千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える

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【2023年10月】変動金利は何パーセントまで上がると想定する?まだ固定金利は割安か?専門家が解説

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2023年10月12日公開

どうも千日です。長期金利は一時0.8%を超える勢いで上昇しましたが、足元では米連邦準備理事会(FRB)が追加利上げに慎重な発言が相次いでいることを背景として、米長期金利が低下しており、日本国債にも買いが入り長期金利は少し下がりました。

それでも7月の金融政策決定会合からはわずか3か月で新たな上限の1%が視界に入ってきており、政策委員の一人が「2%の物価上昇の実現が来年1〜3月ごろには見極められる可能性がある」と主張していることから、来年の春闘で高い賃上げ率を見通せる状況になれば、緩和正常化を判断できると見る市場関係者もいます。

千日のブログでは、毎月最新の金利動向と住宅ローンの選び方について分かりやすく解説しています。

具体的には、金利タイプ別に…

  • 今どの金利タイプが割安になのか?
  • どんな人にどの金利タイプがお勧めか?(どういう返済計画で借りるべきか?)

普通のランキングサイトでは書かない内容が盛りだくさんなので、よろしければ参考にしてください。

またYouTubeでは「変動金利が上がる2か月前までに通知🔔します」という企画をスタートしました。住宅ローンは申込から実行までに最短でも1か月から1か月半かかります。更新通知(🔔マーク)を設定し最新情報を見逃さないようにしてください。

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また、最新の日米金利動向については下記ページで毎日更新しています。

日米金利の最新動向

緩和正常化後の変動金利は1.9%と見込む

個人的な予想としては、2024年前半の「マイナス金利解除」が濃厚であるものの、その可能性はまだ5分5分と見ています。また解除の方法にも、植田総裁いわく多くのオプションが用意されており、分かりやすい政策金利の引き上げではなく、複合的な方法をとってくる可能性もあるでしょう。

植田氏は就任会見から現在まで一貫し、異次元緩和から軌道修正して正常化していくにしても細心の目配りをし、出口戦略(金融引き締め)それ自体を目的とするような拙速な利上げはやらないという姿勢は維持しています。これは信じてよいでしょう。

変動金利は政策金利の影響を受けますが、日銀の政策金利に対して、変動金利の上げ幅を決めるのは各銀行の営業判断です。わたしたちの行動は後手にまわるのですから、金利が上がりそうだと確定情報を入手してから行動したのでは遅すぎるのです。基本的には変動金利はいつ上がってもおかしくないという前提で考えるのが私のスタンスです。

そして、今の変動金利は日銀の金融緩和政策によって、あえて低く設定されているのであり、日銀が緩和から正常化へ舵を切れば何パーセントくらいまで上がるのか?について書いておこうと思います。千日太郎の予想では1.9%です。

これは日本に先立って金融引き締めを断行している米国との金利差から導きだしたパーセンテージです。

住宅ローンの日米金利差は5.6%

米国では住宅ローンで変動金利を選ぶ人は1割程度であり、9割が30年固定を選ぶのですが、フレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)が10月5日に発表した住宅ローン金利によると、30年物固定住宅ローン金利は平均で7.49%となっています。

これに対して日本の全期間固定金利はどうかというと、住宅金融支援機構と民間銀行が提携して行う全期間固定金利のフラット35(買取型)は10月で1.88%となっています。

米国よりも日本の方が借入期間、固定期間ともに5年長いにもかかわらず、金利水準は約5.6ポイントも低いのです。これが日米の住宅ローンの金利差です。

長期金利の日米金利差は直近で4%

ただし、日米ではそもそもの長期金利の水準に大きな開きがあるため、5.6ポイントの金利差がそのまま金利上昇のポテンシャルとは言えません。

日米の金利差は長い間3%あたりで推移してきましたが、最近は中央銀行の金融政策の違いによって金利差が大きく開いてきています。こちらは2023年6月1日から2023年10月6日までの日本と米国の長期金利の推移ですが、8月あたりを境に日米金利差は開きはじめ、直近では4%くらいまで広がってきています。

現時点の金利上昇のポテンシャルは1.6%

日米の住宅ローンの金利差は直近で5.6%として、ベースとなる日米の金利差が4%であるならば、その差の1.6%が住宅ローンの上がり代であると仮定できるわけです。

これは利上げ後に住宅ローンの金利が全体的にベースアップすると仮定した上がり代です。各銀行の営業方針によって金利タイプごとの上がり幅に差は生じるでしょう。あくまでザックリした上昇幅という予想の方法です。

今の変動金利が0.3%前後ですから、1.6%上がると1.9%という計算になります。この仮定は長く低金利に慣れてきた私たちにとって、ちょっと刺激的かもしれませんが、今の米国の状況を当てはめると利上げペースはかなり鈍化している状態でもあります。

固定金利も1.6%上がるとすれば、フラット35は3.48%ですね。変動金利が1.9%になったとしても固定金利は高すぎるので変動金利で住宅を購入するという人が主流になるでしょう。固定金利は収入の高い人が選ぶものになります。

金利が上がるとこうしたマインドの転換が起こると思います。

2024年に利上げされる条件とは?

順当に考えるなら、次の段階ではYCC政策を撤廃し、さらに次の段階で政策金利の利上げということになります。巷では7月会合でYCC政策の撤廃では、植田総裁の時間軸政策(一定の条件が整うまで金融緩和を続けると宣言することで、市場に安心感を与え中長期金利を安定させる政策)を根拠として、数年はこの政策修正の影響を評価するという考え方もあります。

しかし、今回の政策修正後に指値オペを行う機会が無く、長期金利が正常なイールドカーブを描いていくならば、7月の修正≒撤廃と捉えても大差ないという状況が生まれる可能性があります。

これに加えて2024年の物価上昇率が上振れして2%をクリアし、2025年はさらに上がる見込みということになれば、2023年から連続して3年間にわたり2%をクリアする(見込み)ということになります。

そうなると2024年度中の利上げということが現実味を帯びてくるのですね。現時点で2024年の物価上昇率を1.9%という微妙な見込みにしている理由は、2024年の利上げ可能性を確保しておくための布石ではないかと見ています。

日銀政策修正を踏まえた10月のお勧め住宅ローン

住宅ローンの固定金利は長期金利の影響を受けます。植田日銀が大規模緩和政策を継続するにしても、YCC政策では旧上限の0.5%を超えることを容認するのですから、長期金利は従来よりも上がりやすくなってきます。

ということは、住宅ローンの固定金利も上がりやすい環境になっていくでしょう。

これに対して変動金利は短期政策金利の影響を受けますので、日銀が利上げしない限りは上がりません。

しかし、前述のように水面下では日銀の利上げ可能性が上昇してきています。そのため手放しで変動金利を勧めるのも難しい状況ですね。

これらを踏まえて、10月のお勧め住宅ローンについて詳しく解説していきます。

フラット35は金利上昇リスクに対して割安

公的融資のフラット35は長期金利の上昇と比較すると8月から9月にかけて小幅な上昇となっています。

フラット35買取型 8月 9月 10月 上昇
フラット35買取型  1.72% 1.80% 1.88% 0.08%
フラット35保証型 8月 9月 10月 上昇
 ARUHIスーパーフラット9 1.43% 1.51% 1.59% 0.08%
ARUHIスーパーフラット8 1.36% 1.44% 1.52% 0.08%
ARUHIスーパーフラット7 1.35% 1.43% 1.51% 0.08%
ARUHIスーパーフラット6 1.34% 1.42% 1.50% 0.08%
住信SBI保証型90% 1.73% 1.81% 1.87% 0.06%
住信SBI保証型80% 1.65% 1.73% 1.79% 0.06%

フラット35の買取型は、住宅金融支援機構が金融機関からフラット35の債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて「機構債」という形で販売するという仕組みになっているため、長期金利の動向を反映しやすいと言われます。

フラット35買取型の仕組み

フラット35は公的融資であり、金利の急激な高騰時には政策的に住宅ローンの金利の上昇を緩やかにする傾向があります。これまでも長期金利の高騰時にあえてフラット35の金利上昇が抑えられたことが何度もありましたが、8月から10月にかけても政策的に上昇を抑えています。

さらにフラット35の金利は政府が子育て世帯を対象としてフラット35の金利引き下げを行う議論をスタートしたことで、ベースとしての金利が下がり続けています。既にフラット35の金利引き下げ制度の中には「子育て支援」というカテゴリーが設けられているのですが、これが拡充される見込みです。

しかしこの制度がスタートする前は子育て世帯であっても金利引き下げにならないのですね。住宅購入のタイミングによって生じる不公平を和らげるために政策的にフラット35の金利のベースを下げている可能性があると見ています。

つまり、公的融資のフラット35は、金利が決まるタイミングと国の少子化対策の両面から長期金利の上昇リスクをヘッジできる住宅ローンなのです。

今のところ、ARUHIの保証型であるスーパーフラットは買取型よりも低金利を維持しています。子育て世帯には特にお勧めします。

ウェブで手続きすれば融資手数料が割引となります。また、団信不加入とすることで団信込みの金利から0.28%引き下げられます。千日太郎がARUHIに取材したときのブログがこちらです。

sennich.hatenablog.com

主要銀行の10年固定金利の動向

主要銀行の10年固定金利タイプには銀行により上昇幅に差があります。10年固定金利の上昇を明らかに抑えているのが三菱UFJ銀行でその上げ幅は0.06%です。2023年10月適用の最低金利は0.94%であり、ネット銀行よりも低金利です。

三菱UFJ銀行がリードする10年固定金利

三菱UFJ銀行は金利を上げていますが、それでも最低金利です。日本における民間金融機関住宅ローン取扱残高No.1です。今後、長期金利が再び政策修正前の水準に戻っていけば再び下がる可能性もあります。

sennich.hatenablog.com

10年固定をお勧めする人(変動と固定の折衷案として合理的)

水面下で変動金利の上昇可能性が上がってきている中で、低金利で10年間固定できる10年固定金利は変動と固定の折衷案として合理的な選択となります。

例えば、住宅の売却を想定していないけれども、10年程度で転居する可能性がある人には10年固定が向いています。売却して完済すれば金利上昇リスクは負いません。

また、50歳くらいから住宅ローンを組む人で住宅ローン控除のためにあえてローンを借りる場合には約10年間にわたって低金利で固定できれば良いので10年固定がお勧めです。

また、変動金利に当てはまるほど資金が貯められていないけれど、10年の間に貯蓄して大幅な繰り上げ返済を検討する人にも10年固定はお勧めです。

ただしその場合、11年目からの金利引き下げ幅に注目してください。適用金利の低いネット銀行には11年目からの金利引き下げ幅がかなり減ってしまう銀行が多いのです。

変動と固定の折衷案としてのミックスローンはNG

現在の金利を取り巻く環境は、非常に不安定なため、金利が大きくうごきやすいタイミングです。複数の金利タイプで審査を通しておき、直前に特定の金利タイプが高騰した場合には別の金利タイプで実行できるようにしておくことをお勧めしています。

その延長線上の考え方で、固定金利と変動金利をミックスしようと考える人もいます(複合型ローンやミックスローン)。しかし、そうしたリスクヘッジの動機で金利タイプをミックスすることはお勧めしません。

支払額が安くなるように変動をミックスするならば、おのずと変動金利で借りる金額も大きくなり、結局のところ金利上昇リスクへのケアが必要になります。固定金利だけを選んでいたら不要なタスクを今後自分に課すことになります。こういうタスクは貨幣単位で測定できませんが、まぎれもなくコストです。

金利タイプを固定にするか変動にするかは住宅の所有ポリシーによって最終的には一つに決めることをお勧めします。変動か固定かを決められないのでミックスに逃げようとしていないか?ご自身の胸に手を当てて考えてみてください。

民間の35年固定はりそな銀行がトップ

超長期固定金利の35年固定も10月には上昇しました。しかし固定できる期間が長いことを鑑みれば、割安であるといえるでしょう。

35年固定金利 8月 9月 10月
りそな銀行 1.295% 1.445% 1.485%
みずほ銀行 1.480% 1.690% 1.760%
三菱UFJ銀行 1.430% 1.580% 1.700%

金利としてはりそな銀行が最低金利となっていますが、フラット35の金利引き下げ制度を加味すると、当初10年は利息負担がほとんどなくなるアルヒスーパーフラットの方がお得となります。

これから変動金利を選択する人の心構え

民間銀行としては、日銀が利上げすれば、変動金利を上げるだけで確定した利ザヤを得ることができます。そのため、民間銀行の多数派は変動金利を低金利で据え置き、変動金利へ誘導しようとするでしょう。

ただし、変動金利は私たちが金利上昇リスクを負います。つまり、「将来金利が上昇することを想定して利用する」ものであり、「将来金利が上昇しないと信じて利用する」ものではありません。むろん変動金利が上がると予想しながら変動金利を選ぶ人はいないと思いますが、そうであっても金利上昇に備えた資金の確保やマイホームの売却相場の把握を行うことを前提に、変動金利を選ぶようにしてください。

変動金利をお勧めする人=金利上昇を想定できる人

そのため、わたしが変動金利を勧めるタイプの人は「金利上昇を想定できる人」です。具体的には次のどれか1つ以上にバッチリ当てはまるという人は変動金利に向いています。

  1. 毎月返済額にかなり余裕のある人
  2. 繰り上げ返済資金が潤沢にある人
  3. 物件のリセールを想定して物件選びをしている人

3つのうち1.毎月返済額にかなり余裕があるというのは、毎月の元利均等返済額が手取り月収の3割以下という人です。最近は夫婦共働きが増えてきており、夫婦二人ならば3割以下だけども、夫単独だと4割を超えるという人が多いです。このような場合は、「かなり余裕がある」のは夫婦共働きが維持できている間だけであり、片方の収入が無くなると、全く余裕がなくなるので変動金利が向いているとまでは言えません。

次の2.繰り上げ返済資金が潤沢にあるというのは、金利が上昇したときに即座に繰り上げ返済して金利上昇を相殺できれば良いという考え方です。金利がどれだけ上がったら、いくら繰り上げ返済しなければならないか?は下記のシミュレーションでやってみてください。

ここで出ているレベルの金額を繰り上げ返済する資力が現時点であるなら、お勧めできます。ただしこの金額を見て大きなプレッシャーを感じるならば、それは金利上昇リスクが無視できない心理的な圧力になるということです。変動金利はお勧めしません。

最後の3.物件のリセールを想定して物件選びをしている人は、将来の状況によっては売却することで住宅ローンを清算することを選択肢として持っている人だとも言えます。資産の処分について一つでも選択肢が多いということは、具体的な金額として換算はできなくても、経済的な資産と同等に捉えることができます。つまり、1.の収入や2.の資金に代替しうると言えます。

金利が上昇して維持が困難と判断したら、比較的ためらうことなく任意売却を実行に移すことが出来る人です。現実的に変動金利をお勧めすることが出来ます。

3つに共通するのは現実的に「金利上昇を想定できる人」なのです。

お勧めする変動金利は5年ルールと125%ルールのあるもの

金利が上昇した場合、すぐに毎月の返済額が増えるとは限りません。これが5年ルールと125%ルールです。

  • 5年ルール:金利が上昇しても5年は従前の毎月返済額を維持する。
  • 125%ルール:6年目から毎月返済額を増加させる場合、直前の1.25倍を上限とする。

この2つのルールが適用されると、変動金利がどんなに急上昇しても5年間は毎月の返済額が増えません。ただし利息は増えますので、元金が予定どおりに減らないということになります。そのため6年目から帳尻を合わせるために毎月返済額を増やすのですが、その場合の上限は直前の1.25倍までに制限されるというものです。

この2つのルールはすべての銀行の変動金利に適用されるものではありません。例えばPayPay銀行、SBI新生銀行、ソニー銀行の変動金利にはありません。

5年ルールと125%ルールの適用がない銀行は毎月更新コロナ禍の利上げ金利先読み住宅ローンランキング - 千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答えるの「デメリット」で注意を喚起していますので確認してください。

また、5年ルールと125%ルールの適用がある銀行でも、「元金均等返済」方式を選択すると、5年ルールと125%ルールの適用がなくなるのでこれも注意が必要です。

35年、20年固定をお勧めする人のタイプ

最後に35年、20年の固定金利の金利タイプごとにお勧めする人のタイプについてまとめておきましょう。

35年固定をお勧めする人

35年固定の代表格といえばフラット35ですが、新たな金利引下げ制度として、フラット35維持保全型がスタートしています。この維持保全型は従来からあるフラット35Sとの相性が良く、併用できるケースが多いです。

またフラット35S(ZEH)が開始されていますが当初5年間年0.5%、6年目から10年目まで年0.25%引き下げとなります。

また併用ルールがポイント制に整理されたとで従来よりも複数の引下げ制度を利用できる人が増えています。

拡大された金利引下げ制度を併用することで実際にフラット35で借りる人の適用金利としては下がる人が出てくるでしょう。特にフラット35の金利引下げ制度に多く当てはまる人については35年固定がお得になります。

  • 子育て支援のターゲットになる子育て世帯
  • 高い環境性能の住宅を取得する人(Sやリノベ)
  • 維持保全に優れた住宅を取得する人(維持保全型)

20年固定をお勧めする人

20年固定は、20年で完済する計画でかつ、後述のauじぶん銀行に付帯しているガン50%保障の恩恵が高い人にお勧めです。具体的には40台から50歳未満で住宅ローンをスタートする人ですね。

しかし、最近では最低金利を出しているauじぶん銀行などよりも35年固定やフラット35の方が低金利となっているため、事実上お勧めできません。

以上、千日のブログでした。

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現在のリスクと老後破産のリスクを軽減するために、資産と負債を突き合わせて現状把握し、老後を見える化する方法について分かりやすく解説しています。

是非よんでみてください!

2023年10月12日千日太郎

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