10月のフラット35の固定金利上昇は一時的、変動金利は変動しない
どうも千日です。この記事は2016年9月21日の午後に行われた日銀総括に先立って前日から住宅ローンの金利が動きました。
10月のフラット35の金利は住宅金融支援機構の適用利率が発表されました。(カッコ内は9月の金利)
- 15年〜20年 0.95%(0.96%)
- 21年〜35年 1.06%(1.02%)
住宅金融支援機構は財務省が所管する出先機関です。最も確度の高い情報に基づいて、動いているものと考えられますね。フラット35の金利は月初めに発表された金利がその月に適用されます。
これに対して変動金利は変わらず現状を維持です。
毎月最も早く翌月の金利を発表しているソニー銀行が2016年9月21日に公表した10月の変動金利も前月と同じ金利(0.799%)を維持しています。
ちなみにソニー銀行の20年超固定金利は1.050%(9月)から1.201%(10月)へ、実に0.151%も上がっているんですね。
- 固定金利は上がり
- 変動金利は変動しない
これら金融機関の住宅ローンの金利は日銀の新たな金融緩和政策を踏まえた動きでした。
後記(2016年11月3日)
ちなみに11月のフラット35はこのように低下傾向ですね。(カッコ内は10月の金利)長期金利は基本的に低水準で推移しています。
- 15年〜20年 0.93%(0.95%)
- 21年〜35年 1.03%(1.06%)
目次
フラット35のスキームから予測できる翌月金利
翌月の金利を予測するにあたって、最も確度の高いデータが、住宅金融支援機構債の表面利率です。毎月20日前後にリンク先のホームページで公表されます。
表面利率の推移
2016年4月発行 0.34%
2016年5月発行 0.36%
2016年6月発行 0.23%
2016年7月発行 0.19%
2016年8月発行 0.33%
2016年9月発行 0.37%
住宅金融支援機構は金融機関からフラット35の債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて「機構債(RMBS・住宅ローン債権担保証券)」という形で販売しています。
図にするとこんなスキームです。
フラット35のお金は、元を辿れば住宅金融支援機構の機構債の販売代金です。
そして機構債の表面利率とは機構債を買う投資家の投資利回りです。
という事は、住宅金融支援機構にとってフラット35の金利とは貸付資金を調達するコストということです。
つまり、
- フラット35金利=機構債の表面利率+住宅金融支援機構の利益率
という計算になります。
フラット35の金利から表面利率を引くと機構が上乗せしている利益率が計算できます。利益率といっても住宅金融支援機構は国が運営する団体ですから、人件費等の経費を乗せるだけで固定的で、ほぼ一定の水準ですので、かなり正確に予測出来ます。
フラット35金利の推移と予測
翌月フラット35金利=表面利率+上乗せ利益率という関係で時系列に推移を見ると以下のようになりますね(利益率は差額で計算)。
- 5月F金利1.08%=4月表面0.34%+利益0.74%
- 6月F金利1.10%=5月表面0.36%+利益0.74%
- 7月F金利0.93%=6月表面0.23%+利益0.70%
- 8月F金利0.90%=7月表面0.19%+利益0.71%
- 9月F金利1.02%=8月表面0.33%+利益0.69%
- 10月F金利予測1.06%=9月表面0.37%+利益0.69%
現時点で10月の金利は公表されていませんが、上乗せする利益率は過去5カ月は0.69%〜0.74%のレンジで推移してます。
9月発行の機構債の表面利率0.37%に上乗せ利益率を足せば、ほぼ10月の適用金利が導き出されるという事です。
具体的には、10月の上乗せ利益率を先月の0.69%と同じとすれば、2016年10月の予想金利1.06%が導き出されるということです。
変動しない変動金利
銀行間で資金を融通しあう金利を短期プライムレートと言い、変動金利はこの短期プライムレートに連動して銀行が金利を上下させることが出来る金利タイプです。
銀行は自分が借りる時の金利よりちょっと高く住宅ローンの金利を設定して、金利変動のリスク無く確実に利ザヤを得る(儲ける)ことが出来るようにしているんですね。
債務者と銀行のどちらが金利変動リスクを負うかがポイントです。
- 銀行が他の銀行からお金を借りる時の金利が低い時は住宅ローンの金利は低くする。
- 銀行が他の銀行からお金を借りる時の金利が高い時は住宅ローンの金利は高くする。
変動金利はすでにゼロ金利
変動金利が変動していない直接的な理由は、その基準となる短期プライムレートが変動していないからです。
そして、なぜその短期プライムレートが変動していないかと言えば2008年のリーマンショックで「ゼロ金利政策」が復活したから、という理由です。
赤い矢印のところがリーマンショックの2008年9月15日です。それまでずっと0.5%だった政策金利はこれを境に0.1%になり、2016年の現在までずっと0.1%です。
つまり市場の短期金利は一足早く2008年にはゼロとなっており、だとすれば、それに連動する短期プライムレートもすでにリーマンの時点で「底」に達したという理屈なんです。
固定金利が上下しているのに変動金利が動かない理由
それにしても、固定金利はこれだけ上下しているのに、皮肉なことに『変動』金利が全然変動しないですよね。
その理由は、銀行が短期プライムレートを下げないように敢えて高い金利で資金を融通し合って高めを維持しているからです。
つまり、冒頭で書いたように、短期プライムレートは預金金利や銀行員の給料などのコストと儲けを考慮して銀行同士で決めるということがあるからなんですね。
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まとめ~追い込まれる日銀
総括の前から日銀総裁の黒田氏はマイナス金利のさらなる深堀りを表明してましたし、市場の間ではそれがベースになっていました。
フタを開けるとマイナス金利の深掘りは見送られ、0.1%のマイナス金利を据え置くものでした。
国債買い入れで利回り曲線の形状を意識した「長短金利操作付きの量的・質的金融緩和」の導入。
そもそもマイナス金利政策に固定金利が連動しているのではなく、副作用として固定金利がマイナスになってしまっているだけなんです。
この原油安と円高の状況下では追加緩和を実施しても日銀として勝算がないので、しばらくはカードは温存しておく。
つまり、追加緩和は縮小というサインではないか?
様々な憶測が飛び交っていますが、いずれにせよ、日銀としては今が一番苦しい手詰まりの状況なのでしょう。
住宅ローンの金利タイプごとの特徴を知り最適な住宅ローンを選ぶ - 千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える ⇦に戻る。
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