0.05%上げた三井住友信託と三菱UFJ 0.04%下げたみずほ 各大手銀行で分かれた背景とは
どうも千日です。注目の2017年3月の住宅ローン金利に速報が入って来ました。
上げた銀行、下げた銀行、それぞれの上げ幅下げ幅で0.1%近い差が生じるという極めて珍しい状況です!
まずは、各行の動きを見て見ましょう。
三井住友信託と三菱UFJは10年以上の当初固定金利を0.05%上げた
以下は三井住友信託銀行の各期間の金利の動きです。
- 固定期間:2月金利→3月金利
- 10年固定:0.5%→0.55%
- 15年固定:0.9%→0.95%
- 20年固定:1.0%→1.05%
- 30年固定:1.05%→1.1%
三菱UFJについては2月の目玉だった10年固定金利を0.5%から3月には0.55%に上げてきましたね。
三井住友信託については前から上がると予想していましたが、ほぼその通りとなりました。
上がると予想した要素については、この記事の後半で詳しく書いていますのでご一読ください。
みずほ銀行は全期間固定プランで最大0.04%下げた
- 年数:2月金利→3月金利
- 25年:1.11%→1.08%
- 30年:1.13%→1.1%
- 35年:1.15%→1.11%
みずほ銀行は全期間固定金利で下げて来ましたね。25年と30年では0.03%下げ、35年の超長期では0.04%下げて来ました。
より長期の金利を大きく下げた。
これは注目すべきポイントですよ。
フラット35はプラス0.02%でみずほ銀行より0.01%高い結果に
みずほの35年、この期間からしておそらくですが、フラット35の金利を意識しています。
住信SBIのフラット35の3月金利は以下のように0.02%上昇しました。(かっこ内)は2月の金利です。
- 15年から20年 1.01%(0.99%)
- 21年から35年 1.12%(1.10%)
奇しくも、みずほ銀行の35年固定より0.01%だけ高いですね。
みずほ銀行はフラット35にターゲットを絞って獲得に乗り出したのでしょうか?
みずほ銀行の35 年固定には団信が付いているので同じ金利ならみずほの方が有利です(フラット35は団信は別料金)。
みずほ銀行は、少し(0.01%)下げすぎた感は否めませんね。
そういう千日も0.01%低いと予想してましたので、人の事は言えないのですが(笑)。
フラット35の過去の予測と結果については金利ラボ | 千日の住宅ローン無料相談ドットコムをどうぞ。
固定金利及び当初固定金利で各行それぞれ違う動きになった背景
2017年の1月から2月にかけて金利を下げたのは三菱UFJと三井住友銀行の10年固定でした。
その時に10年固定を据え置いたのは、みずほ、三井住友信託、りそな銀行でしたが、その据え置いた大手銀行のうち2行が全く違う動きになったんですね。
どうなってんの??
と思われる方が多いと思います。2017年3月の住宅ローン金利でこれら大手銀行でこれほどまでに対応が分かれた理由を解説しておきましょう。
ちなみに、どの銀行も変動金利は2月から3月で据え置きです。
変動なのに不動。
なんだか、皮肉ですよね(笑)。『固定』金利がこんなに上がったり下がったりしているんです。
千日のブログの読者様なら、すでにある程度の察しはついているとは思います。
2017年3月に金利を下げた銀行の背景は長期金利の低下
2月から3月にかけて住宅ローンの固定金利を下げた銀行はみずほ銀行に加え十六銀行も下げたようです。
住宅ローンの金利を下げたこれらの銀行の「下げた理由」は大きく2つです。
- 決算月である3月の住宅ローン書き入れ時に多くの融資をゲットすること。
- 長期金利は2月から3月にかけて『上がる要素が無い』こと。
一つ目は言うまでもなく営利企業として、多くの利益を獲得するためです。
二つ目がミソですね。
銀行が利益を得るには利ザヤを稼がなくてはなりません。金利商売ですから、こういうソロバンを弾くのです。
安く借りて高く貸す。
つまり、市場から調達する金利は安く、住宅ローンの金利は高くということです。
ただ、3月は書き入れ時ですから、住宅ローンの金利を下げてお客を集めたい。
じゃあ、どこまで下げられるか?というのが銀行の考慮ポイントです。
銀行にとっての仕入れ値は市場の長期金利ですので、3月にこの長期金利が上がらないと考えるなら、売り値である住宅ローンの金利は下げられるということです。
そして、最近の金利情勢を鑑みるに、3月の長期金利は上がる要素に乏しいのです。
✓日銀の金融緩和姿勢が変わらないことは市場によって確認されている。
✓20年国債の入札も好調であった。
✓3月には国債の満期による大量償還を控えており、機関投資家の需要も高い。
✓米国の長期金利の上昇は鈍化している。
【ニュース】3月大手銀行の住宅ローン金利は長期金利の低下圧力で横ばいか - 千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える
上記は、3月の大手銀行の金利は横ばいか?と予想した記事からの引用です。
『マイナス金利政策によって大手銀行の利益が圧迫されており、できれば住宅ローン金利を上げたいという銀行のニーズがあるんだけど、長期金利は上がらないから金利を上げられない。』
こういう筋書での予想だったんですね。
ですから、この3月に住宅ローンの金利を下げてきた銀行というのは、利益率を犠牲にしながら融資額と受取利息のボリュームを獲得しに来ていると読めるのです…
もう少し深く読めば、上げる銀行と下げる銀行に分かれるという予測もできたかもしれませんが、おおむね目の付け所は間違っていなかったということでヨシとしましょうか。
2017年3月に金利を上げた銀行の背景は資産運用ポリシーの転換
では、2月から3月にかけて金利を上げてきた三井住友信託銀行についてはどういう理由なのか?
これについて詳しくはこちらの記事で述べています。ほぼ千日の予測が的中したと言ってよいでしょう。
要点は以下の2つです。
- そもそも10年固定を安くしたのは国債等の安全投資の代わりだった。
- 2016年に多くの住宅ローンの融資を獲得し、これ以上集める必要性が薄れてきた。
こういうことです。
安全投資としての住宅ローン
三井住友信託銀行は『信託銀行』です。
信託銀行というのは信託契約や遺言によって、顧客(委託者)から金銭や土地などの財産を託され、委託者が設定した信託目的に従って受益者のために信託財産の管理・処分などを業とする銀行です。
つまり、信託された財産を安全な投資で運用する必要があるんですよ。普通であれば『国債』です。
日銀のマイナス金利政策によって、その国債の値段が上がり過ぎて利回りがマイナスになり、運用手段として買えなくなってしまったのです。
だって、買った瞬間に損が確定するんですから。
そこで彼らが目をつけたのが住宅ローンでした。特に長期の投資としてメジャーな10年国債と同じ期間の10年固定金利については『少々儲けが少なくても』一定額を確保したいという考えがあったのです。
2016年にもう十分に住宅ローンを確保した
それで三井住友信託銀行は、2016年の初頭からずーっと10年固定については最安金利を出して、住宅ローンの顧客をかき集めたんですね。
しかし、それにも限りというものがあります。
信託している財産がその上限です。
運用対象とする資産以上に住宅ローンを貸したら、今度は金融市場から資金を「借りて」住宅ローンを貸さなくてはならないですよね?
もともと儲けようとして低金利にしている訳ではありません。
ですから、国債の代わりになるくらいに十分に住宅ローンが集まったら、もうこれ以上10年固定金利を低金利で貸し続ける必要は無いのです。
それが2016年度第三四半期で決算発表で公表した2017年1月から3月の融資残高に表れていたのです。
上記のグラフは融資残高の推移です。2017年3月末の計画では個人ローン(=住宅ローン)が伸びてはいますが、それまでの伸びよりも明らかに鈍いです。
- これまでのように住宅ローンを獲得するつもりは無い。
こういう銀行の意思が計画の数値に表れているということです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。3月に融資の実行を控えていて金利を上げた銀行でしか本審査に通していなかった…という方はいませんか?
今からでもすぐに仮審査に出せば、引渡し日までに間に合うかもしれません。(できれば、前もって複数の金融機関に出しておくことを千日のブログではお勧めしています。)
トランプ大統領の誕生から、明らかに金利動向は潮目が変わっています。なかなか予測しずらい状況というのは、今後も続くでしょう。
4月以降に融資の実行を予定している方も、今回の結果を踏まえて複数の金融機関、金利タイプで審査を出しておくことをお勧めします。
なお、借換についてはこちらをご一読ください。
- 2018年4月1日に三菱東京UFJ銀行が三菱UFJ銀行に行名を変更したのに伴い行名を更新しました。
以上、千日のブログでした。
トランプリスクと住宅ローンフラット35
住宅ローンのリスクに備える
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