今後金利を上げそうなのは三井住友信託銀行の10年固定金利
どうも千日です。3月の住宅ローンの金利動向は皆が注目してますね。
上がる?それともめっちゃ上がる?
こんな感じでハラハラしていると思います。2017年2月の各金融機関の住宅ローンも様々な動きをしましたね。
3月はどうなるんでしょうか?
では今日の内容です。
銀行それぞれの思惑が出た2月の金利動向
まずは1月から2月の各行の住宅ローンの動きと、その背景にある思惑を推理してみましょうか。
1月はトランプ大統領の就任があり、各行それぞれ特色のある動きをしました。
だいたい銀行は横並びで金利を上げたり下げたりするんです。それぞれ違った動きになるのはかなり珍しい事です。
10年固定を下げた三菱UFJと三井住友銀行
1月から2月にかけて金利を下げたのは三菱UFJの10年固定と三井住友銀行です。
三菱UFJ銀行は10年固定の金利を0.65%から0.5%に0.15ポイントも引き下げ、三井住友銀行は10年固定の金利を0.85%から0.75%に引き下げました。
報道では3月に集中する住宅ローンの需要を取り込むためだと言ってますよね。概ねそうなのでしょう。
据え置きのみずほ、三井住友信託、りそな
これに対して、10年固定を据え置いたのはみずほ銀行(0.85%)、三井住友信託銀行(0.5%)、りそな銀行(0.9%)です。
でもこれらの銀行も、ただの据え置きじゃありません。細かい所でそれぞれ違った動きをしてます。
三井住友信託は実は上がっている
三井住友信託銀行は期間の長い20年固定を0.95%から0.05%上げて1%としました。主力としている10年固定は据え置きながらの引き上げです。
この引上げは、日銀のイールドカーブコントロールにも通じるところがありますね。
- 短期の金利は低く
- 長期の金利は高く
という感じです。
りそな銀行は借り換えをターゲットに下げている
りそな銀行は、借り換えのWEB申込専用で10年固定を最安レベルの0.5%に設定しています。ただ当初期間が安いだけでなく、期間終了後も1.906%の引き下げとなっていて他を圧倒してます。
新規借入ではなく借り換えにターゲットを絞っている辺りが、なかなかユニークです。
それまで特段力を入れずに来たのですが、ここへ来て本気を出して来た感じですね。
それまでに他行で借りている既存の属性の高い利用者に絞って他行から引き抜こうとしているような意図を感じます。
攻めてますね。
ただ、これから借りようという人は、あまり相手にしてない感じに見えます。
なぜ三井住友信託銀行の10年固定が上がりそうなのか?
この中で千日が特に三井住友信託が上がると考える根拠は、2月に20年固定を上げてきたからではありません。
まあ、少しはありますけど主な理由ではありません。
同行の第3四半期の決算短信で示された、第4四半期の貸し出し債権の見込みと保有する有価証券の状況です。
なんか難しそう…
大丈夫です、極めてシンプルな話です。
3月にかけて住宅ローンが伸びないと見込んでいる
以下のグラフは三井住友信託銀行の2016年12月までの貸し出し債権の種類別推移を棒グラフにしたものです。
2016年12月までは個人ローン(住宅ローン)の残高を順調に伸ばしていますよね。しかし1月から3月にかけて残高の伸びは鈍ると見込んでいます。
2016年12月まで住宅ローンを増やした背景には、日銀のマイナス金利政策がスタートした2016年1月からずっと住宅ローンの10年固定金利で最安を維持してきた事があります。
皆がこぞって三井住友信託の10年固定で住宅ローンを組みました。
当初10年が変動金利よりも安い。
こういう住宅ローンはそれまで無かったんです。最も低い月で0.35%にまで下がりましたからね。規格外の安さでした。
しかし
そんな三井住友信託自身が、住宅ローンの伸びは1月から3月にかけて止まると予想しているのです。
3月のかきいれ時を控えているのに何故?
もうこれまでのように積極的に住宅ローンを取る意思が無い…
と考える事も出来るのです。
国債の代替投資として住宅ローンの獲得を狙った
三井住友信託銀行がここまで10年固定を安くしたのには理由があります。
国債の値段が上がり過ぎて利回りがマイナスになり、安全投資として国債を買えなくなってしまったからです。
だって、利回りがマイナスということは買った時点で損が確定してしまうということです。
信託銀行というのは、信託契約や遺言によって、顧客(委託者)から金銭や土地などの財産を託され、委託者が設定した信託目的に従って受益者のために信託財産の管理・処分などを業とする銀行です。
つまり、信託された財産を安全な投資で運用する必要があるんですよ。普通であれば『国債』です。
その国債の利回りがマイナスになってしまった。
困りますよね。
そこで三井住友信託銀行が目をつけたのが住宅ローンでした。
住宅ローンは我々利用者にとっては、まさに生活の基盤になるマイホームに第一順位の抵当権を設定します。
それこそ死に物狂いで返済にコミットすることが分かっています。
また、返済できなかったとしても物件を売ればほとんど回収できます。というか、回収出来ると見込んだ額までしか貸さないんです。
ですから、特に長期の投資としてメジャーな10年国債と同じ期間の10年固定金利については『少々儲けが少なくても』一定額を確保したいという考えがあったのです。
それに、住宅ローンを機会に新たなお金持ちを顧客として集めるという思惑もあったでしょう。
保有資産のうち外国債の割合が増えている
そんな三井住友信託銀行の保有する有価証券の内訳が発表されています。
注目すべきは赤い矢印の日本国債の残高とアメリカ国債の残高の2016年3月との比較です。
その他有価証券は銀行単体で9,110億円増えていますがその内訳は…
- 日本国債は3,196億円減少
- アメリカ国債は8,471億円増加
日本国債が減ったのは、先ほど書いた通り国債金利がマイナスになったので、満期で償還される分が減ったと考えられますね。
アメリカ国債が増えているのは、年末のトランプ景気で米国債の利回りが上昇し、積極的に購入に走ったからでしょう。
時価のあるその他有価証券全体での増加のほとんどはこの米国債の買い増しによるものです。
これが何を意味するか?
もう安全投資としての債券は十分にある。
こういう事ではないでしょうか?
顧客からの信託財産は有限です。無尽蔵に安い金利で貸し続ける必要など無いのです。
トランプを境に方針の転換期に入った三井住友信託銀行
いかがでしょうか。
今後も住宅ローンを取りたいのであれば、三菱UFJや三井住友銀行のようにインパクトのある利下げを2月に出すはずです。
そして、かきいれどきの3月にかけて住宅ローンの残高は期中よりも更に伸びる予想を出すはずです。
しかし、主力の10年固定の金利は据え置き、20年固定は上げてきました。また、1月から3月にかけての個人ローン(住宅ローン)残高はさほど伸びないと予測してます。
そして長期の債券への投資として米国債を買い増しして有価証券全体の残高を増やしている。
トランプ大統領の誕生を境に方針を転換し始めていると考えるのは、筋が通っていると思いますよ。
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まとめ〜複数の金融機関で審査を通しておきましょう
いかがでしたでしょうか。千日は三井住友信託銀行の中の人ではありませんので、ここで書いた事は100%憶測です。
ですから、実際には全然違う事も大いにあり得ます。
ただ、トランプ大統領を機にいろんな分野でこれまでのルールが変わりつつあります。
これまで住宅ローンの金利面でトップを走ってきた三井住友信託銀行の方針についても、これまでのルールが変わりつつある、というのはあながち外れてはいないのかな…と思います。
今、住宅ローンの利用者として出来ることとしては、複数の金融機関に審査を通しておくことでしょう。
三井住友信託銀行の10年固定で既に通している方なら、以下の二つが候補でしょう。
- 三菱UFJ銀行の10年固定0.5%
- カブドットコム証券の10年固定0.45%
三菱UFJはリアル銀行で保証料ですが、カブドットコムの方はネットなので融資手数料です。
費用のタイプが違いますので使い分ける必要があります。
- 2018年4月1日に三菱東京UFJ銀行が三菱UFJ銀行に行名を変更したのに伴い行名を更新しました。
以上、千日のブログでした。
変動金利のリスクに向き合う
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