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千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える

千日のブログは住宅ローンの金利予測と最新ニュース、不動産の購入マニュアルとして多くの方にご支持いただいています。他にも色々雑多なようで一本芯の通ったエントリーを心がけてます。それは家族とホームです。ダイヤモンド社のザイ・オンラインで「千日の住宅ローンの正しい選び方」も連載中!

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【ニュース】今後の住宅ローンはどうなるか?日銀 黒田総裁の予想を分かりやすく解説

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海外との金利差を強調する景気回復へのシナリオ

どうも千日です。住宅ローン無料相談.comを開設してから、今後の金利動向についての見解を問われるケースが増えました。やはりみんな気になりますよね。

千日の私見を書くのも良いですが、日銀の黒田東彦総裁が12月26日に経団連の会合で行った講演内容について、住宅ローンの金利に影響しそうな所をかいつまんで解説したいと思います。

黒田総裁は講演で海外経済が上向きつつあり、日本経済は『追い風』を受けてさらに前進していくことが可能な状況だと先行きに前向きな見方を示しています。

目次

速報

海外経済情勢は今後良くなる

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先の日銀による金融政策決定会合の議事録金融政策決定会合の運営 : 日本銀行 Bank of Japanが公表されました。

そこに各委員の海外経済情勢についての見方が書かれています。

アメリカ経済は新興国経済の減速から輸出と生産は目先力強さを欠くものの、安定した成長パスに入り、家計支出も後から付いてきて、民間需要を中心に成長が続く。

ヨーロッパ経済は新興国経済の減速から輸出が弱めの動きになっているが、個人消費が引き続き上昇して緩やかに回復していく。

中国経済は輸出・生産面で減速しているが、総じて安定成長を維持している。

新興国経済は輸出・生産面を中心にやや減速しているものの、今後は先進国の成長に引っ張られる形で成長率は徐々に上向く。

つまり、

トランプ氏の政策によるマイナス要素=中国・新興国経済の景気減速があることは認めつつ「リーマン・ショック後の調整局面をようやく脱し、新たなフェーズに入りつつある」という見方なんですね。

 

海外経済が好転すると日本の長期金利はどうなるか

続いて、海外経済が上向くと日本の金融はどうなるか?です。目下のところ、アメリカの長期金利の急上昇とアメリカ中央銀行による追加の利上げで日本の長期金利は上がり始めましたね。

黒田総裁は講演で海外経済が好転すると日本の長期金利にも上昇圧力がかかるが、日銀が低い水準で金利を抑えることができれば金利差拡大で輸出企業の後押しとなる円安も進むと言ってます。

 

内外金利差の拡大が輸出企業の後押しになる

アメリカを中心として、海外の経済が好調になると海外の長期金利が上がります。

これに対して、日銀はイールドカーブコントロール政策として、長期金利(10年国債の利回り)を0%前後に抑えるように市場に介入する政策をとっています。

そうなると、投資家達は円に投資してても利息が安いので外貨へ投資を移しますよね。事実、金利が低い円が売られ金利の高いドルが買われ、円安になっています。

円安になると輸出に有利になるんです。

円安のメリットとデメリット

確かに円安になると輸出企業の後押しになりますけど、我々の生活としてはあんまり好ましくないんですよね。

分かりやすく解説します。

円安のメリット

輸出企業にとってはメリットです。例えば売上代金をドルで回収します。ドルのままだと従業員の給料やら税金を払えないですから円に両替しますよね。

金融市場でドルを売って円を買います。

円安だと文字通り円が安いですから、より多くの円がもらえる訳です。

例えば…

  • 1ドル=90円(円高)の時は1ドルの売上で貰える円は90円です。
  • 1ドル=110円(円安)の時は1ドルの売上で貰える円は110円です。

外貨で同じ値段のものを売っても、貰える円がこれだけ違って来るんです。大企業になるほど、この影響は大きいですよね。

 

円安のデメリット

逆に輸入企業にとってはデメリットになります。例えば仕入代金をドルで払います。円のままだと代金が払えないですからドルに両替しますよね。

金融市場で円を売ってドルを買います。
円安だと文字通り円が安いですから、ドルを買うのにより多くの円が必要になるんです。
例えば…
1ドル=90円(円高)の時は1ドルの仕入で払う円は90円です。
1ドル=110円(円安)の時は1ドルの仕入で払う円は110円です。
外貨で同じ値段のものを買っても、払う円がこれだけ違って来るんです。大企業になるほど、この影響は大きいですよね。

庶民は「輸入企業」です

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日本人の生活は輸入製品無しに成り立ちません。ガソリンや石油製品、バターなど輸入に頼っている生活必需品的の価格が上がってしまいます。

エネルギー系も上がります。電気代やガス代は原料費が上がると料金を上げる事が出来ます。今の時点で生活がギリギリの世帯は、円安が進むと生活が更に苦しくなります。

輸出企業に勤める人は、会社の儲けが給料やボーナスに反映されれば値上げに対応出来ます。

しかし輸入企業に勤めてる人は給料の増加は望めませんね。

むしろリストラされないか心配しなければなりません。つまりは、円安になればなるほど失業する人が増えてしまうということです。

金利差で円安はさらに進むか?~否

黒田氏は適切な金利操作によって海外経済の回復を「より大きな『推進力』に増幅していくことが可能になる」と訴え、企業に積極的な投資を求めています。では、今後も円安が進んでいき、大企業だけが利益を上げるシナリオを立てているんでしょうか?

否です。

ここまで書いた内外の金利差は既に『今』の為替相場に織り込まれているんですよ。

為替相場を考える上で2国間の金利差に注目する考え方はセオリーではありますけど、実際の為替相場は必ずしも金利差だけでコトが決まらないということです。

今さら、日米の金利差を知らないなんてことはあり得ません。誰もがすでに、またはずっと前から今の状況を見越して売買を行っているんです。

ですから、日銀のイールドカーブコントロール政策で日本の長期金利が0%になっており、トランプ氏の当選とアメリカの利上げが決まった瞬間にすでに将来を見越した為替が形成されているということになります。

今の円安水準ではまだ足りない?

こんなことは、当然に黒田総裁も分かり切ったことです。それをわざわざ経団連の講演で話す真意について考えなければ、今後の動向は見えてきません。

マーケットというのは、唯一完全な野生動物である人間による自然現象です。常に実態を反映した理論的な動きをするわけではありません。大きなゴシップに過敏に反応することがあるんですね。

黒田総裁としては、まだ、今の円安水準では足りないと感じているんです。

日銀総裁の発言には投資家が常に注目しています。つまり、日銀総裁である自分の発言が市場への影響力を持っていることを利用した発言であると考えるのが妥当なところでしょう。

講演での黒田氏の発言です。

金利差拡大で輸出企業の後押しとなる円安が進み、海外経済の回復をより大きな推進力に増幅していくことが可能である。

物価上昇に不可欠な企業の賃上げに関しては、賃金が上昇していく環境は十分に整っている。

これは、将来の金利差を反映した今の円安水準ではまだまだ足らず、さらに円安を進行させる必要がある。

という意味です。まだ円を安くしたいんですが、そのペースが黒田氏の考える水準よりもまだまだゆるやかであり、自らの発言を通して市場関係者に発信したいという意図を反映したものなんですね。

前述した円安のデメリットを読んだ後だと、こんな風に考える人もいるでしょう。

庶民の暮らしはどうでもいいのか? 

黒田氏は庶民ではありませんので、さすがに身につまされるような感覚は持っていないでしょうけど、どうでもいいとは思っていません。

そもそも、ずーっと円高で推移してきましたから、輸出企業の元気が無さすぎるんです。なんとか、輸出企業の活力を取り戻し、景気回復への起爆剤にしたいと考えているんですね。

  • 輸入企業のお客は国内です。
  • 輸出企業のお客は海外です。

今は、日本企業の対外的な競争力を取り戻すことが、優先される局面だということです。もちろん庶民の生活を圧迫するほど円安が進行しそうだと見れば、調整に移る構えはあるのです。

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まとめ~黒田総裁の思惑と長期金利の動向

いかがでしたでしょうか。円安傾向が続いていますが、まだまだ円安の水準は黒田総裁の考える水準には達していないのですね。

ということは、日銀による長期金利操作(イールドカーブコントロール)政策は継続されるということです。

つまり当分の間は、アメリカの長期金利が上がって日本に波及しそうになった場合は、日銀がそれを抑制する動きをとる方針であることに変わりはないでしょう。

内外の金利差を意識的に作り出し、また自身の発言を通して円安に誘導し、輸出企業の活力を取り戻すことが、黒田総裁の狙いだからです。

長期金利(住宅ローンの固定金利)は、今のところ上がるトレンドであることに変わりはありませんが、日銀がそれを抑制するという動きは今後も続きそうですね。

 

以上、千日のブログでした。

《あとがき》

黒田総裁の意図については、公表された情報をもとに千日が推測したものです。また、同じ理由から将来の金利情勢は、現時点の公表情報に基づき千日が予測したものですので、実際の金利の動きはここで書いた予想と異なることがあり得ます。

用法、用量を守ってご参考として頂ければ幸いです。

2016年12月27日

トランプ特集


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