2024年8月3日公開 8月26日最終更新
どうも千日です。日銀は7月30日31日の会合で短期政策金利を0~0.1%から0.25%へ0.15ポイントの引き上げを決めました。この決定を受け、メガバンク3行は普通預金の金利引き上げを相次いで発表しており、三菱UFJ銀行は9月2日から年0.02%から0.10%へ引き上げるとしています。
また三井住友銀行とみずほ銀行は、短期プライムレート(短プラ)を0.15ポイント引き上げ、1.625%にすると発表しました。これは住宅ローンの変動金利も上昇することを意味します。
千日のブログでは、毎月最新の金利動向と住宅ローンの選び方について分かりやすく解説しています。
具体的には金利タイプごとに…
- 今どの金利タイプが割安になのか?
- どんな人にどの金利タイプがお勧めか?(どういう返済計画で借りるべきか?)
普通のランキングサイトでは書かない内容が盛りだくさんなので、よろしければ参考にしてください。
また、最新の日米金利動向については下記ページで毎日更新しています。
日銀が早期の利上げに踏み切った理由と影響とは
千日太郎個人の予想としては、利上げは2025年までズレ込むと見ていましたが、フタを開ければ7月の利上げとなりました。
会合後の植田総裁への記者会見では、個人消費は底堅く今後物価が制御できないほど高騰したときに、急激な連続利上げを余儀なくされることの無いように、前もって利上げを行ったとの説明をしていました。つまり日銀としてもこれが想定よりも早期の利上げであることは認めています。
ただ、なぜ早く利上げする必要があったのか?直近の消費者物価指数は伸び悩んでおり、制御できないほど物価が上がるような可能性が高いようには見えないのです。
データによる裏付けのない回答に終始したため、記者からは為替や政治的な外圧によるものかとの質問も出たのですが、当然そのような回答をするわけもなく、ここについては十分な説明にはなっていなかったように思います。
0.5%を壁とせず利上げを続ける
利上げのタイミングについては予想を外しましたが、どこまで上がるか?という上限の目安については的中していたことが分かりました。
記者から、政策金利はこのところ0.5%を超えたことがないという指摘に対して、植田総裁は「経済・物価の情勢が見通しに沿って動いていけば、引き続き金利を上げていく。その際に0.5%を壁として意識していない」と回答しています。
ちなみに過去の利上げ事例は下記のとおりです。
- 2000年8月(ITバブル時):0%→0.25%
- 2006年7月(リーマンショック前):0%→0.25%、2007年2月:0.25%→0.5%
リーマンショック直前には2006年7月から2007年2月の8か月間で2回の利上げを行い、ゼロ%を0.5%に上げています。
つまり、経済・物価のデータ次第では年内に0.5%まで上がる可能性は十分にあるわけですね。さらに、植田総裁は0.5%を壁として意識していないということですから、さらに上がった場合の金利水準でも計算をしてみる必要があります。
上振れした場合の予想としてはさらに2段階上昇するとして、1.0%くらいまで行く可能性があると考えています。
株安で副総裁がハト派へ
植田総裁の0.5%を壁として意識しないという会見での発言が市場に大きな衝撃となって円高と株安がすすみ、8月5日の為替は1ドル142円台、日経平均終値は前週末比4,451円28銭安の31,458円42銭。1987年10月ニューヨーク株式市場の大暴落ブラックマンデー翌日に付けた3,836円48銭をはるかに超える史上最大の下げ幅であったことが報じられました。
翌日には反動で買い戻されて記録的な上げ幅となりましたが、下落前の水準までには回復していません。
8月7日には日銀の内田副総裁が北海道函館市で記者会見し、今後の利上げについて「金融資本市場が不安定な状況で、利上げすることはない」と述べ「(日銀の)政策変更に伴って円安の修正が進んだ。これが、株価がより大きく下落した要因の一つだ」との認識を示しました。
個人的な印象としては植田総裁が前触れもなくタカ派発言を行ったことに驚きましたがここまでの株安を引き起こすとは思っていませんでした。日銀にとっては、追加利上げについてこれまでより慎重に考える要素が生じており、今後の利上げペースはかなり鈍化するものと見ています。
メガバンクが変動金利を上げる兆候を見せた
銀行業では預金業務で預かったお金を融資業務で貸し出す、その利ザヤが銀行業の利益の源泉です。既存の融資金利だけ上げても早い段階で頭打ちになると考えます。銀行としては、まずは預金利息に魅力を感じてもらって多くの預金を集め、しかる後に伸びる事業をやっている会社にどんどんお金を貸すことでドンドン儲かると考えるわけです。
日銀の利上げを受けて、メガバンク3行は普通預金の金利引き上げを相次いで発表しています。三菱UFJ銀行は年0.02%から0.10%へ引き上げるとしています。つまり、これは変動金利を上げる分かりやすい兆候と言えるでしょう。
そして、メガバンク3行は、ほぼ同時に9月からの短期プライムレートの引き上げ方針も公表しています。引き上げ幅は0.15ポイントですので、日銀の短期政策金利と同じ上げ幅です。
変動金利の基準金利も同じ幅の0.15ポイント上昇する可能性が高いと見てよいでしょう。最終的には全ての銀行が同じような対応になると見ています。
ただし、今回の利上げは想定よりも早期の利上げであり、ゼロ金利時代の感覚を色濃く残した状態での利上げであるため、銀行によってはその対応に差が出る可能性があります。
変動金利を上げない銀行も出てくる
住宅ローンの適用金利は基準金利から値引きにあたる引き下げ幅が適用されて決まります。基準金利を0.15ポイント上げて、それと同じ0.15ポイント引き下げ幅を増やせば適用金利はそのままです。
引き続き、住宅ローンの新規利用者を獲得したい銀行は、上記の方法を使って変動金利を低いままに抑える可能性もあります。
YouTubeでは下表の一覧を使って、詳しく解説しています。よろしければチェックしてみてください。
SBI新生銀行が短期プライムレートを0.15%引き上げるとのプレスリリースを公開しています。ただし、同行の基準金利は指標とする特定の市場金利はなく銀行独自の判断で決定しているとしています。住宅ローンについては短プラに連動しない可能性も残されているため、来月に注目したいと思います。
固定金利を下げる銀行も出てくる
また、変動金利が横並びで上がるタイミングには、固定金利への借り換えニーズが高まるタイミングでもあります。
変動金利の水準が上げれば、固定金利も同様に上がることになるのですが、まだゼロ金利時代の感覚を引きずった低金利ではあるのです。
こうした変動から固定に乗り換えたい住宅ローン利用者を受け皿とする銀行が出てくる可能性があるのです。
金利ある世界への過渡期にお勧めする住宅ローン
では、今後の変動金利上昇を踏まえてどんな住宅ローンがリスクヘッジになるのか?解説します。
メガバンクの変動金利でリスクヘッジ
三菱UFJ銀行はメガバンクでありながらネット銀行並みの低金利であり、金利動向については他行をリードするポジションにあります。
三菱UFJ銀行が金利を上げるタイミングは、他行も同様に上げるタイミングであり、三菱UFJ銀行が金利を上げる幅は、他行も金利を上げる幅になるだろうと見ています。横並びの基準になる銀行の一つです。
さらに1日の入院でも住宅ローンがゼロ円になる疾病保障付団信が魅力です。sennich.hatenablog.com
フラット35は金利上昇を抑えるのでリスクヘッジできる
フラット35は独立行政法人である住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。
この機構債はフラ()35の融資を実行する前月の20日前後に表面利率を発表し募集します。投資家は機構債を安全資産という考えで購入しますので、その表面利率は10年国債の利回り(長期金利)に連動する建前となっています。つまり融資実行月の前月に実質的な住宅ローンの金利が決まるということです。
つまり7月31日の日銀利上げの影響がある前の段階で金利が決まっているわけですね。特にお勧めはARUHIスーパーフラットです。7月から8月にかけては、長期金利が0.07ポイント上昇したのに、住宅ローンの金利はほぼ横ばいとなっています。
フラット35買取型 | 6月 | 7月 | 8月 | 動き |
ARUHIフラット35(買取型) | 1.85% | 1.84% | 1.85% | +0.01% |
フラット35保証型 | 6月 | 7月 | 8月 | 動き |
ARUHIスーパーフラット9 | 1.56% | 1.55% | 1.56% | +0.01% |
ARUHIスーパーフラット8 | 1.44% | 1.43% | 1.44% | +0.01% |
ARUHIスーパーフラット7 | 1.43% | 1.42% | 1.43% | +0.01% |
ARUHIスーパーフラット6 | 1.42% | 1.41% | 1.42% | +0.01% |
住信SBI保証型90% | 1.84% | 1.83% | 1.84% | +0.01% |
住信SBI保証型80% | 1.78% | 1.77% | 1.78% | +0.01% |
さらにフラット35の金利は2024年2月の資金受取分から新しい金利引き下げ制度、子育てプラスがスタートします。金利引き下げの上限が年1%まで引き上げられており、子育て世帯はポイントの獲得によってさらに金利引き下げを得られます。
つまり、公的融資のフラット35は、金利が決まるタイミングと国の少子化対策の両面から長期金利の上昇リスクをヘッジできる住宅ローンなのです。
今のところ、ARUHIの保証型であるスーパーフラットは買取型よりも低金利を維持しています。子育て世帯には特にお勧めします。
ウェブで手続きすれば融資手数料が割引となります。また、団信不加入とすることで団信込みの金利から0.28%引き下げられます。千日太郎がARUHIに取材したときのブログがこちらです。
変動と固定の折衷案としてのミックスローンはNG
現在の金利を取り巻く環境は、非常に不安定なため、金利が大きくうごきやすいタイミングです。複数の金利タイプで審査を通しておき、直前に特定の金利タイプが高騰した場合には別の金利タイプで実行できるようにしておくことをお勧めしています。
その延長線上の考え方で、固定金利と変動金利をミックスしようと考える人もいます(複合型ローンやミックスローン)。しかし、そうしたリスクヘッジの動機で金利タイプをミックスすることはお勧めしません。
支払額が安くなるように変動をミックスするならば、おのずと変動金利で借りる金額も大きくなり、結局のところ金利上昇リスクへのケアが必要になります。固定金利だけを選んでいたら不要なタスクを今後自分に課すことになります。こういうタスクは貨幣単位で測定できませんが、まぎれもなくコストです。
金利タイプを固定にするか変動にするかは住宅の所有ポリシーによって最終的には一つに決めることをお勧めします。変動か固定かを決められないのでミックスに逃げようとしていないか?ご自身の胸に手を当てて考えてみてください。
金利ある世界で変動金利を選択する人の心構え
民間銀行としては、日銀が利上げすれば、変動金利を上げるだけで確定した利ザヤを得ることができます。変動金利は私たちが金利上昇リスクを負います。つまり、「将来金利が上昇することを想定して利用する」ものであり、「将来金利が上昇しないと信じて利用する」ものではありません。
金利上昇に備えた資金の確保やマイホームの売却相場の把握を行うことを前提に、変動金利を選ぶようにしてください。
変動金利をお勧めする人=金利上昇を想定できる人
そのため、わたしが変動金利を勧めるタイプの人は「金利上昇を想定できる人」です。具体的には次のどれか1つ以上にバッチリ当てはまるという人は変動金利に向いています。
- 毎月返済額にかなり余裕のある人
- 繰り上げ返済資金が潤沢にある人
- 物件のリセールを想定して物件選びをしている人
3つのうち1.毎月返済額にかなり余裕があるというのは、毎月の元利均等返済額が手取り月収の3割以下という人です。最近は夫婦共働きが増えてきており、夫婦二人ならば3割以下だけども、夫単独だと4割を超えるという人が多いです。このような場合は、「かなり余裕がある」のは夫婦共働きが維持できている間だけであり、片方の収入が無くなると、全く余裕がなくなるので変動金利が向いているとまでは言えません。
次の2.繰り上げ返済資金が潤沢にあるというのは、金利が上昇したときに即座に繰り上げ返済して金利上昇を相殺できれば良いという考え方です。金利がどれだけ上がったら、いくら繰り上げ返済しなければならないか?は下記のシミュレーションアプリでやってみてください。
AI住宅ローンシミュレーターは「千日の住宅ローン無料相談ドットコム」の豊富な相談事例とロジックをAIに応用させたハイエンドなスマートフォンアプリです。
- プロフィールに応じたレーダーチャートとアドバイスにChatGPTも使える。
- 変動金利の上昇シミュレーションは元利均等と元金均等に対応する。
- 住宅ローン控除のシミュレーションは年収も加味しペアローンにも対応する。
金利上昇に合わせて必要な繰り上げ返済する資力があるなら、お勧めできます。ただしこの金額を見て大きなプレッシャーを感じるならば、それは金利上昇リスクが無視できない心理的な圧力になるということです。変動金利はお勧めしません。
最後の3.物件のリセールを想定して物件選びをしている人は、将来の状況によっては売却することで住宅ローンを清算することを選択肢として持っている人だとも言えます。資産の処分について一つでも選択肢が多いということは、具体的な金額として換算はできなくても、経済的な資産と同等に捉えることができます。つまり、1.の収入や2.の資金に代替しうると言えます。
金利が上昇して維持が困難と判断したら、比較的ためらうことなく任意売却を実行に移すことが出来る人です。現実的に変動金利をお勧めすることが出来ます。
3つに共通するのは現実的に「金利上昇を想定できる人」なのです。
お勧めする変動金利は5年ルールと125%ルールのあるもの
金利が上昇した場合、すぐに毎月の返済額が増えるとは限りません。これが5年ルールと125%ルールです。
- 5年ルール:金利が上昇しても5年は従前の毎月返済額を維持する。
- 125%ルール:6年目から毎月返済額を増加させる場合、直前の1.25倍を上限とする。
この2つのルールが適用されると、変動金利がどんなに急上昇しても5年間は毎月の返済額が増えません。ただし利息は増えますので、元金が予定どおりに減らないということになります。そのため6年目から帳尻を合わせるために毎月返済額を増やすのですが、その場合の上限は直前の1.25倍までに制限されるというものです。
この2つのルールはすべての銀行の変動金利に適用されるものではありません。例えばPayPay銀行、SBI新生銀行、ソニー銀行の変動金利にはありません。
5年ルールと125%ルールの適用がない銀行は毎月更新コロナ禍の利上げ金利先読み住宅ローンランキング - 千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答えるの「デメリット」で注意を喚起していますので確認してください。
また、5年ルールと125%ルールの適用がある銀行でも、「元金均等返済」方式を選択すると、5年ルールと125%ルールの適用がなくなるのでこれも注意が必要です。
以上、千日のブログでした。
5月31日に発売となりました千日太郎のマンガでわかるシリーズです!各章の導入部のマンガで理解しやすい構成になっていますので、初心者の方には特におすすめします。
2024年8月3日千日太郎
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共働き夫婦 | 20代共働き | 30代共働き | 40代共働き | 50代共働き |
独身 | 20代独身 | 30代独身 | 40代独身 | 50代独身 |
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