3月アメリカの利上げで4月からの住宅ローン金利はどうなる?
どうも千日です。前の記事でもアメリカの利上げと住宅ローンの金利について書きました。
先週金曜日の長期金利の動きは『アメリカが利上げする?』という予測ベースから既に『アメリカが利上げした』という利上げを前提としたベースで推移していると専門家は言ってます。
千日の読者様として気になるのは、こういうことだと思います。
3月にアメリカが利上げしたら、住宅ローンの金利はどうなるの?
ということでしょう。
『3月』『アメリカ』『利上げ』で検索すると、実にいろいろな情報が出ていますが主に為替と株の動きが中心ですよね。
なので、千日が住宅ローンの金利の動きにフォーカスして書いておこうと思った次第です。
なお、これから書くことは、執筆時点の2017年3月11日に公表されている情報に基づいて千日個人が考えたことです。ですから、実際の住宅ローンの金利の動きとは異なってくる可能性は大いにあり得ます。
用法、用量を守ってご利用くださいね。
では、始めます。
速報フラット35金利4月予想
目次
アメリカの3月利上げを先回りして金利は動いている
2017年3月3日FRB(アメリカの中央銀行)のイエレン議長が「経済データが予想通りに推移すれば、緩やかな利上げが適切だと判断している」と述べ明確に利上げの可能性を示しています。
ほぼ確定的だというのが市場関係者の見方で、それを織り込んだ動きをしています。
逆に利上げが無いのがリスクだ。
こんな感じです。
イエレン議長の発言と長期金利の動きを見ると面白い事が見えてきます。
イエレン議長が利上げの可能性について述べる前にうなぎ登りに上がり、むしろその確定的な発表の後は下がっているんですよね。
これは、情報が公表される前から予測や期待ベースで市場が動き、それを即座に反映している事がよくわかるグラフです。
イエレン議長が発言する前から皆んなが『利上げ』に備えた動きをし、予想通りの発表だったので、『フムやっぱりか』『サプライズは無かったナ』と平常運転に戻って行った感じです。
今週末の上昇は雇用統計の結果を織り込んだ動き
一旦落ち着いた長期金利はその後、3月8日から9日にかけて急上昇し、0.09%で取引を終えていますね。
これは何か?
前の節で述べたようにイエレン議長はそろそろ利上げをしようとしています。
が、まだまだ条件付きです。
その条件とは「経済データが予想通りに推移していること」なんです。
つまり、3月10日の雇用統計で、『雇用』と『物価動向』で予想通りの結果が出ることが条件だったのです。
つまり9日の急上昇は10日の雇用統計が出る前にその結果を織り込んだ動きという事ですね。
そして雇用統計は予想を上回る結果だったのです。
2月の雇用統計の結果は予想を上回る好調
- 雇用者数は、建築・製造により235,000人増加。
- 平均時給は前年同月比2.8%増加。
特に建築と製造で予想と平均を上回るペースで雇用者を増大させているという結果です。
235,000人という増加は市場の予測(190,000人)を大幅上回り、1月の238,000人増に続いて連続で増加を記録しました。
失業率は4.7パーセントに落ちて、賃金は前年同月比で2.8パーセントの増加です。
トランプ大統領はこの統計発表後、保守系の政治ニュース収集サイトのツイート「GREAT AGAIN: +235,000」を自身のアカウントでリツイートしたそうです。
もはや、利上げを阻むものは無いというのが大方の見方でしょうね。
アメリカの利上げ発表が3月15日に行われると住宅ローンの金利はどうなる?
この後何があるかというと、3月15日のアメリカFOMC(アメリカの金融政策を決定する会合)とその後の、イエレンFRB議長会見です。
殆どの人がここで利上げを発表するものだと考えていますね。
過去、アメリカでは2015年12月に9年半ぶりの利上げに踏み切りました。2016年当初は年内に4回の利上げを見込んでいましたが、実施できたのは12月の1回のみでした。
利上げは、さじ加減は難しいのです。
- 遅ければ、また、利上げが少なければ価格の上昇にブレーキがかからず過度なインフレになる。
- 早すぎると、また、利上げしすぎるとせっかく上向いた景気が減速し、不景気に逆戻り。
政治経済ラボ | 千日の住宅ローン無料相談ドットコムで分かりやすく解説しています。
2017年の利上げについては3回と見込まれています。仮に3月15日に利上げがなかったとしても、次は6月があるのです。
アメリカが利上げをすると、セオリーとしてはこうなります。
- 金利の高いドルに世界のマネーが集中する。
- ドル高円安になる。
- 日本国債も売られて国債価格が下がる。
- 国債価格が下がると長期金利が上がる。
- 長期金利が上がると、住宅ローン金利も上がる。
国債価格が下がると住宅ローンローンの金利が上がる仕組みについては金利ラボ | 千日の住宅ローン無料相談ドットコムで分かりやすく解説しています。
フラット35の金利はアメリカの利上げ発表後の機構債の表面利率で決まる
4月のフラット35の金利は、3月の中旬に発表される住宅金融支援機構が発売する機構債の表面利率で決まります。
この債券の表面利率は、購入する投資家にとっては投資の利回りという事です。
フラット35の融資の資金を調達するための金利は、前の月に決まるということですが、これが発表されるのが3月の中旬、つまりアメリカの利上げが発表されるのと同時期ということですね。
3月15日にアメリカFOMC、3月16日に日銀の政策決定会合があります。おそらくこれらの情報が出そろってからでないと、表面利率を決めることは出来ないでしょう。
表面利率が発表されるのは3月17日以降であると思われます。
この表面利率に事務コストの0.65%(15年~21年は0.54%)を足したものが、概ね4月のフラット35の金利になると思われます。
(参考)3月のフラット35金利と機構債の表面利率
- 15年~21年:1.01%=機構債0.47%+0.54%
- 21年~35年:1.21%=機構債0.47%+0.65%
過去の予想と実績については金利ラボ | 千日の住宅ローン無料相談ドットコムで公開しています。また、機構債の表面利率が発表されたらこの千日のブログで予想を公開します。
民間銀行の固定金利は基本的に上がる
2016年のマイナス金利政策から銀行の利益はかなり圧迫されていますので、銀行間でも従来のような金利の引き下げ競争は終わろうとしています。
3月にこれまで10年固定のトップを走っていた三井住友信託銀行が、レースから降りて2番手以下に下がったことが象徴的だと思います。
銀行が利益を得るには利ザヤを稼がなくてはなりません。安く借りて高く貸さないと商売にならないのです。
つまり、市場から調達する金利は安く、住宅ローンの金利は高くということです。
前述したように、アメリカの利上げは長期金利が上がる要因ですね。
銀行にとっての仕入れ値は市場の長期金利ですので、アメリカの利上げは住宅ローンの長期金利を上げる大義名分になるのです。
市場の金利がダイレクトに住宅ローンの金利に連動する金融機関は上がりやすい
ソニー銀行では市場での金利スワップ手法を活用して毎月の中旬に翌月の適用金利を発表しています。
ソニー銀行の基準金利の最も大きな変動要因は資金コストで、このコストは変更日前数ヶ月における銀行間で取引されている金利の動向や、国債の利回りの動向など、該当する期間の指標と連動して上下します。
つまり、市場の長期金利がほぼダイレクトに住宅ローンの金利に影響するということですね。
民間銀行の変動金利は基本的に不動
これに対して、皮肉なものですが、変動金利は不動です。
変動金利は銀行が変動させることのできる金利タイプですね。変動金利は短期プライムレートという銀行間で資金を融通する金利に連動します。
そして、短期プライムレート(略して短プラ)は政府が設定する政策金利の影響を強く受けるのです。
政府は景気を良くするために投資や消費を促進したいときは政策金利を下げます。今の日本はこの利下げ局面で、金融緩和と言われる政策です。
反対に景気の過熱を抑制したいときには投資や消費をしにくくするために政策金利を上げる(金融引き締め)というものです。これがこの3月にアメリカがやろうとしていることですね。
つまり、日本ではまだまだ景気が上がっていないので、どう考えても来月あたりに利上げになる要素が無いということです。
下がりもしませんが、上がりもしないということです。
まとめ~複数の金融機関、変動と固定で審査を出しておくことをお勧めします
いかがでしたでしょうか。これから住宅ローンを組もうとする人は、今のところは固定金利が低いですけど、いつ何時、上がってしまうことになるとも限りません。
最近上がってきたとは言え、まだまだ低い水準なので固定金利を選んでいたとしても、ある一定の水準を超えて上がってしまうと、固定金利を選ぶこと自体できなくなる可能性もあるのです。
大丈夫です。変動金利であっても、金利の変動リスクに対応する方法はありますよ。
金利タイプ選びのセオリー | 千日の住宅ローン無料相談ドットコムでは、変動金利を選ぶ場合は返済額の4分の1を貯蓄した上で税込み月収の4割未満に抑えることで、金利変動リスクに備える方法をご紹介しています。
一つの形に固執せず視野を広く持ち、変動と固定のそれぞれの金利タイプの特性を正しく理解した上で、戦略的に複数の金融機関で審査を通しておくことが、転ばぬ先の杖となります。
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以上、千日のブログでした。
《あとがき》
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もう一つのサイト、千日の住宅ローン無料相談ドットコムでは毎日寄せられる様々な人の相談に無料で答え、その内容を記事にしています。
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