住宅ローン 千日メソッドのまとめ
どうも千日です。わたしが家を買って住宅ローンを組むときは、想定される色んなケースでそれこそ100回以上は住宅ローンのシミュレーションをやったものです。
インターネットで『住宅ローン シミュレーション』と検索すると、色んな金融機関のホームページが表示されますよね、選り取り見取りです。
でもね、知ってました?金融機関によってシミュレーションの結果がビミョーに違うこと。私も最近知りました。
そして特に、民間金融機関のシミュレーターって銀行にとって都合の悪い数値は計算出来ないようになっています。
こちらの記事でも書きましたが、繰上げ返済とは銀行の取れるはずだった利益(利息)を老後資金に変える行為です。
なので賭けても良いですが、民間金融機関のシミュレーターには複数ローンの比較機能はあっても「◯年後の残高」を計算する機能は皆無です。
多くの人は繰上げ返済を念頭に入れた具体的な返済計画を立てられない、ハンデ付きで住宅ローンを組まされているんですよね。
将棋に例えるとこんな感じです。
駒がこんなに沢山あると邪魔でしょう、だから幾つか抜いておいてあげたよ(ニッコリ)
こわいですよね、インターネットを検索する時点から、既に勝負は始まっているんです。
今日は不利な勝負をしないための住宅ローンシミュレーション「千日メソッド」をご紹介します。これから話すことはいわゆる「専門家」は皆知ってますが、インターネットでは公開出来ないメソッドです。
なぜなら、自らの属する組織、属していた組織の利益に反するからです。是非ブックマークしておいて下さい。
目次
毎月の返済額と60歳残高の二つの金額が重要
- 毎月の返済額に余裕はあるか?=毎月の元利均等返済額
- 現役の間に確実に完済出来るか?=60歳の時点のローン残高
この2つがポイントです。金利ではなく金額で判断するのが肝です。当たり前の話ですが、住宅ローンは完済しないと終わりません。
二つの金額はまさに車の両輪のような関係です。どちらが抜けてもダメなんです。しかし、多くの民間金融機関のシミュレーションでは60歳の時点のローン残高を提供していません。
この金額情報を利用者に提供しても、今銀行に居る者の利益にはならないんです。
毎月の返済額を払った上で繰上げ返済資金を貯蓄する余裕があるか?
住宅ローンで家を購入するということは?と聞かれたら、私は次のように答えます。
35年ならば420回、銀行に決まったお金を払うことだよ。
これが正確な定義でないことは、百も承知です。しかし、住宅ローンで家を購入しているほとんどの人に当てはまる本質なんです。元利均等返済ならば、毎月同じ金額ですよね。それを最大420回クリアすれば、住宅ローンは終わりゲームクリアです。
問題になるのは、420回のミッションの中でミスをしてしまうリスクです。自分が420回ノーミスでできることを想像してみてください。縄跳びや住所のあて名書きのようによほどハードルを下げないと難しいですよね?
それに、払えるだけではだめです。
基本的に住宅ローンは定年までの年数以上の年数を設定します。こうすることで、毎月の返済額の負担を減らしハードルを下げるのです。順調にキャリアを上げて昇給すれば、繰上げ返済できるという考え方です。
これは、あくまで経済が右肩上がりだったころのスタンダードです。銀行の審査は未だにこの考え方で80歳までを限度として借入の年数を設定していますね。これは最近の審査のトレンドを見れば一目瞭然です。
完済時の年齢の上限(回答金融機関数)
65歳未満:12
80歳未満:989
75歳未満:98
70歳未満:15
なし:1
その他:152
経済の成長期は既に終わり、少子高齢化で徐々に停滞していく経済と増加する社会保険料の負担、終身雇用など既に昔話になりつつある今、ただ会社に居れば給料が増えていくと考えるのは楽観的すぎます。
仕事を頑張るのはもちろんですが、今の時点であっても住宅ローンを払いながら貯蓄をしていくことが重要です。
千日のブログでは手取り月収の4割以下に抑えることを推奨しています。
しかし、これはあくまで目安でしかありません。扶養家族が多ければ、その分生活費も多くかかります。年収が高ければ、5割以上になったとしても生活した上で貯蓄も可能でしょう。
あくまで、自分で家計を見直し、無理のない毎月の返済金額を見つけることが大事なんですね。
60歳の時の残高が多いと老後破産のリスクが高まる
前述のように、住宅ローンは最長で35年、80歳になる年まで借りることが出来ます。そういう審査の仕組みになっているからです。
年金の支給開始が65歳からになったことに伴い、65歳定年制が義務づけられていますが、実際は旧定年の60歳を過ぎると大企業でも年収が6割位に減ってしまうそうです。
そもそも年金が足りないので、企業にその肩代わりをさせようとしているんですね。
そのときにならなければ分からないですが、もっと少ない可能性もあります。年金位に支給されれば御の字じゃないでしょうか。
65歳定年制は民間企業に義務づけられましたが、公務員は依然として60歳定年です。
そして支給される老齢年金ではもはや、普通の生活は出来ないレベルになると言われています。老後は基本的に貯金を取り崩す生活になります。長生きするほど老後破産のリスクが高まるという皮肉な状況なんですね。
ですから、基本的に60歳で完済する返済計画とする必要があるのです。それを知るためのシミュレーションは、返済期間にかかわらず、自分が60歳になった時点で住宅ローンの残高が幾ら残っているか?ということです。
この残高が多すぎると、給料収入のある間に住宅ローンを完済できず、老後の生活資金を取り崩して完済することになります。
老後の生活資金は命の金(カネ)ですよ。
退職金で完済する返済計画は老後破産の予備軍
なぜ、退職金で完済する計画にしたのか?
おそらくですが「親がそうしたから」ではないでしょうか。
親世代は良いんですよ。まだ働き手が多いですからね。団塊の世代の子供である団塊ジュニア(昭和47年生まれ)が現役で働いて、税金や保険料を払っています。
退職金を使い果たしても、年金で普通の生活ができているんです。
しかし、彼らがリタイアして年金を受け取る立場になったら?現在、よほどの高給取りで多額の年金を払っていない限りは、今の親世代が受け取っているレベルの年金はもらえません。
自分の親と同じ位の収入レベルだという場合は「親がそうしたから」という理由で、住宅ローンの返済計画を立ててはいけませんよ。
親が今の老後を維持するためにやったことと同じことをやっていると、我々の時は老後破産してしまうのですから。
現役時代に稼ぐ給料を貯蓄して完済し、退職金には手を付けず、住宅ローンとは別に貯める老後資金にオンするような返済計画を立てましょう。
金融機関としては、退職金で完済できればそれでOKなんです。その後我々がどうなるか?は関知しません。最近流行りの言葉で表現すると自己責任ということなのでしょう。
利用者の老後の生活よりも「完済できる人」に融資をして利息収入を上げることの方が優先されるのです。
借りられる金額と返せる金額は違う。
これは、良く聞く言葉ですし、私も何度かブログに書いた言葉です。今後はこれを付加します。
返せる金額と老後を生きられる金額は違う。
子供の学費と年金を天秤にかける
少しでも多くの貯蓄を貯めておくことが、ゆとりある老後につながります。
学費に関しては、これはあくまで千日の考え方ですが、国に払ってもらうか子ども本人が後から返済する形が良いと思っています。
出来るだけ奨学金も利用するようにするんです。
文部科学省によると、40年前に年間3万6千円だった国立大学の授業料は、15倍の約54万円になっており、15年後の2031年度には国立大の授業料が年間93万円程度にまで上がると試算しています。
今3歳のお子さんが大学生になる頃には、国立大学に進学したとしても、一人あたり400万円の学費が必要な計算です。
今後は少子高齢化が進んで、若い人の社会保険料の負担が大きくなっていきます。つまり、社会保険制度として若い人が親世代を支える負担が倍増していくんですね。それに加えて、自分の親の老後資金が尽きて仕送りや同居によって支えなければならないとなった場合、子どもの負担はさらに増えていきます。
将来の老後資金に不安があるのならば、大学の学費は当然に親が負担するものだという考え方にとらわれずに柔軟に考えて、お子さんと相談されることをお勧めします。
これは推測ですけど、国もその時には老人になった我々よりも、これから働き手となる若い世代に多くの税金を投入するのではないでしょうか。
お勧めの無料シミュレーションの使い方
元利均等返済額と、任意の年数でのローン残高を計算するのは、Microsoft社のExcelが使えるならば、それが一番確実です。
- 左上のメニューバーの「ファイル」をクリック
- 出てきた画面の左のサイドバーの上から2番目の「新規」をクリック
- 「オンラインテンプレートの検索」に住宅ローンと入力して検索
そうすると、Excelに入っている住宅ローンのテンプレートが出てきます。借入金額と金利と返済期間(月)を入力すると、表形式で35年ならば420回分の残高、利息、返済元本がズラッと出てきます。
ややこしい関数を使えなくても、誰でもシミュレーションができます。
ただ、Excelソフトはパソコンを購入するときに有料ですので、入れていない人もいますよね。
そこで、インターネットで無料で公開されている、住宅ローンのシミュレーターで十分な信頼性も兼ね備えたものを2つご紹介します。
労金の住宅ローンシミュレーションは20年後までのローン残高を計算してくれる
冒頭に書きましたが、民間金融機関の住宅ローンシミュレーションは、一応元利均等返済額を計算できますが、〇年後の残高というのを教えてくれないんですよね。素人でもエクセルで計算できるほど簡単なことなんですけど…
しかし、中央労働金庫(労金)の住宅ローンシミュレーションは3年、5年、10年、15年、20年後までの残高を計算してくれます。
できれば、30年後くらいまで欲しいところですが、それでも優秀ですよ。労金というのは労働組合や生協などがお互いを助け合うために資金を出し合った協同組織の金融機関です。
- 営利を目的としていない。
- 金融機関としての信頼性もある。
なので、千日が安心してお勧めできる住宅ローンのシミュレーターなのです。
差額補間法で20年後以降の残高を計算する方法
差額補間法という方法で、シミュレーション結果に出ている年以外の年の残高を概算することが出来ます。
例えば以下の例でやってみせましょう。
- 年齢31歳
- 借入元本3,000万円
- 借入期間35年
- 固定金利1%
- 元利均等返済ボーナス払い無し
労金のシミュレーションにこれらの条件を入れると以下の結果が出てきます。
- 3年後残高 27,819,687円
- 5年後残高 26,329,393 円
- 10年後残高 22,470,680 円
- 15年後残高 18,414,206 円
- 20年後残高 14,149,840 円
で、現在31歳で60歳まで29年後だとすると、やはり知りたいのは、29年後の残高ですよね。
ヒントはこれです。
- 35年後残高 0円
つまり、あと15年で残高は0円になるわけですから、今後同じペースで残高が減ると仮定してあと9年後の残高を計算するんです。1%の金利での元利均等返済の元本の推移は以下のグラフのようにほぼ直線に近いカーブなので誤差は大きくなりません。
こんな式になります。
- 29年後残高=20年後残高÷15年×(15年-9年)
これに数値を当てはめるとこのようになります。
- 5,659,915=14,149,840÷15×(15-9)
実際にエクセルで計算した29年後の残高は5,915,663円ですので、誤差は25万円ほどですね。
60歳のローン残高は「一括返済できるか?」とか「それまでにいくら繰上げ返済すればいいか?」といった観点から確認する数字ですので、この程度の誤差は問題になりません。
住宅金融支援機構のシミュレーションでは60歳のローン残高と支払い総額を計算してくれる
営利を目的としていない金融機関といえば、忘れてはならないのがフラット35の住宅金融支援機構ですね。「フラット35」ではなく「住宅金融支援機構」と検索しなければたどりつけない住宅ローンのシミュレーターです。
住宅ローンシミュレーション:住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)
その中の返済プラン比較シミュレーション - 住宅金融支援機構がおすすめです。
労金では差額補間法という、ちょっと面倒な方法で60歳の時の残高を出しましたけど、こちらなら、年齢を入力すれば60歳の時のローン残高を計算してくれます。
それだけではありません。支払い総額も計算してくれるんです。
例えば3,000万円を35年借りる場合、以下の2つの金融機関のどちらが費用が安いか、パッと見て判断できますか?
- A銀行 金利1% 融資手数料200万円
- B銀行 金利1.5% 融資手数料50万円
実際に条件を入力すると下記のように支払い総額が出てきます。
- A銀行 39,598,104円
- B銀行 41,161,707円
つまり、35年間借りる場合は、融資手数料が高くても金利の安いA銀行の方が得ということですね。
こればかりではありません、さらに繰上げ返済したらどうなるか?もシミュレーションできるようになっています。本当に至れり尽くせりですね。
住宅金融支援機構の理念は住宅金融市場における安定的な資金供給を支援し、我が国の住生活の向上に貢献することです。
- 営利を目的としていない。
- 金融機関としての信頼性もある。
- より住宅ローンに力を入れている。
おそらく無料で使えるシミュレーションとしては、これ以上のものはありません。
まとめ~少子高齢化社会に家を買うということ
いかがでしたでしょうか。このブログに書いてある内容は、まだスタンダードな方法では無いかもしれません。
これから住宅ローンを借りる人にとっては10年先、20年先、30年先の社会を生きるわけですが、どんな社会になっていても、今決めた借入の条件がそのまま適用され続けます。
残念ながら、我々を待っているのは少子高齢化社会です。これは予測というより、周知の事実に近いですよね。
しかし、家を購入する時に組む住宅ローンの計画には、その事実が反映されていないことが多いと思っています。まだ我々が経験したことの無い社会だからです。
もちろん、全ての人が少子高齢化社会で収入を減らしてしまうわけではありません。当然に個人差はあるでしょう。しかし、明らかにこれまでとは変わる要素がありますよね。
- 旧定年の60歳からの5年間は年金が支給されず65歳からになる。
- 支給される年金は、ほぼ確実に今よりも減少する。
金融機関の審査基準は、まだこれらを織り込んではいません。今は過渡期にあたるのではないかと思います。
他でもない、自分が返済計画に織り込んで住宅ローンのシミュレーションを行う必要があるのです。
以上、千日のブログでした。
《あとがき》
千日のブログでは、マイホームの購入や住宅ローンの組み方について、最新の情報に基づいて分かりやすく解説しています。
もう一つのサイト、千日の住宅ローン無料相談ドットコムでは毎日寄せられる様々な人の相談に無料で答え、その内容を記事にしています。
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借り換え | 20代借換 | 30代借換 | 40代借換 | 50代借換 |
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