千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える

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【新地方公会計制度4】固定資産台帳整備についてのQ&A(期首残高編)

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固定資産台帳の整備でぶつかる疑問に答えます

どうも千日です。帰ってきた新地方公会計制度シリーズです。固定資産台帳の整備で行う期首残高の評価でぶつかる疑問点についてです。


千日がマニュアルを見ていて、期首の固定資産台帳を整備する際、担当者が判断に迷いそうだ、疑問に思いそうだと思った三つのポイントについて書きました。

 
この記事を書こうと思った動機は前回の記事で書いたように、少しは世の中の役に立つ記事も書いていこうと思ったからです。
 
この新地方公会計制度シリーズは公共の福祉の為に日夜働く公務員の方々へ向けて書きます。『公共サービス担当者向けの公共ブログ(非公認)』という位置付けです。
 
あくまで新公会計制度をベースに書きます。企業会計のノウハウはいくらでも書籍や情報があるからです。
 
では始めます。
 

Ⅰ. 再調達原価の見積もり方は?

期首残高を評価するにあたって共通して念頭に入れておくべきポイントを二つ挙げます。
  1. 期首残高を評価する事務はこの一回きりの業務であること
  2. 期首残高はその後、備忘価額の1円まで減価償却されるものであること(要は消えてしまうもの)

原則として取得原価によるとされている

再調達原価は取得原価が分からない場合に『やむなく仮定する』という位置付けです。
 
  • 取得原価とは資産を購入した時点の原価であり、購入対価に付随費用を加えます。
  • 再調達原価とは現時点の購買市場の時価に付随費用を加えたものです。
ハナから時点が全然違うのです。再調達原価を選択せざるを得ない状況でベストな再調達原価とは?という考えはまず放棄すべきです。
 
現時点で経済的に入手しうる情報が時価です。建物については『資産評価及び固定資産台帳整備の手引き』の別紙7にある建物に係る構造•用途別単価を適用します。
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取得原価が原則であって、再調達原価はあくまで例外です。全部再調達原価でやれば楽ですがさすがにそれは認められません。

道路には単価表がないので、各自治体で見積もる

道路の取得原価が不明である場合の再調達原価の見積もり方は『資産評価及び固定資産台帳整備の手引き』の83項から89項にありますが、上述の建物のケースと同程度の精密さがあるかという見方を行います。
  • 建物は構造及び用途別の単価
  • 道路も構造及び用途別の単価
構造はコンクリートかアスファルト
用途は都道府県(市町村)道、農道、林道など
 
この大分類に分けた上で、道路の幅員別に過去5年程度の工事実績を引っ張り出し、平均するのです。
 
初めての事務ですので本当にこれでいいのか?と自信が揺らぐと思います。現時点では誰にも分かりません。皆が初めてで、しかも今回限りの事務だからです。
 
絶対的な正解はありません
相対的に妥当かという見方をします
相対的に妥当かは、総務省が提示している建物の再調達原価の見積と比べてどうか?という見方です。これよりもドンブリでは正確さに欠け、これよりも精緻すぎてもバランスが悪い。同じ位になるようにします。

Ⅱ. 道路の計上単位の決め方は?

計上単位を決めるにあたって共通して念頭に入れておくべきポイントを二つ挙げます。
  1. 現物との照合が可能な単位であること
  2. 取替や更新を行う単位であること

道路の現物照合単位は道路台帳

道路の整備を行う時に今まで継続的に整備していた台帳が参考になります。道路台帳がこれに当たります。
 
固定資産台帳への登録を行う際には道路台帳との整合性がとれ無ければ、下記の不都合が生じます。
  • 固定資産の2重登録
  • 固定資産の登録漏れ
道路の期首残高を固定資産台帳に登録する際の第一の目標は、道路台帳を塗りつぶして色の重なりや白い部分が無いことです。もちろん、道路台帳が正確であることが条件ですが…
 

道路は続くよ何処までも

将来の道路の取替、更新の単位に現時点で明確な線引きは出来ませんね。固定資産台帳という縦横の表形式に収まらないのが道路です。
 
期首時点までの取得単位(整備単位)で登録を行うことがまず目標です。その後、道路の延長や舗装のやりかえの都度、登録単位を細分化•精緻化して行こうというのが、『資産評価及び固定資産台帳整備の手引き』のスタンスです。
 

Ⅲ. 50万円未満の物品が複数集まって機能する場合はまとめて1単位で認識するべき?

まず50万円というラインを引かれている趣旨を念頭に置きます。
 
固定資産は1年以内に費消される費用と異なり、その資産が除却売却されるまで長期にわたって行政サービス等に利用されることから、貸借対照表に計上するんです。
 
50万円というラインは理論的には固定資産であっても金額的に重要性が乏しいものまで台帳管理することは経済的でないことから、費用計上を許容するという趣旨です。
 
この考え方は重要性の原則(企業会計原則)と呼ばれています。
 

通常は単品単位で50万円の基準で判断します

しかし、単品で50万円未満でも複数が一体として行政サービスに寄与しており、取替や更新がその単位で行われる場合は、それらを一体として固定資産台帳に計上するべきでしょう。
 

極めて限られたケースだと思いますが、このように原理原則に立ち返って検討するのは、固定資産台帳の管理担当者として重要な責務です。

以上、千日のブログでした。

古代のインフラ ポンペイ遺跡の道路
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ポンペイ遺跡の紀元前の石畳の道路です。石畳の間には所々に小石くらいの白い大理石が埋め込まれています。夜間に馬車が通行する際に松明の明かりが反射して道筋を示す機能です。
 
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