後から住宅ローンで慌てない!審査に通る金額と上限の両方を事前に把握しておくべし
どうも千日です。金融機関の審査は通常、物件が決まって申込金などを払ってから行うのが普通です。
自分にとって理想を家を見つけるまでのプロセスについては、私の著書の家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本でも、解説していますが、人によってはまる1年くらいかけて探す人も珍しくありません。
こちらの記事が参考になると思います。
なのに…
せっかく見つけた家で審査に通らなかった!
こんなケースも少なくないのです。
事前に確実に審査に通る住宅ローンの金額を知っておけば、こうしたことにならなかったはずですね。
収入と年齢から適正なローンの金額を知る方法
金融機関が審査する項目というのは多岐にわたりますが、2つの側面から判断しています。
- 借りる人はちゃんと完済できそうか?
- 担保となる不動産の売却価値は十分か?
2.の担保となる不動産については、家を決めないと決まりませんけど、1.の借りる人については、もう決まってますよね?
なので、1.の借りる人、すなわち自分自身ですけど、自分が幾らまでならちゃんと完済できるのか?ということを客観的な基準で割り出すということが出来れば良いのです。
そして、人的な側面から考えた場合、
- 収入
- 年齢
この二つの要素で、ほぼ貸付できる金額が割り出せるのですよ。
4つのルールに当てはめてシミュレーションする
私の著書の家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本の第2章で書いている「無理なく買える家か?」の判定方法がそのまま使えるんですよね。
シミュレーションのルールは以下の4つです。
- 毎月の返済は手取り月収の4割以下でボーナス払いなし
- 返済額が一定になる元利均等返済方式
- シミュレーションの金利は固定金利(2018年フラット35の予想金利は1.38%)
- 定年時のローン残高は1000万円以下
固定金利を1.38%とすると、月収と年齢でざっくりとした目安をつくることが出来ます。下表は頭金ゼロで購入できる家の値段の表です。
言い換えれば無理なく返済できる住宅ローンの金額ということになります。
(単位:万円)
年齢/月収 | 15万 | 20万 | 25万 | 30万 | 35万 | 40万 |
25歳 | 1997 | 2663 | 3329 | 3995 | 4661 | 5327 |
30歳 | 1997 | 2663 | 3329 | 3995 | 4661 | 5327 |
35歳 | 1997 | 2663 | 2972 | 3535 | 4125 | 4714 |
40歳 | 1997 | 2357 | 2630 | 3043 | 3550 | 4057 |
45歳 | 1768 | 2029 | 2263 | 2515 | 2934 | 3354 |
前提条件:元利均等返済、ボーナス払いなし、定年60歳、固定金利1.38%
youtubeでも解説しているので、良かったら観てくださいね。
固定金利を1.38%と予想している理由は
この表の固定金利は1.38%になっています。
これは2018年の固定金利として代表的なフラット35の金利を1.38%(団信込み)と予想しているためです。
日銀はイールドカーブ・コントロール政策で10年国債市場に介入して債券の利回りを0%程度で推移させるように操作していますが、住宅金融支援機構もまた、フラット35の金利が安定推移するよう操作をしているというのが千日の推理です。
この前提が変わってくると、当然この表も変わってきますが、今のところ私の予想通りに推移していますね。
手取り月収でシミュレーションすべき理由
金融機関の審査では額面年収に対する年間の返済額の割合(返済負担率)がクローズアップされることが多いですが、実際には毎月の手取り月収で毎月の住宅ローンの返済を行っていくのです。
同じ年収であっても、ボーナスの割合が多い人か、ボーナスの割合が少ない人かによって毎月の手取り収入が違ってきます。
また扶養家族によっても天引きされる所得税は違ってきますので毎月の手取り収入が違ってきます。
つまり、年収ではなく手取り月収で判断する方が、より実践的なんです。
ちなみに手取り月収の4割というのは、平均的なサラリーマンの月収を前提にした場合の目安です。
- 月収が少ない人にとってこの4割は高いハードルになるでしょう。
- 逆に月収が高い人にとっては比較的低いハードルです。
元利均等返済でシミュレーションすべき理由
元利均等返済とは毎月の返済額が一定になるようにする返済方式です。最初は利息が多いですので元本の減りが遅いのですが、後半になると元本の減りが早くなっていきます。
元金均等返済とは毎月の元本の返済額が一定になるようにする返済方式です。最初は利息が多いですから元本+利息の支払いが多いですが、後半になると、利息が少なくなりますので支払は減っていきます。
支払利息の面では、元金均等返済が少なくなるのですが、住宅ローン控除がありますよね。住宅ローン控除は前半10年の元本が多い方が恩恵が多いです。なので、費用面では元利均等返済と元金均等返済にはさほどの差が無いのが実情なんですよ。
そして、毎月の支払を一定にすることが資金繰りの面では安全です。
そうしたことから、千日は「元利均等」での返済をお勧めしています。
固定金利でシミュレーションすべき理由
だいたい営業マンが変動金利でシミュレーションしてくると思うのですが、変動金利には金利の変動リスクがあります。
ですから、その変動リスクに対応するために…
- 毎月の返済額に余裕を持っておく。
- 金利が上がった時のために繰上げ返済資金を準備しておく。
この2つの対応が必要になるのですね。
毎月の返済額に余裕を持っておくためのルールは、2つの「4」です。
- 毎月の返済額の4分の1を繰上げ返済用に貯蓄する。
- 毎月の返済額と上記貯蓄を合わせて手取り月収の4割以下にする。
そして、いざ金利が上がったタイミングで、幾らの繰上げ返済が必要なのか?というのはある程度、今の時点から想定しておくことが出来ます。
まだ、どの家を買うのか決まっていない段階でここまでのことをシミュレーションするのは大変です。
なので、事前の段階では、金利変動リスクへの対応を考える必要の無い固定金利でシミュレーションしておけば良いということですね。
それに、2018年の固定金利の予想水準(1.38%前後)であれば、固定金利の方がそのハードルは低くなるのです。
定年時の残高を1000万円以下にすべき理由
一般的なサラリーマンの年収で1000万円を貯めるというのは結構大変ですよね。つまり、定年退職の時点でローン残高が1000万円残っていると、老後破産のリスクが高まるからです。
今30代、40代のひとたちが受け取る年金の支給時期というのは、65歳からとは限りませんよ。
- もっと後になっている可能性が高いです。
- そして支給額も今より少なくなる可能性が高いです。
なので、現役中の収入だけで全額完済する前提での資金計画としておくことが大事なんですよ。
となると、定年退職時のローン残高というのは、今の時点から
無理なく
現実的に
貯蓄できそうな金額
である必要があるんですよね。
そういうところから、概ね1000万円と言う数字が導き出されるということです。
なので、一律に1000万ということではなく、自分の現時点の収入のレベルや定年までの年数によっても違ってくると思います。
年齢別に重点を置くべきポイントは違ってくる
前出の表は機械的に収入と定年(60歳)までの年数で計算した一覧表です。
収入はずっと変わらない前提です。しかし、実際にはそうじゃありませんよね。なのであくまで目安として考えてもらえれば良いのかなと思います。
もう少し細かく見ていこうと思えば出来ないことはありませんよ。年齢ごとに重点を置くポイントは違ってくるのです。
20代からスタートする住宅ローンは?
私が連載している住宅ローンの窓口ONLINEで以下の式を公開しています。
20代で無理なく返せる住宅ローン=現時点の税込み年収×0.191×35年
20代からスタートする住宅ローンでは年齢的には60歳までに完済できますので、非常にシンプルに計算できるんですよね。繰上げ返済のことを考えなくて良いのです。
30代からスタートする住宅ローンは?
以下の式を公開しています。
30代の住宅ローン=現時点の税込み年収×0.17×退職までの年数+1000万円
30代からスタートする住宅ローンで最長の35年返済とすると、定年の60歳ではまだ残高が残ることになります。この残高を1000万円以下にするというのがポイントになるのですね。
40代からスタートする住宅ローンは?
以下の式を公開しています。
40代の住宅ローン=現時点の税込み年収×0.19×退職までの年数+1000万円
40代からスタートする住宅ローンで最長の35年返済とすると、定年の60歳で残高が残るのは30代と同じです。
ちょっと違うのは、40代からスタートする住宅ローンでは多くの人が20年程度の固定期間で良いということです。
つまり、完済するまでの期間が20代、30代よりも格段に短くなる代わりに金利の変動リスクはすこし低くなるんですね。その代わり…
- ローンの残高が多いうちに年齢が高くなり病気のリスクが高まる。
- ローンの残高が多いうちに両親の介護リスクが高まる。
- ローンの残高が多いうちに子どもが大学入学するなど学費の支出が増える。
こうしたリスクが高いという点に注意が必要なのです。
50代からスタートする住宅ローンは?
以下の式を公開しています。住宅ローンというよりは、家の値段という切り口になっていますね。
50代から購入する家の値段=現時点の税込み年収×0.17×退職までの年数+自己資金
50代からスタートする住宅ローンでは年齢的には60歳までに10年を切るケースが多いです。ローンというよりは、自己資金に重点を置いた資金計画になってきます。
あえて完済をしないリバースモーゲージという選択肢もアリですね 。
まとめ~住宅ローンの適正金額と上限額の両方を把握
返せる金額と老後を生きられる金額は違います。千日メソッドでは、住宅ローンを完済したうえで、老後を生きられる計画を立てます。
この記事の前提で割り出した住宅ローンの金額を把握しておけば、
- あとから本審査で借りられなかったとか…
- 実際に借りた後に返済が苦しくなってしまったとか…
そんな想定外を未然に防ぐことが出来るでしょう。保守的な金額と言えます。
また、フラット35を取り扱うモーゲージバンクのaruhi(アルヒ)では、
物件が決まっていなくても、
幾らまで融資できるか?
事前審査を最短1営業日で回答するサービスを2017年12月から開始しています。
こちらのサービスでは、この千日メソッドでの計算結果よりも多めの融資可能額が出てくるはずです。
沢山融資した方が儲かるからです。つまりチャレンジングな金額が出ます。
なので、
- 無理なく完済して老後を生きられる住宅ローンの適正金額。
- 現時点でギリギリ融資可能な住宅ローンの上限。
この両方を把握しておくと、良いでしょうね。
千日太郎と出会った皆様が、家の購入と住宅ローンの選択に正しい道筋を見つけ、ご家族と素敵な人生を歩まれることを祈っています。
以上、千日のブログでした。
《あとがき》
千日のブログで紹介しているマイホームの購入と住宅ローンのノウハウを一冊にまとめたのがこちらの本です。
全国の大型書店と通販で発売中です。ブログでは、さまざまなエントリーに分散してしまいがちな情報を分かりやすく整理し、よりすぐりのノウハウと考え方をまとめた本です。
是非ぜひ、お手にとって頂ければ嬉しいです!
2018年3月6日
毎月更新!千日太郎の金利先読み住宅ローンランキング
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ランキング | 年齢 | |||
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20代 | 30代 | 40代 | 50代以上 | |
新規借入 | 20代800未満 | 30代600未満 | 40代600未満 | 50代1000未満 |
30代600~1200 | 40代600~1200 | 50代1000以上 | ||
20代800以上 | 30代1200以上 | 40代1200以上 | ||
借り換え | 20代借換 | 30代借換 | 40代借換 | 50代借換 |
団信 | 20代団信 | 30代団信 | 40代団信 | 50代団信 |
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