2017年3月の大手銀行の住宅ローン金利はどうなる?
どうも千日です。来月3月の大手銀行が発表する住宅ローンの金利予想について、そろそろ気になるタイミングになってきましたね。
2月半ばまでの長期金利の動向を見て『こりゃ上がるな』と、かなり悲観的になっていた人も多いのではないでしょうか。しかし先週末あたりからガラッと様相が変わってきましたよね。
- 先週の新発10年物国債利回りは0.085%で開始して一時は0.95%まで上がりました。
- しかし、その後の21日に行われた流動性供給入札には多くの応募が殺到し、
- その後23日に20年国債が発行され、これも好調。
- 日銀が指値オペの実施日と購入額の予告をすると債券に買いが殺到し、債券価格が上がることで利回りは低下し、一時0.055%という1月24日以来の水準まで低下しました。
この1月24日というのは、2月の機構債の金利(フラット35の基準になる金利)が発表された時と同じタイミングです。
3月の住宅ローン金利はどうなる?
今日は、この一連の動きの背景から、2017年3月の大手銀行の住宅ローン金利の動向についてひも解いてみたいと思います。
続報
米国トランプ相場の煽りで上がりすぎた長期金利が戻り始めた
ここ最近の日本の長期金利の上昇は、トランプ相場によってアメリカの長期金利に引っ張られたような感じなんですよね。
つまり、この3段階です。
- 2016年11月にトランプ氏が大統領に当選して、経済政策と減税への期待からアメリカの国債利回りが上昇。
- 安全投資として日本国債を購入していた投資家は日本国債を売ってアメリカ国債を買う動きに発展した。
- 日本国債は売られて価格を下げ、利回りが上昇した。(債券価格が下がると利回りが上がる)
なんで債券価格が下がると金利(利回り)が上がるの?
たとえば、額面100円の10年国債に額面に対して2%という金利が付いているとします。
額面100円の国債が95円に値下がりしている時に買えば、毎年2円の利息を受け取る上に10年後の満期で額面の100円が返ってきますよね。
購入価格との差額である5円が値上り(キャピタルゲイン)として儲かります。
つまり、95円投資して毎年2.5円の利益ですから、2.5÷95で運用利回りは2.6%です。
- 債券価格100円なら利回り2%
- 債券価格95円なら利回り2.6%
債券価格が下がると金利(利回り)が上がるのは、こうした理由によるものなんです。
詳しくは金利ラボ | 千日の住宅ローン無料相談ドットコムで分かりやすく解説しています。
売られすぎた日本の国債が再び買われ始めた。
こういう動きが、先週末にかけて見られたのですね。
日銀の金融調節姿勢を市場が信用し始めた
千日は、こういうことではないかと思っています。2月3日の午前ごろに一度、国債が大量に売られて価格を下げ、長期金利が一時0.15%まで上がった瞬間がありました。
日銀は即座に「指値オペ」と呼ばれる日銀が指定した利回りで無制限に国債を買い入れるオペレーションを実行し、急騰していた10年物国債の金利を0.09%にまで下落させて食い止めたのです。
- おそらく市場が日銀を試した。
千日はそんな風に見ました。周囲の見方として、日銀はそろそろ利上げに踏み切るんじゃないか?このまま金融緩和を続けるのは難しいんじゃないか?という疑念が根強くあったのです。
一方で黒田総裁の発言としては、ほぼ一貫しています。
- 海外の金利上昇で長短金利操作目標を上げるのは時期尚早だ。
- 物価安定目標(2%)の実現のために金融緩和を進める。
- 日銀の金融政策は2%目標の早期実現のためであり、為替操作が目的ではない。
発言だけでなく、実際に金利の上昇局面でどう動くかというのを試したのでしょう。
その結果、
- 国債価格は当面の間は簡単には落ちない。
こういう安心感が2月23日の20年国債の入札にも良い影響を与えたのだと思います。
大手銀行が住宅ローンの金利を決定するタイミング
大手銀行が住宅ローンの適用金利を決めるのは前月末です。ソニー銀行を除いては、ぎりぎりまで市場の金利動向を見て3月の金利を決定します。
住宅ローンは月初に発表した金利がその月の間ずっと適用されますので、銀行はその間の金利変動リスクを負っているんですね。
例えば、
- 月の初めに発表した住宅ローン金利よりもその後の長期金利が上がったら?
⇒銀行はお客に貸す住宅ローンよりも高い金利で市場からお金を借りて、住宅ローンを貸すことになります。損は銀行が被るのです。
ここまで極端なことが起こることは考えにくいですが、銀行としては来月1カ月の金利の動向を考えて住宅ローンの金利を決めるので、ギリギリまで発表しないのですね。
長期金利の低下圧力がある中で住宅ローンの金利は上げにくい
月曜日から、いよいよ3月の金利をいくらにするかという決定が銀行内で行われるのでしょう。
まだ、決まっていないことではありますが、千日の見込みとしては「金利は上げたいが上げられない」という状況になりそうだと思っています。
- 日銀の金融緩和姿勢が変わらないことは市場によって確認されている。
- 20年国債の入札も好調であった。
- 3月には国債の満期による大量償還を控えており、機関投資家の需要も高い。
- 米国の長期金利の上昇は鈍化している。
客観的に見て、3月に長期金利が上がる要素に乏しいのです。
そんな時に、住宅ローンの金利を前月よりも上げるというのは、もちろん銀行の自由ですけど「ああ、この銀行は利用者よりも自行の収益性を優先させたね。」ということが如実にわかるということです。
- 特に、1月から2月にかけて金利を下げてきた三菱UFJ銀行と三井住友銀行については、上げるのは難しくなっているでしょう。
- また、千日が『今後金利を上げそうだ』と予想した三井住友信託銀行の10年固定についても、上昇が食い止められる可能性があります。
Sponsored Link
まとめ~月曜から金利に影響しそうなイベント
いかがでしたでしょうか。
あくまで、この予想は千日個人が執筆時点(2017年2月26日)で公表されている情報に基づいて予測したものです。
ですから、実際の大手銀行の金利の動きは、ここで書いたものと異なってくる可能性は大いにあり得ます。
なお、月曜日以降、金利に影響しそうなイベントは下記のとおりです。
2017年2月28日:
- 日銀が「当面の長期国債等の買い入れの運営について」を発表。
- 財務省が2年利付国債の入札実施。
- トランプ大統領が議会で演説予定。
2017年3月2日:
- 財務省が10年利付国債の入札実施。
2017年3月3日:
- イエレン連邦準備制度理事会(アメリカの中央銀行)の講演。
2月28日の日銀の発表によって、ひっくり返るような話が出てこない限りは、このまま長期金利の低下圧力は続くだろうと思われます。
- 2018年4月1日に三菱東京UFJ銀行が三菱UFJ銀行に行名を変更したのに伴い行名を更新しました。
以上、千日のブログでした。
トランプリスクと住宅ローンフラット35
住宅ローンのリスクに備える
千日の住宅ローン無料相談.comの関連記事