辺野古基地移設問題に思うこと
沖縄県の翁長(おなが)知事が普天間基地の辺野古移設工事で、岩礁破砕許可を出した区域外に立ち入り禁止区域を示すフロートやブイを固定する重りとして沈められたコンクリートブロックがサンゴを傷つけているとして『農林水産部に投入の一時停止等も含め、検討するよう指示している』という記事です。
私は家でサンゴを飼育してますので、寧ろ破壊者側の人間です。加えて、この反対運動は沖縄県と関係無い人達がビジネスの道具としてる側面もあります。
- ブログの見解に偏りが出る可能性がある
- これについて殊更取り上げることで、ビジネスの道具にしてる人達に塩を送ることになる
この辺りに気をつけながら書きたいと思います。
コンクリートブロックはサンゴを殺したか?というと否です。
コンクリートブロックが沈められた場所のサンゴの骨格は破壊されましたが、死んではいません。石灰質の体を持つサンゴはサンゴに適した環境下なら、身体を修復しコンクリートブロックやワイヤーを覆いつくし、増えて行きます。
また、サンゴは破片となってもサンゴに適した環境下では破片から増殖します。
もちろん、破片が造礁サンゴと呼ばれるまでのものになるまでは、途方も無い時間を要します。
サンゴという生き物、実は動物なんですよ
サンゴは動物です。しかし、体内に褐虫藻を共生させて、その光合成によって栄養を得ているんです。動物でありながら光合成する、とてもユニークな生物なんですね。
光合成するサンゴに適した環境とは?
上述の話は『サンゴに適した環境下』という条件付きです。サンゴ礁は下の写真のような遠浅の海に形成されます。
- 太陽光の届く遠浅(水深20m位)
- 水温が年間通して22度から30度
- 澄んだ水『貧栄養』
写真は無料素材より、沖縄県宮古郡の多良間島です
1と2の条件は特に珍しいものではありません。3の『貧栄養』が最も珍しい存在なんです。
海が『貧栄養』であること
サンゴが共生関係にある褐虫藻は海藻との競争では負けてしまうんです。海が富栄養化(肥料になる無機塩類が増加)すると海藻の方が光合成に有利になって、海水の透明度が低下し、褐虫藻は生存出来なくなります。
基地が出来るとどうなるかー陸土の流出と海の富栄養化
基地の建設によって海が埋め立てられますので、当然そこのサンゴ礁は消滅しますが、さらに…
- 陸土が海に流れ出し、それが沈殿してサンゴが窒息する
- 沿岸の人口が増加、生活排水の増加による海の富栄養化
1.については陸の側で貯水池を作り、泥土を沈殿させて除去することで対策出来ます。
2.についてはそもそも、基地が出来る以上、人口が増加するのは避けられませんが、生活排水を海に流さないことで対策出来ます。
辺野古村のある名護市の下水道普及率は61.1%(H23年度末)です
辺野古村はもう少し低いのではないでしょうか。コンクリートブロック攻撃で珊瑚礁を全滅させるのは困難ですが…
サンゴは移動手段を持ちません
今回のコンクリートブロックによって破片となったサンゴが宮古島辺りに流れ付く可能性がどれほどかは、わかりません。
いずれにせよ、今のままでは『傷付けられた』と主張しているサンゴ礁は消滅するのでしょうか?
国敗れて珊瑚あり
翁長知事の公約である『県外移設』は厳しいかもしれません。しかしサンゴ礁を守る方法はまだ残っていると思います。
以上、千日のブログでした。
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