フラット35は現状維持か微増、10年固定は据え置き
どうも千日です。12月9日に住宅ローンの固定金利の指標となる新発10年物国債利回りが、一時0.060%に上昇しました。
これは日銀がマイナス金利政策を導入した直後の2月17日以来、約10ヶ月ぶりの高水準で日銀が長期金利を0%程度に操作する「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入してからの最高を更新しています。
12月に入ってからもうすぐ半ばを迎えるにあたり、1月の住宅ローンの金利はどうなるか?というご相談のメールが増えてきました。
そこで、今回は分からないなりに予測をしてみたいと思います。
- フラット35は現状維持か微増。
- 10年固定は据え置き。
- 変動金利は据え置き。
ではそれぞれの予測の考え方を解説して行きますね。
速報
なぜ長期金利が上がったか?その理由
この長期金利の上昇理由としては、下記の2点であろうと報道されています。
- トランプ氏への期待先行
- 欧州の国債購入額(金融緩和)の縮小
だから長期金利が上がったって言ってるんですけど。もう少し分かりやすく言って欲しいもんです。
全て、これによって日本国債が売られて価格が下がったからと言ってるんです。
世界的なリスクオンの流れ
次期アメリカ大統領のトランプ氏への期待が先行して『これから株価が上がるぞ』という期待が膨らんでいるんですよ。
そうなると、国債のような『安全だけど利回りの低い』債券を売って、株式を買う人が増えるんです。
そうなると、国債などの債券の価格は下がり、株式の価格は上がります。
ヨーロッパの金融緩和政策の縮小
12月8日に欧州中央銀行(日本でいう日銀)が来年の4月から国債を大量に買い取る量的金融緩和の規模を縮小する決定をしました。背景には、ユーロ圏での物価上昇が緩やかに続いていることがあるそうです。
11月のユーロ圏のインフレ率はは前年同月比0.6%でEBC(欧州中央銀行)が目安とする2%弱には届きませんが、マイナス0.2%だった今年の4月以降は改善し続けています。
日本とは直接関係は無いですけど、日本国内でも国債を買い控える動きが出ているんじゃないの?ということです。
つまり、日本国債の価格は下がるということです。
国債の価格が下がると金利が上がる仕組み
国債の価格が下がると金利は上がる。
国債の価格が上がると金利は下がる。
この関係を理解しておきましょう。
債券価格と金利は逆方向に動きます。
金利とは利回りを言います。利回りとは投資した元本に対して投資の成果として得られる利益が年に何パーセントかという割合です。
- 10年国債
- 額面金額100円
- 券面利率2.0%
上記の前提で小学校の算数の知識で理解できるように、説明します。
国債を100円で買った時の利回り
券面利率は2%ですから、100円に対して毎年2円の利息を受け取ります。10年後の満期には100円の元本が返ってきます。
100円投資して毎年2円の利益ですから、運用利回りは年2%です。
国債を95円で買った時の利回り
額面100円の国債が95円に値下がりしている時に買えば、毎年2円の利息を受け取る上に満期で額面の100円が返ってきます。購入価格との差額である5円が値上り(キャピタルゲイン)として手に入ります。
95円投資して毎年2.5円の利益ですから、2.5÷95で運用利回りは2.6%です。
国債を105円で買った時の利回り
額面100円の国債が105円に値上がりしている時に買えば、毎年2円の利息を受け取れますけど、満期で返って来るのは額面の100円だけです。購入価格との差額であるマイナス5円を値下がり(キャピタルロス)として被ることになります。
105円投資して毎年1.5円の利益ですから、1.5÷105で運用利回りは1.4%です。
まとめるとこうなりますよね。債券価格と利回りは逆方向に動いています。
- 価格95円の利回りは2.6%
- 価格100円の利回りは2%
- 価格105円の利回りは1.4%
これが、長期金利の仕組みです。
報道で色々言っているのは、こんな理由で債券が売られて債券の価格が下がっている。だから金利が上がっているということです。
将来への期待がどこまで続くか?
債券が売られたのは、将来への期待ベースでの動きですので、それが裏切られたと思ったら債券を一斉に買いますよね。そうなると急激に金利は下がります。
逆に期待通りだということになっていくと、どんどん債券は売られて金利は上昇を続けるでしょう。
市場の期待と失望というのは一瞬で入れ替わります。
ハッキリ言って今のところ上がっているからといって来年も上がり続けるか?というとそれは『分からない』としか言えないです。
なので、これから書く金利の予測については、せいぜい今年中に決定される来年1月の適用金利までということです。
フラット35は現状維持か微増
この長期金利と連動するのがフラット35ですね。トランプ氏の当選によって11月から12月にかけて長期金利が上昇し、それと連動して上昇しました。
では12月から1月にかけてはどうか?
12月9日に最大の0.06%を付けたといっても、それは欧州中央銀行の金融緩和という間接的な要因による、一時的な増加です。
この数字がマイナス金利政策直後と近似していたことから、ニュースになりやすかったので取り上げられただけでしょう。
発端となった欧州でさえ8日に上がった金利がその反動で9日には軒並み下がっています。
このまま何も起こらなければ、という条件付きですが来年1月のフラット35の金利は現状維持が少し上昇するでしょう。基本的にトランプ氏への期待が継続しているからです。
10年固定は据え置き
特に10年固定を主力としている銀行については『据え置き』でしょう。本当のところは上げたいんでしょうが、3月には新築マンションなどの引き渡しのラッシュを控えています。
2カ月前くらいには、ほぼ融資する銀行を決めるんです。
ということは、実際の融資実行が3月であっても、1月に公表する金利は融資申込者の行動に多いに影響するんですね。
12月から1月にかけて消費者は銀行の動向を注視しています。1月に金利を上げてしまうと他行に取られてしまうでしょう。
10年固定金利の指標は、変動金利と固定金利を交換しても釣り合う金利で当初の固定期間の金利を決めているんです。この金利を円金利スワップレートと言うんです。円同士の金利を交換する金利という意味です。
10年の円金利スワップレートは、ほぼ10年国債利回り(長期金利)と連動しています。
ですから、11月から12月にかけてはフラット35同様に上昇しても良かったんですけど、10年固定を主力商品にしている銀行はあえて上げませんでしたね。
この傾向は1月にあっても変わらないということです。
変動金利は不動
変動金利は変動しないでしょう。
変動金利の指標は、銀行同士が資金を融通しあう『短期プライムレート』(略して短プラ)です。そしてこの短プラは、日銀が民間銀行に融資する政策金利の影響を受けます。
つまり、日銀がこの政策金利を上げない限りは、銀行も上げる大義名分が無いんですね。
日銀が利上げに踏み切るのは、十分に景気が上がったと判断したタイミングです。日本の景気は上がってません。むしろ後退しおり、1月に利上げをする合理的な理由は無いということです。
ですから、変動金利は上がらないということになります。
Sponsored Link
まとめ~低金利の今なら借換はまだ間に合う
いかがでしたでしょうか。フラット35について言えば、20日前後になれば機構債の表面利率が発表され、1月の金利がかなり正確に予測できます。
こちらで毎月の予測と答え合わせをしてます。
10年固定や変動への借換を検討されている方は、まだ上がる前に借り換えができそうですね。
もちろんこれらには金利変動リスクがありますが、店頭金利からの優遇幅はまだまだ大きいですから、金利が上がった時の影響を小さく出来るんですよ。
来年になると、3月の新築マンションの審査が増えていきます。早めに動けばまだ1月の借換実行に間に合うかもしれませんね。
イヤ、もう少し待てばトランプ氏への失望(反動)で下がるかも?
同感です。
それが起こるかどうか?またその時期はいつか?についてはやはり千日には分かりません。
これに限らず、ブログで記載した数値や将来の予測は、発表時点での状況に基づき私が予想したものであり、潜在的なリスク・不確実要因が含まれています。
実際の金利の動きは、過去に千日のブログで公表した将来予想に関する記述と大いに異なる場合があります。
住宅ローンを借り換えるか、固定にするか変動にするかの最終決定は、ご自身の判断でお願いしますね。
千日の住宅ローン無料相談.com関連記事
以上、千日のブログでした。
お勧め記事
- 住宅ローン金利タイプの決め方 素人が白紙から住宅ローンを選ぶ方法を解説します
- 住宅ローンを借りるなら引渡しと融資実行日は月末にすべきたった1つの理由
- 住宅ローン審査の最新傾向から分かる 非正規雇用でもブラックリストでも審査に通る方法を教えます
- 住宅ローン金利の本当の決まり方について誰よりも分かりやすく解説します
- 住宅ローン金利引き下げ交渉のコツ〜電話1本で適用金利を下げる方法教えます
- 住宅ローン銀行乗換えの常識⇒①残り10年以上②残高1千万以上③金利差1%以上は間違った情報です
変動金利のリスクに向き合う
住宅ローンのリスクに備える