千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える

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マイホームの買い替えで売却益が出たら、住宅ローン控除と3000万円の特別控除どっちが得か?

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住居の売却益にも税金がかかるけど3000万円までは非課税にできる☜そのかわり住宅ローン控除は受けられない

どうも千日です。住宅ローン控除は12月31日の住宅ローン残高の1%が税金から最大10回還付(返金)される減税制度です。

なので、

是非利用したいところですよね。しかし意外と知られていないのですが、マイホームを売って売却益が出たら、3000万円の特別控除か住宅ローン控除かどっちか?の2択を迫られるのです。

どういうことか、説明しましょう。

住み替えのためにマイホームを売ることで、売却益が出たら、その売却益にも税金がかかります。自分で確定申告して税金を納めなければなりません。

でも、自宅として利用していた不動産を売却する場合、その売却益には3000万円を限度として税金を払わなくていいという特例があるんです。これが3000万円の特別控除というものです。

なので、たいていはこの3000万円の特別控除によって税金をはらわなくてよくなるんですよね。しかし、この3000万円の特別控除を使ってしまうと、代わりに新しく購入する家の住宅ローン控除は使えなくなってしまうのです。

下図のように、新しく家を購入した年とその前の2年と後の3年で合計6年間に旧のマイホームを売却して、その売却益に3000万円の特別控除を使うと住宅ローン控除が受けられなくなります。

譲渡益の特別控除を使うと住宅ローン控除が受けられなくなる期間

ちょっと、年度をズラす程度ではダメなんです。

なので、住み替えで売却益が出た人はもちろん嬉しいんですけど、

  • 売却益の税金を払う代わりに新しい家で住宅ローン控除を受けるか?
  • 売却益の税金を免除してもらう代わりに住宅ローン控除を受けられなくなるか?

この2択を迫られるんですよね。

そして、どっちが得になるかは、その人によってケースバイケースです。今回は、自分の場合はどっちが得になるのか?ざっくりと判断する方法をご紹介しましょう。

住宅ローン控除を受けるのか?受けないのか?によってお得な借り方、返し方は正反対

もちろん、納税のときにザックリ計算ではだめですよ。

でも、これから購入する家の住宅ローンをどうするか?を決める上で、まずは住宅ローン控除を受けるのか?受けないのか?ということを決めないとちゃんとした計画が立てられないんです。

住宅ローン控除を受けるか?受けないか?によって、お得になる借り方、返し方が全く正反対になるんですよ。

住宅ローン控除を受けるなら当初10年のローン残高は多い方が得

住宅ローン控除は年末の住宅ローン残高の1%を限度として税金からキャッシュバックされるので、住宅ローン控除を受ける場合ならば、当初の10年はローン残高が多い方が得なんですよね。

なので、純粋に損得だけで考えれば、以下のことが言えます。

  • 住宅ローン金利が1%以下なら、住宅ローン控除の10年間は繰り上げ返済しない方が得。
  • 住宅ローン金利が1%超なら、住宅ローン控除の10年間でも繰り上げ返済した方が得。

住宅ローン控除を受けないなら当初10年のローン残高は少ない方が得

これに対して、住宅ローン控除を受けないのであれば、ローン残高は少ない方が得なんですよ。借入残高が少ない方が払う利息は少なくすむのですからね。

つまり、純粋に損得だけで考えれば、以下のことが言えます。

  • 住宅ローン金利が何パーセントでも、積極的に繰上げ返済した方が得。

住宅ローンの方向性が全然違ってくるので、まず最初に決めなければならない

住宅ローンの要素は以下の3つです。

  1. 借入金額
  2. 返済期間
  3. 金利

この3つのうち、金利以外の2つの要素について、損得の判断が正反対になりますよね。

住宅ローン控除 受ける 受けない
借入金額 多い方が得 少い方が得
返済期間 長い方が得 短い方が得
金利 低い方が得 低い方が得

つまり、

住宅ローン控除を受けるのか?受けないのか?ということは、住宅ローンを検討するにあたって、一番最初の段階で決めないと始まらない、というのはこうした理由です。

 

マイホームの売却益(譲渡益)にかかる税額をザックリ試算する方法

では、マイホームの売却益を計算しましょう。税法上の用語では『譲渡益』と呼ばれていて以下の計算式で計算されます。

単純に、売却代金と購入代金を差し引くのではありません。

f:id:sennich:20180514193749p:plain

  • 譲渡価格ー(取得費+譲渡費用)=譲渡益

譲渡価額=売買契約書の不動産の価格です。

取得費=購入代金+改良費等-減価償却費です。

購入代金は、自分が家を購入したときの契約書の価格(税込み)に購入手数料、登記費用、不動産取得税などを足したものです。購入した後に支出した修繕費や、毎年払う固定資産税は含みません。

改良費等は、埋め立て費用、上下水道用の工事費用、設備費などです。

減価償却費はマイホームの仕様は経年劣化による価値の減少です。

譲渡費用は仲介手数料、立ち退き料の支払い、土地を売るときの測量費などです。主には仲介手数料ですね。以下の計算式で計算できます。

  • 仲介手数料=(売買価格×3%+6万円)+消費税

減価償却費以外の費用は家を購入したときの契約書などを出してくれば分かりますね。

ザックリ計算するのであれば、購入代金と改良費等と譲渡費用を合わせて購入代金の1.1倍とし、この後の減価償却費を差し引くことによって概算できます。

減価償却費の計算方法

マイホームを使用したり経年劣化することによる価値の減少を購入代金から差し引きます。以下の計算式で計算されます。

  • 減価償却費=建物の取得価額×0.9×償却率×経過年数

うっかり間違えやすいのですが、上記の太字にしたように建物の価格だけが対象です。土地は除いてくださいね。土地は使用によって価値が減ることはありませんし、経年劣化することも無いからです。

償却率は構造によって以下のようになっています。

  • 金属(骨格材の肉厚3ミリ以下):0.036
  • 金属(骨格材の肉厚3ミリ超4ミリ以下):0.025
  • 木造モルタル:0.034
  • 木造:0.031
  • (鉄筋)鉄骨コンクリート:0.015

4000万円で買った新築マンションを10年後に売却したら?

例えば4000万円の新築マンションを10年後に売却したとして、計算してみましょう。4000万円の購入価格で建物価格と土地の価格は半分ずつとします。

そしてトータルで1割くらいの費用が掛かったとしましょう。

5000万円で売却したら売却益はどのくらいになるでしょうか。

5000万円-(4000万×1.1-2000万×0.9×0.015×10)=870万円

となりますね。ざっくりですが、概ねの金額を知るにはこれで十分です。

譲渡益から税額を計算する

上記の計算で出てきた譲渡益から特別控除額を引いてそれに税率を掛けることで税額が計算できます。

以下のような計算です。

f:id:sennich:20180514203928p:plain

  • 税額=(譲渡益-マイホーム特別控除額の上限3000万円)×(税率:長期20%短期39%)

税金はマイナスにはなりませんので、譲渡益が3000万円までは、税金はゼロになるのです。

さっきの例ならば譲渡益は870万円、長期保有なので税率は20%ですね。

3000万円の特別控除を使うならば、税金はゼロになります。そのかわり住宅ローン控除は受けられません。

3000万円の特別控除を使わずに住宅ローン控除を受けるなら、870万円×20%=174万円の税額となります。

5年以下の短期保有で譲渡益が3000万円だった場合

例えば5年以下の短期保有で譲渡益が3000万円であった場合は、本来ならば3000万円に39%ですから1170万円の税金が課されるところ、3000万円の特別控除を使うことで税金をゼロ円にすることが出来るんです。

大きいです!住宅ローン控除の金額は10年で最大でも500万円ですから、住宅ローン控除よりもマイホームの特別控除を選ぶべきでしょう。

5年超の長期保有で譲渡益が300万円だった場合

少ない場合もありますよ。5年超の長期保有で譲渡益が300万円であった場合は、本来ならば300万円に20%ですから60万円の税金です。特別控除が3000万円あったとしても譲渡益が上限ですから、これを利用して60万円の税金がゼロ円になるだけということです。

ケタが2つも違いますよね。一般的な借入での住宅ローン控除は200万~300万位ありますので、この場合でしたら住宅ローン控除を選ぶべきでしょう。

 

住宅ローンの金額から住宅ローン控除をザックリ試算する方法 

売却益がとても大きい場合や、逆に売却益が少ない場合であれば、上記の方法で譲渡益にかかる税額を試算すればすぐに判断できますね。しかし、ちょっと微妙なケースもあると思います。

例えば、譲渡益にかかる税額が200万位だった場合は、どっちが得なのか?住宅ローン控除の方も試算してみないと分からないですよね。

なので、借入額からザックリと10年間の住宅ローン控除の金額を計算する早見表を作りました。

前提条件は、借入期間35年、元利均等返済、ボーナス払いなしです。金利は0.5%(変動金利)、1.0%(20年固定)、1.38%(フラット35)の典型的な金利水準で3パターンです。

 

消費税がかからない取引(中古住宅など)の場合

購入するのが中古住宅などで、売主が個人である場合は消費税がかかりません。その場合は住宅ローン控除の上限が20万円となります。なので幾ら借り入れが多くても1年の上限が20万円なので10年間で最大でも200万円が上限となりますね。

(単位:万円)

借入

/金利

2,000 3,000 4,000 5,000
0.50% 170 200 200 200
1% 172 200 200 200
1.38% 174 200 200 200

ですから幾ら借りたところで、上限は200万円となります。

なので、譲渡益の税額が200万円を超える場合は、マイホームの譲渡益の特別控除を選択した方がオトクということです。

 

消費税がかかる取引(新築や注文住宅)で一般住宅の場合

新築マンションや注文住宅などで、売主が法人の場合は建物の値段に消費税がかかります。そして対象が一般の住宅の場合は住宅ローン控除の上限は40万円です。以下のようになります。

(単位:万円)

借入

/金利

2,000 3,000 4,000 5,000
0.50% 170 256 341 393
1% 172 259 345 396
1.38% 174 261 348 398

概ね借入額に0.085を乗じた金額に近似していますね。この表に無い借入額であれば、借り入れ額に0.085をかければ、だいたいの金額が計算できます。

金利による差はとても小さいですよね。

なので、借りる金利について、住宅ローン控除がどれだけ変わるか?というのは、ほぼ無視して良いと思います。

ただ、借り入れが4000万円を超えたところからは、その1%が上限の40万円を超えるので、400万円が頭打ちになるということを覚えておけば良いと思います。

 

消費税がかかる取引(新築や注文住宅)で認定長期優良住宅や低炭素住宅の場合

購入する家が認定長期優良住宅又は低炭素住宅である場合は、一年の上限は50万円となります。

(単位:万円)

借入

/金利

2,000 3,000 4,000 5,000
0.50% 170 256 341 426
1% 172 259 345 432
1.38% 174 261 348 435

概ね借入額に0.085を乗じた額に近似しています。1年の上限が50万円ですので10年の上限は500万円となります。

 

まとめ~節税方法を誤ると何百万ものお金を損してしまう

今回は、ちょっとややこしい話でしたが、見てのとおり節税対策を誤ると何百万円という単位でお金を損してしまいます。

ややこしいな…よくわからないからテキトーでいいか。

と判断してしまうと、意外な部分で損をしてしまいます。

今になって損していたことに気づいた!

後の祭りだ…

いえいえ、修正申告というものがあります。つまり過去の確定申告はやり直しができるのですよ。

最終的にリスクを負うのは自分ですから、決断する際には出処のしっかりした情報源から判断し、判断に迷った場合は税務署に直接問い合わせる事をお勧めします。

税務署では匿名での電話相談税についての相談窓口|国税庁も受け付けていますよ。 もちろん無料です。これは利用しない手はありません。

私のブログがあなたのベストな答えの助けになれば、うれしいです。

以上、千日のブログでした。

《あとがき》

家を建てる、購入するというのは、個人としては人生でもっとも大きなお金を動かすことであり、個人レベルで目に見えて社会経済に貢献することでもあるのです。

まり国の税収の増加につながります。ですから国は、私たちが家を購入しやすくするために減税制度や補助金制度でその後押しをしているのです。

マイホームを買うことで出ていくお金のことばかりでなく、減税制度や補助金制度を知り、最大限に利用することで何百万円もの違いが出てきます。

知っているか知らないかだけで大きな違いが出てくるポイントです。

 

本書では、減税制度と補助金制度を最大限に利用する方法だけでなく、受けられる条件のポイントについても網羅しています。全国の大型書店と通販で発売中です。

ブログでは、さまざまなエントリーに分散してしまいがちな情報を分かりやすく整理し、よりすぐりのノウハウと考え方をまとめた本です。

是非ぜひ、お手にとって頂ければ嬉しいです!

2018年5月14日

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