2018年10月のフラット35金利は1.41%
どうも千日です。昨日の自民党総裁選で安部首相が3選を果たし、日銀の金融政策の据え置きも決定されています。☜これは金利面では上昇を抑える方向の要素です。
また、18日米国債券市場で米10年債利回り(米長期金利)が3.05%となり3%を超えてきました。☜これは日本の長期金利への上昇圧力になるでしょう。
そして、9月21日に2018年10月のフラット35の金利のもとになる機構債の表面利率が発表されました。
発表された機構債の表面利率は0.47%と前月から0.03%の上昇で、フラット35の2018年10月金利も同程度上昇するものと予想しました。
通常であれば機構債の上昇と同じ0.03%上がるところ、上昇は0.02%に抑えられましたね! 住宅金融支援機構がフラット35の金利を1.38%程度に抑えようとしているという私の予想を裏付ける結果となりました。
フラット35 10月確定 |
団信込み | 団信抜き |
10年~20年 | 1.33% | 1.13% |
21年~35年 | 1.41% | 1.21% |
ちなみに9月の実績は以下のとおりでした。
フラット35 9月実績 |
団信込み | 団信抜き |
10年~20年 | 1.31% | 1.11% |
21年~35年 | 1.39% | 1.19% |
7月末から8月にかけての日銀の政策修正によって長期金利が上がりましたので、ある程度予想どおりの展開ですね。
では始めましょう。
日銀の金融政策と最近の長期金利(新発10年国債利回り)の動向
日銀は9月18日から19日の金融政策決定会合で、現在のイールドカーブ・コントロール政策の現状維持を賛成多数で決定しました。
また、長期金利の上昇の原因となった長期金利の誘導目標の修正も維持しました。次のようなものです。
- 長期金利の誘導目標は変わらずゼロ%程度にするが経済・物価情勢等に応じて上下に0.2%程度まで変動しうるとする。
長期金利の誘導目標を上下0.1%から上下0.2%に手綱を緩めるというのは、実質的には長期金利が0.2%くらいまで上がることは黙認しようということです。
つまり、長期金利の上昇に伴って民間銀行が金利を上げることを、ある程度認めるということなんですね。
ただし、その一方で当分の間、極めて低い長短金利水準を維持するというフォア―ドガイダンスを導入しています。
その後、長期金利は一旦は上がったものの、概ね横ばいとなっていました。しかし、最近になって若干の上昇に転じているんです。
こちらが直近の長期金利の推移です。
米長期金利が3%台を超えた
先月まではFRB(米中央銀行)パウエル議長の利上げにトランプ大統領が批判的なコメントを出したことが市場を動揺させドル売りを誘発し、アメリカの長期金利は2.8%台で頭打ちになっていました。
ところが、9月18日には米長期金利が3.05%と上昇し、再び3%を超える勢いになってきているんです。
そのキッカケと言われているのが、トランプ政権が2000億ドル相当の中国製品への追加関税を9月24日から課すと発表し、これを受けて中国が報復措置として600億ドル相当の米国製品に24日から追加関税を課すと発表したことだと言われてます。
金額で比較してもトランプに分がありますよね。
これに対して18日の東京株式市場は最初マイナスでしたがその後プラスに転じ、どういうわけか中国株も上昇したんです。
米長期金利の上昇の影響は日本の長期金利に波及する
米長期金利の上昇は日米の長期金利差からみるとドル円にとっては円高となります。よく中央に仕切りのある桶に例えられますね。
- 為替レートが自国通貨高となった場合→物価低下で金利が下がる。
- 為替レートが自国通貨安となった場合→物価上昇で金利が上がる。
今は下の図のようにドル金利が高く、為替は円高ドル安です。そして、直近ではドル金利がさらに上がったという局面なんですね。
この桶は水があふれてしまわないように、必ず反発するようになっています。
つまり米長期金利が上がれば、米国債に投資した方が儲かるわけですから、円を売ってドルを購入する方向に行くのです。つまり反対方向に水が流れていきます。
そうすると次は円金利が上がりますよね。
日銀は長期金利を上下0.2%までとレンジを広げていますが、今のところ0.2%を超えそうになったことはありません。
この反動で、市場が日銀のレンジの上限を試しに来るようなことも予想されます。そうなると住宅ローンの金利にも少なからず影響する可能性が出てくるのです。
長期金利とフラット35(機構債の表面利率)の関係
フラット35は民間金融機関やモーゲージバンクで申込をしますが、実質的に融資をしているのは住宅金融支援機構という国の機関です。そして、住宅金融支援機構は投資家に機構債を販売してフラット35の資金を調達しています。
機関投資家は国債のような安全資産として機構債を購入しているので、機構債の表面利率は金融市場の長期金利=国債の利回りとほぼ連動するのです。
その長期金利の指標となる新発10年国債利回りの推移とフラット35(機構債の表面利率)の推移を並べてみましょう。
10年国債利回りとフラット35(機構債表面利率)の推移
グラフで推移を見ると10年国債利回りとフラット35の機構債の利率は、ほぼ連動していることが見て取れます。
年月 | 10年国債利回り | 機構債表面利率 |
2016年5月 | -0.134% | 0.34% |
2016年6月 | -0.102% | 0.36% |
2016年7月 | -0.208% | 0.23% |
2016年8月 | -0.229% | 0.19% |
2016年9月 | -0.084% | 0.33% |
2016年10月 | -0.040% | 0.37% |
2016年11月 | -0.056% | 0.34% |
2016年12月 | 0.013% | 0.41% |
2017年1月 | 0.076% | 0.48% |
2017年2月 | 0.065% | 0.46% |
2017年3月 | 0.093% | 0.47% |
2017年4月 | 0.071% | 0.46% |
2017年5月 | 0.014% | 0.40% |
2017年6月 | 0.048% | 0.43% |
2017年7月 | 0.050% | 0.44% |
2017年8月 | 0.074% | 0.46% |
2017年9月 | 0.043% | 0.42% |
2017年10月 | 0.035% | 0.42% |
2017年11月 | 0.064% | 0.43% |
2017年12月 | 0.025% | 0.40% |
2018年1月 | 0.045% | 0.42% |
2018年2月 | 0.079% | 0.46% |
2018年3月 | 0.060% | 0.42% |
2018年4月 | 0.045% | 0.40% |
2018年5月 | 0.035% | 0.40% |
2018年6月 | 0.060% | 0.42% |
2018年7月 | 0.030% | 0.39% |
2018年8月 | 0.035% | 0.39% |
2018年9月 | 0.090% | 0.44% |
2018年10月 | 0.115% | 0.47% |
(注)年月は対象のフラット35の適用金利なので、時点としては前月の20日前後の金利です。例えば2018年10月のフラット35に対応する機構債の表面利率の発表は9月21日ですので、2018年10月には9月20日終値の金利を書いています。
- 長期金利は前月から0.025%上がった、
- これに対して機構債は0.03%上がったということです。
概ね機構債の表面利率は長期金利と連動するんです。今回の2018年10月に近いところでは、2017年3月でした。比較してみましょう。
年月 | 10年国債利回り | 機構債表面利率 |
2017年3月 | 0.093% | 0.47% |
2018年10月 | 0.115% | 0.47% |
概ね連動はするのですが、ちょっとずつ乖離していくのです。
フラット35の金利は国が操作している
千日の分析によると、今のところ国はフラット35の金利(団信0.28%込み)で1.38%に抑えたいと考えていると見込んでいます。
これはフラット35を手掛ける住宅金融支援機構が国民の住宅金融の円滑化を目的としたものだからです。
民間銀行は営利企業ですから利益を増やそうとしますが、住宅金融支援機構は公的機関ですから自分の利益を増やすことは目的じゃないのです。
家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本で固定金利について1.38%という前提でシミュレーションしているのはそうした理由です。
詳しくは2018年以降のフラット35の金利を予測している記事で詳しく書いていますので、まだ読んだことのない方は読んでみてください。
2018年に入ってからのフラット35の金利推移は以下のようになってます。
2018年 | フラット35 期間21~35年 |
1月 | 1.36% |
2月 | 1.40% |
3月 | 1.36% |
4月 | 1.35% |
5月 | 1.35% |
6月 | 1.37% |
7月 | 1.34% |
8月 | 1.34% |
9月 | 1.39% |
10月 | 1.41% |
今のところ、なぞったかのようにこの予想通りに進んでいる感じですよね。
基本的には長期金利に連動してフラット35の金利も上下するということになるのですが、急激な上昇については住宅金融支援機構が損を被ってフラット35の金利の上昇を食い止めるのではないかと予想しています。
9月から10月にかけて機構債は0.03%上がったので、普通であればフラット35の金利も0.03%上がって1.42%となるべきところ、1.41%になったということは、0.01%住宅金融支援機構が損を被ったということです。
どの位の上昇で住宅金融支援機構が損を被るのか?10月の金利発表に注目していたのですが、この結果には満足しています。
複数の金利タイプで審査を通しておきましょう
住宅ローンは実行月によってこれだけ金利が変化することがあります。予め異なる金利タイプで本審査を通しておけば直前になってから慌てることは無いですね。
変動金利や3年固定などの短期の固定金利でも審査を通しておく
基本的にはフラット35を中心として固定金利が低い状況が続いていますので、フラット35はオススメしやすい金利タイプです。
しかし今月のように日銀総裁の発言や米長期金利に引っ張られて一時的に上がってしまうということはよくあることです。
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400~600 | ||||
600~800 | 30代600~1200 | 40代600~1200 | ||
800~1000 | 20代800以上 | |||
1000~1200 | 50代1000以上 | |||
1200~1500 | 30代1200以上 | 40代1200以上 | ||
1500~2000 | ||||
2000以上 |
このランキングの上位から複数の金利タイプをミックスして本審査に通しておくことをお勧めしています、これもいわゆる『ポートフォリオ』です。
マイホームを買うときには住宅ローンを組まなくてはいけません。その住宅ローン金利は金融市場の影響をモロに受けます。投資家でもないのにそうした市場の動きに影響を受けてしまうのですよね。
住宅ローンで家を買う人は、まさに数千万円という元本でもって金融市場に参加しているのだ、という心構えでいる必要があるのですよ。
- 2018年9月27日に10月のフラット35の金利を更新し、その振り返りを追記しました(赤文字)。
以上、千日のブログでした。
《あとがき》
マイホームを買う人って、別に市場の投資家ではないのにもかかわらず、債券市場の動きに影響を受けてしまうのですよね。
なので、まとめでも書いてますが、念のため変動金利の方でも審査を出しておくことをお勧めします。
2018年9月21日
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20代800以上 | 30代1200以上 | 40代1200以上 | ||
借り換え | 20代借換 | 30代借換 | 40代借換 | 50代借換 |
団信 | 20代団信 | 30代団信 | 40代団信 | 50代団信 |
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