千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える

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英国のEU離脱が住宅ローンの金利に与える影響について分かりやすく解説します

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最新金利予想

ユーロ・ポンド安→円高、株安、国債高がもたらす住宅ローン金利の引き下げ

どうも千日です。イギリスの国民投票でEU離脱が確定したというニュースで持ち切りですね。

そこで今日は、これから家の購入を考えている人向けに、EU離脱が住宅ローンの変動金利と固定金利にどんな影響を及ぼすかについて、分かりやすく説明したいと思います。

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目次

 

EUとは?英国離脱の影響は?

EUとは欧州連合条約により設立されたヨーロッパの地域統合体のことで、加盟国はヨーロッパの28カ国です。

一つ一つの加盟国は主権国家なんですけど、その権限の一部を欧州理事会に移して、欧州連合の大局や政策を決定するんです。

通貨をユーロに統一し、加盟国間の間で関税を撤廃し、行き来も自由にして経済的にも加盟国全体で一つの国家のようになっています。

そんなEUからイギリスが抜けるということは、EUにとってもイギリスにとっても大きなダメージになります。

  • EUにとっては経済をけん引する英国が抜けることで国際的な競争力がダウンする。
  • イギリスにとってはEUの加盟国だったときは不要だった関税が復活するので対欧州への輸出で不利となる。

イギリスがEUから脱退することが決定したことで、EUもイギリスも危ないってことになったわけです。

それでEUとイギリスの通貨の価値が下落することを恐れた投資家達はユーロ、ポンドを売り、安定した円の購入に走ったんですね。

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これによって急激な円高となり一時は1ドル99円台にまで急伸しました。

また、これによる先行き不安から株式が売られ、6月24日の東京株式市場の日経平均株価は急落し、終値は14,952円02銭と記録的な株安となりました

 

住宅ローンの金利は低下方向

一言で住宅ローン金利への影響といっても、変動金利と固定金利ではその決定要素が違います。

大きなニュースではありますが、遠く離れたヨーロッパでの出来事がどうやって日本の住宅ローンの金利に影響するのか?

変動金利と固定金利それぞれに低下する理由を説明していきますね。

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変動金利は「下がる」というよりは「上がる要素がない」

変動金利は『短期プライムレート』に連動します。

そして、『短期プライムレート』はどうやって決まるかというと、銀行間で資金を融通するときに指標となる『市中金利』に連動します。

そして、『市中金利』はどうやって決まるかというと、日本銀行(日銀)が金融機関(銀行)にお金を貸すときに設定している『政策金利』によって決まります。

下記は政策金利の推移をグラフにしものです。

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赤い矢印のところがリーマンショックの2008年9月15日です。それまでずっと0.5%だった政策金利はこれを境に0.1%になり、2016年の現在までずっと0.1%です。

今回のEU離脱はリーマンショック並の影響があるかもしれないといわれていますけど、すでにこれ以上は下げられないレベルにまで下がっているんです。

政策金利の下げ幅はあと0.1%しか残っていません。

景気の後退に対抗するため、日銀はさらなる金融緩和の必要性に迫られていますが、政策金利に下げしろは殆ど残っていないということです。

下がるというより、上がる要素が無いといった方が良いでしょう。

 

固定金利はフラット35など超長期固定金利が下がる

住宅ローンの固定金利は国債価格の上昇によって引き下げられると予想されてます。

どういうことでしょうか?

固定金利は長期金利に連動します。そして長期金利は国債価格と逆方向に動きます。

  • 債券の価格が上昇すると長期金利は下落する
  • 債券の価格が下落すると長期金利は上昇する

この仕組みを説明しますね。

金利とは利回りを言います。利回りとは投資した元本に対して投資の成果として得られる利益が年に何パーセントかという割合です。

  • 10年国債
  • 額面金額100円
  • 券面利率2.0%

上記の前提で3つのパターンで解説します。小学校の算数の知識で理解できます。

 

国債の相場が100円の場合

券面利率は2%ですから、100円に対して毎年2円の利息が貰えます。10年後の満期には100円の元本が返ってきます。

100円投資して毎年2円の利益ですから、運用利回りは年2%です。

 

国債の相場が95円の場合

額面100円の国債が95円に値下がりしている時に買えば、毎年2円の利息を貰える上に満期で額面どおり100円で償還されます。購入価格との差額である5円が値上り(キャピタルゲイン)として手に入ります。

95円投資して毎年2.5円の利益ですから、2.5÷95で運用利回りは2.6%です。

 

国債の相場が105円の場合

額面100円の国債が105円に値上がりしている時に買えば、毎年2円の利息を貰えますけど、満期で返って来るのは額面の100円だけです。購入価格との差額であるマイナス5円を値下がり(キャピタルロス)として被ることになります。

105円投資して毎年1.5円の利益ですから、1.5÷105で運用利回りは1.4%です。

 

ほらね、債券の価格と利回りは逆方向に動いていますよね。

  • 価格95円の利回りは2.6%

  • 価格100円の利回りは2%

  • 価格105円の利回りは1.4%

EUのユーロと英国のポンドを売ったお金が安全資産である日本円にどっと流れました。それで円の価格が上がり、一時は1ドル=99円まで円が急騰しました。

日本の円がこれだけ買われるということは、日本国の債券も当然多く買われることが予測できます。

国債の価格はさらに上がるでしょう。

ということは、長期金利が下がるということを意味します。つまり長期金利と連動する住宅ローンの固定金利は下がるということです。

 

7月のフラット35の金利は0.13%低下し借換も増加

住宅金融支援機構が2016年7月の投資家向け債券の利率を発表しました。6月と比較して0.13%の大幅下落です。

  • 債券利率:6月0.36%→7月0.23%

この下げ幅でフラット35の6月の金利から0.13%引き下げられるとすると以下のようになりますね。

  • 20年以下:6月0.99%→7月0.86%
  • 21年以上:6月1.1%→7月0.97%

21年以上の超長期固定金利がとうとう1%を切る勢いだということです。ちなみに2008年に千日が住宅ローンを借りた変動金利の利率は0.975%ですから、本当にこうなったとしたら、とても信じられないような低金利です。

10年国債の金利は日銀のマイナス金利政策をきっかけとして既にマイナスとなっていますから、今の水準が底じゃないか?という見方もあります。

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しかし、英国のEU離脱が市場に与えたショックは大きく、一時的にさらに下がる可能性は否定できませんね。

7月の固定金利に注目です。大幅に下がれば、変動金利から固定金利への借換えがさらに加速するでしょう。

 

今後のお勧めはフラット35などの全期間固定金利か10年固定金利

  • 変動金利は安いけど金利変動のリスクがある。
  • 固定金利は金利変動リスクがないけど高い。

ちょっと前まではこんな風に言われてましたね。

しかし、今は固定金利が下がって殆ど変動金利と変わらないような水準です。もちろん金利が上がるリスクはありません。

なので、1番のお勧めは全期間固定金利ですね。まだ下がりしろが残っています。

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7月の三井住友信託の10年固定金利は0.4%過去最低を更新

2番目におすすめなのは10年固定金利です。10年後にはその時の店頭金利(銀行の決めた金利の定価のようなもの)を基準とした金利になるので、実質的には変動金利なんです。

しかし、当初10年間の金利はかなり低い水準で固定されます。特に10年固定金利がお得なんです。

三井住友信託銀行はイギリスのEU離脱を受けて7月の10固定金利を0.4%に引き下げると発表しまいました。

詳しくは住宅ローン10年固定最安0.5%の三井住友信託とは?金利はどこまで下がるか - 千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答えるをどうぞ。

 

欧州はひとつという共通認識のニーズと英国人の良識

住宅ローンの金利は下がるという結論なんですが、最後にもう一度英国のEU離脱について考えてみましょうか。

今でこそ、EUはユーロや関税などの経済面が強調されていますけど、その根底にある考えは平和のために欧州を一つにしようというものなんです。

ヨーロッパは地続きですから、何百年もの間、絶えず戦争の悲劇に見舞われてきました。特に対立の中心にいたのはフランスとドイツです。

2度の世界大戦を経て、もう戦争だけはしたくないと強く思い、戦争の原因となったナショナリズムに対抗するために出来たのがEUです。

国境をなくすことで国家間の紛争を無くそう。

欧州はひとつだ。

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こんな共通認識です。建前といってもいいです。

これを「現実のもの」「真実のもの」という前提とすることが、主権の異なる国同士が地続きのヨーロッパにおいて、2度と戦争をしないための建前として支持されてきたわけです。

千日は良いものだと思いますし、支持します。

対して、イギリスがEUから離脱するメリットは大きく2つです。

  • EUの決まり事に縛られず移民制限政策がとれる。
  • EUへの拠出金を出さなくてすむ。

はた目から見たら「自分勝手だな」なんて思ってしまうかもしれません。

でも仮にじぶんが生活に困窮し、現実に眼の前で移民によって職を奪われる側になった時、そんなの「きれいごとだ」と思ってしまうような気もします。

もともとイギリスはヨーロッパでは、ほぼ唯一の島国ですし、そういった点でもこの建前を維持するニーズとしてはフランスやドイツよりも低かったんだろうなと思います。

  • 離脱派1,740万票(51.9%)
  • 残留派1,600万票(48.1%)

国内を二分する拮抗した結果となりましたが、英国としては離脱が順当な結論であり、むしろ残留派の多さが英国人の良識を物語っているように千日は思いました。

以上、千日のブログでした。

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