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鎌倉投信 新井和宏氏の『あたたかい金融』の対極にあるサブリースアパートの急増と間接金融の常識

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金融の本質と新井和宏氏のあたたかい金融

どうも千日です。

この記事は昨日アップしたブログの続きで、NHKの番組の『プロフェッショナルの流儀 新井和宏』の備忘録です。
新井和宏氏は元大手のファンドマネージャーから独立して鎌倉投信を立ち上げ、出資金を立ち上げ時から5年間で170%にまで増やしました。
その『社会的意義に共感する企業で固めたポートフォリオに均等に投資を配分し、その成長とともに利益を得る』投資ポリシーに賛同する9千人の投資家から140億円の資金を託されています。

あたたかい金融

新井氏はこの株式投資で得た利益を元手に4社に対して破格の低金利で資金を貸出しています。
 
自然環境保護地域活性化の面で社会に貢献しているものの銀行から融資を受けられず運転資金が底を尽きかけていた会社です。
 
番組の後半ではフェアトレード活動を営む会社から融資の申込みを受け、融資をするのか否か煩悶するのですが、新井氏が融資をしたいと思いながらも、ためらう所が大きな見所となっています。
 

融資したい理由

フェアトレードとは開発途上国の生産者支援を目的として、途上国で作られた衣料品•食料品•雑貨などを適正価格で継続的に購入することで立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す『貿易の仕組み』を言います。
社会的意義の高い事業です
 
また、新井氏は従業員にも面談し、従業員達がその使命と理念を共有し、高いモチベーションで仕事にあたっていると感じました。
 
是非とも融資したい会社です
 

融資をためらった理由

  1. 会社には退職金制度が無いことに加えて従業員の平均給与が低水準
  2. 現地生産者の希望に沿うため仕入代金を前払いしている仕入先が多い
  3. 融資を希望する資金の使い途は、さらに(前払いできる)仕入先を増やして現地の生産者の支援を増やし、取引の規模を拡大すること
新井氏は考えます。
 
今は問題ないがこの支援活動は従業員の犠牲の上に成り立っている。このまま行くと皆疲弊してしまうのではないか?
 
またこうも考えます
 
ウチの金利は安いけどそれでも利息は出て行く。今の(前払いの)形のまま取引規模を拡大させるのはリスクを拡大させることじゃないか?
これは間接金融(金を貸す側)としては全く非常識な思考です。
 

サブリースアパートの急増に見る金融の常識

話を近年急増しているサブリースアパートに移し、皆が慣れ親しんだ金融の常識についてお話ししましょう。
 
サブリースアパートというのは、地主が賃貸アパートを建設し、サブリース業者が一括借り上げして、賃貸アパートの宣伝や管理を請け負い、入居率にかかわらず地主に定額の賃料を支払う形式の賃貸アパート経営です。
 
近年急増した背景には平成27年度の税制改正で相続税が強化されたことにあります。
 
相続税は財産の価値に比例して高くなりますが、土地の評価は更地が最も高いのです。そこに借金をして建物を建て、賃貸することで以下の節税効果があるんです。
  1. 建物を建てると税金計算上の土地の評価額が下がる→相続税が安くなる
  2. 借金は財産からマイナス計算される→相続税が安くなる
  3. 建物を賃貸目的とすると評価額が80%に減額される→相続税が安くなる
  4. 賃貸することで家賃収入が見込める→子供世代の収入となる
一見良いことばかりのように見えますね
 
しかし、賃貸アパート経営をしたことのない人が気軽に出来ることではありません。そこでサブリース業者の登場です。
 
彼らは主に高齢の農家をターゲットとして営業をかけます。
  1. 高齢になり所有する田畑を維持することが難しくなってきている
  2. 子供は農家を継ぐ意思はない
  3. 相続税が増税になり、負担が増える
田畑があるような場所は通常そんなに交通の便は良くありません。また少子高齢化で人口は減っていくだけです。
 

家賃保証という罠

サブリース業者の営業は家賃を保証すると謳って営業を行います。『ならば安心』となりそうですが、ここに落とし穴があります。
 
家賃の保証期間は借入金の返済期間より短いんです。保証期間を過ぎると数年毎に見直しする旨が契約書には明記されているのです。
 

当然ですが空家が多かったり賃料相場が下がっていると減額されます

この仕組みでは一見サブリース業者だけが悪人のように見えますが…
  1. サブリース業者
  2. 建築業者
  3. 銀行
この3者による共謀なのです。
 

建築業者は止まることが出来ない

建築業者は文字通り建築を業とします。従業員を食べさせるには、毎年どこかに新しい建物を建てなければ倒産します。
 
まだ使える建物でも、より付加価値を高めた新しい建物に建て替えて行くことで社会にメリットをもたらす。これが建築業のA面です。
 
しかし、B面もあります。建築業者にとって新しい建物が空家になろうが関知する所ではないのです。請け負った建物を完成させ、代金を受け取るまでが彼らの仕事なんです。
 

銀行は時としてサブリース業者と一人二役を務めます

銀行は賃貸アパートの管理はしませんが、節税対策としてアパート経営を勧めたりもしますね。
 
これは言うまでもなく、融資による利息が狙いです。審査を通すのに必須なのは土地建物に対する第一抵当権です。アパートの担保価値で足りなければ彼らは自宅も担保に要求します
 

賃貸アパートが成功しなくても貸した元金と利息を確実に回収するためです

間接金融(金を貸す)ということは、貸した金で行う事業が成功しても、失敗しても一定の利息と元金の回収を行うことを目的とするんです。
 
これに対して直接金融(株式投資)とは出資した金で行う事業が成功したら大きな利益を得て、失敗したら紙クズになるんです。
 
銀行が間接金融として金を貸すのにこのようなスタンスを取るのは至極当然といえます。
銀行の融資担当者が心から『応援したい』と考えても、本質的に借りる側と貸す側の目的は異なるのです。これが間接金融の常識です。

いかに新井氏の融資に対するスタンスが非常識であるか

再び新井氏の融資へのスタンスに話を戻します。分かり易く言えば借りる側の立場に立っていることですね。
 
しかしこの『借りる側の立場に立つ』という表現は正確に新井氏のスタンスを表すものではないと千日は考えます。
 
そうではない
 
相手の身になるなどという慈善活動ではありません。あくまで投資案件として融資を考えているのです。
 
これは、社会慈善活動に私財を投じるスタンスではありません。あくまでその企業が安定成長することで融資した資金を回収(又は直接金融への転換=上場)することを目指している。
 

社会的意義(価値)のある会社が安定して成長することが、社会全体にプラスになり自分の資産も増やすことになる

これが新井氏の語る『あたたかい金融』というものなのでしょうか。
 
そしてそれを夢物語ではなく、現実に10%を超える利回りで5年に渡り実践しているのです。
再放送は5月16日金曜深夜1時10分から1時58分NHK総合です。長文にお付き合い頂きありがとうございます。
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以上、千日のブログでした。