千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える

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【2023年7月】専門家が徹底解説!今最もお得な住宅ローンの金利タイプは?日銀7月会合を先読み

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2023年7月10日公開

どうも千日です。2023年7月の日銀政策決定会合を控えて長期金利が上昇を続けています。植田総裁が金融緩和から引き締めへと政策を修正する可能性を織り込んでの国債売りです。そのため、金利の上昇傾向は会合最終日の28日までは続くでしょう。

8月の住宅ローン金利は会合の結果を受けて決まるので、どの住宅ローンがお勧めか?は会合の結果を見なければわかりません。今回は7月会合を先読みしてお送りします。

千日のブログでは、毎月最新の金利動向と住宅ローンの選び方について分かりやすく解説しています。

具体的には、金利タイプ別に…

  • 今どの金利タイプが割安になのか?
  • どんな人にどの金利タイプがお勧めか?(どういう返済計画で借りるべきか?)

普通のランキングサイトでは書かない内容が盛りだくさんなので、よろしければ参考にしてください。

またYouTubeでは「変動金利が上がる2か月前までに通知🔔します」という企画をスタートしました。住宅ローンは申込から実行までに最短でも1か月から1か月半かかります。更新通知(🔔マーク)を設定し最新情報を見逃さないようにしてください。

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また、最新の日米金利動向については下記ページで毎日更新しています。

日米金利の最新動向

植田日銀は7月会合でも緩和を継続するシナリオ

植田氏は就任会見から現在まで一貫して、イールドカーブ・コントロール政策の継続について次のようにこたえています。

現状の経済・物価・金融情勢を鑑みると、継続するということが適当であり、これまでの措置の効果や市場の動向については、今後も見極めていく必要がある。

異次元緩和から軌道修正して正常化していくにしても細心の目配りをし、出口戦略(金融引き締め)それ自体を目的とするような拙速な利上げはやらないという姿勢は維持しています。

エコノミストの半数は年内の政策修正と2025年の利上げを予想

ブルームバーグが著名なエコノミスト47名を対象に6月に実施した調査によると、政策修正のタイミングとしては今月の7月会合と回答している人が35%で最多となり、10月会合が13%、来年4月会合が11%となっています。つまり早期の政策修正観測は引き続き根強くあるのです。

そして今後の政策修正の具体的な手段(複数回答可)としては、27名がイールドカーブ・コントロール政策の廃止と回答しており、現在マイナス0.1%としている短期政策金利について、2023年内の引き上げを見込むとの回答はわずか2名、最多の20名が2025年以降と予想しています。

まとめると、まず年内にイールドカーブ・コントロール政策が廃止され、再来年の2025年に利上げを予想しているということになります。

金融機関の多数派は年内の緩和継続を予想

では、住宅ローンを販売する金融機関はどう見ているのでしょうか?大きなくくりとしては前述のエコノミスト枠と同じ傾向となるのですが、銀行業を主たる営業としている点で、少し違ってきます。

金融機関の見方が如実に表れるのが住宅ローンの10年固定金利タイプの動きです。10年固定は多くのメガバンクとネット銀行が変動金利に次いで主力としている商品であり、かつ、10年は金利を固定するものであるため、金融機関の金利の先高観に反応しやすい商品なのです。

多くの銀行では2023年6月から7月にかけて0.05ポイント前後、10年固定金利を下げていますので、金融機関としては日銀の政策修正は先になると考えている銀行が多いということになります。

主要銀行の中では唯一10年固定金利を上げたのが三菱UFJ銀行ですが、上げ幅はわずか0.01ポイントです。これは本格的に日銀の政策修正を予想しているというよりも、前述したエコノミストの予想を少し織り込んで微調整しているというニュアンスのものでしょう。

三菱UFJ銀行は10年固定金利タイプを他行に先んじて下げており、最低金利をつけています。7月の会合で日銀が緩和継続を決めれば再び金利を下げてくるでしょう。1日の入院でもローンがゼロ円になる疾病保障をつけられる唯一の銀行であり、公認会計士監修の住宅ローンランキングでもお勧めしている住宅ローンです。

日銀は物価安定させるインフラである

植田総裁の象徴的な言葉が『インフラを整える』です。経済活動において一般にインフラとは道路や通信などを指しますが、それと同列に『物価の安定』というものを位置づけており、それを整えるのが日銀の使命であると言っています。

この物価は広い意味での物価であり、賃金(従業員が企業に提供する労働の対価)も含まれます。

賃金のゆるやかな上昇とともに、物価もゆるやかに上がっていく、物価の上昇によってまた賃金も上がっていくという経済の好循環を作り出すということです。これが物価目標2%ですね。

そして金利もまたカネの価格ですから、利上げは植田総裁の選択肢としてあるものです。しかし、「利上げする」と決めてかかって利上げするのではなく、物価の安定的な上昇のために、という点がポイントになるわけですね。個人的には7月はまだ動かないのではないかと見ています。

7月のお勧め住宅ローン

植田新総裁が7月会合でイールドカーブ・コントロール政策を見直す(最終的にやめる)観測から長期金利が上昇してきましたが、緩和継続となると長期金利は再び下がる可能性が高いですね。

長期金利が上がってもフラット35金利が下がる理由

公的融資のフラット35は5月から7月にかけて大幅な低下となっています。金利引き下げ制度でさらにここから最長10年間にわたって最大0.5%引き下げとなります。住宅ローン控除で最大0.7%還付されることも考えれば当初の10年はほとんど利息の負担がなくなる計算です。

フラット35買取型 5月 6月 7月 低下
ARUHIフラット35 1.83% 1.76% 1.73% 0.05%
フラット35保証型 5月 6月 7月 低下
ARUHIスーパーフラット9 1.54% 1.47% 1.44% 0.10%
ARUHIスーパーフラット8 1.45% 1.40% 1.37% 0.08%
ARUHIスーパーフラット7 1.44% 1.39% 1.36% 0.08%
ARUHIスーパーフラット6 1.43% 1.38% 1.35% 0.08%
住信SBI保証型90% 1.83% 1.75% 1.73% 0.10%
住信SBI保証型80% 1.75% 1.67% 1.65% 0.10%

フラット35の買取型は、住宅金融支援機構が金融機関からフラット35の債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて「機構債」という形で販売するという仕組みになっているため、長期金利の動向を反映しやすいと言われます。

フラット35買取型の仕組み

しかし、6月から7月にかけては長期金利が0.04ポイント上昇しているにも関わらず、フラット35の金利は0.03ポイント下がっているのです。このフラット35の低下は3月から政府が子育て世帯を対象としてフラット35の金利引き下げを行う議論をスタートしたことが関係しています。

既にフラット35の金利引き下げ制度の中には「子育て支援」というカテゴリーが設けられているのですが、おそらくこれが拡充されることになります。

しかしこの制度がスタートする前は子育て世帯であっても金利引き下げにならないのですね。住宅購入のタイミングによって生じる不公平を和らげるために全体的にフラット35の金利のベースを下げている可能性があると見ています。

今のところ、ARUHIの保証型であるスーパーフラットは買取型よりも低金利を維持しています。子育て世帯には特にお勧めします。

ウェブで手続きすれば融資手数料が割引となります。また、団信不加入とすることで団信込みの金利から0.28%引き下げられます。千日太郎がARUHIに取材したときのブログがこちらです。

sennich.hatenablog.com

三菱UFJ銀行がリードする10年固定金利

公的融資のフラット35がここまで下がると民間銀行としても、固定金利タイプの住宅ローンの金利を上げられない状況になってきます。

さらに、6月から7月にかけては前述のように多くの銀行が金利を下げました。

10年固定金利 7月 6月 7月
三菱UFJ銀行※ 0.750% 0.680% 0.690%
auじぶん銀行 0.995% 0.935% 0.885%
住信SBIネット銀行 1.390% 0.970% 0.910%

※申込内容と審査結果によって最大の引き下げ可能となった金利。

三菱UFJ銀行は金利を上げていますが、それでも最低金利です。日本における民間金融機関住宅ローン取扱残高No.1(2007年から現在まで)であり、その主力とする10年固定タイプを連続して下げ続けているので、7月会合で緩和継続となれば再び下がるでしょう。

sennich.hatenablog.com

10年固定をお勧めする人(変動と固定の折衷案として合理的)

変動金利に当てはまるほど、売却を考えてはいないけれども、10年程度で転居する可能性が高い人には10年固定が向いています。

また、50歳くらいから住宅ローンを組む人で住宅ローン控除のためにあえてローンを借りる場合には約10年間にわたって低金利で固定できれば良いので10年固定がお勧めです。

また、変動金利に当てはまるほど資金が貯められていないけれど、10年の間に貯蓄して大幅な繰り上げ返済を検討する人にも10年固定はお勧めです。その場合、11年目からの金利引き下げ幅に注目してください。適用金利の低いネット銀行には11年目からの金利引き下げ幅がかなり減ってしまう銀行が多いのです。

変動と固定の折衷案としてのミックスローンはNG

現在の金利を取り巻く環境は、非常に不安定なため、金利が大きくうごきやすいタイミングです。複数の金利タイプで審査を通しておき、直前に特定の金利タイプが高騰した場合には別の金利タイプで実行できるようにしておくことをお勧めしています。

その延長線上の考え方で、固定金利と変動金利をミックスしようと考える人もいます(複合型ローンやミックスローン)。しかし、そうしたリスクヘッジの動機で金利タイプをミックスすることはお勧めしません。

支払額が安くなるように変動をミックスするならば、おのずと変動金利で借りる金額も大きくなり、結局のところ金利上昇リスクへのケアが必要になります。固定金利だけを選んでいたら不要なタスクを今後自分に課すことになります。こういうタスクは貨幣単位で測定できませんが、まぎれもなくコストです。

金利タイプを固定にするか変動にするかは住宅の所有ポリシーによって最終的には一つに決めることをお勧めします。変動か固定かを決められないのでミックスに逃げようとしていないか?ご自身の胸に手を当てて考えてみてください。

民間の35年固定はりそな銀行がトップ

超長期固定金利の35年固定も下がっています。下表のようにりそな銀行は0.12%、みずほ銀行は0.21%、三菱UFJ銀行は0.13%下げる対応となっています。

35年固定金利 5月 6月 7月
りそな銀行 1.325% 1.275% 1.255%
みずほ銀行 1.510% 1.440% 1.390%
三菱UFJ銀行 1.410% 1.320% 1.340%

金利としてはりそな銀行が最低金利となっていますが、フラット35の金利引き下げ制度を加味すると、当初10年は利息負担がほとんどなくなるアルヒスーパーフラットの方がお得でしょう。

2023年の植田日銀で変動金利を選択する人の心構え

民間銀行としては、日銀が利上げすれば、変動金利を上げるだけで確定した利ザヤを得ることができます。そのため、民間銀行の多数派は変動金利を低金利で据え置き、変動金利へ誘導しようとするでしょう。

ただし、変動金利は私たちが金利上昇リスクを負います。つまり、「将来金利が上昇することを想定して利用する」ものであり、「将来金利が上昇しないと信じて利用する」ものではありません。むろん変動金利が上がると予想しながら変動金利を選ぶ人はいないと思いますが、そうであっても金利上昇に備えた資金の確保やマイホームの売却相場の把握を行うことを前提に、変動金利を選ぶようにしてください。

変動金利をお勧めする人=金利上昇を想定できる人

そのため、わたしが変動金利を勧めるタイプの人は「金利上昇を想定できる人」です。具体的には次のどれか1つ以上にバッチリ当てはまるという人は変動金利に向いています。

  1. 毎月返済額にかなり余裕のある人
  2. 繰り上げ返済資金が潤沢にある人
  3. 物件のリセールを想定して物件選びをしている人

3つのうち1.毎月返済額にかなり余裕があるというのは、毎月の元利均等返済額が手取り月収の3割以下という人です。最近は夫婦共働きが増えてきており、夫婦二人ならば3割以下だけども、夫単独だと4割を超えるという人が多いです。このような場合は、「かなり余裕がある」のは夫婦共働きが維持できている間だけであり、片方の収入が無くなると、全く余裕がなくなるので変動金利が向いているとまでは言えません。

次の2.繰り上げ返済資金が潤沢にあるというのは、金利が上昇したときに即座に繰り上げ返済して金利上昇を相殺できれば良いという考え方です。金利がどれだけ上がったら、いくら繰り上げ返済しなければならないか?は下記のシミュレーションでやってみてください。

ここで出ているレベルの金額を繰り上げ返済する資力が現時点であるなら、お勧めできます。ただしこの金額を見て大きなプレッシャーを感じるならば、それは金利上昇リスクが無視できない心理的な圧力になるということです。変動金利はお勧めしません。

最後の3.物件のリセールを想定して物件選びをしている人は、将来の状況によっては売却することで住宅ローンを清算することを選択肢として持っている人だとも言えます。資産の処分について一つでも選択肢が多いということは、具体的な金額として換算はできなくても、経済的な資産と同等に捉えることができます。つまり、1.の収入や2.の資金に代替しうると言えます。

金利が上昇して維持が困難と判断したら、比較的ためらうことなく任意売却を実行に移すことが出来る人です。現実的に変動金利をお勧めすることが出来ます。

3つに共通するのは現実的に「金利上昇を想定できる人」なのです。

お勧めする変動金利は5年ルールと125%ルールのあるもの

金利が上昇した場合、すぐに毎月の返済額が増えるとは限りません。これが5年ルールと125%ルールです。

  • 5年ルール:金利が上昇しても5年は従前の毎月返済額を維持する。
  • 125%ルール:6年目から毎月返済額を増加させる場合、直前の1.25倍を上限とする。

この2つのルールが適用されると、変動金利がどんなに急上昇しても5年間は毎月の返済額が増えません。ただし利息は増えますので、元金が予定どおりに減らないということになります。そのため6年目から帳尻を合わせるために毎月返済額を増やすのですが、その場合の上限は直前の1.25倍までに制限されるというものです。

この2つのルールはすべての銀行の変動金利に適用されるものではありません。例えばPayPay銀行、SBI新生銀行、ソニー銀行の変動金利にはありません。

5年ルールと125%ルールの適用がない銀行は毎月更新コロナ禍の利上げ金利先読み住宅ローンランキング - 千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答えるの「デメリット」で注意を喚起していますので確認してください。

また、5年ルールと125%ルールの適用がある銀行でも、「元金均等返済」方式を選択すると、5年ルールと125%ルールの適用がなくなるのでこれも注意が必要です。

35年、20年固定をお勧めする人のタイプ

最後に35年、20年の固定金利の金利タイプごとにお勧めする人のタイプについてまとめておきましょう。

35年固定をお勧めする人

35年固定の代表格といえばフラット35ですが、新たな金利引下げ制度として、フラット35維持保全型がスタートしています。この維持保全型は従来からあるフラット35Sとの相性が良く、併用できるケースが多いです。

またフラット35S(ZEH)が開始されていますが当初5年間年0.5%、6年目から10年目まで年0.25%引き下げとなります。

また併用ルールがポイント制に整理されたとで従来よりも複数の引下げ制度を利用できる人が増えています。

拡大された金利引下げ制度を併用することで実際にフラット35で借りる人の適用金利としては下がる人が出てくるでしょう。特にフラット35の金利引下げ制度に多く当てはまる人については35年固定がお得になります。

  • 子育て支援のターゲットになる子育て世帯
  • 高い環境性能の住宅を取得する人(Sやリノベ)
  • 維持保全に優れた住宅を取得する人(維持保全型)

20年固定をお勧めする人

20年固定は、20年で完済する計画でかつ、後述のauじぶん銀行に付帯しているガン50%保障の恩恵が高い人にお勧めです。具体的には40台から50歳未満で住宅ローンをスタートする人ですね。

しかし、最近では最低金利を出しているauじぶん銀行などよりも35年固定やフラット35の方が低金利となっているため、事実上お勧めできません。

以上、千日のブログでした。

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現在のリスクと老後破産のリスクを軽減するために、資産と負債を突き合わせて現状把握し、老後を見える化する方法について分かりやすく解説しています。

是非よんでみてください!

2023年7月10日千日太郎

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