金利の安さが最大の魅力 ネット銀行の住宅ローンの表と裏について
どうも千日です。昨年の日銀のマイナス金利政策から長期金利の下降傾向が続いていましたが、今年のトランプ大統領から傾向がガラッと変わり一転してゆるやかな上昇傾向に入りましたね。
ほとんどの大手銀行の住宅ローン金利は上がってしまいましたが、ネット銀行はまだまだ去年の低金利を維持しているところが多いです。
今日はそんな状況下でネット銀行を利用する際の注意点についてです。ネット銀行のA面だけでなくB面を知る事、そもそも住宅ローンで銀行を選ぶという事とそのリスクについて、分かりやすく説明します。
ネット銀行と住宅ローンのリスクについて全体像を把握し、その上で選べば後から『こんなはずじゃ無かった…』なんてリスクを減らせるはずです。
目次
ネット銀行の表(A面)の話
住宅ローンの金利は歴史的な低金利ですが、中でもネット銀行の安さが際立っていて注目されていますね。
- メガバンクより0.1〜0.15%金利が安い
- 保証料がゼロ円、繰上げ返済手数料が安い
金利の安さ
金利が0.1%安いと、借入元金3千万円を35年元利均等返済で利息は約53万円安くなります。
ネット銀行が金利を安く出来る理由は、人件費と固定費が安く抑えられるからです。
ネット銀行は信用力が不安…
たまにこんな声も聞きますけど、お金を借りるのはこっちです。信用力についてはこっちが心配される立場です。
それにほどんどのネット銀行にはメガバンクの資本が入っていますので、合理的な理由なく金利を上げて来たりなんて事も原則ありません。
保証料がゼロ円
メガバンクだと保証料が必要となり、これが一番のコストになります。金利に上乗せすると0.2%の上乗せになります。これに対して、多くのネット銀行ではこの保証料がゼロ円です。その代わりに融資手数料が借入時に一律2%となります。
どっちが安いのか?
- 金利上乗せ0.2%→トータル106万円
- 最初に2%→最初に60万円
メガバンクで金利上乗せ型0.2%とネット銀行で最初に2%払う場合を比較してみると、借入元金3千万円を35年元利均等返済で比較するとネット銀行の方が約46万円安くなります。
繰上げ返済手数料については、ネット銀行はほぼ無料ですが、最近ではメガバンクでも一定の条件下では無料のケースもあります。そこまで大きなアドバンテージではありませんね。
金利と保証料の安さの合計がネット銀行のメリット
3千万円を35年間借りた場合、金利の低さと保証料を合わせて、35年間で合計100万円位の違いが出てくることもあります。『だからネット銀行をお勧めします』というサイトには大抵ネット銀行の広告が貼ってあります。
ネットを駆使して最安の住宅ローンを見つけた事で100万円儲けた?
それは早計というものです。
ネット銀行の裏(B面)の話
安さの反面その利用には幾つかの注意点(デメリット)があります。
- 審査が厳しめ=明確な既定の審査基準を満たした人だけ。
- 適用金利は公開されているものだけ=金利の融通が利かない。
- 延滞や条件変更に厳しめ=融通が利かない。
審査が厳しいのは機械だから
厳しいというよりも、審査をシステム化していると言った方がいいです。審査システムに既定のデータを入れていくと、システムが答えを出すようになってます。
人間は審査システムの仕組みを作りますけど、1つ1つの案件について判断しません。これによって人件費を抑えている部分があるんです。
反面、貸す側の心理としては「全部機械でちょっと心配…」ですよね。
なので、審査システムは人が判断するより、少し保守的に設計されているんです。
適用金利は固定されている
リアルな銀行で、融資担当者と相談しながら『あと金利を0.1%上げれば貸せます』とか『ご両親を保証人に付ければ貸せます』とかいう局面だと、ネット銀行では落とされるということになります。
また逆のケースでメガバンクや地方銀行では公開している金利より安く借りれる場合もあるんですよ。
- 住宅ローンを借りる人の属性が高い(信用力が高い)ケース。
- その銀行をメインバンクとしている不動産会社の新築物件のケース。
- 自分の勤め先により優遇金利が適用されるケース。
0.1%〜0.2%位の金利が優遇される事もあります。
しかし、ネット銀行はホームページで公開されている金利だけです。
良い属性の利用者を逃してしまうんですけど、それをやろうとするとコストもかかってしまうので敢えて切り捨てているんです。
延滞や条件変更に厳しめなのも機械だから
ここまで読んでいくと、ネット銀行の特性が見えて来たのではないでしょうか。延滞や条件変更の判断は画一的にならざるを得ないですよね。
機械だからです。
例えばこんなケース、自分が銀行の審査担当者ならどう判断しますか?
失業によって夫の収入が減って毎月の返済額が10万円では厳しいので、当面の3年間は毎月5万円にしたいんです。その後は12万円に増やして当初の期間で返済します。
これだけではなかなか判断出来ないと思います。
もうちょっと詳しく話を聞かせてよ。
と思いますよね。しかしネット銀行はこういうケースにいちいち検討するより…
ならば契約書に書いてある通り担保を設定した物件=家を売って返して下さい。
という話に流れがちなんですよ。
勘違いしないでくださいね、これはアコギでも冷血でも何でもないです。それにいちいち対応してたら『超低金利』と『保証料無料』は実現不可能だからです。
利用者としては、それを分かった上で選択しなければならないんですよ。
住宅ローン=金銭消費貸借契約の大事なポイント
もちろん住宅ローンを銀行の商品と捉えた場合、金利=コストが安いというのは、とても重要なポイントです。
しかしそれだけでは十分ではありません。
住宅ローン=金銭消費貸借契約という側面から見た場合に重要なポイントについても確認しておく必要があります。
住宅ローンは双務契約
住宅ローンを法律上の表現をすると金銭消費貸借契約です。そして金銭消費貸借契約は契約当事者の双方が義務を負っている双務契約です。
双方が義務を果たす事が肝になっているんですね。
- 銀行の義務=住宅資金を融資する義務
- 利用者の義務=融資された資金を利息とともに返済する(約定返済)義務
銀行の義務は貸した瞬間に果たされる
ですから、銀行側の義務は住宅資金を融資した時点でほぼ終了なんですよ。
メガバンクだろうが地銀だろうがネット銀行だろうが、この義務が果たせない銀行なんてまずありません。
利用者の義務は返済期間に亘り継続する
一方で住宅ローン利用者の義務は約定返済義務です。35年ローンならその義務は35年間続くんです。
35年間で420回やってくる返済期日に約定の弁済額を一度も遅れる事なく、銀行に支払う。
利用者の中には、やむにやまれぬ事情で当初は払えるはずだった約定弁済額の支払が一時的に難しくなる人がいます。
そんな時には債権者=銀行に当初の約定を変更してもらわなければなりません。
条件変更に応じるか、応じないかというのは債権者にもよるわけです。その債権者との交渉の手段がメールや電話しか無いというのは、住宅ローン利用者にとっては不安要素です。
前からそういう声があったからか、最近になって住信SBIネット銀行の『ミスター住宅ローンREAL』という商品が登場しました。リアル店舗を設置して、窓口での対応を始めましたね。主要都市に店舗があり、住宅ローンの相談から実行までを手がけています。
金利はネット銀行の安さのまま、店舗の窓口があるというのが、今までのネット銀行には無い魅力です。
MR.住宅ローンREALの店舗へ
住宅ローンの銀行を選ぶことは債務者の目線から債権者を選ぶこと
いかがでしょうか。読み始めからだいぶネット銀行に対する見方が変わったのなら、幸いです。
3千万円を35年ローンで借りるならネット銀行の方が約100万円安くなる。
これは事実です。
しかし、これで100万円儲かったということではなく、安くなったコストの分だけ債務者としてのリスクを多く負ったという意味なんですね。
もちろんそのリスクは人によって違います。
ですので、住宅ローンでネット銀行選ぶということは、下記の判断をしたということになるんです。
- 債務者としてのリスク<ネット銀行のコスト減
以上、千日のブログでした。
《あとがき》
このエントリーはある方からメールでご質問を頂いたことをきっかけとして執筆しました。
試しにネットを検索してみますと、良いサイトと悪いサイトが入り乱れていて、ちゃんと良いことを書いているサイトでも根拠がアッサリしすぎていたりでした。
確かにこれでは良く分からないですし、不安になるだろうな、と思って書きました。
マイホームの購入を検討されている、多くの方の参考になればうれしいです。
2016年7月18日
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30代600~1200 | 40代600~1200 | 50代1000以上 | ||
20代800以上 | 30代1200以上 | 40代1200以上 | ||
借り換え | 20代借換 | 30代借換 | 40代借換 | 50代借換 |
団信 | 20代団信 | 30代団信 | 40代団信 | 50代団信 |
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