千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える

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住宅ローンの連帯保証の問題点とその抜け方

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もう既に連帯保証で住宅ローンを組んでしまった→今からでも抜けられます

どうも千日です。何だか学生のレポートみたいなタイトルですが(笑)その理由は後でお話しするとして、昨日の記事の反響が意外に大きかったのです。

これに対してすぐに千日の住宅ローン無料相談ドットコムにメールで質問がありました。

こんにちは、毎日為になるブログをありがとうございます。
千日さまのブログでは夫婦連帯保証について否定的?といいますかお勧めしない由がよく書かれてあります。
しかし、我が家は夫婦連帯保証で住宅ローンを組み、ただいま返済真っただ中なので不安になり相談させていただこうかと思いました。

(中略)

一応、ファイナンシャルプランナーに相談し、大丈夫だということで安心していましたが、千日様のブログを読むと不安になってしまいました(決して千日様のブログが悪いわけではなく、私の見通しが甘かったせいです)
もう住宅ローンを組んで返済している状態ですから変更のしようがないのですがどうかアドバイスよろしくお願いします。

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確かに、既にペアローンや収入合算に伴う夫婦連帯保証付きで住宅ローンを借りている人達の不安を徒らに煽るような記事だったと思います。千日が記事を書く上で自らに3つのルールを課しています。

  1. 書いてて自分が楽しいこと。
  2. 読む人にプラスの価値があること。
  3. 書く記事で人を傷つけないこと。

このエントリーを読んだ人が「取り返しの付かない過ちをおかしてしまった…」と肩を落として終わってしまうのでは、プラスの価値があったとは言えないと思うのです。

なので今日は、2つのことを書こうと思います。

  1. なぜ、そこまで千日が住宅ローンの連帯保証を目の敵にするのか?その理由
  2. どうやったら連帯保証を外せるのか?その具体的な方法

私の中でこれだけははっきりしていることは、住宅ローンの連帯保証など、今すぐ無くなっても誰も困りはしないし、むしろ社会にとって有害ですらあるということです。

ならばこそ、その外し方についてまで書くべきなんです。それが読む人、ひいては社会にとってのプラスの価値になるんですから。

では始めますね。

住宅ローンの連帯保証は無くなっても誰も困らない

住宅ローンの収入合算やペアローンに伴い夫婦がお互いに連帯保証人となる仕組みは、既に結構広く行われていますよね。なので、こんな風に思う人もいるかもしれません。

この仕組みが無くなったら、住宅ローンを借りられなくなる人が増えて困るんじゃないの?それに、より高い住宅が売れて景気が良くなった面もあるよね。

連帯保証、ホンマは要らんかったんや…の実例

2013年に「経営者保証に関するガイドライン」が公表されて、企業の経営者に対する債務保証が廃止された例をご紹介しましょう。

このガイドラインが出るまでは、中小企業が銀行から融資を受ける場合は、必ず社長が連帯保証する事が常識のようになっていました。

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ちょっと法律的な話をしますと、株式会社や有限会社は「法人」というカテゴリーになっていて、我々と同じように、法律上の権利を持ったり義務を負ったり出来る存在です。会社は人間ではありませんが人間のように扱うんですね。なので会社名義で借金も出来ます。

お金を借りるのは「会社」で、そのお金は会社の事業を営むための資金です。なので、銀行は会社がちゃんと儲けてお金を返せるか?を審査して融資するかどうかを判断します。

会社経営が傾いてたらもちろん貸しません。でも社長が財産を持っていたり、他にも儲けがある場合には社長を保証人にすれば融資しますよ、という建前だったんですね。

しかし、実態としては何が何でも社長の連帯保証を付けなきゃ貸さないという商慣行が横行してたんです。会社の規模が小さくて家族だけでやってるような会社ならまだしも、規模が大きくなって従業員が千人を超え、海外進出するような大企業になってもなお、経営者保証は外さないという事が常識になってました。

万が一会社が倒産しても、社長から全て絞り取るためです。確かに財産隠しをするような例もありますが、そもそも経営者が最後まで無限に責任を負うというのでは、株式会社や有限会社の意味が無いです。

新たに事業を始めようとか、大きく拡大しようという事を考えたときのリスクを恐れて、投資が活発に行われないという弊害がありました。

なのでお上が『経営者保証』は本当に必要な場合だけにしなさいよ。というガイドラインを出したら、全国の中小企業で一斉に経営者保証が外されたんですよ。本来の趣旨で経営者による保証が必要だった例は実に少なかったという事です。

 

住宅ローンの連帯保証は保証ではなく「恫喝」

住宅ローンに話を戻しましょう。住宅ローンの連帯保証も、よくよく考えたら、経営者保証に良く似てます。 

  • 夫=会社
  • 妻=社長

このように置き換えたら、まんま中小企業の経営者保証と同じ様相になってますよね。夫が住宅ローンを返せなくなっても妻から最後まで絞り取るということです…

ん?

なんか違う気がしませんか?

規制されていないだけで道義的にアウトな契約

社長の場合はその会社の最高経営責任者です。会社の事業が失敗したら道義的な責任が社長にある、とは言えるかもしれません。では夫が失業して収入が無くなったら、妻に道義的責任があるんでしょうか?

 

無いですよ、そんなの。

 

しかし、ペアローンの場合、収入合算の場合は夫婦それぞれが住宅ローンの全額を連帯保証する事が『決まり』になっているんです。

イヤなら他で借りて下さい(他でも同じだけどね)。

これは「経営者保証に関するガイドライン」が出る前までの中小企業の社長が銀行に言われてきたこと、そのままのセリフです。住宅ローンの連帯保証は、本来責任の無いパートナーに過重な責任を要求します。

結局、お金が無ければ買えないでしょ。

こういう立場の強さを利用し、保証してくれそうな関係者を巻き込んで最大限貸金の回収可能性を上げる仕組みなのです。

道義的に完全にアウトだと思いますよ。ただ、今のところは「規制されていないから続けている」そういう種類の契約です。 

返済資力が無くても保証人になれる不思議

じゃあ実際に回収出来るの?と思うんですけど、実際問題として無理なんです。例えばパート収入で購入出来る家なら、そもそもペアローンや収入合算などしませんよね。

銀行も本気で連帯保証人から回収出来るなんて思って無いですよ。

いや、回収出来る方法はありました。妻が今のパートよりも割の良いアルバイトをすれば返せるでしょう。自分たちが思いつきもしない『可能性』を彼らは見ているのかもしれません。 

この奥さんなら…いざとなったら稼げるか。

実際に彼らがそこまで考えているかどうかは横に置いておいて、事実としてそうしている人もいます。夫には秘密で。私は何も特殊な性質の人がその産業で働くのではなく、普通の人よりほんのすこし運が悪く、人並み外れてお人好しな人達なのだと思っています。

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銀行も皆がそうやって返済するだろうから、配偶者を連帯保証人に要求する訳ではないでしょう。なのに、派遣でもパート収入でも簡単に保証人になれてしまいます。

銀行が本気で配偶者から回収するつもりであれば、連帯保証人として十分な資力があるかについても、主債務者と同様に厳しくチェックしても良さそうなものです。

不思議には思わないですか?

千日は、そこにはもっと合理的な理由があると思っています。

背面の恐怖

正面の理、側面の情、背面の恐怖

中坊公平(1929〜2013)

弁護士の中坊公平氏が人を動かす3ヶ条として語った言葉です。

債権回収の鬼と言われた人の言葉ですから、これは正味の話、債権回収のセオリーなんだと私は思っています。

まず道理を説いて説得する。それでもダメなら情に訴える。最後は、言う通りにしないと恐ろしいことになると恐怖を煽る。言うまでもなく3つ目が決め手になるのだということです。

恫喝です。

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前の節を読んで『恐ろしい』 と思われたのなら、もうお分かりだと思います。現実に回収するためというよりも『返せなかったらどうなるか、分かってるね?』という恐怖を与え、より債務者を返済にコミットさせる事が主な目的なのです。

この恐怖によって、夫は全ての事に優先して住宅ローンの返済を、それこそ死にものぐるいでやり切るでしょう。

これがメガバンクと言われる大手の金融機関も、半民半官の住宅金融支援機構も、堂々とやっている事の本質なのです。これが私が住宅ローンの連帯保証を目の敵にする理由です。

 

連帯保証は借り換えれば簡単に外せる

前置きが長くなりましたが、最後にこの連帯保証の外し方をお話ししておきましょう。もちろん普通に銀行に『外してくれ』と言っても絶対に無理です。

銀行にとっては既得権ですからね。この連帯保証が債権者である銀行にとってどれだけ有利で、それが我々にとってどれだけデメリットなのか、今更ですが一通りお話しておきましょう。

連帯保証の3つの圧倒的デメリット

保証人と連帯保証人では主債務者が返済できなくなった場合に代わりに返済する義務を負うという点では共通しますが主に以下の3点で圧倒的なデメリットがあります。

  1. 催告の抗弁が出来ない。
  2. 検索の抗弁が出来ない。
  3. 何人いても一人一人が債務全額の責任を負う。

債権者がいきなり保証人に対して請求をしてきた場合、保証人であれば「まずは主債務者に請求してよ」と主張することができますが(催告の抗弁といいます)連帯保証人はそのような主張を出来ず、返済しなければなりません。

主債務者が返済できる資力があるにもかかわらず返済を拒否した場合、保証人であれば主債務者に資力があることを理由に債権者に対して主債務者の財産に強制執行をするように主張することができますが(検索の抗弁といいます)連帯保証人はこのような主張をすることができず、主債務者に資力があっても債権者に対して返済しなければなりません。

保証人が複数いる場合,保証人はその頭数で割った金額のみを返済すればよいのに対して、連帯保証人はすべての人が全額を返済しなければなりません。

いかがでしょうか、いかに連帯保証が債権者にとって有利なものかお分かりいただけたと思います。なので銀行としては保証人ではなく連帯保証人にするインセンティブがあるんです。簡単に手放すとは思えませんよね。

契約を一からやり直す=銀行を乗り換える

しかし、新たな銀行へ借り換えれば、連帯保証を外す事が出来ます。なぜなら新たな銀行では一から契約をやり直す事になるからです。

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元から連帯保証が条件だったのだから、借り換えても同じじゃないのか?

このように思われるかもしれませんが、新規の借入よりも、ある程度の返済実績を積んだ上での借り換えの方が遥かに審査は通り易くなるんですよ。

一年以上延滞なく返済を継続しているならトライする価値あり

あまりきもすぐに借り換えというのはダメですけど、ある程度の期間返済を継続していて、その間の収入に大きな変動が無いのならトライする価値はあります。

それに、住宅ローンを初めて借りる時よりも、現に借りていて借り換える時の方が住宅の担保評価額もかなりのゲタを履かせて貰えるのです。

貸付限度額の基準については各行の機密ですので銀行による部分もありますが、半民半官の住宅金融支援機構では以下のようになっています。

  • 新規借入時は住宅の担保評価額の90%が限度
  • 借り換え時は直前の借入額と住宅の担保評価額の200%の少ない方が限度

もちろんこれだけで決まる訳ではありませんが、それでもずいぶんと緩和されているのが分かります。また最低12回の返済実績がある事も条件となっています。

ですから、当初は連帯保証でなければ借りられなかったとしても1年以上返済を継続していて、収入が安定していることを示せるなら、再度チャンスがあるのです。

2015年以前に借りた人なら借り換えでメリットが出せる

さらに、当初借りた時の金利と今の金利を比較して、今の方が低金利であるなら借り換えによってトータルの支払いを節約出来る可能性もあります。

よくこんな風にいわれますよね。

  • 1000万円以上ローン残高があって
  • 10年以上残り期間があって
  • 1%以上金利が下がらないと借り換えしても損。

しかし、実際はもっとハードルは低いのです。

こちらで借り換え費用ごとに、残り何年で幾ら金利が下がればトントンになるかという早見表を公開しています。

2016年のマイナス金利政策以前に住宅ローンを組んだ人であれば、今借り換えることで逆に利益を出す事が出来るかもしれません。

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まとめ~今から軌道修正しても遅くはない

あまり深く考えずに、成り行きで連帯保証で住宅ローンを組んでしまった…

今、まだそのリスクが顕在化していないのなら、今からでも遅くはありません。

確かに住宅ローンは借りる時に決めた事がずっと適用されます。しかし、状況を見て銀行を乗り換えたり、銀行に交渉したりする事で軌道修正する事は出来るのですよ。

もしも千日の手助けが必要であれば、メールしてみて下さいね。相談と回答は個人を特定しない形で公開することを条件として無料でアドバイスします。

 

以上、千日のブログでした。

《あとがき》

前回のエントリーが徒らに不安を煽ったにせよ、敢えて撤回しないのはそういう信念があるからです。

自分のメディアがあると、こういう社会に対して言いたい事が言えるのが良いですね。しかも自分がライター兼編集長です。

願わくばGoogleさん『住宅ローン 連帯保証』というキーワードでコレをトップに掲載して下さいナ、よろしく頼みますm(_ _)m

2017年7月19日

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