主要大手銀行が10年固定金利を上げた3月、借換なら今のうち?4月まで待つ?
どうも千日です。住宅ローンのニュースは主要行が住宅ローンの10年固定金利を上げたことで持ち切りですね。
- カブドットコム証券:0.45%→0.5%
- 三菱UFJ銀行:0.5%→0.55%
- 三井住友信託銀行:0.5%→0.55%
- りそな銀行(借り換え専用):0.5%→0.55%
ほとんど横並びに0.05%上げて来ました。千日の読者様にも少なからずショックを受けている人が多いです。
また、フラット35の金利も0.02%上がりました。機構債の上昇の幅が0.01%だったのにそれ以上に金利が上がったことは、利用者にとっては痛い打撃です。
- 15年~20年:0.99%→1.01%
- 21年~35年:1.10%→1.12%
しかし、それでもまだまだ安いのが10年固定、フラット35なのですよね。そこで、ムクムクと出てくる考えがこれです。
来月にはまた戻すんじゃないか?
というものです。新築マンションや新築の戸建てを購入して借入という人は相手のあることですから、簡単には来月に延ばす事は出来ませんが、借り換えの場合は可能な訳です。
また、中古住宅の場合でしたら、売主さんが応じてくれればある程度は延ばすことは可能ですね。
今日は、トランプ政権下の3月の金利の動きから融資実行のタイミングをどうするべきか?という問いに答えてみたいと思います。
アメリカの利上げと日本の長期金利の動向
3月に入ってからのトピックと長期金利の推移を見てみましょう。
3月2日に米労働省が発表した、2月25日までのアメリカの失業保険の申請件数が1973年以来、約44年ぶりの低水準だったそうです。
アメリカの雇用統計で失業率が低下すると、米国内のみならず世界経済の見通しが強気になり、投資家の資金が国債からリスクの高い株式に流れます。
国債の価格が下がり、利回り(長期金利)は上昇します。
トランプ大統領は議会演説を無難にこなして支持率が急上昇し、アメリカの中央銀行であるFRBのパウエル理事はFRBの中で3月中の利上げへの支持が広がっていると述べました。
日本の長期金利は2月27日に0.055%で開始し、このアメリカの利上げムードを受けて3月2日には0.085%まで上昇した後、0.075%に戻しています。
円安ドル高の期待から国債(円)を売り、ドルを買う動きがあったということですね。
- アメリカの動向に敏感に反応しては、戻す。
こうした動きになっています。
これは日銀が引き続き10年国債利回りの金利上昇を抑える姿勢を明確に打ち出しているからなんですね。
3月のアメリカ利上げとフラット35の動向
フラット35の金利は日本の長期金利と概ね連動します。
何故かというとフラット35の融資の資金は、前の月に住宅金融支援機構が発行する機構債によって賄われるからです。投資家にとっては国債に類似の長期の安全投資なんですね。
- フラット35の金利=機構債の表面利率+事務コスト+金融機関の手数料率
こうなってます。機構債の表面利率は市場の長期金利と連動して上下しますが、事務コストなどはだいたい一定です。
3月の中旬に機構債の表面利率が発表される予定ですので、かなり正確に翌月のフラット35の金利を予測できるのです。
詳しくは金利ラボ | 千日の住宅ローン無料相談ドットコムをどうぞ。
長期金利がいったん上がった後に戻したということは、実際にアメリカの利上げによる4月のフラット35の金利には、大きく出ないと千日は見ています。
- 3月7日には30年国債の入札が予定されており、注目されている。
- 金利の上昇に対して日銀が買い入れで抑えにかかることが安心材料となっている。
こうしたことから、国債の価格は短期的に大きく下がることは無い(利回りは上がらない)ということです。
フラット35の金利の適用は4月でも、それが決まるのは3月中旬というところがミソですね。
4月の住宅ローン金利の予想についての考え方
まずハッキリさせておきたいのがこの事です。
実は俺、知ってるもんね。
という人が居たら、それはペテン師です。銀行も来月の金利をどうするか?は決めていないのですよ。
- 上げるか?
- 下げるか?
月末ギリギリまで引っ張り、他行の動向をリサーチしてギリギリに決めるんです。今回もそうでした。フラット35の金利は3月中旬で概ね決まりますけど、民間の銀行の住宅ローンの金利はギリギリまで決まりません。
なので、
- 今の段階で 、
- 銀行自身がまだどうするか分からない事を、
- 予想して決める。
コレってギャンブルなんですよね。
丁か半か?
サイコロを振る前に決めるのと同じです。
丁半バクチと同じで可能性は半々です。ギャンブルなら何回か賭けて勝ち越せば良いのですが、住宅ローンの借り換えはこの一回。
あまりお勧めはしません。
つまり
- 50%の確率で損をし、
- 50%の確率で得をする。
期待値を計算すると『ゼロ』です。悩んだ分だけ、くたびれ損という事ですね。
しかし、分かることもあります。
- 銀行がどうしたいと考えているか?という分析
- こういう場合にどう選択すべきか?という定石(セオリー)
この2つはギャンブルではありません。
『金利引き下げ競争』を終わらせたい民間金融機関
2月から3月にかけての10年固定金利の各行横並びの引き上げからわかることがあります。
従来のような、価格競争は終わりだということです。2016年のマイナス金利政策から銀行の利益はかなり圧迫されています。
2016年に大きく住宅ローンの金利を下げた理由は、国債価格が上がり過ぎて利回りがマイナスになってしまったことにあり、国債への代替投資として住宅ローンの獲得に走ったというのが千日の考えです。
- アメリカの金利が上がって、利回りの面で住宅ローンだけに集中する必要も無くなった。
- 2016年に安全投資先(国債の代替)として確保しなければならない住宅ローンはもう確保しつくした。
- 住宅販売戸数は去年の末から減少してきており、薄利多売が狙えない状況になってきており、一定の利益率の確保も重要になってきた。
上記の理由から、先月のエントリーで三井住友信託銀行が住宅ローンを上げてくるだろうと予測したのですが、その通りになりました。
予測していなかったのは三井住友信託銀行のみならず、大手銀行がほぼ横並びで金利を上げてきたことです。
つまり、この傾向が民間金融機関全体に広がってきているということが、3月の住宅ローンの動きからわかるのです。
- 上がりそうで上がらない長期金利。
- 上がりそうで上がる住宅ローン金利。
こうした状況下で利ザヤを稼ぐ方向にシフトしていくのでしょう。
アメリカの利上げは民間金融機関が住宅ローン金利を上げる大義名分になる
銀行が利益を得るには利ザヤを稼がなくてはなりません。金利商売ですから、こういうソロバンを弾くのです。
- 安く借りて高く貸す。
つまり、市場から調達する金利は安く、住宅ローンの金利は高くということです。
アメリカの利上げは、長期金利が上がる要因ですね。
銀行にとっての仕入れ値は市場の長期金利ですので、4月にこの長期金利が上がりそうだということになれば、売り値である住宅ローンの金利は上げざるを得ないということになります。
ここがフラット35との大きな違いです。
- フラット35は3月に機構債を発行して集めたお金を4月に貸す。
- 民間金融機関の住宅ローンは4月に貸すお金を4月に市場から調達する。
民間の金融機関は4月の頭に発表する住宅ローンの金利よりも市場の長期金利が上がってしまうリスクを負っていますので、実際の予測よりも若干保守的に、つまり多めに金利を上げるということが、合理的だと言えるのです。
それも主要大手銀行が横並びでやれば、お客を逃がすこともありません。
つまり、もし仮に長期金利がずっと横ばいで推移していったとしても、『アメリカの利上げ』という大義名分がありますので、さらに住宅ローンの金利を上げても非難されない状況にあるということですね。
- 銀行はいよいよ利ザヤの獲得にシフトしてきており、3月の長期金利が横ばいであっても4月の住宅ローンの金利を上げてくる。
というのが千日の予測です。
まとめ~リスクは金利だけではない
いかがでしたでしょうか。
この執筆時点で公表されている情報に基づく千日の予測です。なので、実際の金利の動きとは大いに異なってくることは十分にあり得ます。
しかし、金利の動きというのは、数多ある住宅ローンのリスクの一要素でしかない、ということも忘れないでください。
仮に、3月に融資実行を行い4月に金利が下がったとします。
うわ、損した。4月まで待っていればよかった…
これは大したリスクではありません。3月の金利で実行しても現状よりも有利だったのですから厳密には失敗ではないのです。
むしろ怖いのは以下のようなことが融資実行を遅らせている間に起こることです。
- 大病を患い、健康状態の悪化から本審査の通った融資を断られた。
- 勤め先の会社の経営が傾き、融資を断られた。
本審査に通っているからといって融資が約束されているわけではありません。融資実行までに自分の状況が悪化すれば、当然に融資を断られます。
だって返せないでしょ?
と言われたら、そこまでなんですよ。
- 2018年4月1日に三菱東京UFJ銀行が三菱UFJ銀行に行名を変更したのに伴い行名を更新しました。
以上、千日のブログでした。
トランプリスクと住宅ローンフラット35
住宅ローンのリスクに備える
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