千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える

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【2023年1月】日銀緩和修正で金利を上げない金融機関の見分け方を解説します!住宅ローンの金利タイプ別お得な選び方

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2023年1月6日公開

どうも千日です。2022年12月20日に黒田日銀は長期金利の変動幅を0.25%から0.5%に拡大し、金融緩和政策を一部修正しました。市場では事実上の利上げ(金利を上げる金融引き締め)ではないかと受け止められており、1月5日の国債入札では0.5%の入札があり、早くも0.5%を試す動きが出ています。

そんな状況下で住宅ローンの固定金利も上昇していますが、大幅に上げている金融機関と小幅に抑えた金融機関に2分されている状況です。そして変動金利は低金利で横ばいとなっています。

固定金利をあきらめて変動金利にすべきでしょうか?

それとも購入物件を見直して安い物件にすべきでしょうか?

この記事は、最新の金利動向と住宅ローン金利から、賢い物件選びと住宅ローンの選び方について分かりやすく解説します。

具体的には、金利タイプ別に…

  • 今どの金利タイプが割安になのか?
  • どんな人にどの金利タイプがお勧めか?(どういう返済計画で借りるべきか?)

普通のランキングサイトでは書かない内容が盛りだくさんなので、よろしければ参考にしてください。

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今さら聞けない「政策金利が上がると住宅ローンの金利も上がる」のなぜ?

そもそも論ですが、政策金利が上がるということになると、なぜ住宅ローンの金利が上がるのでしょうか?

Google先生に聞いてみると、おおむね下記のような情報が手に入ると思います。

民間の住宅ローンの変動金利は短期プライムレート(銀行が決める最優遇金利)に連動しており、短期プライムレートは政策金利(日本銀行当座預金にかけられている金利)が動くと変更になることが多いです。

しかし、日銀の当座預金口座を持っているのは政府と金融機関のみです。そして、民間の金融機関がお金を貸すときは、すべて日銀から借りたお金を使っているのではなく、様々な方法で調達したお金で貸しています。

では何故、日銀の政策金利が民間金融機関の住宅ローンに関係してるのでしょうか?これにちゃんと答える情報を手に入れるのはなかなか難しいです。

実は日銀はダイレクトに住宅ローンの金利を動かすのではなく、誘導しているだけなんですよ。

住宅ローンは民間金融機関の商品です。商品の値段=金利を決定するのは民間金融機関ですので、日銀に限らず世界の中央銀行も民間(市場)の顔色をうかがいながら政策を展開しています。

政策金利は名目的な基準の金利として捉えられています。これが上がれば他の銀行も必ず金利を上げるだろうという共通認識が銀行(市場)間にあるという感じです。

政策金利が上がっても、自行だけ上げないという選択もできます。ただ、日銀が政策金利を上げる経済環境とは、皆が金利を上げるべき状況なのであって、一行だけそれに逆らうことはしないだろうと皆が思っているんです。

法律的なルールで規定されているのではなく、そうした共通認識がある前提で皆が動いているので、その前提が崩れることを皆恐れています。この部分の説明が理解しにいくいのは、そういう理由があるからなんですね。

法律のようなルールではなく共通認識

子どもたちがたくさん集まってジャンケンをしている場面を思い浮かべてください。勝った人は負けた人から10円もらえるルールです。その中に一人だけ大人(日銀)が混じって「私はずっとパーを出し続ける」と宣言し、それを実行したとします。

そうなると、子どもたちは皆がチョキを出すようになりますよね。これが日銀による誘導です。チョキを出せと命令するのではなく、「パーを出す」と宣言し、チョキを出した子どもに10円を払う。

その日銀が「そろそろパーをやめてチョキにしようかな…」と呟いたらどうなるでしょうか。子どもたちは、いつチョキからグーに変えるべきかを考え、グーに変える態勢づくりをし始めます。

これが成立するには、日銀と市場との間に信頼関係が無ければダメですよね。これが前述の共通認識です。子どもの中に一人だけ、他の子からお金をとるためにあえてグーを出す子どもがいない(いても少数で大勢に影響がない)ことが前提です。

信頼関係がなくなると、皆が日銀=大人を無視してバラバラに勝負をし始めるでしょう。こういう状態になる可能性を恐れているのです。

金利を大幅に上げた銀行と小幅な上昇に抑えた銀行の違いとは?

日銀が「利上げするかも?」と言い出したのが、現在の状況です。そこで市場としては態勢を変え始めたのですね。これがわかりやすいグラフがこちらです。

長期金利と日経平均株価のグラフです。2022年12月19日までとそれ以降で長期金利(オレンジ)、日経平均株価(青)ともに大きく動いています。

長期金利は0.5%を目指して上昇しており、株価は日銀の利上げによる景気悪化を懸念して下がっています。ここからわかることは、市場としては銀行などの機関投資家を含め「利上げが近い」と判断した人が多数派であるということです。

そのため、住宅ローンの固定金利を上げる民間金融機関が多数派であるということになります。ただし、大幅に上げる金融機関と小幅な上昇に抑える(上げない)金融機関に分かれています。

固定金利の住宅ローン上昇を抑えた金融機関とは?

代表的なものは公的融資のフラット35ですが、フラット35でも大幅に上げた金融機関と小幅な上昇に抑えた金融機関に分かれました。

また、民間金融機関でも、一部の金融機関は超長期固定金利の上昇を抑えています。

フラット35(買取型)とARUHIスーパーフラット(保証型)

代表的な固定金利ではフラット35の買取型です。わずか0.03ポイントの上昇に抑えられていますね。

フラット35買取型 12月 1月 上昇
ARUHIフラット35 1.65% 1.68% 0.03%

フラット35(買取型)の金利上昇が抑えられた理由

フラット35の買取型は、住宅金融支援機構が金融機関からフラット35の債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて「機構債」という形で販売するという仕組みになっています。

フラット35買取型の仕組み

融資のときに窓口になるのは民間金融機関ですが、その債権を買い取り、最終的に債権者となるのは住宅金融支援機構ですから、フラット35の金利を決めるのは住宅金融支援機構なのですね。

債権者となる住宅金融支援機構は独立行政法人なので、急激な金利上昇時には、住宅ローンの金利上昇を緩和させようとするのです。

ARUHIスーパーフラット(保証型)の金利上昇が抑えられた理由

フラット35(保証型)は民間金融機関が貸す住宅ローンの債権を住宅金融支援機構が保証するという仕組みになっています。

フラット35保証型の仕組み

上図のように、買取型と同じく金融マーケットから資金を集めていますが、住宅ローンの債権者は民間金融機関のままです。つまり、金融機関は住宅金融支援機構に保証料を払ったうえで儲けが出るようにフラット35の金利を決めているのです。

そのため、保証型のフラット35は取り扱う金融機関の裁量によって決められるということです。

保証型の主要行はARUHIと住信SBIネット銀行ですが、大きく対応が違っています。ARUHIスーパーフラットが買取型の上昇と同じ程度かそれ以下に抑えているのに対し、住信SBIネット銀行は0.26%もの大幅上昇としていますね。

フラット35保証型 12月 1月 上昇
ARUHIスーパーフラット9 1.32% 1.39% 0.07%
ARUHIスーパーフラット8 1.24% 1.30% 0.06%
ARUHIスーパーフラット7 1.22% 1.29% 0.07%
ARUHIスーパーフラット6 1.20% 1.28% 0.08%
住信SBI保証型90% 1.63% 1.89% 0.26%
住信SBI保証型80% 1.50% 1.76% 0.26%

ARUHIはいわゆるモーゲージバンクという住宅ローン専門の金融機関であり、収益のほとんどがフラット35の事務代行手数料で成り立っています。金融機関の中では、比較的日銀の政策金利の影響を受けない収益形態になっているのです。

住信SBIネット銀行は住宅ローンだけでなく預金、投資、保険など総合的な銀行業を営んでいるところがポイントでしょう。銀行として、政策金利の影響を大きく受けるのです。

そのため、今のように日銀の利上げがささやかれている状況では、フラット35の保証型ではモーゲージバンクのARUHIスーパーフラットがお勧めということになるでしょう。

ウェブで手続きすれば融資手数料が割引となります。また、団信不加入とすることで団信込みの金利から0.28%引き下げられます。

これに「S」や「ZEH」などの金利引き下げ制度を加えると変動金利なみの低金利になります。

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金利上昇を抑えた民間の金融機関は三菱UFJ銀行とりそな銀行

民間の金融機関でも35年固定を中心として金利の上昇を抑えています。下表のように三菱UFJ銀行はわずか0.03%の上昇に抑えており、りそな銀行は0.1%の上昇に抑えています。

35年固定金利 12月 1月 上昇
りそな銀行 1.295% 1.395% 0.100%
みずほ銀行 1.450% 1.660% 0.210%
三菱UFJ銀行 1.780% 1.810% 0.030%
三井住友銀行 2.220% 2.490% 0.270%

金利としてはりそな銀行が最低金利となっていますが、今後の上昇可能性ということも鑑みれば、三菱UFJ銀行でも審査を通しておくとより安心です。

三菱UFJ銀行は1日の入院でも住宅ローンがゼロ円になる保障をつけられるので(ただし融資時点で満50歳まで)、病気のリスクを多く取っておきたい方にはさらにお勧めです。

固定金利は上昇傾向にあるので変動金利を選択する人の心構え

民間銀行としては、日銀が利上げすれば、変動金利を上げるだけで確定した利ザヤを得ることができます。そのため、民間銀行の多数派は変動金利を低金利で据え置き、変動金利へ誘導しようとするでしょう。

ただし、変動金利は私たちが金利上昇リスクを負います。つまり、「将来金利が上昇することを想定して利用する」ものであり、「将来金利が上昇しないと信じて利用する」ものではありません。むろん変動金利が上がると予想しながら変動金利を選ぶ人はいないと思いますが、そうであっても金利上昇に備えた資金の確保やマイホームの売却相場の把握を行うことを前提に、変動金利を選ぶようにしてください。

変動金利をお勧めする人=金利上昇を想定できる人

そのため、わたしが変動金利を勧めるタイプの人は「金利上昇を想定できる人」です。具体的には次のどれか1つ以上にバッチリ当てはまるという人は変動金利に向いています。

  1. 毎月返済額にかなり余裕のある人
  2. 繰り上げ返済資金が潤沢にある人
  3. 物件のリセールを想定して物件選びをしている人

3つのうち1.毎月返済額にかなり余裕があるというのは、毎月の元利均等返済額が手取り月収の3割以下という人です。最近は夫婦共働きが増えてきており、夫婦二人ならば3割以下だけども、夫単独だと4割を超えるという人が多いです。このような場合は、「かなり余裕がある」のは夫婦共働きが維持できている間だけであり、片方の収入が無くなると、全く余裕がなくなるので変動金利が向いているとまでは言えません。

次の2.繰り上げ返済資金が潤沢にあるというのは、金利が上昇したときに即座に繰り上げ返済して金利上昇を相殺できれば良いという考え方です。金利がどれだけ上がったら、いくら繰り上げ返済しなければならないか?は下記のシミュレーションでやってみてください。

ここで出ているレベルの金額を繰り上げ返済する資力が現時点であるなら、お勧めできます。ただしこの金額を見て大きなプレッシャーを感じるならば、それは金利上昇リスクが無視できない心理的な圧力になるということです。変動金利はお勧めしません。

最後の3.物件のリセールを想定して物件選びをしている人は、将来の状況によっては売却することで住宅ローンを清算することを選択肢として持っている人だとも言えます。資産の処分について一つでも選択肢が多いということは、具体的な金額として換算はできなくても、経済的な資産と同等に捉えることができます。つまり、1.の収入や2.の資金に代替しうると言えます。

金利が上昇して維持が困難と判断したら、比較的ためらうことなく任意売却を実行に移すことが出来る人です。現実的に変動金利をお勧めすることが出来ます。

3つに共通するのは現実的に「金利上昇を想定できる人」なのです。

お勧めする変動金利は5年ルールと125%ルールのあるもの

金利が上昇した場合、すぐに毎月の返済額が増えるとは限りません。これが5年ルールと125%ルールです。

  • 5年ルール:金利が上昇しても5年は従前の毎月返済額を維持する。
  • 125%ルール:6年目から毎月返済額を増加させる場合、直前の1.25倍を上限とする。

この2つのルールが適用されると、変動金利がどんなに急上昇しても5年間は毎月の返済額が増えません。ただし利息は増えますので、元金が予定どおりに減らないということになります。そのため6年目から帳尻を合わせるために毎月返済額を増やすのですが、その場合の上限は直前の1.25倍までに制限されるというものです。

この2つのルールはすべての銀行の変動金利に適用されるものではありません。例えばPayPay銀行はこの適用がないので、12月に変動金利を大幅に下げた銀行ですがこれに飛びつくとちょっと危ないということです。

5年ルールと125%ルールの適用がない銀行は毎月更新コロナ禍の利上げ金利先読み住宅ローンランキング - 千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答えるの「デメリット」で注意を喚起していますので確認してください。

また、5年ルールと125%ルールの適用がある銀行でも、「元金均等返済」方式を選択すると、5年ルールと125%ルールの適用がなくなるのでこれも注意が必要です。

5年ルールと125%ルールの適用があり、低金利で他のサービスも充実しているのは三菱UFJ銀行でしょう。

sennich.hatenablog.com

35年、20年、10年固定をお勧めする人のタイプ

最後に35年、20年、10年の固定金利の金利タイプごとにお勧めする人のタイプについてまとめておきましょう。

35年固定をお勧めする人

35年固定の代表格といえばフラット35ですが、新たな金利引下げ制度として、フラット35維持保全型がスタートしています。この維持保全型は従来からあるフラット35Sとの相性が良く、併用できるケースが多いです。

またフラット35S(ZEH)が開始されていますが当初5年間年0.5%、6年目から10年目まで年0.25%引き下げとなります。

また併用ルールがポイント制に整理されたとで従来よりも複数の引下げ制度を利用できる人が増えています。

拡大された金利引下げ制度を併用することで実際にフラット35で借りる人の適用金利としては下がる人が出てくるでしょう。特にフラット35の金利引下げ制度に多く当てはまる人については35年固定がお得になります。

  • 高い環境性能の住宅を取得する人(Sやリノベ)
  • 維持保全に優れた住宅を取得する人(維持保全型)
  • 特定のエリアで住宅を取得する子育て世帯(地域連携型)

20年固定をお勧めする人

20年固定は、20年で完済する計画でかつ、後述のauじぶん銀行に付帯しているガン50%保障の恩恵が高い人にお勧めです。具体的には40台から50歳未満で住宅ローンをスタートする人ですね。

しかし、11月には最低金利を出しているネット銀行よりも35年固定やフラット35の方が低金利となっているため、事実上お勧めできません。

10年固定をお勧めする人

変動金利に当てはまるほど、売却を考えてはいないけれども、10年程度で転居する可能性が高い人には10年固定が向いています。

また、50歳くらいから住宅ローンを組む人で住宅ローン控除のためにあえてローンを借りる場合には約10年間にわたって低金利で固定できれば良いので10年固定がお勧めです。

また、変動金利に当てはまるほど資金が貯められていないけれど、10年の間に貯蓄して大幅な繰り上げ返済を検討する人にも10年固定はお勧めです。PayPay銀行の10年固定は11年目からの金利引下げ幅が大きいので、お勧めしやすいです。

方向性が見えるまで複数の金利タイプで審査を通すべし

政策金利は上がっても上がらなくても民間銀行が損をすることはありません。「上がる可能性が高い」という大義名分のもと、横並びで固定金利を上げてその間に固定金利を選択した住宅ローンの利用者から高めの金利を獲得することが出来ているからです。

金融市場によって決まる建前となっている住宅ローンの金利は、最終的に債権者となる金融機関が決めるものです。金利動向の読みで勝負したところで、金融機関の方が圧倒的に有利なのです。

日銀の動向が見えるまで時間のある方は、変動金利と固定金利の両方で審査を通すことでリスクヘッジすることをお勧めします。

さらに35年固定であれば、民間と公的融資のフラット35の両方で審査を通しておくことをお勧めします。民間と公的融資では金利決定の考え方が異なるので、片方が上がっても、片方は上がらないということもあるため、リスクヘッジになるのです。

そして、フラット35の保証型では政策金利の影響を受けにくいモーゲージバンクのARUHIがお勧めです。

以上、千日のブログでした。

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2023年1月6日千日太郎

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