民間銀行が住宅ローンの基準金利を変更する「相当の事由」って何?
どうも千日です。千日の住宅ローン無料相談ドットコムでこんな質問が来ました。
先日の日銀の金融政策の変更が発表されて以降、住宅ローンの固定金利の約款について心配しています。
約款には「金融情勢の変化その他相当の事由があると認められる場合には基準金利を変更することがある」ようなことが書かれております。
今回の政策変更は微調整のため影響がないと思いますが、消費税増税やオリンピック終了後に長期金利は上がると思います。
そういったことで、契約中の固定金利は変更されることはありますか?またどんな時にこの約款が適用されるのでしょうか。
銀行の約款なんだから、銀行の人に聞けば?と突き放すのは簡単です。
しかし、銀行に聞いても銀行の従業員の立場から言えることしか返ってこないはずです。
そして、これについて書いているジャーナリスト系の記事も基本的には素人が銀行に電話取材して聞いたことをタダ書いてるだけなんですよ。
なので、実際に銀行がどういうケースを想定してこういう文言を入れているか?ということをガチで書いておこうと思います。
ホントは何十年も金利を固定してお金を貸すことは出来ない
そもそも論なのですが、理論的に民間銀行が35年も金利を固定してお金を貸すということは出来ないんです。
住宅ローンというものがスタートしたのが、第二次マンションブームの1968年です。マンションの大衆路線化が進み、3年間の住宅ローン付きというマンションが供給され始めたのです。
住宅の取得代金を貸すということが始まってから50年ですがその間に長期金利は凄く変動しています。下のグラフは過去30年の長期金利の推移を取ったものですが8%から0%まで変動してますよね。
これってどういうことか?と申しますと、市場の金利が30年の間にこれだけ変動しているということです。
そして民間銀行にとって、これは仕入れ値の動きみたいなものなんです。
民間銀行の融資の仕組みから斬る
民間銀行もまた市場からお金を借りて、それを貸すことで儲けています。資金調達の金利が長期金利とすると、過去30年で仕入れ値が0%から8%まで変動しているのと同じことです。
もし調達金利が8%の時に、今の35年固定金利のように1.34%くらいで住宅ローンを貸してたら?
銀行は大赤字になってしまいますよね、貸せば貸すほど赤字です。
しかし、現に過去30年はそれだけの変動幅で動いているのです。ですから民間銀行は理論的に30年もの間、金利を固定してお金を貸すというのは出来ない訳です、真面目に考えたらね。
見ているのは、せいぜい5年先位までです。
なので、民間銀行が住宅ローンを貸すためには以下の文言が契約書(約款)に無ければならないのですよ。
前条(項)にかかわらず、銀行は金融情勢の変化その他相当の事由があると認められる場合には、借入金利を相当の範囲で変更することが出来るものとします。
この文言が無い状態で住宅ローンを売っている銀行があったらどうなるか?
もしも、金利が高騰したら、たちまち銀行は赤字になって倒産してしまうリスクを抱えることになりますので、株主はその銀行の株をこぞって売却するでしょう。
つまり民間銀行が販売する商品として、成立しないのです。
フラット35は何があっても絶対に金利が上がらない固定金利
ちなみに、フラット35の契約書(要綱)についてはこういう文言はありません。これはフラット35の金利の決まり方によるものなんです。
住宅金融支援機構が投資家に販売する機構債の販売代金を右から左に移すだけで、銀行も住宅金融支援機構も金利のリスクを取っていません。投資家に販売する機構債の表面利率でフラット35の金利は確定しているんです。
たとえ今後金利がすごく上がって8%位になったとしても、金利が安いときに機構債を買った人は安い利率での利息しかもらえない、というだけのことなんですね。
ですからその後に金融市場の長期金利がいくら上がろうと、そのときに決まった金利を投資家に払うだけですから、何があっても金利が変わらないのがフラット35なのです。
銀行員や公務員にとってフラット35がリスクヘッジになる
ですから、銀行員にとっては特にフラット35で借りておくことがリスクヘッジになるんですよ。ということを過去に記事に書きました。
また、公務員のように経済情勢によって給料が変わらず安定する職業の人にとってもフラット35は合理的な選択なんです。
消費増税や東京オリンピックで固定金利が上がることってある?
結論から書きましょうか。消費増税や東京オリンピックというような「今から見えてること」が直接の要因となってそれで民間銀行の基準金利が上がるというようなことはありません。
理論的にですが、金融市場の長期金利というのは、先に見えていることは織り込んで推移しています。
例えば2019年10月に消費税が上がることや、2020年に東京にオリンピックがやってくることはもうみんなが知っていることです。今の住宅ローンの固定金利というのは、すでにそうした要素を織り込んで形成された長期金利をベースとして決まったものです。
なので、それによって想定どおりの金利の動きをしたところで銀行の経営の根幹を揺るがすようなことにはならないということです。
基準金利が上がる=「相当の事由」は全く想定していない
なのでダブルミーニングなんですけど、銀行は逆に「金利を上げること」は全く想定していないんです。
想定できないような事象が起こったときしか金利を上げないんですよ。
自分たちに想定できないことが起こり得るということを想定しているという意味の文言なのですこれは。
35年というのは銀行員になるような、その銀行員の中でも中枢で商品を開発するような人にとっても未知の期間なのです。考えてみればそりゃそうでしょって感じですけどね。
《おすすめ》アルヒのフラット35
フラット35は唯一金利が上がらないことが保証されている稀有な住宅ローンなんですよね。
その中でも、アルヒが取り扱っている「スーパーフラット」は、通常のフラット35に比べて金利を0.1%、または0.05%引き下げている、おすすめの住宅ローンです。
従来は、頭金が2割以上必要な「スーパーフラット8」だけでしたが、2017年10月に、頭金が1割以上必要な「スーパーフラット9」も投入しました。
概要は以下の通りです。
商品名 (通常のフラット35との金利差) | 頭金(手持金) | 返済負担率 |
スーパーフラット8 (金利▼0.10%) | 2割以上 | 30%以内(年収400万円未満) 35%以内(年収400万円以上) |
スーパーフラット9 (金利▼0.05%) | 1割以上 | 20%以内 |
それとアルヒは審査のスピードが超早いというのも、良く知られたメリットです。最短で3営業日ですからね。フラット35を選んだ4人に 1人がアルヒで借りてます。
またその強みは店舗が全国に175店舗あることです。対面でコンサルすることができますのでそこも安心ですね。
まとめ〜金利に左右されたくないならフラット35はおすすめ
色々書きましたけど、なんだかんだで今は長期金利が低いです。市場関係者は長期金利は実態よりも安いと評価しています。
2018年7月31日の会合後、長期金利が上がった!というニュースで持ち切りですけどそれまでは、日銀が0%程度に下げるように操作していたのですからその反動のようなものです。
いずれにしても、こちらに書いたように2019年の消費増税までは長期金利は下げる方向になりますので、フラット35が安い状況は当分の間続くでしょう。
単純な金利の高い安いではなく、こうした金融市場の情勢を鑑みると、金利に左右されたくないなら、教科書的に最もお得な住宅ローンはフラット35ということになるんです。
以上、千日のブログでした。
《あとがき》
ブログで紹介しているマイホームの購入と住宅ローンのノウハウの詳細をまとめたのがこちらの本です。
全国の大型書店と通販で発売中です。ブログでは、さまざまなエントリーに分散してしまいがちな情報を分かりやすく整理し、よりすぐりのノウハウと考え方をまとめた本です。
おかげ様で口コミで評判が拡がりまして、発売からわずか5カ月で増刷となりました!ぜひお手にとってください。
また姉妹サイトの住宅ローン無料相談ドットコムでは無料で相談に乗っています。最近まで忙しすぎて相談メールフォームを閉じてましたが、また開きました!すぐ一杯になってしまうので、相談したい方は奮ってメールを送ってくださいね。
2018年8月2日
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20代800以上 | 30代1200以上 | 40代1200以上 | ||
借り換え | 20代借換 | 30代借換 | 40代借換 | 50代借換 |
団信 | 20代団信 | 30代団信 | 40代団信 | 50代団信 |
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