千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える

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住宅ローン金利タイプの決め方 素人が白紙から住宅ローンを選ぶ方法を解説

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誰も教えてくれなかった住宅ローンの金利タイプの選び方

どうも千日です。住宅ローンのはてなに答えるブログなのに、住宅ローンの金利タイプを決める方法については、なぜ今まで書いていなかったんでしょう。

おそらく基本過ぎたんです。基本的すぎて見えないことってあります。

巷の金融機関のオフィシャルサイトに行けば、それっぽいページもあります。が、実は金利タイプの説明や紹介や営業であって「決め方、選び方」ではありません。

だから自分はどうすりゃいいの?

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この問いに対する答えは無い。あるのは、向こうが自分に対して送る「ウチのローンの、この商品に決めて下さい」というメッセージだけです。

千日のような利害関係の無いサイトの運営者でさえ、金融機関のそういったホームページを見て育ってますから、あたかもそれが「決め方、選び方」であるかのように錯覚してしまっているんです。

私だけじゃなく、おそらく(融資担当者を含め)皆がそうです。しかし多くの方の相談に答えているうちに、その事実に気づいてしまいました。

jutakuloan-muryousoudan.com

今日のエントリーは、今まで誰も書かなかった本当の住宅ローンの決め方についてです。

では始めますね。

目次

ノープランで銀行に行くとまず3年固定を勧められる

住宅ローンの特徴は、初心者が百戦錬磨のプロを相手に人生最大の契約に臨むということです。

ノープランで銀行に行って住宅ローンの相談をするということは『とにかく安い金利でお願いします』っていうリクエストになります。

そうすると、銀行の融資担当者が出してくるのが『だったら3年固定が一番安いです』という回答です。

3年固定は初心者のリクエストと、銀行の利益が一致する住宅ローンの金利タイプです。

  • 金利が最も安い
  • かつ、銀行の利益を最大化する

しかしこれ、WIN-WINではありません。何となくわかるかもしれませんが。

でも、『とにかく安い金利でお願いします』というリクエストは、相手に対して騙している訳じゃないという方便も与えてしまうんです。

youtu.be

金利だけで判断してはダメ!

ある都市銀行の固定金利を例にして、どのくらい安いのかを見てみましょう。

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ちょっと分かりにくいですが、ざっくり計算してみると。こんなイメージで捉えるはずです。

変動金利は今のところ0.63%

3年固定は当初3年0.55%(4年目から1.15%)

10年固定は当初10年0.6%(11年目から1.5%)

当初期間後はどうなるか『わからない』ということでとりあえず同じだったらベースです。

分かりやすくこの前提で金利を累積して積み上げて行くと下の折れ線グラフのようになります。

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当初固定型は当初の固定期間が終わると、たちまち変動の方に抜かれてしまう?

3年固定は10年固定に20年目には抜かれてしまう?

違いますよ。

 

金利タイプは量と質の両面から考えよう

金利だけで考えると、足を掬われます。量と質の両面から考えるんですよ。

  • 量とは元利均等返済額です。
  • 質とは金利変動リスクです。

借入金額は1,000万円をベースとし、35年元利均等返済ボーナス払いなしで支払い額を累積したグラフを書くとこうなります。

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これを前提に量と質の両面からまとめると以下のようになります。

  • の元利均等返済額では変動と当初固定の間に大した違いは無い。
  • の金利変動リスクの対価として3年固定金利は86万円、10年固定金利は89万円払っている。

順を追って説明しましょう。

 

量=毎月の元利均等返済額はいくら?

元々の金利が安いので、元利均等返済額に引き直すと大して変わらないですね。月に2千円ぽっちの違いです。

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  • 変動金利1,113万円
  • 3年固定1,196万円
  • 10年固定1,199万円

チリも積もればなんとやらとは言いますけど、月に2千円くらいの違いで家計が傾く、なんてありません。

それにしても、金利の比較では見るからに違ってたのに。僅差になってますよね。

なぜか?

元の金利が低いからです。元本の返済額とのバランスで行くと、月の支払いでは誤差レベルになってくるんですよ。

金利は量を測る物差しとしては適切ではありません。

量の側面では、自分の月収に対して住居費がいくらか?というのがポイントです。

 

35年で420回来る返済日を全クリア出来る?

当たり前ですが、住宅ローンは借金です。

約定期日に約定の元利均等返済額を払えないと「債務不履行」です。

  • 毎月の返済額が、自分の月収と比較してどうか?

これが大事です。さらに具体的に言うとこうです。

  • 420回ノーミスで支払い完済出来るか?

一般的な感覚で、420回ノーミスで出来そうな事を思い浮かべてみましょう。

  • 普通の縄跳び。
  • 年賀状の宛名書き。
  • 毎朝朝食を食べる。

上記の例でも実際にやろうとしたら、100回までには失敗する人が多いんじゃないでしょうか。

1回1回のハードルをかなり下げないと難しいですよね。

ですから、千日のブログでは、量的には以下のルールを守る事を推奨してます。

  • ボーナス払いなし。
  • 元利均等返済額は手取り月収の4割未満。

ボーナス払いは定期的に、自分の最大能力のハードルを設定することですからもちろんお勧めしません。

返済能力(手取り月収)の半分以上は危ないですよね。

イヤ4割でも自分は危ないかも?

なんて声が聞こえてきそうです。もちろん個人差はありますが、そのような感覚でちょうど良い感じです。

また、ゆめゆめ忘れてはならないのが、上記のグラフは金利が上がらない前提で描いていることです。

 

変動金利は量の面で5年「固定」と125%「固定」

変動金利には金利変動リスクがありますよね。しかし「量」の面では固定されているのです。

それが5年ルールと125%ルールです。

変動金利返済の共通ルールです。変動金利は金利が上昇したらすぐに毎月の返済額が増えるんじゃありません。

  • 5年ルールとは、金利が変動しても5年は元利均等返済額変えないというルールです。
  • 125%ルールとは、1度に上げる元利均等返済額は125%上限とするというルールです。

つまり、どれだけ金利が上がっても5年は元利均等返済額が変わらないんですよ。もちろん、その分元本の減りは遅くなります。

しかし、すぐ破綻するということはありません。

また、一度に上げる元利均等返済額は1.25倍までです。

変動金利であっても量の面では「固定」にしなければならないルールによって守られています。

ただし、変動金利でも元利均等返済にしていなければ、このルールの適用はありません。元金均等返済では、6カ月の金利見直しごとに支払い額も上がってしまいます。

また、変動金利で元利均等返済であっても、この5年ルールと125%ルールを採用していない銀行もあります。新生銀行ソニー銀行にはこうしたルールがありません。

 

質=金利を固定するのにいくら払う?

では、当初固定金利タイプが金利の変動を固定させるのに追加的にいくら払ってるのか、グラフで見えるようにしてみましょう。

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  • 3年固定は変動より83万円高い。
  • 10年固定は変動より86万円高い。

変動金利と当初固定金利の違いっていうのは、当初固定されているかどうかですよね。

ということは、この差額というのは、固定期間の対価として利用者が費用を払っているということです。

つまり、10年固定の方が金利の変動リスクを割安にヘッジ=減らすことができるという事になります。

金利変動リスクという質にいくらの費用が割り振られているかという見方ですね。

つまり、安い費用で長い期間金利を固定出来るのが債務者にとって有利な金利タイプという事になります。

 

銀行の視点にも立ってみる

銀行の立場に立つと見方が反転しますよね。銀行が3年固定を勧める理由は、銀行にとって利益が最大だから、という事です。

固定期間は銀行にとってはリスクです。

それが短い。

さらに固定期間の対価として貰うお金は高いんですよね。

  • 3年固定は変動より83万円高い。
  • 10年固定は変動より86万円高い。

でしょ?

10年で86万円より3年で83万円貰える方がいい。

ですよね。加えて、

5年ルール、125%ルールという規制も無い。

変動金利じゃないですから、当初期間が終わった時点でその時の金利による支払いを請求出来るんです。

そしてお客に対しては、

3年固定されてて安心ですし、金利のベースが安いから毎月の返済額も変動と同水準ですよ。

と言える訳です。決して間違ったことは言っていません。

つまり、はじめに書いたように金利が最も安く、銀行の利益を最大化出来るのです。

もちろん、WIN-WINではなく、多くのケースでは銀行にとってだけ有利だということです。

 

高い金利を払い続ける利用者を囲い込む

むろん3年で一括返済されたり、他行に借り換えられたらまるまる損ですが、そんな人は殆どいないですよね。

  • 3年後に一括返済する金持ちは少ないです。
  • 住宅ローン控除の10年は借りる人が多数派です。
  • たった3年で約50万もの借換コストを払って他行に借換えるのは損です。

そうこうしているうちに、初めは金利動向に敏感だった利用者も、住宅ローンの支払いに慣れていきます。

そして、高い金利で払い続けてくれる利用者の囲い込みに成功する。というのが、銀行の描いているシナリオです。

 

変動金利は量の判断のベースになる

変動金利とは銀行が必要に応じて金利を変動させることが出来る金利タイプです。

銀行間で資金を融通しあう金利を短期プライムレートと言います。

変動金利はこの短期プライムレートに連動して銀行が金利を上下させることが出来る金利タイプです。

  • 銀行が他の銀行からお金を借りる時の金利が低い時は住宅ローンの金利は低くする。
  • 銀行が他の銀行からお金を借りる時の金利が高い時は住宅ローンの金利は高くする。

 

自分の貯蓄で金利変動リスクに備える

銀行は金利変動リスクを負いません。ですから最も金利が安いんです。特に今の変動金利の水準は低くて、銀行が市場から調達するコストとほとんど変わらないくらいの低金利です。

つまり、この変動金利でのシミュレーションは『量』の判断基準になります。

いくら低金利でも自分の月給で住居費として払える金額には上限がありますよね。

変動金利の元利均等返済額の上限は、自分が返せる住宅ローンのギリギリ上限金額ということです。

当初3年とか当初10年がいくら安いからといっても変動金利のシミュレーションで『ちょっと厳しい…かも?』と思ったら、それはゼッタイに高すぎるということです。

まず、この変動金利のシミュレーションで自分の上限を確認しておきましょう。

変動金利にする場合は、自分で金利変動に備えなければなりません。こちらをご一読ください。

 

固定金利は質の判断のベースになる

固定金利は短期プライムレートが何%になろうが、金利が変わらない金利タイプです。
銀行が貸す金利は一定ですから、場合によっては銀行が逆ザヤになる(損する)可能性もあります。

一般に固定金利には2種類あります。

  • 全期間固定金利
  • 当初期間固定金利

全期間固定金利とは、借入期間の全期間にわたって金利が固定されていることを意味します。生粋の固定金利です。

当初期間固定金利とは、3年とか5年とか10年とかの当初期間だけ金利が固定されていて、当初期間の経過後は変動金利になるか、改めてその時点の金利水準で固定金利を選択するかを選ぶタイプですね。

一年前に書いたエントリーではこのように書いています。

10年固定は正確な表現ではありません。借入期間に亘ってずーっと金利が固定しているものだけが固定金利なんです。あえて千日流の表現をするなら10年経過後変動金利です。

 

銀行が金利変動リスクをヘッジするサービスを買う

この千日の見方は変わっておりませんが、白紙の状態から住宅ローンを選ぶという切り口で、今回このエントリーでは固定金利の中に分類しています。

金利が固定されている期間の分、金利が高くなります。

固定期間中の金利変動リスクは銀行が負うからです。

なので固定銀行には銀行の利益が乗るんですが、以下の理由で少し安くなる要素があります。

  • 銀行自体が大きな資本で効率よくリスクヘッジ出来る。
  • 個人がそれぞれで対応するより安くつく。

またフラット35ならば、国がローンの債権を買い取り又は保証するので銀行のリスクを減らせるんです。

 ですから、固定金利を検討する時は、変動金利との元利均等返済額の差額を計算して金利変動リスクという質に幾ら払うのか?を検討するんですね。

 

変動と固定のどっちが得か?に明確な答えが出る

こういう風に考えると、自然と自分が選ぶべき金利タイプが見えてきます。 多くのサイトでは「人による」というところで終わりますが、更に掘り下げますよ。

借入額3,000万円、35年元利均等返済ボーナス払い無しを例にシミュレーションします。

金利ごとの毎月の元利均等返済額、これが月収の4割になる手取り月収を表にしました。

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同じ前提で、変動金利の場合は4分の1を貯蓄した上で月収の4割になります。

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いかがでしょうか?この金利水準でいくと最低限、必要な月収が計算出来ます。

  • 固定のフラット35 1.03%⇒月収21万円以上
  • 変動金利 0.63%⇒月収25万円以上

 

固定金利は借りるor借りないの判断ライン

この固定金利で4割を超えると、金利上昇以外のリスク(病気やケガ)への対応力が低くなってしまいます。

上記のシミュレーションで月収21万円未満であれば、どの金利タイプでも危ないです。

借入額を少なくする為に貯蓄したり、親から住宅資金の贈与をお願いしたり、選ぶ物件を見直したり、という事を考える必要があります。

 

金利変動リスクをヘッジする固定金利が割安

今は少し上がったとはいえ、固定金利がダントツに安い時代です。

上記のシミュレーションで月収21万円以上25万円未満であれば、固定金利を選ぶのがお勧めです。

自分で金利変動リスクに備えるよりも、割安な金利変動リスクのヘッジを銀行から買うのが賢い選択だと言えます。

 

安定月収が高いならどちらを選んでも可

年収ではなく、安定月収というのがポイントです。千日は年収ではなく、月収で判断します。理由は前に述べた通りですね。

ですから、月収に変動がある人や、季節変動がある人は、年間の平均月収又は最低月の月収で判断して下さい。

上記のシミュレーションで月収25万円以上であれば、変動金利と固定金利のどちらを選んでも大丈夫です。

  • 固定金利を選べば、割安な金利変動リスクのヘッジを銀行から買えます。更に余裕分を金利上昇以外のリスク(病気やケガ)に備えて貯蓄したり保険に入ったり出来ます。
  • 変動金利を選べば、毎月の貯蓄可能額が増えます。金利上昇を含む幅広いリスクに備えた貯金や保険に割り振ることが出来ます。

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まとめ〜安易に変動を選ぶのは危険

いかがでしたでしょうか。長いエントリーですが、割と自信作です。

この方法は、今だけでなく10年後も使える考え方です。千日が住宅ローンを組んだ2008年では、固定金利がとても高かったんです。

そういう場合は、25%貯蓄してもなお変動金利の元利均等返済の方が安かったんですよね。ですから、割高な固定金利はあまり選ばれませんでした。

今はすごく固定金利が安いですが、それでもまだ変動金利を選ぶ人が多いと聞きます。

中には、変動でカツカツだという人も多いのではないかな?というのが心配ですね。

うわ変動だけど25%貯金する余裕ないわ。

という方は、家計の支出を見直し、貯蓄を増やすようにお勧めします。

 

  • 2017年10月9日に内容を見直しアップデートしました。
  • 2017年11月7日にアップデートしました。

以上、千日のブログでした。

《あとがき》

まるで銀行が利用者の利益を搾取しているかのような見方をされるかもしれませんが、それは誤解です。

そもそも今の金利は低過ぎるので、彼ら赤字なんですよ。どちらかというと『赤字幅を少しでも少なくするように』という意図の方が大きいでしょう。

しかし、それとこれとは別、という事です。

2016年11月24日

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