トランプへの拒否反応と期待
《速報》
どうも千日です。今日は少し前置きが長くなります。
アメリカの次期大統領に選ばれたトランプ氏に抗議するデモが発生し、ニューヨークでは市民が「私の大統領ではない」などと書かれたプラカードを掲げて市内を行進し、反発を強めているそうですね。
誰がアメリカの大統領になるかは世界全体に影響することだが、人種や性差別の発言を繰り返しながら大統領の座についた人間には抗議しなければならない。
これが抗議している人達の言い分ですが、一方でトランプの経済政策に対する期待から株価と長期金利は上昇しています。
ホワイトハウスと連邦議会の両方をトランプ氏の共和党が制したことから、来年にはトランプ大統領が掲げる大型公共投資と減税が議会で可決されやすくなったのが米景気の上昇要因だからと専門家は分析してます。
市場はトランプ氏を歓迎しているんです。もちろん市場ってのは人間すなわちアメリカ国民の集まりでもあります。
デモで抗議しながら、トランプに期待して投資するアメリカ人。
専門家は『アメリカ国民が自由、倫理、文化、価値をめぐり分断されている』と、あたかも抗議する人と歓迎する人は別人?かのように言ってます。
しかし、千日の考えは少し違います。
抗議してるアメリカ人と支持してるアメリカ人は、ほぼ同一人物です多分。
では、始めます。
アメリカを『トランプ商事』にせよ
これがトランプ氏が選挙で発したメッセージです。
この国にはもはや『きれいごと』だけで世界をリードする力は無い、利己的にならなければやがて滅びる。
生き残る方法はトランプをCEO(最高経営責任者)とする営利企業に舵を切ることであり、いわば"United States of Trump”にすることだ。
このようなメッセージが、当然反発を受けたのは周知の通りです。
ありえねー
ですよね。しかし、人種、性別にかかわらず、将来に不安をかかえた良識あるアメリカ人には響いたんですよ。
そして、最後まで悩んだでしょう。
- もし利己的になるならトランプだ。
- トランプはアメリカにとって良くないかもしれない。国を分断するし外交的にも。アメリカのことを考えればクリントンだ。
- ただ、将来がとても不安で、仕事も必要なのも確か…
そして、トランプ大統領が誕生しました。
トランプを頭で支持しない人が行動として投票した結果ではないかと千日は思います。
そんなバカな?
トランプ氏のこのメッセージが、道徳的にどうかは別として、彼らの「感覚」に訴える「何か」があったんです。
その「何か」ついて、紅の豚のポルコの名セリフになぞらえて記事にしたエントリーがこちらです。
つまり、トランプ氏の言葉は常識的に受け入れ難い一方、この移行期の混乱の中でどうすれば良いか?誰も答えられない問いに対して、唯一正面から答えていたのかもしれません。
ただ、それでもやはり受け入れ難いということです。多分正解では無いのでしょう。
裏切られる運命にある隠れトランプ派
このように考えれば、
トランプ氏への抗議デモが全米各地で広がっていること。
一旦下がった株価がV字回復し、米長期金利が上昇し続けていること。
どちらも、アメリカの多数派の立場なのだということが分かります。抗議デモに参加している人の多くは、トランプ氏に投票した人達です。
また、トランプ氏が掲げている法人税、所得税の減税、インフラ投資などの大規模な財政出動は米国内企業の利益を増やしますので、少なくとも株式市場にとっては良い政策です。
いわば『トランプ商事の上場』を株式市場が歓迎するのは当然のことです。
しかし、これには副作用があります。
インフレと長期金利の上昇
トランプの財政政策(トランプノミクス)による景気刺激と急成長、さらに保護貿易主義に走ればインフレになりやすくなり、金融引き締め(短期金利の利上げ)を招くでしょう。
そして、今も上昇を続けている長期金利の上昇は止まりません。これは米国債に投資する投資家が大きな損失を被ることを意味します。
ドル高による貿易赤字
急激に金融が引き締められ、長期金利が上昇し、アメリカ経済が予想以上に速く成長すると、ドル高となります。
ドル高ということは、米国内で生産した製品を輸出する時のコストが高くなり、輸出で赤字になってしまうということです。トランプ氏を支持した製造業のブルーカラーの人達にとっては、むしろ厳しい環境になっていくんです。
長期金利の上昇が日本に波及するとどうなる?
さて、そろそろ日本の話をしましょう。アメリカの長期金利の上昇は、債券市場から株式市場に投資家のお金が急激に移ったことによるものです。
金融に国境はありません。今まで日本国債に投資していた海外の投資家も日本の投資家も国債を売って株式の購入に走ったんです。
それによって、
- 国債の価格が下がり国債の利回り(長期金利)が上がる。
- 株価が上がる。
という現象が起きていますね。見た目はアメリカと同じような動きですが、全然違うところがあります。
日本国内経済は相変わらず低成長で、収益が上がる見込みが無い。
つまり、投機的なマネーゲームに参加している人達の間で貨幣が移動しただけのことなんですよ。
むしろ、不安しかありませんよね。
日本政府と日銀の思惑を読む
安部首相としては日米安全保障条約の現状維持というのが、まず喫緊の問題でしょう。いままでアメリカが警察役を買って出てくれていたのが、急に商人になろうとしているんですから。
日銀としては、やはり長期金利です。新たに打ち出した金融緩和政策では長期金利を0%程度で推移させることを目標にしています。
この米国の長期金利上昇に引きずられて長期金利が上がるというのは、阻止したいですね。
東京オリンピックを控えて原材料が高騰し、地価も上がっている中で、唯一住宅ローンの金利が低くて住宅関係は好調を維持していたんです。
それも、ストップしてしまいます。
以下は住宅を購入する人に向けて政府が用意している各種の優遇制度です。
- 住宅ストック循環支援事業補助金
- 住宅ローン控除の条件全てをわかりやすく説明 新築・中古・増改築【2018年度】 - 千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える
- 住宅ローン減税を利用し尽せ!確定利回りの貯蓄と同じになる(シミュレーション例) - 千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える
- 住宅に係る登録免許税の軽減措置 : 財務省
- No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例|譲渡所得|国税庁
- フラット35「リノベ」金利0.6%引下げで中古住宅のリノベーション費用を安くできる条件 - 千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える
- 消費税の増税延期で住宅ローン控除と贈与税の非課税が延長されました - 千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える
先行きの不透明な経済環境下で住宅を購入しようとする人には、低金利に加えて実に多くのサポートを行っているんです。
今のこのタイミングで金利が上がると、こういう努力が全て無駄になってしまいます。
日銀と政府はトランプ当確の11月9日にわずか35分の緊急会合を開き「投機が続けば対処する」という短いコメントを出したのみで、それ以降は静かなものですね。
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まとめ~沈黙する日銀と住宅ローン金利の行方
フラット35の金利は住宅金融支援機構が発行する機構債の表面利率=どんな価格をつけるか?によって決まります。
普通の取引であれば、市場の長期金利をそのまま反映して価格が決まります。でも、前回の日銀総括後のフラット35の金利の動きには、日銀の思惑が反映されているように思えたんですよね。
- 15年~20年 9月0.96%から10月0.95%に下落
- 21年~35年 9月1.02%から10月1.06%に上昇
短い期間は低く、
長い期間は高く、
イールドカーブコントロールを行うとした日銀総括の意向を反映したように見えました。
日銀はまだ沈黙を守っていますが、そろそろ週明けにでもなんらかの声明を出してほしいものです。
トランプ特集
- 2016年11月30日に金利の情報を更新しました。
以上、千日のブログでした。
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