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コロナショックで「住宅ローン控除の3年延長」の要件が緩和される!トクする借り方返し方とは?

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最終更新2020年10月15日

どうも千日です。現行法の住宅ローン減税(税額控除)を受けられる期間は、2020年12月までの居住開始に限り、以下のように3年延長されています。

  • 住宅ローン減税を今の10年から3年延長する。
  • 延長する3年間は、建物価格の2%の3等分と借入残高の1%のどちらか少ない方の金額。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動が停止し、予定どおりに引き渡しを受けられない人も出てくるでしょう。東京オリンピックも2021年に延期されることが決まりました。

そのため3年延長した住宅ローン控除を受けられる2020年12月までの居住開始にイエローシグナルが点灯している人が多いです。

2021年にずれ込んでしまうと、3年の延長はなくなり従来の10年となってしまいます。

そこで新型コロナウイルス感染症等の影響により、控除の対象となる住宅の取得等をした後、その住宅への入居が入居の期限(2020年12月31日)までにできなかった場合でも、次の要件を満たすときには、その特例の適用を受けることができます(新型コロナ税特法6条、新型コロナ税特令4条)。

  • 一定の期日(注)までに、住宅の取得等に係る契約を締結していること
  • 2021年12月31日までに住宅に入居していること

(注)

・注文住宅を新築する場合:2020年9月末

・分譲住宅・既存住宅を取得する場合、増改築等をする場合:2020年11 月末 

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今日はある程度の要件緩和を前提として、どういう人が恩恵を得られるか?とその減税を有効活用する方法について、公認会計士の視点から解説します。

もとから2021年に完成引き渡し予定だった人も恩恵を受けられる

要件を緩和する趣旨としては、2020年12月に居住予定だったのに、新型コロナウイルスのせいで引き渡しが遅れてしまった人を救済するのが目的です。

しかし、もとから2020年12月の予定だったのか?それとも2021年の予定だったのか?これを区別するのは難しいですよね。新築マンションであれば、あらかじめ完成予定が公開されていますが、注文住宅の場合はそういうことはありません。

ということは、購入する物件によって、恩恵を受けられる人と受けられない人が出てくるということになります。

なので、趣旨としては「コロナのせいで遅れた人を救済する」というものであっても、法律上の対応としてはシンプルに「居住開始日の要件を延長する」というものになる可能性が高いでしょう。

それによって、確実に冷え込んでいる景気を少しは刺激することができるというメリットもありますからね。

3年延長となる住宅ローン控除でトクする返し方は?

この3年延長という措置はイレギュラーなものです。そのため、従来の一般的な減税方法が絶対に最適とは限らない部分があります。

また、住宅ローンの金額は多額でその期間は長期にわたります。短期的な損得勘定だけで判断すると思わぬ落とし穴にはまることがあります。

11年目~13年目も繰り上げ返済しない方がいいのか?

3年延長される住宅ローン控除は、税抜き建物価格の2%の3等分と借入残高の1%のどちらか少ない方の金額となっています。

住宅ローン控除を3年延長する減税の上限額は、おおむね建物価格の2%となるように調整されています。これは、8%から10%への消費増税による消費者の負担増が、主に建物価格にかかる消費税だからです(土地は非課税)。

そこで気になるのが、11年目~13年目は繰り上げ返済した方がいいのか?それとも、同じように繰り上げ返済しない方がトクなのか?ということです。

もちろん具体的な物件の価格と借入額でシミュレーションすれば、10年後~13年後のローン残高から計算して分かるのですが、そこまでしなくても、ある程度の目安を知っておき、返済計画を立てておきたいところです。

大半のケースで建物価格×2%÷3が住宅ローン減税の上限となる

仮に土地を所有していたとして、1000万円の注文住宅を建てたケースで考えるとわかりやすいです。

住宅ローン残高は、順調に返済していけば、10年後には現在の3分の2程度になります。1000万円借りたとすれば666万円、この1%を3年分で約20万円です。

一方で、建物の取得価格は1000万円ですから、建物価格の基準で考えると11-13年目の住宅ローン減税は3年で1000万円×2÷3×3年=20万円です。

つまり、土地持ちの人が建物の建築代金だけを住宅ローンで借りるケースではほぼ同額となります。

そのため、新築マンションや建売戸建住宅なら半分程度が建物代となるでしょう。つまり、大半のケースでは、延長される3年は「建物価格の2%÷3」で住宅ローン減税額が決まるのです。

結論として、一般的な新築物件を購入する場合を前提とすると、11年目以降は建物価格の基準の方で住宅ローン控除が決まることが多いので、11年目からはローン残高が建物価格×2÷3を下回らない範囲で繰り上げ返済した方がおトクということになりますね。

借りすぎても損!住宅ローン控除の二つの上限を知る

3年延長されると聞くと次のように思う人もいるでしょう。

3年延長されるなら、その分たくさん借りた方がトクなんだろうか?

しかし、1年で受けられる住宅ローン控除の金額には上限が設けられているので、自己資金を温存して借入を増やし過ぎてもかえって損をするようになっています。

この上限を正しく理解して、おトクに無駄なく減税の恩恵を得られる住宅ローンの借入額を把握してください。

建物の種類による住宅ローン控除の上限

2021年12月31日までに居住の用に供した場合の住宅ローン控除の上限は次のように定められています。この限度額を1%で割り戻すと住宅ローンの残高となります。例えば50万円ならば住宅ローンの残高は5000万円です。

【建物の種類による住宅ローン控除の上限】

 

売主が課税法人で10%の消費税

売主が個人等で消費税が非課税(中古住宅など)

一般の住宅

40万円

20万円

認定長期優良又は低炭素住宅

50万円

30万円

借りる人の年収による住宅ローン控除の上限

住宅ローン控除のもう一つの上限は所得税+翌年度の住民税(上限は前年の課税所得の7%と13万6,500円のいずれか低い方)です。

自分に課せられる税金の額を超えて還付されることは無いのです。この上限があることを理解していないと、借り過ぎて、利息の負担と借入のリスクだけ大きくすることになってしまいます。あくまで目安ですが、年収ごとの住宅ローン控除の上限の目安を一覧にした表です。

【年収ごとの住宅ローン控除の上限の目安】

(単位:万円)

年収

所得税からの控除の上限

住民税からの控除の上限

住宅ローン控除の上限

住宅ローン金額

200

2.80

4.08

6.88

688

300

5.53

8.10

13.63

1,363

400

8.64

9.96

18.60

1,860

500

13.94

13.65

27.59

2,759

600

20.36

13.65

34.01

3,401

700

31.91

13.65

45.56

4,556

800

47.54

13.65

50

5,000

900

62.76

13.65

50

5,000

1,000

79.93

13.65

50

5,000

(注)この表では、認定長期優良又は低炭素住宅で消費税10%を前提として、年50万を上限としています。

たまに、所得税の還付額だけを見て「住宅ローン減税はこの表よりも少なかった」という人がいます。足らない部分は翌年の住民税から減額されるのですが、それに気づいていないからです。

  • 所得税:年末調整で還付される=お金が入金される。
  • 住民税:翌年の住民税が減額になる=天引きされるお金が減る。

例えば、年収600万円の人の年末住宅ローン残高が3400万円だった場合、住宅ローン控除は34万円です。しかし天引きされた所得税が20.36万円ならば返ってくるのは20.36万円までです。足らずの部分は翌年の住民税が13.64万円減額されるということなのですよ。

そのため、住宅ローン控除のキャッシュバックを貯金しておいて10年後(または13年後)に繰り上げ返済に使おうという計画を立てると、予定した金額を貯められないおそれがあります。

貯金は住宅ローン控除からではなく、ボーナスから定額貯めるという方が確実です。

住宅ローン控除の上限を超えて借りても意味なし!

この表はあくまで目安ではありますが、年収が600万円であった場合は、5,000万円の住宅ローンを借りても、50万円の還付は受けられないのですね。払っている税額で頭打ちになるのです。しかし、考えてみれば年収600万(手取り月収約25万円)で5,000万円の住宅ローンはちょっと危険なのですよ。

わたしが著書住宅ローンで「絶対に損したくない人」が読む本で紹介している「無理なく返済できる住宅ローンの4つのルール」に沿って、確認してみましょう。

  1. 毎月の返済額は「手取り月収の4割以下でボーナス払いなし」
  2. 毎月の返済が均等になる「元利均等返済方式」
  3. シミュレーションの金利は「固定金利」
  4. 定年時のローン残高は「1,000万円以下」

(単位:円)

手取り月収25万円

借入5,000万円

30歳からスタート

40歳からスタート

毎月返済額

145,851

145,851

60歳残高

8,489,438

24,014,973

65歳残高

0

16,484,905

(注)固定金利は1.2%としました。

まず手取り月収の4割は10万円ですが、これをかなりオーバーしています。定年時の残高では30歳からスタートする場合はレンジ内ですが、40歳からのスタートでは1000万円をかなりオーバーしています。

この基準をオーバーしていたら絶対に借りてはダメということではありません。超えた部分にリスクがあり、そのリスクへの対策が必要ということです。例えば毎月返済額のリスクに対しては、家計を見直して4万5千円の節約を行う必要があります。それなりの我慢を伴うでしょう。また、定年時残高のリスクに対しては、より計画的に繰り上げ返済資金の貯蓄を行っていくことが、その対策となります。

年収の5倍から6倍くらいが妥当な借入額であると言われることがありますが、年収600万円の人であれば、この住宅ローン控除の上限を目安にすれば、概ね妥当な借入額に落ち着きそうですね。

住民税は前年所得を基に計算されるので退職直後の繰り上げ返済は待った!

住宅ローン控除の期間がまだ残っている間に定年でリタイヤしたり、自己都合で退職したりする際、その後の支払いをラクにするために多額の繰り上げ返済を計画する人が多いと思います。

その時に注意が必要なのが住民税です。住民税は前年の所得を基に計算されて翌年に課税されるので、退職した次の年の住民税は収入が減っている(又は無収入)にもかかわらず、前年の収入を前提とした金額となります。これが思いのほか重い負担になるのです。

しかし、退職した年の年末に住宅ローン残高が多くあれば、その翌年の住民税からも減額されるので、いくらか住民税の負担が軽くなります。

それを知らずに、退職の直後に退職金などで多額の繰り上げ返済をしてしまうと、住宅ローン控除が減ってしまい、本来受けられたはずの住民税の減税の恩恵を受けられなくなってしまいます。退職後の繰り上げ返済はちょっとガマンして退職した年が明けてからにしておきましょう。 

単なる損得勘定だけで判断すると危険です

住宅ローン控除によって、住宅ローンの年末残高の1%がその年の所得税等から最大10回(又は13回)還付されます。そのため、住宅ローンの残高は多くしておいた方が良いと言われています。

例えば年末のローン残高が1000万円ならば住宅ローン控除による還付は1%の10万円です。一方で住宅ローンの金利が0.5%なら、その年に払う利息は5万円前後ですから払う利息よりも税金の控除額の方が大きくなるため、逆に儲かるのです。

これに対して、住宅ローンの金利が1.5%ならば、その年に払う利息は15万円前後となります。払う利息の方が大きくなりますので、住宅ローンの残高は少ない方がおトクです。

ならば、すぐにでも繰り上げ返済すべきか?というとそうとは限らないんですよね。家を購入した直後は最も手許のお金が減るタイミングです。

不測のアクシデントで現金が必要となったときに、繰り上げ返済したお金は返ってきません。まずは、家を買う前にあった貯金額に回復するまでは、貯蓄に励むことをおススメします。

以上、千日のブログでした。

《補足》中古(既存)住宅の取得は13年になるか?

中古(既存)住宅については売り手が個人などで、消費税の納税義務者でない場合、13年にはならず、10年です。住宅ローン控除を13年に延長する措置が消費増税対策だからですね。

しかし、まれに中古(既存)住宅でも売り手が不動産会社などで消費税の納税義務者である場合があります。その場合は10%の消費税がかかることになりますので、前述した契約時期、引き渡し時期の条件を満たせば住宅ローン控除は13年に延長されます。

2020年10月15日

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