説明しています。

  • 変動金利:「金利変動リスク保険」を買わない。
  • 固定金利:「金利変動リスク保険」を買う。

もちろん「金利変動リスク保険」などという保険商品はありません。

しかし経済的な実態として、固定金利で借りるということは金利の変動リスクに対する保険に加入するということです。

変動金利よりも高い金利=多い支払額はその保険料です。

保険を買うかどうかを決めるには、リスクと保険料のコストを金額で把握し、天秤にかければ良いのです。

5年ルールと125%ルールの適用がある変動金利のリスクを見える化

前述のように、5年ルールと125%ルールの適用がある変動金利は金利が上昇したときの「痛み」が無いので、対応が遅れがちなのですが、それを見える化したのが下記の表です。

(単位:万円)

3000万借入から金利上昇したら繰上返済すべき金額
残期間 30年 25年 20年 15年
残高 2607 2199 1781 1352
0.5%→1.0% 182 129 85 49
0.5%→1.5% 347 249 165 96
0.5%→2.0% 497 359 239 140
0.5%→2.5% 633 460 309 183
0.5%→3.0% 757 554 375 223
0.5%→3.5% 870 641 436 261
0.5%→4.0% 973 721 494 298

この表の使い方を簡単に解説します。3000万円を変動金利0.5%均等返済方式35年で借りると、毎月の返済額は77,879円です。

5年後=残期間30年で、住宅ローン残高は2607万円になっています。

このときに例えば金利が0.5%→1.0%に上がったら、その時点で182万円を繰上げ返済します。

金利が上がっていても、元本が減っていますので、その後も変わらず毎月77,876円の返済額で35年で完済出来るということです。

金利変動リスクの大きさは借入額に比例します。例えば借りるのが6000万円になれば上表の金額を2倍すれば、6000万円で変動金利0.5%で35年借りる場合のリスクの表になります。

1000万円から5000万円までの借入額の表はこちらにまとめていますので、参考にしてください。

固定金利が向いている人、変動金利が向いている人

変動金利か固定金利で迷っている人は、自分が借りる住宅ローンの金額で金利の変動リスクの表を見てください。

これに対応できない、つまり繰上げ返済するだけの資金を持っていない、または返済を継続するだけの収入がないなら、変動金利には向いていないのです。

冒頭のyoutube動画でもしゃべっていますが、2020年に変動金利が下がっている背景には債権者である銀行の読みとして変動金利が上がるタイミングが近いからかもしれません。

変動金利は銀行の判断で金利を上げることができる金利タイプであることを忘れてはイケナイのです。

逆に、変動金利のリスク傾向がマッチするのは次のような人です。

  • 金利が上がっても繰上げ返済して元本を減らせる貯金のある人。
  • 金利が上がっても返済を継続できるよう余裕をもって借りている人。
  • 金利が上がって返済が困難になったら売るということも想定している人。

こういう人ならば、仮にあとから金利が上がったとしても、さほど後悔することはないでしょう。

まとめ~変動か固定か?リスクを知り対策できる方を選ぶ

住宅ローンの決断に中途半端な保留は禁物です。変動金利と固定金利の選択は究極的に金利変動リスクを負うか負わないかであり完全な二者択一となります。中間などあり得ません。

そして変動金利では、5年ルール125%ルールが有るか無いかで金利変動リスクを先送りするか前倒しするかという違いがあります。

コストとリスク 変動金利 固定金利
経済的コスト 保険料を払わない 保険料を払う
金利変動リスク

5年ルール125%ルールが有る➤リスクを先送り

5年ルール125%ルールが無い➤リスクを前倒し

リスクを負わない

また、変動と固定をミックスしてもリスクは回避できません。たまに「固定金利と変動金利をミックスしてリスクを回避する。」なんて書いている銀行のHPを見かけますが、それはとんでもない間違いです。

固定金利と変動金利をミックスすると、リスクもミックスされてしまい、リスクに対する対策もそれだけ複雑になってしまいます。

オススメはしません。ミックスすることでリスクは回避できません。リスクへの対策をかえって複雑にするだけです。

変動金利と固定金利のそれぞれのリスク配分を知り、自分が対策できる方を選ぶのです。千日太郎と出会われた方が、後悔しない、正しい選択をされれば、それが何よりの喜びです。

以上、千日のブログでした。

《あとがき》

今日は著者へ割り当てられた本の見本がとどきました。こうやって本屋さんに2冊並んでいるのをイメトレ。(おい)

千日太郎の本

良かったらお手にとってくださいね。

2020年1月25日

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