千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える

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住宅ローンは住宅ローン減税の上限より少し超えて借りた方が実はトクなのか⁉プロの視点から解説

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住宅ローン控除の上限からスタートするvsちょっと多めからスタートする どっちが経済的に合理的なのか?

どうも千日です。住宅ローン控除とは年末の住宅ローン残高の1%を所得税等から還付(返金される)減税制度で、最大10回すなわち10年の税金が安くなります。

なので、この住宅ローン控除の恩恵をフルに受けるために…

  1. 当初の借入は多い方がトク!
  2. ローン残高がゆっくり減るように借入年数は長い方がトク!
  3. 前半の期間にローン残高の減りが遅い元利均等返済がトク!
  4. ローン残高を減らすと損だから繰上げ返済はしない方がトク!

という4つのセオリーがあります。

ただし、この住宅ローン控除には2種類の上限があります。

  1. 建物の種類によって、年間20万(中古住宅など消費税非課税のとき)又は40万(一般住宅のとき)又は50万(長期優良住宅等)の上限があります。
  2. 所得税等を納めた金額以上には返ってきませんので、その人の所得によっても上限があります。

住宅ローン控除の条件について詳しく知りたい方はこちらをどうぞ☟

そこで、こんな疑問が生まれてくるんですよね。

住宅ローンの残高は毎年減ってく。ずっと住宅ローン控除の上限の金額の控除を受けられるように、スタートの残高は少し上限を超えて借りた方がトクなのか?

という疑問です。今日は住宅ローン控除について千日の住宅ローン無料相談ドットコムにご相談いただいた方の事例を使ってそれを解説してみようと思います。

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相談:あえて住宅ローン控除の上限を超えて借入れることに経済的な合理性はある?

家族の年齢と年収 夫42歳、年収1,100万円 妻43歳、専業主婦 子、6歳
物件価格 8,900万円。
物件のタイプ 新築戸建、長期優良住宅。
借入予定額 5000万円から5500万円
住宅ローン 住信SBIネット銀行の変動と20年固定を半分づつミックスします。
住宅ローン控除が終了する10年後に変動金利の方を全額繰上げ返済します。20年固定は18年後の定年時に全額繰上げ返済します。
相談内容 住宅ローン控除は年末のローン残高の1%で最大50万円までですが、年末のローン残高は毎年の元本返済に伴い減っていきます。仮に1年目の年末残高が5000万円であればローン控除は50万円、最終年の10年目に例えば4000万円まで残高が減っていればローン控除は40万円になります。
これを、10年目に45万円のローン控除を取れるように、1年目の年末残高を大きくする、つまりあえて5500万円借りることは、経済的に意味のあることでしょうか?

住宅ローン控除は借りれば借りるほどトクってわけでもない⁉所得によるリミッター | 千日の住宅ローン無料相談ドットコムからの事例です。

上記の記事では、住宅ローン控除の上限から住宅ローンをスタートするようにすれば、少なくとも借り過ぎにはならないと回答しています(ただし30代までなら)。

では、さらに収入面で余裕のある人は、もっと住宅ローン控除を多く受けるためにあえて住宅ローン控除の上限を超えて借りる方が良いんでしょうか?

回答:経済的な合理性は人によって違うのでその人のタイプによってベスト選択は違う

これについては、必ずしも年収や年齢、自己資金によって一つの答えが出るものでは無いです。

プロの視点から考えると経済的合理性には以下の3つの判断基準があります。

  1. 購入にかかる収支の面で有利か不利かを判断するのか?
  2. 購入後に手許に残った資金の投資効率も含めて判断するのか?
  3. 購入後の財務流動性(=不測の支出に耐えられるか)を優先するのか?

その3つのうち、どれに軸足を置いて考えるかによって、それぞれベストな答えが違ってくるのです。

収支の面でどっちが有利か?

ではまず、このマイホームを購入する収支面だけにフォーカスして以下の2つを比較してみましょう。

  • ①5000万を借り入れ500万は頭金とする(変動と20年固定のミックスローン)。
  • ②5500万を借り入れる(変動と20年固定のミックスローン)。

共通の前提条件は以下のとおりとします。

  • 35年元利均等返済でボーナス払いなし。
  • 10年後に変動金利を全額繰上げ返済し、18年後(定年60歳)に20年固定を全額繰上げ返済する。
  • 住信SBIネット銀行:変動金利0.447%、20年固定金利1.35%
これを3つの切り口からそれぞれ比較します。これは千日の住宅ローン無料相談ドットコムでもお馴染みですね。
  1. 資金繰り面の比較シミュレーション
  2. 借入費用の比較シミュレーション
  3. 総支払額の比較シミュレーション

1.資金繰り面の比較シミュレーション

(単位:円)

住信SBI 変動+20年固定 ①5000万 ②5500万 差異
頭金 5,000,000 0 5,000,000
毎月返済 139,034 152,937 -13,903
11年目~ 74,722 82,194 -7,472
10年後繰上げ返済 18,251,550 20,076,740 -1,825,190
60歳残高 13,613,865 14,975,322 -1,361,457
住宅ローン控除 4,308,900 4,671,000 -362,100

①は最初に頭金として500万を多めに入れる必要があります。②はその500万は温存できます。

その代わり②の毎月の返済額、10年後の繰上げ返済額、60歳残高は①の1.1倍になっていることが分かりますね。

これに対して、収入面の住宅ローン控除はというと1.08倍です。

前半で住宅ローン控除の上限を超えて頭打ちになっているからですね。 つまり、支出は1.1倍に増えたのに対して、収入は1.08倍と少ないのです。

2.借入費用の比較シミュレーション

(単位:円)

住信SBI 変動+20年固定 ①5000万 ②5500万 差異
印紙 40,000 40,000 0
登録免許税 50,000 55,000 -5,000
事務手数料 1,080,000 1,188,000 -108,000
司法書士報酬 100,000 100,000 0
合計 1,270,000 1,383,000 -113,000

登録免許税と事務手数料は借入額に比例しますので、概ね借入額の増加に伴って借入費用も増えている感じですね。

費用面の増加は1.09倍ほどです。

3.総支払額の比較シミュレーション

総支払額が結論となります。

(単位:円)

住信SBI 変動+20年固定 ①5000万 ②5500万 差異
頭金 5,000,000 0 5,000,000
借入費用 1,270,000 1,383,000 -113,000
60歳まで返済額 42,108,942 46,319,804 -4,210,862
60歳残高 13,613,865 14,975,322 -1,361,457
住宅ローン控除 -4,308,900 -4,671,000 362,100
合計 57,683,907 58,007,126 -323,219

②の5500万円の方が総支払額で32万3千円支払いが多くなりました。

借入が多い方が、住宅ローン控除の収入は36万多くなるのですが、それ以上に完済までの18年間の利息と元本の支払い総額が多くなったためです。

つまり収支面では、住宅ローン減税の上限までにとどめておいた方が有利になることが多いという結果になりました。

もしも、②のケースで10年後に500万円を繰上げ返済すれば?また結果は変わってくるかもしれませんね。

これ以上やると、マニアック過ぎるのでここで止めておきます笑。

資金の投資効率も含めて判断するとどっちが有利か?

自営業やサラリーマンをしながら不動産投資をしているような人であれば、こんな風に考える人も居ると思います。

1%を下回る金利で借りられるんだから沢山借りる方がトクだよね!

これも合理的なんですよ。500万の資金調達費用としては格安だという考え方です。

こういう考え方をしていいのはこの500万円でもって純利益をだせる人です。

500万を元手に儲けられる人なら、事業資金として借りるよりも、住宅ローンの金利で借りた方がトクです。

つまり、運転資金として手許においておき、あえて借りるということですね。

不測のアクシデントへの対応力(財務流動性)ではどっちが有利か?

上記は一般的なサラリーマンの考え方ではありませんが、

何があるかわからないから、貯金をある程度残しておく方が安全だ!

という合理性もあります。これについては、千日も前に記事にしたことがありました。

例えば今回のように半分を変動金利で借りる場合、現金として持っていれば、もし金利が上がったりすれば繰上げ返済すればいいだけですからね。リスクを抑えられます。

この場合、現金を温存する代わりに払う利息は保険料のような位置づけと考えましょう。

 

まとめ~教科書的な正解はない!自分にとっての正解を探す

1.の収支での判断というのは算数的な正解の出し方です。明確な答えがでますけど、じゃあそれが正解なのか?というと必ずしもそうじゃないということがお分かり頂けたとすれば、この記事を書いたかいがあったというものです。

その時々の経済情勢によっても変わりますが、それ以上に自分の生き方や考え方によって決まる部分が大きいのではないでしょうか。

数字上の損得だけではなく、どのケースが自分にとってしっくりくるか?というところで考えられたら良いと思いますよ。

以上、千日のブログでした。

《あとがき》

家を建てる、購入するというのは、個人としては人生でもっとも大きなお金を動かすことであり、個人レベルで目に見えて社会経済に貢献することでもあるのです。

まり国の税収の増加につながります。ですから国は、私たちが家を購入しやすくするために減税制度や補助金制度でその後押しをしているのです。

マイホームを買うことで出ていくお金のことばかりでなく、減税制度や補助金制度を知り、最大限に利用することで何百万円もの違いが出てきます。

知っているか知らないかだけで大きな違いが出てくるポイントです。

 

本書では、減税制度と補助金制度を最大限に利用する方法だけでなく、受けられる条件のポイントについても網羅しています。全国の大型書店と通販で発売中です。

是非ぜひ、お手にとって頂ければ嬉しいです!

2018年10月13日

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新規借入 20代800未満 30代600未満 40代600未満 50代1000未満
30代600~1200 40代600~1200 50代1000以上
20代800以上 30代1200以上 40代1200以上
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