千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える

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住宅ローン減税を最大限活用する返済方法←これ実はベストじゃない!?

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住宅ローン減税に引っ張られると老後を危険に晒すことになる

どうも千日です。住宅ローン控除は12月31日の住宅ローン残高の1%が税金から最大10回還付(返金)される減税制度です。

なので、

当初の10年間は住宅ローンの残高は高く維持しておくことでその分沢山のキャッシュバックが得られるという、メリットがあります。

プロの視点から、このメリットを最大限に享受するための借り方と返済方法は以下のとおりです。

  • 住宅ローン控除が受けられるマックスの金額を借りる。←借入残高を大きくするため。
  • 返済期間は最長の35年にする。←返済によって残高が減るスピードを遅くするため。
  • 当初10年は繰り上げ返済しない。←借入残高を減らさないため。

しかし、これがあらゆるケースでベストな方法か?というと、そうでも無いのですよ。

エ!ウソ?まじ??なんで?

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という方は特に、読んでみてください。

少子高齢化による年金の減少も考慮に入れる

マイホーム購入は「買い物」じゃなくて、人生のプロジェクトだ。

これは色んな所で千日が口を酸っぱくして言ってることですが、このプロジェクトを行う私たちの環境は少子高齢化社会で、年金収入は後ろ倒しになり、その金額も減ることが決まっていることを忘れてはいけません。

つまり、人生の後半に収入が減ることが、分かっているという状態です。

その後半にはできるだけリスクを取らないようにすることが大事なのです。

家を買う=リスクを前取りすること

賃貸と持ち家の違いについて、千日は以下のように考えています。

  • 賃貸:生涯賃金とリスクをリタイア後に配分する。
  • 持ち家:生涯賃金とリスクを現役時代に配分する。

賃貸より買った方が得なのか?公認会計士の考え方 | 千日の住宅ローン無料相談ドットコムより

賃貸の場合、定年後に収入が減った後も定額の家賃が必要です。収入が減った後、年金収入だけで、定額の家賃を払いながら貯金を切り崩して生活を維持していかねばなりません。

これに対して、

持ち家の場合は住宅ローンを完済後は固定資産税(マンションなら加えて管理費修繕積立金)だけで家を維持できます。しかし現役時代に住宅ローンが完済できなければ家を取り上げられてしまいます。

完済してかつ老後資金を残す老後を生きられる住宅ローンか?

でも、それだけじゃありません。

そもそも年金だけで生活できないレベルまで減ってしまう可能性が高いです。年金の支給時期もさらに後ろ倒しになる可能性も高いです。

家を維持できても生活できないなら、家を売却しなければならないです。換金できる不動産(マイホーム)を持っていると生活保護は受けられません。

完済して、さらに老後資金を残せるような資金計画が必要なのです。これから家を買うなら「無理なく完済できる」では足りません。

「完済した上で老後を生きられる」金額であり、かつそういう返済方法を取らなければ家など買わなければ良かった…という後悔に繋がってしまいます。

 

住宅ローン控除を最大限活用するリスクとは

住宅ローン控除とは、住宅ローンの利息を国が肩代わりしてくれる減税制度です。

  • 家を購入した年の年末から数えて10回
  • 年末の住宅ローン残高の1%を上限として税金を還付する(キャッシュバック)

例えば年末の住宅ローンの残高が4000万円であればその1%は40万円ですね。結構デカいです。

ネット銀行の変動金利などでは金利は0.45%を切っているので1年に払う利息が約18万。

これに対して40万返金されるのですから、1年で約22万円儲かるという計算になります。

この儲けに気を取られ過ぎると、割に合わないリスクを背負いこんでしまうことにもなりかねないのです。

具体的にお話しましょう。

無理なく返済できる住宅ローンの金額がわかる表でシミュレーション

手取り月収と年齢から無理なく返済できる住宅ローンの金額を試算します。

この際に使う千日メソッドは以下の4つです。

  1. 毎月の返済は手取り月収の4割以下でボーナス払いなし
  2. 返済額が一定になる元利均等返済方式
  3. シミュレーションの金利は固定金利(1.38%)
  4. 定年時のローン残高は1000万円以下

これを当てはめて無理なく返済できる住宅ローンの金額を月収と年齢別にまとめたのが以下の表です。

(単位:万円) 

 

月収15万

月収20万

月収25万

月収30万

月収35万

月収40万

25歳

1997

2663

3329

3995

4661

5327

30歳

1997

2663

3329

3995

4661

5327

35歳

1997

2663

2972

3535

4125

4714

40歳

1997

2357

2630

3043

3550

4057

45歳

1768

2029

2263

2515

2934

3354

前提条件:元利均等返済、ボーナス払いなし、定年60歳、固定金利1.38%

なぜ、固定金利を1.38%にするのか?については、千日が2018年のフラット35の金利が(北朝鮮に何もなければ)1.38%前後で推移すると予測しているからです。

 

40歳以上で最大限住宅ローン控除の恩恵を受ける場合は要注意!

40歳以上からは、60歳定年までの期間が20年を切ります。最長の35年で返済する方法にすると約半分の期間で定年を迎えるということです。

つまり、

住宅ローン控除を最大限受けるために年数を最長の35年に設定すると、60歳定年時の残高が危険領域に入ってしまうのです。

  • 40歳
  • 手取り月収30万円
  • 3043万円借りる

このケースで実際にシミュレーションしてみましょう。

(単位:円)

借入3043万円 35年返済 25年返済 差異
毎月返済 91,393 119,992 -28,599
10年後残高 23,177,350 19,499,657 3,677,693
60歳残高 14,852,150 6,952,887 7,899,263
住宅ローン控除 2,652,354 2,454,265 198,089

注:元利均等返済、ボーナス払いなしとする。

最長の35年返済にすれば住宅ローン控除はマックスだが定年時残高が危険

住宅ローン控除の恩恵を最大限受けるなら返済期間は最長の35年とすべきです。ですが、そうすると定年(60歳)の残高が1485万円となり、千日メソッドの1000万円を遥かに超えてしまいます。

25年返済に短縮すれば定年時の残高リスクを抑えられるが毎月返済が高い

そこで、返済期間を25年に短縮すれば、定年時の残高は695万円となり、かなり安全圏になります。でも40代から今後そんなに収入が増える見込みが薄いなかでギリギリの4割でスタートするのはリスキーですね。

住宅ローン控除は10年累計で20万円しか変わらない

これに対して二つのパターンで住宅ローン控除を比較してみましょう。

  • マックス265万円
  • ミニマム245万円

10年間でこの差額は20万円ほどです。

つまり、平均で1年2万円です。

つまり、月に1,666円です。どうしても取りにいかなければならないような金額でもないように思います。

しかし60歳残高のリスクは790万円の違いがある

これに対して60歳の定年時の残高ではどれだけの違いが出てくるでしょうか。

  • マックス1485万円
  • ミニマム695万円

定年時の残高では790万円の違いが出てきます。倍以上の差ですね。

これから現役時代の収入が無くなる。

こういうタイミングでの負債の残高です。

これは、けして軽視してはいけない差異なのです。

自己資金の金額と相談して決めよう

以上、二つの極端なパターンを比較しましたが、この二つのうちどちらか2択というよりはその間で決めるというのが妥当なんだと思います。

具体的には家を購入する時点で持っている自己資金の金額によってベストな返済方法は変わってくるということです。

現時点で十分な自己資金があるなら住宅ローン控除を優先する

例えば現時点で60歳の残高を一括返済できるくらいの貯蓄や金融資産がある、という人であれば、60歳の残高リスクについてはそれほど過敏になる必要は無いでしょうね。

住宅ローン控除の恩恵をマックスに享受するセオリーどおりに最長の35年で借りて、10年間は繰り上げ返済しないというのがお勧めです。

現時点でまだ貯金が少ないなら定年時残高をセーブする

これに対して、現時点でそこまでの貯蓄が無い、という人であれば、60歳の残高リスクと老後資金について、十分に考える必要があります。

特に40代というのは子どもの学費や親の介護など、多額の出費がかさむ可能性の高い時期ですし、まだローン残高が多い時期に健康面の不安要素が表に出てくる可能性がある年代です。

定年時の残高をセーブするべく、住宅ローン控除はあえて犠牲にして年数を調節する必要があります。

加えて、家計を見直し、貯蓄についてはこれまで以上に計画的に行っていく必要があります。

 

おススメの繰り上げ返済方法(共通)

最後に、住宅ローン控除があるなら、あらゆるケースに共通でお勧めできる返済方法についてお話ししておきましょう。

ローン残高の1%が返ってきます。例えば変動金利だと住宅ローンの金利は1%を下回っていますから、払う利息より返金される税金の方が高いという状況なんですね。

なので、損得の物差しでは、以下のようなことが言えます。

  • 住宅ローン金利が1%以下なら、住宅ローン控除の10年間は繰り上げ返済しない方が得。
  • 住宅ローン金利が1%超なら、住宅ローン控除の10年間でも繰り上げ返済した方が得。

でも、そんなに単純なものではありませんよ。

家を買った当初というのは支出が増えます。頭金やローンの返済以外にもたくさんお金を使います。最も貯金が減ってしまうタイミングなのです。

計算上は住宅ローン控除の10年でも繰り上げ返済した方が得な場合でも、以下の二つを両天秤にかけて考えるべきです。

  • 繰り上げ返済によって節約できる利息の額。
  • その利息を節約するために「今」減らす貯金の額。

もともとの金利が低いので、沢山繰り上げ返済した割には、利息の節約は大したことないな…ということが分かると思います。

 

 

まとめ~損得だけで判断しないことが大事

マイホームを手に入れるというのは、プロジェクトです。住宅ローンはそのプロジェクトの中で資金計画に相当するものです。

ネットで多くの専門家が提供しているノウハウというのは、企業会計の基礎を利用したものなので損得を正確に計算するという点で「ベストな答え」を出してくれるものです。

しかし、これが本当に自分にとってベストなのか?というと、違う場合はよくあることなんですよ。

つまり、

私たちのマイホームのプロジェクトと、企業のプロジェクトでは「ベストな答え」は違うのです。

私のブログがあなたのベストな答えの助けになれば、うれしいです。

以上、千日のブログでした。

《あとがき》

正月のたびに思うのですが、時が経つのは早いものです。歳をとるごとに1年の時間が短く感じてきます。

これに対して住宅ローンはなかなか金額は減らないですが、約定の期間での完済時期よりも、定年退職の時期の方が早く来ることになるんですから、当然っちゃ当然なんですよね。

特にアラフォー以降から住宅ローンをスタートする人は、定年退職のタイミングと住宅ローンの残高には十分に気を配る必要があるのです。

お互いがんばりましょ!

2018年1月2日

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