家なんか買わなければ破産しなかった人が増えている
どうも千日です。ショッキングな統計調査結果を見付けました。住宅ローンが原因で破産する人の割合がここ10年で約1.5倍に跳ね上がっています。

破産債務者が多重債務を負担するに至った理由としては「生活苦・低所得」(60.24%)がもっとも多く、2005年からの不況による生活苦型破産の傾向は変わっていません。
しかし2008年の調査以降「住宅購入」も増加傾向にあり、2014年の調査では2002年の9.35%のおよそ1.5倍以上、16.5%に増加しました。
家を買わなきゃ破産せずにすんだ
こういう人が増えているというコトです。マイホームの為に住宅ローンを組んだ結果、生活が破綻し、家庭が壊れる…そんなの嫌ですよね。想像したくないです。
- 家なんか買わなければ破産しなかった人が増えている
- 身の丈に合わない住宅購入を促す経済環境
- こんな時だからこそ借入金額は冷静に
- こんな時だからこそ物件選びは冷静に
- 金融機関やセーフティネットには早めに相談を
- まとめ
失業・転職、給料減少…でも住宅購入は増えている

日弁連は「失業・転職」(19.84%)や「給料の減少」(13.47%)等にともなって、住宅ローンが払えずに破綻せざるを得ない状況が深刻化していると分析しています。
グラフをみると、失業・転職が高止まりの状態で横ばい。給料の減少もやや右肩上がりにもかかわらず、住宅の購入は一貫して増加していますね。
つまりこのグラフは、返済能力以上の住宅ローンを組んでいる人が増えている可能性を物語っているんです。
ちなみに千日は2008年のリーマンショックの年にマンションを買い、その後、ジリジリと給料が下がりました。
マサカ自分がこういうトレンドに乗ってしまっているとは…(^_^)a
身の丈に合わない住宅購入を促す経済環境
この傾向は今後さらに拍車がかかっていくだろうと思います。以下がその理由です。
- 2016年1月29日の日銀政策決定会合で決定されたマイナス金利が導入された。
- 住宅ローン金利と関係の深い長期金利が低下した。
- 固定金利を中心とする銀行間の利下げ競争の激化により変動金利も低下した。
- 住宅ローン控除などの手厚い税制優遇で住宅ローンを借りることで逆に利息収入が入ってくるような状態になった。
まさに「今、住宅ローンを借りないと損だ」と言わんばかりの環境です。
特に4つ目の住宅ローン控除は、借入残高が多いほど税金が安くなるんです。
たとえ身の丈を超えていても、できるだけ高額な借入残高で住宅ローンを組むことで得をする環境ということです。
物件価格、ローン残高も増加傾向
新築物件の価格も上がっています。首都圏の新築マンションの平均購入額は2005年は3,893万円だったものが、2014年には4,340万円と約1.1倍に高騰しています。

『オリンピックの閉会式までは不動産価格は上昇する』というジンクスからすると、今後も上昇するんじゃないでしょうか。地方都市も同じですよ、平均すると東京の地価と緩やかに連動しますので。
また物件価格の高騰を反映して平均ローン借入額も、2005年が2,965万円だったのに対して、2014年は3,539万円と増加しました。
モデルルームの営業マンや不動産広告の「頭金0円でも買えます」というセールストークに背中を押され、十分な自己資金がないまま、高額な住宅ローンを組んでしまう人が増えているのではないでしょうか。
「借りられる金額」と「返せる金額」は違います。
こんな時だからこそ借入金額は冷静に
住宅ローンは借り時ですよね。コレだけ安い金利の上に税制でも優遇されているタイミングは滅多にないと思います。
これに反論するのは難しいです。ホントの所、住宅ローンそのもののリスクは低いです。
- 住宅の価値>借入残高

これを維持するだけで良いんです。そして、これを維持する方法は極めてシンプルです。
ローン手数料とは別に約2割の頭金を準備する。
初めの段階で借入残高を購入価格から20%減らした状態からスタートさせておくんですね。住宅ローンの減少を先行させるんです。
建物の価値は経過年数で減って行きますが、その減り方は物件や時代によって違います。初めにある程度のアドバンテージを取っておくことがセオリーです。
住宅ローン控除のメリットを受ける為には頭金は少ない方が有利です。しかし、頭金相当を「持ってない」のと「持ってるけどあえて入れない」のは全然違いますよ。
住宅の購入資金として使える貯金が幾らあるか?
頭金相当の金額が今の自分の身の丈です。
「身の丈を超えるな」と言いたいのではありません。「客観的に今の自分の身の丈を超えるか超えないか」を認識しておいた方が良いということです。
冷静に、とはそういうことです。
こんな時だからこそ物件選びは冷静に
では、住宅は買い時か?
これについては、正直ビミョーな所なんですよ。
「買って良い住宅」と「買ってはいけない住宅」の差が激しいタイミングだと千日は思ってます。老朽化した建物を所有しているとその取り壊し義務は所有者にあります。
今までは、老朽化して使えなくなってしまう前に開発業者が買取りリニューアルさせる、基本的には右肩上がりの経済でした。しかし最近はそうじゃなくなっています。
知らずに買ってはいけない地域とは
【マイホームの資産価値】知らずに買うと危ない?立地適正化計画の居住誘導区域外 - 千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答えるでも書きましたが、国土交通省が平成26年8月に施行した改正都市再生特別措置法に基づく立地適正化計画がその理由です。
今後、地方都市では高齢化が進んで福祉や医療費の増加は避けられ無いんですが、働き手になる若年層の人口は減少してます。
一方で大体の地方都市は高度成長期に拡大路線を取って膨張して来たんです。効率が悪い。そこでこれをコンパクト化して効率化しようというのが狙いなんです。
- 居住誘導区域に緩やかに住民の居住エリアを誘導していく
- 都市機能誘導区域に医療、福祉、商業施設を誘導していく
- 拠点間を結ぶ交通サービスを充実させる
住宅地として人気の市町村の中にあっても、居住誘導区域から外れた場所は今後確実に価値が下がります。購入当時は近所にあった市民病院やバス停などのインフラも少しずつ無くなって行くでしょう。
金融機関やセーフティネットには早めに相談を
たとえ身の丈に合った住宅ローンを組んでいても病気になってしまったり、失業してしまう可能性はゼロではありません。

日弁連の統計調査によると、破産や私的整理になる人が多いのは借入から5年以降だそうです。
つまり、何もアクシデントが無ければ当初の予定通り返済出来たのに、その後に起こった出来事によって収入が減少したり財政が悪化して破綻するケースが多いということです。
もしローン返済が難しくなったり滞りがちになったりした場合、早めに借入先に相談することです。返済方法や返済額の変更など、意外と柔軟に対応してくれます。
隠しても良いことは何一つありません。にっちもさっちも行かなくなってから相談しても『何で今まで隠してたの?』ということになり、交渉は難しくなります。また、ネット銀行は金利が安い反面、応じてもらいにくいので注意が必要ですねネット銀行の住宅ローンを借りるなら金利の安さの裏にあるデメリットを知ってから - 千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える。
銀行としても、いきなり破産されてしまうより条件変更して利息と元本を払い続けてくれる方が得です。
そして、住宅ローンだけでなく、日頃から何か経済的に困窮した場合の公的制度やしくみ、セーフティネットに関する情報や知識を得ておくことも大事です。
気軽に相談できる相談窓口を見つけておくことが、家計を破綻させないためには必要不可欠です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。住宅ローンは住宅に第一順位の抵当権を設定しますので、普通は任意売却するだけで借金をほぼキレイに無くすことが出来ます。
ですから通常、住宅ローンが引き金になって破産することは考えにくいんですよね。
日弁連の統計調査結果は債務者本人からの回答の集計結果です。つまり「多重債務者本人の主観」です。根本的な原因は別の所にあると千日は見ています。
しかし、たとえ任意売却で破産を免れたとしても、一度手に入れたマイホームを手離すことに変わりはありません。
そうならないように、十分な備え(貯蓄)と冷静な判断が一家の大黒柱には求められるんです。

以上、千日のブログでした。
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