元金均等と元利均等のどちらが得か?住宅ローン控除も加味して考えよう
どうも千日です。住宅ローンの元利均等と元金均等はどちらが得か?ということを書いている既存サイトは多いです。
しかし、住宅ローン控除も加味して解説しているサイトはなぜか無いですね。
ということで、千日が書いておこうと思います。シミュレーションすれば自ずと答えが出てくるんです。
結論を先に書くと、住宅ローン控除で両者の支払い利息の差が打ち消されて、僅差で元金均等が得になることが多いです。
金利と期間によっては元利均等の方が得になることもあります。
この記事で得とは、利息と住宅ローン控除を差引(ネット)したローンの費用が安いということです。
では、始めましょう。
目次
元金均等返済と元利均等返済とは
借入金(住宅ローン)の元金と利息の返済額の計算方法です。元金(がんきん)均等返済にしたいと考える人は元利(がんり)均等返済より得だと聞いた、というのが理由のようです。
銀行は元利均等返済を勧めるのが普通で、元利均等返済の方が審査に通りやすいです。どう違うのかを見てみましょう。
元金均等返済とは
元金均等返済とは、毎回支払う「元金」部分が均等になる返済方法です。
毎回の返済額は、元金部分に残高に対する利息額を上乗せして支払いますので残高が減っていくに従い利息額も減っていきます。
当初の返済額が一番多く、将来の返済額は少なくなっていきます。元利均等返済と比較すると、当初の支払額の負担が重くなりますが、元金部分の減り方は早くなります。
- 毎月支払う返済額のうち、元金の額が一定です。
- 元利均等返済に比べ元金の減少が早いため、返済期間の後半になるにつれて、毎月の返済額は少なくなります。
- 元利均等返済に比べて、元金の減少が早いため、総支払利息や総支払額が少なくてすみます。
- 元利均等返済よりも当初の返済額が多いため、借入時に必要な収入は高くなり審査は通常元利均等返済よりも厳しくなります。
元利均等返済とは
毎回の返済額が同じ額になる返済方法です。
元金と利息の合計額が同じになるように計算されているためです。つまり「元利」が均等になるようになっています。金利が変わらない限りは、毎回の返済額が一定になりますので、返済計画が立てやすいのがメリットです。
毎回の返済額は一定ですが、元金部分と利息部分の内訳が、前半は利息部分が多く元金部分が少ないため、元金の減り方は遅くなります。
- 毎月支払う利息と元金の合計返済額が一定です。
- 前半は、元利均等返済に比べ元金の減少が遅いため、返済期間の前半には借入残高があまり減りません。
- 返済計画が立てやすく、元金均等返済に比べて当初の返済額を少なくすることができますので、元金均等返済よりも審査に通りやすいです。
住宅ローン控除とは
住宅ローン控除の正式名称は住宅等借入金特別控除といいます。
各年の12月31日のローン残高×1%をその年の所得税からマイナスする効果です。
新築・中古マンションの購入又は要件を満たすリノベーションやリフォームをして、6カ月以内に住み始め、住宅又はリフォームローンを借りている人は、以後10年間の各年分の所得税から年度末の借入金残高の1%の額を控除することが出来ます。
ですから、12月31日の住宅ローンの残高が多い方が、得をするということです。
- 10年間は繰り上げ返済しない方が良い。
このセオリーは、住宅ローン控除の恩恵を最大限に受けるための返済方法として広く知られていますね。
ということは?
- 元金均等返済=元金の減少が早いので住宅ローン控除の面では不利
- 元利均等返済=前半の元金の減少が遅いので住宅ローン控除の面では有利
ということになりますね。
利息と住宅ローン控除の両方を加味して比較
ですから、常にどんな状況でも元金均等返済が安いとは限らないんですよ。住宅ローンの金利と借入期間によっては元利均等返済の方が安いケースもあるということですね。
住宅ローン控除を考慮したこのセオリーを分かっていればこういうことは分かるんですけど、あまり検証しているブログは無いのでやってみましょう。
元金均等返済で1千万円を金利0.93%で返済の利息と住宅ローン控除
- 利息 70万1千円
- 住宅ローン控除 63万3千円
- 差引費用 6万8千円
元利均等返済で1千万円を金利0.93%で返済の利息と住宅ローン控除
- 利息 71万7千円
- 住宅ローン控除 64万6千円
- 差引費用 7万1千円
元金均等返済の方が3千円、費用は安くなりますね。かなりの僅差です。これだったら審査の通りやすい元利均等返済を選ぶのが妥当な感じがします。
住宅ローン控除が利息と逆方向に作用するので、元金均等と元利均等の利息の差を小さくしている。
ちなみに住宅ローン控除のある当初10年で比較すると以下のようになります。
元金均等返済で1千万円を金利0.93%で返済の当初10年の利息と住宅ローン控除
- 利息 62万2千円
- 住宅ローン控除 63万3千円
- 差引費用 △9千円
元利均等返済で1千万円を金利0.93%で返済の当初10年の利息と住宅ローン控除
- 利息 63万4千円
- 住宅ローン控除 64万6千円
- 差引費用 △1万 2千円
当初10年では3千円、元利均等返済の方が安くなりますね。僅差ですね。これを加味して千日の考える賢い返済方法はこうです。
- 元利均等返済を選ぶ。
- 住宅ローン控除のある10年間は繰り上げ返済しない。
- 住宅ローン控除が終わってから繰り上げ返済したければする。
そもそも、金利が安いので急いで返済する必要はないと思いますよ。借金は普通良くないものと言われますけど、わたしは住宅ローンは良い借金だと思っています。
いざという時の備えに預金を持っておく。その保険のためのコストと考えれば、住宅ローンの金利は安いものです。
元金均等返済と元利均等返済の費用がイコールになる金利と期間の組み合わせとは
元金均等返済と元利均等返済のどっちが良いか?トータルコストとは別の切り口から結論が出ているのですが、気になると思いますので書いておきますね。
返済期間15年なら金利0.78%の利息と住宅ローン控除の差引額は元金均等返済と元利均等返済で等しくなります(当初借入1,000万円で費用は-4万5千円)。
返済期間20年なら金利0.53%の利息と住宅ローン控除の差引額は元金均等返済と元利均等返済で等しくなります(当初借入1,000万円で費用は-19万2千円)。
返済期間が長くなるほど両者が等しくなる金利は低くなりますので、繰り上げ返済せずに通常の35年ローンで返す場合は元金均等返済が安くなるのがセオリーですね。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。千日が住宅ローンを借りた当時の2008年の住宅ローン控除は上限が20万円(一般住宅)でしたので、こういうことは考えませんでしたけど、今の住宅ローン控除の上限は40万円~50万円なのでかなり影響してきますね。
今の住宅ローンの金利を考える際には、住宅ローン控除との兼ね合いを無視できなくなっています。
住宅ローン控除の規定は結構ややこしいです。あやふやな判断ではなく、ソースのしっかりした情報に基づいて判断する必要があります。
こちらで分かりやすく解説していますけど、わかりにくい所があったら遠慮なくメールやコメントを寄せて下さいね。
- 2016年11月1日に金利の情報を更新しました。
- 2017年10月8日に内容を見直し、アップデートしました。
以上、千日のブログでした。
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借り換え | 20代借換 | 30代借換 | 40代借換 | 50代借換 |
団信 | 20代団信 | 30代団信 | 40代団信 | 50代団信 |
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