ホステスに配られる業務委託契約書
ある日のことだ。ママが店の女の子を皆んな集めてA4サイズの一枚の紙を配って言った。
「皆んなコレにサインしてハンコを押して頂戴、それと身分証明証のコピーもね」
その紙には『業務委託契約書』と書いてあった。業務委託契約書って何?今までは店の売上の50%と指名料を貰える約束になっていた。心配になって聞いてみた。
「これは何?何か変わるの?」
「税理士が作れって言ってきたのよ、今までと何も変わらないよ読んでみたら分かる」
確かに第3条という所に業務委託料について書いてあった。
『乙は…売上金額の50%と指名料全額を業務委託料として甲に支払う。乙は甲に対しその都度又は月末までに業務委託料を支払うものとする。また、甲、乙協議により合意された支払い方法をとることも出来ることとする。』
今までは、店の終わりにその日の売上の50%と指名料全額を現金で貰っていた。合意された支払い方法って何だろう?なんでこんな物が必要なのだろう?言いようもない不安が押し寄せて来た。
「ママ、何か良くわからない事も書いてるじゃない。合意された支払い方法って何?何でこんなのが必要なの?」
「アタシにも良く分からないけど、税理士が言って来たのよ、大丈夫。これからも今まで通りその日のうちに売上は払うから」
「イヤだって言ったら…?」
「アタシの事がそんなに信用出来ないなら、お店を辞めて貰うしかないだろうね!」
私が『そんな事は…』と返す間も与えず、ママは私達を残して奥へ引っ込んでしまった。どうしようか…
女の子の反応は様々だ。中には『じゃあ辞める』というコもいるし『今までと変わらないならいいじゃん』というコもいる。しかし分からないのは、ママが何で急に、ここまで強い態度に出て来るのか…
店を辞めようか?
それは簡単ではない。私には養わなければならない娘がいるのだ。昼間は母に世話をして貰っている。そして私はママの店を辞めてすぐ次の店が見つかる程もう若くはない。
なぜホステスをやってのるか?
分からない、私はこれ以外の仕事をした事が無い。色んな店を転々としたが、私もそろそろママと変わらない年齢になって来た。
店を出させてやろう。
そんな話も無いでは無かったが、断って来た。そんな男は信用出来ないし、自分でやろうと思えばいつでも出来る…
それに、たった5坪程度の店だったとしても、それをやって行くのは簡単な事ではない。そういう事も分かってきた。そして今に至っている。
ホステスという仕事
ママは税理士が言って来たと言ってた。なら税理士に聞いてみるのが一番だと思う。確か店の常連の千田(せんだ)という男が自分は税理士だと言ってた。
しかし千田ばダメだ。千田は始めママを目当てに通っていたのだが、少し前から私に気持ちが移ったようで、私に色々と貢ぐようになった。
始めはいいお客さんだったし、貢ぐだけ貢がせていたのだが、しつこく店外でのデートをせがむようになった。
そして私が自分の思い通りにならないと見るや『今まで買ってやった物を全部返せ』とか『訴えてやる』とか逆上しだしてストーカー化してきた。
千田は無理だ。だいたい、ブランド物のバッグやらアクセサリーを買って与えた位で女が自分の思い通りになるとでも思っているのだろうか?いい歳をして何故それが分からないのか、理解に苦しむ。
もちろん、私もそういう愚かさが分かっていて男に貢ぐように仕向けているのだが…私はそういう女だ。
弁解はしないが、そういう商売なのだから関係の無い人はもちろんのこと、貢いで逆上する男にも、とやかく言われる筋合いは無い。
業務委託契約の裏にあるマイナンバー制度とママの意図
次回 ストーカーになりそうな友人へ
以上、千日のブログでした。
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