千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える

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【2023年4月】植田新総裁の就任会見から分かる2023年のお勧め住宅ローンの金利タイプ

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2023年4月11日公開

どうも千日です。2023年4月10日に日銀の植田新総裁の就任会見が行われました。投機筋が政策転換を見越した空売りを仕掛ける中で、イールドカーブ・コントロール政策とマイナス金利政策の現状継続を明言しました。

しかし、イールドカーブ・コントロール政策の副作用は認めており、政策転換には含みを持たせています。

千日のブログでは、毎月最新の金利動向と住宅ローンの選び方について分かりやすく解説しています。

具体的には、金利タイプ別に…

  • 今どの金利タイプが割安になのか?
  • どんな人にどの金利タイプがお勧めか?(どういう返済計画で借りるべきか?)

普通のランキングサイトでは書かない内容が盛りだくさんなので、よろしければ参考にしてください。

またYouTubeでは「変動金利が上がる2か月前までに通知🔔します」という企画をスタートしました。住宅ローンは申込から実行までに最短でも1か月から1か月半かかります。更新通知(🔔マーク)を設定し最新情報を見逃さないようにしてください。

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また、最新の日米金利動向については下記ページで毎日更新しています。

日米金利の最新動向

植田新総裁は緩和継続しつつ物価2%を目指す

植田氏は就任会見でイールドカーブ・コントロール政策の継続について次のようにこたえています。

現状の経済・物価・金融情勢を鑑みると、継続するということが適当であり、これまでの措置の効果や市場の動向については、今後も見極めていく必要がある。

イールドカーブ・コントロール政策の副作用も認めるとともに、2%の物価上昇率が難しい状況であれば、副作用に配慮しつつ、より持続的な金融緩和の枠組みが何かということを探っていくと言っています。

これは、現状は継続するものの、必要となれば、政策の修正も検討していくという意図が読み解けるのです。

この点は、2月の所信聴取から変更なしです。基本的に金融緩和の継続を表明し、政策の急変への懸念を和らげる意図です。

加えて物価目標2%を達成するということも繰り返し明言しています。これは前年比で物価が2%ずつ上昇していく、ゆるやかなインフレ状態を目指すということです。

異次元緩和から軌道修正して正常化していくにしても細心の目配りをし、出口戦略(金融引き締め)それ自体を目的とするような拙速な利上げはやらないという姿勢は維持しています。

学者としての結論と政策担当者としての結論は全く違う可能性

また、利上げの判断についてかなり突っ込んだ回答をされているところがありましたので、引用します。

(学者と違って)政策担当者としては、なにか政策を変えようとか考える場合には、現在起こっている、関係する大事なすべてのことを考えないといけない。

それを考慮して、まとめると、結論は、『金利を上げるのか下げるのかわからない』というようなケースも、論理的には非常に多いということだと思います。

ですので、学者として『こういう場合には金利を上げる』という論文を書いていたとしても、同じ人が似たような状況で政策判断を迫られたときに、学者として前提条件に入っていなかったようなことも考えつつ判断をくださないといけない。

ですから、結論は全く違った方向になるという可能性もありますし、(金利を)上げるのがいいのか下げるのがいいのか完全にはわからない中で、時間に迫られて決断しないといけないとういことも多々あるかと思います。

市場では植田総裁の利上げがかなり強く意識されていますが、当の本人としては利上げに対してかなりフラットであるということです。

植田総裁はこれまで学者として、金融政策にかかわる多くの著書を発表されてきましたが、政策担当者としては、過去の著書で書かれている文脈とは異なる結論となることも大いに有りうると述べているのです。

日銀が整えるインフラ=物価の安定の意味するところ

そして、植田総裁が日銀総裁として使命と考えていることとして、象徴的な言葉が『インフラを整える』です。経済活動において一般にインフラとは道路や通信などを指しますが、それと同列に『物価の安定』というものを位置づけており、それを整えるのが日銀の使命であると言っています。この物価は広い意味での物価であり、賃金(従業員が企業に提供する労働の対価)も含まれます。

賃金のゆるやかな上昇とともに、物価もゆるやかに上がっていく、物価の上昇によってまた賃金も上がっていくという経済の好循環を作り出すということです。これが物価目標2%ですね。

そして金利もまたカネの価格ですから、利上げは最終的に植田総裁が目指しているものです。ただしこれが植田総裁の任期中にできるかどうかということについては、明言を避けています。

住宅ローン金利への影響

植田新総裁が近くイールドカーブ・コントロール政策を見直す(最終的にやめる)観測から長期金利が上昇してきましたが、この就任会見で4月の政策決定会合は無風の可能性が高まりました。となると長期金利は再び下がる可能性が高いですね。

子育て世帯にお勧めフラット35

4月の公的融資のフラット35は3月から0.2ポイント前後の大幅な低下となっています。金利引き下げ制度でさらにここから最長10年間にわたって最大0.5%引き下げとなります。住宅ローン控除で最大0.7%還付されることも考えれば当初の10年はほとんど利息の負担がなくなる計算です。

フラット35買取型 2月 3月 4月 低下
ARUHIフラット35 1.88% 1.96% 1.76% 0.20%
フラット35保証型 2月 3月 4月 低下
ARUHIスーパーフラット9 1.59% 1.67% 1.47% 0.20%
ARUHIスーパーフラット8 1.52% 1.59% 1.38% 0.21%
ARUHIスーパーフラット7 1.51% 1.58% 1.37% 0.21%
ARUHIスーパーフラット6 1.50% 1.57% 1.36% 0.21%
住信SBI保証型90% 1.88% 1.96% 1.74% 0.22%
住信SBI保証型80% 1.75% 1.83% 1.66% 0.17%

フラット35の買取型は、住宅金融支援機構が金融機関からフラット35の債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて「機構債」という形で販売するという仕組みになっているため、長期金利の動向を反映しやすいと言われます。

フラット35買取型の仕組み

低金利を反映したフラット35はもともと民業圧迫レベルに低すぎなのです。2022年10月からの金利引き下げ制度の拡充で新築マンションなら、ほとんどの人が当初10年0.5%下がる(ZEH+維持保全)ということも鑑みると、低金利すぎてバランスブレイカーになっていました。

さらに3月末には政府が子育て世帯を対象として住宅ローン、フラット35の金利引き下げを行う議論をスタートしたことが報じられています。さらに民業を圧迫するのでは?という指摘もありそうですが、これに関しては少子化対策の方が優先されるのだと思います。

今のところ、ARUHIの保証型であるスーパーフラットは買取型よりも低金利を維持しています。子育て世帯には特にお勧めします。

ウェブで手続きすれば融資手数料が割引となります。また、団信不加入とすることで団信込みの金利から0.28%引き下げられます。千日太郎がARUHIに取材したときのブログがこちらです。

sennich.hatenablog.com

三菱UFJ銀行がリードする10年固定金利

公的融資のフラット35がここまで下がると民間銀行としても、固定金利タイプの住宅ローンの金利を上げられない状況になってきます。

さらに、3月から4月にかけては米欧発の金融不安により長期金利が急低下したことを反映し、民間銀行の固定金利タイプも大幅に下がりました。多くの銀行が主力商品とする10年固定金利も同様に0.2ポイント前後の低下となっています。

10年固定金利 2月 3月 4月
三菱UFJ銀行 1.150% ※1.080% ※0.950%
ソニー銀行 1.163% 1.088% 0.995%
PayPay銀行 1.190% 1.210% 0.980%

※申込内容と審査結果によって、さらに引き下げした金利を利用できる場合があります。

ソニー銀行はもともと独自の動きをするケースが多かったのですが、三菱UFJ銀行は日本における民間金融機関住宅ローン取扱残高No.1(2007年から現在まで)であり、その主力とする10年固定タイプを連続して下げ続けているので、今後他行が追随する可能性があります。

また三菱UFJ銀行の10年固定金利は審査の結果によってはHPの表示金利よりも引き下げした金利で借りられる可能性があります。

sennich.hatenablog.com

10年固定をお勧めする人(変動と固定の折衷案として合理的)

変動金利に当てはまるほど、売却を考えてはいないけれども、10年程度で転居する可能性が高い人には10年固定が向いています。

また、50歳くらいから住宅ローンを組む人で住宅ローン控除のためにあえてローンを借りる場合には約10年間にわたって低金利で固定できれば良いので10年固定がお勧めです。

また、変動金利に当てはまるほど資金が貯められていないけれど、10年の間に貯蓄して大幅な繰り上げ返済を検討する人にも10年固定はお勧めです。その場合、11年目からの金利引き下げ幅に注目してください。適用金利の低いネット銀行には11年目からの金利引き下げ幅がかなり減ってしまう銀行が多いのです。

変動と固定の折衷案としてのミックスローンはNG

現在の金利を取り巻く環境は、非常に不安定なため、金利が大きくうごきやすいタイミングです。複数の金利タイプで審査を通しておき、直前に特定の金利タイプが高騰した場合には別の金利タイプで実行できるようにしておくことをお勧めしています。

その延長線上の考え方で、固定金利と変動金利をミックスしようと考える人もいます(複合型ローンやミックスローン)。しかし、そうしたリスクヘッジの動機で金利タイプをミックスすることはお勧めしません。

支払額が安くなるように変動をミックスするならば、おのずと変動金利で借りる金額も大きくなり、結局のところ金利上昇リスクへのケアが必要になります。固定金利だけを選んでいたら不要なタスクを今後自分に課すことになります。こういうタスクは貨幣単位で測定できませんが、まぎれもなくコストです。

金利タイプを固定にするか変動にするかは住宅の所有ポリシーによって最終的には一つに決めることをお勧めします。変動か固定かを決められないのでミックスに逃げようとしていないか?ご自身の胸に手を当てて考えてみてください。

民間の35年固定はりそな銀行がトップ

超長期固定金利の35年固定も下がっています。下表のようにりそな銀行は0.12%、みずほ銀行は0.21%、三菱UFJ銀行は0.13%下げる対応となっています。

35年固定金利 2月 3月 4月
りそな銀行 1.445% 1.465% 1.345%
みずほ銀行 1.670% 1.690% 1.480%
三菱UFJ銀行 1.880% 1.790% 1.640%

金利としてはりそな銀行が最低金利となっていますが、フラット35の金利引き下げ制度を加味すると、当初10年は利息負担がほとんどなくなるアルヒスーパーフラットの方がお得でしょう。

2023年の植田日銀で変動金利を選択する人の心構え

民間銀行としては、日銀が利上げすれば、変動金利を上げるだけで確定した利ザヤを得ることができます。そのため、民間銀行の多数派は変動金利を低金利で据え置き、変動金利へ誘導しようとするでしょう。

ただし、変動金利は私たちが金利上昇リスクを負います。つまり、「将来金利が上昇することを想定して利用する」ものであり、「将来金利が上昇しないと信じて利用する」ものではありません。むろん変動金利が上がると予想しながら変動金利を選ぶ人はいないと思いますが、そうであっても金利上昇に備えた資金の確保やマイホームの売却相場の把握を行うことを前提に、変動金利を選ぶようにしてください。

変動金利をお勧めする人=金利上昇を想定できる人

そのため、わたしが変動金利を勧めるタイプの人は「金利上昇を想定できる人」です。具体的には次のどれか1つ以上にバッチリ当てはまるという人は変動金利に向いています。

  1. 毎月返済額にかなり余裕のある人
  2. 繰り上げ返済資金が潤沢にある人
  3. 物件のリセールを想定して物件選びをしている人

3つのうち1.毎月返済額にかなり余裕があるというのは、毎月の元利均等返済額が手取り月収の3割以下という人です。最近は夫婦共働きが増えてきており、夫婦二人ならば3割以下だけども、夫単独だと4割を超えるという人が多いです。このような場合は、「かなり余裕がある」のは夫婦共働きが維持できている間だけであり、片方の収入が無くなると、全く余裕がなくなるので変動金利が向いているとまでは言えません。

次の2.繰り上げ返済資金が潤沢にあるというのは、金利が上昇したときに即座に繰り上げ返済して金利上昇を相殺できれば良いという考え方です。金利がどれだけ上がったら、いくら繰り上げ返済しなければならないか?は下記のシミュレーションでやってみてください。

ここで出ているレベルの金額を繰り上げ返済する資力が現時点であるなら、お勧めできます。ただしこの金額を見て大きなプレッシャーを感じるならば、それは金利上昇リスクが無視できない心理的な圧力になるということです。変動金利はお勧めしません。

最後の3.物件のリセールを想定して物件選びをしている人は、将来の状況によっては売却することで住宅ローンを清算することを選択肢として持っている人だとも言えます。資産の処分について一つでも選択肢が多いということは、具体的な金額として換算はできなくても、経済的な資産と同等に捉えることができます。つまり、1.の収入や2.の資金に代替しうると言えます。

金利が上昇して維持が困難と判断したら、比較的ためらうことなく任意売却を実行に移すことが出来る人です。現実的に変動金利をお勧めすることが出来ます。

3つに共通するのは現実的に「金利上昇を想定できる人」なのです。

お勧めする変動金利は5年ルールと125%ルールのあるもの

金利が上昇した場合、すぐに毎月の返済額が増えるとは限りません。これが5年ルールと125%ルールです。

  • 5年ルール:金利が上昇しても5年は従前の毎月返済額を維持する。
  • 125%ルール:6年目から毎月返済額を増加させる場合、直前の1.25倍を上限とする。

この2つのルールが適用されると、変動金利がどんなに急上昇しても5年間は毎月の返済額が増えません。ただし利息は増えますので、元金が予定どおりに減らないということになります。そのため6年目から帳尻を合わせるために毎月返済額を増やすのですが、その場合の上限は直前の1.25倍までに制限されるというものです。

この2つのルールはすべての銀行の変動金利に適用されるものではありません。例えばPayPay銀行、SBI新生銀行、ソニー銀行の変動金利にはありません。

5年ルールと125%ルールの適用がない銀行は毎月更新コロナ禍の利上げ金利先読み住宅ローンランキング - 千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答えるの「デメリット」で注意を喚起していますので確認してください。

また、5年ルールと125%ルールの適用がある銀行でも、「元金均等返済」方式を選択すると、5年ルールと125%ルールの適用がなくなるのでこれも注意が必要です。

35年、20年固定をお勧めする人のタイプ

最後に35年、20年の固定金利の金利タイプごとにお勧めする人のタイプについてまとめておきましょう。

35年固定をお勧めする人

35年固定の代表格といえばフラット35ですが、新たな金利引下げ制度として、フラット35維持保全型がスタートしています。この維持保全型は従来からあるフラット35Sとの相性が良く、併用できるケースが多いです。

またフラット35S(ZEH)が開始されていますが当初5年間年0.5%、6年目から10年目まで年0.25%引き下げとなります。

また併用ルールがポイント制に整理されたとで従来よりも複数の引下げ制度を利用できる人が増えています。

拡大された金利引下げ制度を併用することで実際にフラット35で借りる人の適用金利としては下がる人が出てくるでしょう。特にフラット35の金利引下げ制度に多く当てはまる人については35年固定がお得になります。

  • 子育て支援のターゲットになる子育て世帯
  • 高い環境性能の住宅を取得する人(Sやリノベ)
  • 維持保全に優れた住宅を取得する人(維持保全型)

20年固定をお勧めする人

20年固定は、20年で完済する計画でかつ、後述のauじぶん銀行に付帯しているガン50%保障の恩恵が高い人にお勧めです。具体的には40台から50歳未満で住宅ローンをスタートする人ですね。

しかし、最近では最低金利を出しているauじぶん銀行などよりも35年固定やフラット35の方が低金利となっているため、事実上お勧めできません。

以上、千日のブログでした。

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現在のリスクと老後破産のリスクを軽減するために、資産と負債を突き合わせて現状把握し、老後を見える化する方法について分かりやすく解説しています。

是非よんでみてください!

2023年4月11日千日太郎

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