千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える

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20代の住宅ローンで頭金が2割あるなら団信に入らない方がトクって本当⁉

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『団信が必須』は銀行の都合であってこっちの都合じゃない

どうも千日です。最近、団信についての相談が増えてます。

団信とは、住宅ローンの債務者が死亡や高度障害になったときに保険会社が住宅ローンを全部払ってくれてローンがゼロ円になる生命保険です。

この保険料は銀行の方が負担します。その代わり住宅ローンを借りるにはこの団信に加入できることが最低条件になっています。

ここまで聞いて、

へえー!それはありがたいな!

なんて思った人は銀行に騙されていますよ。

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ブログのコメント欄にこのような相談が来ました。

年齢と年収 夫(28歳)500万円、妻(29歳)200万円
自己資金 自己資金700万と2100万の贈与があり、合計2800万円を購入に充てることができます。
物件価格 建物3900万土地2100万(2100万の贈与を充てる予定)
物件タイプ 注文住宅 引き渡し予定2019年3月末
借入予定額 最大で建物価格の3900万。35年ローンを組みます。 返済期間が長いこと・金利上昇時のリスクなど様々考慮し35年長期固定を検討しています。
住宅ローン

・地方銀行の超長期35年固定団信込みで1.22%

・アルヒスーパーフラット8S(省エネ・耐震性の基準を満たす物件であり、頭金2割以上確保可能)

・住信SBIネット銀行変動

相談内容

①住信SBIは全疾病保障が無料で付帯するところに惹かれています。

アルヒスーパーフラットの団信は身体障害保障付きじゃないところが懸念材料です。追加で保険に加入することで新団信とほぼ同等の内容の保障に拡充することはできるようですが・・・

元々生命保険に加入しているため、団信については加入するか収入保障の民間保険に入るか悩んでおります。

まず、結論を言いますね。20代からスタートする住宅ローンで頭金を2割入れられるなら、団信には加入せずアルヒスーパーフラット8Sで借りるのが一番お得です。

では始めましょう。

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住宅ローンの団信|千日太郎のYOUTUB動画プレイリスト

20代ならば団信よりも自分で生命保険に入る方が費用対効果が高い

団信保険料は全員が平均して負担しています。一律なのです。保険料の負担が一律で損をするのは若い人、得をするのは年寄りです。

生命保険は若い時に加入したら保険料は安いですよね。年を取ってから入ると高いです。既に加入している生命保険をそのまま利用する方が良いのです。

なぜなら、団信の保障はローン残高が減ると保険料が減るが保険金も減るからです。

つまり、以下のようなケースがあり得るのです。

子供が成長し教育費がかさむ時に病気に倒れた。その時には住宅ローン残高は僅か100万円になっていたので、疾病保障特約付き団信で僅かな住宅ローンの債務が無くなっただけだった…

ローン残高のリスクに対応したコストだとも言えますけど、私たちの人生のリスクには対応していません。あくまで銀行にとっての貸し倒れリスクをカバーする保険なのです。

はじめのうちは住宅ローンの残高は何千万もありますから保障が手厚い印象がありますが、住宅ローンは長年の返済によって減少して行く一方、病気にかかるリスクが高くなるのは、人生の後半です。

なので、フル装備の疾病保障を付けて、それだけで「自分はやれるだけのことをやった」「万全だ」と考えてしまうのは、とても危険なのですよ。

住宅ローンを選ぶときの基準はあくまで毎月の返済額に無理が無いか、総支払額で有利かということが第一です。

生命保険とはいったん切り離して考えるべきです。

毎月の返済は大丈夫か?シミュレーション

選択肢としては以下の4つですね。

3900万円35年 ①地銀35年固定(団信あり) ②スーパーフラット8S(団信あり) ③スーパーフラット8S(団信なし) ④住信SBI変動(全疾病保障)
当初10年金利 1.22% 0.99% 0.71% 0.457%
その後金利 1.22% 1.24% 0.96% 0.457%

これらの毎月の返済額と50歳の残高、60歳の残高を比べてみましょう。

(単位:千円)

3900万円35年 ①地銀35年固定(団信あり) ②スーパーフラット8S(団信あり) ③スーパーフラット8S(団信なし) ④住信SBI変動(全疾病保障)
10年毎月返済 114 110 105 100
後半毎月返済 114 113 108 100
50歳残高 17,618 17,457 16,990 16,352
60歳残高 5,344 5,300 5,089 4,779

変動と固定で毎月の返済額に劇的な差は無いですよね。これはそもそもの金利が低金利だからです。金利が倍以上になっても返済額が倍になるわけではありません。返済額に含まれる利息が倍になるのです。

50歳残高、60歳残高は団信の保険金、つまり病気のリスクが高くなる年齢のローン残高です。

団信に入っていて良かった!

疾病保障が付いていて良かった!

このようになる可能性が高い時のローン残高です。つまりおおむね、死亡時(高度障害時)500万~1700万くらいの生命保険だという考え方になります。

もちろん、住宅ローンを借りてすぐに死亡したら保険金は最大で3900万ですけど、そういう(すぐ自分がこの世を去る)前提で家を購入する人はいないと思います。

 

総支払額で有利かシミュレーション

次は総支払額でどうか?というシミュレーションです。

(単位:千円)

3900万円35年 ①地銀35年固定(団信あり) ②スーパーフラット8S(団信あり) ③スーパーフラット8S(団信なし) ④住信SBI変動(全疾病保障)
借入費用 998 1,036 1,036 971
60歳まで返済額 28,762 28,137 26,860 25,325
60歳残高 5,344 5,300 5,089 4,779
住宅ローン減税 -3,387 -3,369 -3,346 -3,326
保証料払い戻し -68 0 0 0
差し引き 31,649 31,105 29,639 27,751
順位 4位 3位 2位 1位

※上記「借入費用」は概算です。

固定金利で団信に加入するならアルヒスーパーフラット8S

団信ありで地銀の35年固定とアルヒスーパーフラット8Sを比較すると、アルヒスーパーフラット8Sの方が総支払い額は54万4千円少なくなります。

団信に加入しないならアルヒスーパーフラット8S

これが本命です。団信に加入せず既に入ってる生命保険で賄うなら、さらに146万6千円支払いが少なく済みます。

普通のフラット35で団信を抜く場合は、0.2%の引き下げですが、アルヒのスーパーフラットで団信を抜くと0.28%引き下げになりますので。

団信に加入しない場合はアルヒのスーパーフラットはお勧めですね。

前述したように、団信の保障は500万から1700万です。20代からなら、既に加入している生命保険の方が一般的には安くなります。

安くないならば、そもそもが高い保険になってるかもしれません。これを機会に保険の見直しをお勧めします。

金利の上昇に対応できるなら住信SBI変動金利も可

住信SBIネット銀行の変動金利が一番安いですけど、これには金利の変動リスクがあるからです。

変動金利を選ぶ場合は…

毎月の返済額の4分の1を貯金した上で、貯金も含めて手取り月収の4割以下になっていることが必要です。

また、5年以内に金利が上がったときには約1000万位を一括返済することも想定しておく必要があります。

今の変動金利の毎月返済は10万円ですから、これの4分の1を貯金するとなると、12万5千円です。これを手取り月収の4割以下にするには、月収31万2500円ほど必要となります。

年収500万円ですと、少しオーバーしています。

20代からの住宅ローンを前提とした結論
  • 年収が上がる頃には病気のリスクが高まりますが、その時にはローン残高は減っています。
  • 若く年収が低いときに金利が上がり、利息が家計を圧迫するリスクの方をケアすべきです。

 

団信の本質は債権者が我々にかける生命保険

団信によって遺族がローン返済に苦しまずに済み、家も失わないので路頭に迷うことも無くなります。しかし、これには裏があります。

それは、「債権者が我々の生命にかける生命保険(保険料を負担するのは私たち)」だということです。

え?ウソだろ?団信の保険料は金融機関が負担する事になってるよ!

確かに、こんな表現になっていると思います。

団体信用生命保険料はゼロ円です!

しかし本当はゼロ円じゃありません。この世にタダのものなんて無いのです。

保険料は金融機関が払っていますけど、それを払った上で利益の出るような金利に設定しています。保険料を利用者全体が平均的に負担しているのが実態です。だから『団体』というのです。

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  • 団信保険の保険料(費用)は経済的に利用者が負担しています。
  • がしかし、団信保険の保険金(利益)の受取人は金融機関です。

ハァ!?って思いませんか?でも事実です。

平たく言いますと金貸しに生命保険を掛けられて利息から保険料を取られているというのが団信のB面なのです。

遺された家族が路頭に迷わなくて済むという利用者側のメリットがあるので商慣行として定着しているのです。

 

生命保険はピラミッドの下から上に

住宅ローンを組むと生命保険に入らないと!いう気分になります。私もそうなりました。でも、民間の保険はまず国の社会保障があって、さらに会社や業界の健保組合があって、その足らずを埋めるものです。

保険のピラミッドの下から上に順番に使っていくんです。まず民間の生命保険に入る前にどんな保障があるのかを確認するのが先ですよ。

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高額医療費制度

大病を患い、病院に払う医療費がいくらになろうが、負担の上限が月に数万円程度になっていて、上限を超えた部分は返金してもらえます(高額医療費制度)。

しかも、予め窓口で手続きしておけば、最初から月の上限額を超えた医療費は払わなくても良いという仕組み(限度額適用認定証)もあるのです。

サラリーマンなら給料から毎月天引きされて保険料を払っていますよね。義務を果たしているのですからその権利として受け取れる給付の内容をしっかり把握しておきましょう。

傷病手当金

入院したときには、退院するまでの生活費をカバーしてくれる傷病手当金という制度があります。

被保険者が病気やケガのために会社を休んで、十分な給料が受けられない場合に支給されます。傷病手当金が支給される期間は支給開始から最長1年6カ月です。

つまり、会社から支払われる給料がゼロになってから起算して1年6カ月までは、標準報酬月額の3分の2が支給されます。

民間保険の収入保障はこれの足らずを補うものです。

大企業、公務員なら福利厚生をチェック!

例えば高額医療費制度では低所得者でも月に3万5400円が負担の上限ですが、大企業の健保組合や公務員の共済組合などでは「1カ月の自己負担額が2万円を超えると超えた部分は全額払い戻し」としているところも多いです。

収入が安定している上に病気になったときの保障も手厚いのです。

貯蓄はオールマイティな保険

多くの人が前出のピラミッドのベースの部分(国の社会保障と職場の福利厚生)を十分に把握せずに団信の疾病保障を検討しています。

それに人生には健康リスク以外にもたくさんリスクはありますよ。

  • その恵まれた職場で定年まで勤めあげることが出来ないかも
  • アクシデントに巻き込まれて損害賠償責任を追及される
  • 今後高騰することが予測される大学の授業料
  • 老齢年金の支給開始は後ろ倒しになり支給額も減っていく

これらに全て対応できる保険は、貯蓄なのです。

貯蓄は自分が貯めた金額までが上限ではありますが、オールマイティな保険の手段であることを忘れないでください。

 

まとめ~保険の売り手が仕掛けるバイアスを知る

団信について話しているとき、「サイアクでもわたしが死ねば家が残るから大丈夫」なんてことを冗談めかして言う人もいますよね。

確かに最悪の状況に陥ることは回避できるかもしれませんが、それによって良かったことなどは1ミリも無いのです。

まるで、少し得をするかのような表現方法で、ホントに少し得をするかのような錯覚を起させるのが保険の売り手によるバイアスです。

今あなたを喪うことは、家族にとって途轍もなく大きな損失と精神的なダメージを伴います。

その大きさは測定不能なほどに大きいです。

今住宅ローンを負うことを前にして、自分の物差しのレンジを超えたリスクを前に不安を感じているでしょうが、住宅ローンよりも大きなリスクは既に前からあったのです。ただ「考えないようにしていただけ」ではないでしょうか。

住宅ローンを負うということで、そのリスクの一部がローンの金額と返済期間という数値に換算され目に見えやすくなったのです。リスクが目に見えるようになると、人はそれに対してストレスを感じます。それが保険を販売する側にとってのビジネスチャンスです。

自分のリスク、家族のリスクの大きさは家を買う前も家を買った後も変わりません。

家を買うにあたっての保険を検討する際は、自分が負っているリスクとそれに対して掛けられる保険について、売り手のバイアスのかかっていない、その本質を理解しておく必要があります。

それが理解できていないとどうなるか?

  • 不安に駆られて手あたり次第に保険に加入して却って家計を圧迫し、ローン返済の難易度を跳ね上げるor買う家をワンランク落とす。
  • 家計が圧迫されて急な出費や想定外の収入減に対応できず家を手放さざるを得なくなる。
  • ごく一部のリスクしかカバー出来ていないのに「自分はやれるだけのことはやった」と自己満足、いざその事態になって初めて気づくが時すでに遅し。

知らずにこんな落とし穴にハマらないようにしてくださいね。

以上、千日のブログでした。

《あとがき》

このエントリーでは20代で健康な人のケースでしたが、年齢が上がってきて40代50代の人や、大きな病気を患って大きな手術をしたりした人にはまた、違う考え方になりますよね。

そうした、ケースバイケースについては姉妹サイトの「千日の住宅ローン無料相談ドットコム」で相談に乗っています。最近のをいくつか載せておきますね。

こうした、住宅ローンの保険やリスクについての根本的な考え方も含めて、千日のブログで紹介しているマイホームの購入と住宅ローンのノウハウを一冊にまとめたのがこちらの本です。

 

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2018年7月28日

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ランキング 年齢
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20代800以上 30代1200以上 40代1200以上
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