千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える

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マイナス金利で3メガバンクが金利引き下げ 3大銀行の収益性・安定性比較

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三菱UFJ、三井住友、みずほの3大銀行の金利引き下げ競争

どうも千日です。
 
  1. 住宅ローン金利どこまで下がるか?銀行の立場から考える
  2. どの銀行を選ぶか?収益性と安定性ランキング
 
誰しもこのあたりが気になる所だと思います。今のタイミングは審査に1カ月位は見ておかないとですから、あまり残された時間はありませんよね。
 
決断に必要な情報を整理して、出来るだけわかりやすく説明します。では、始めます。

 
 

1.銀行の立場から見ると金利の引き下げの下限が見える

銀行にとっての住宅ローンは何か、を確認しておきましょう。利回りは低いが比較的安全な投資です。
 
今回の利下げ検討は、ネット系の銀行に属性の良い利用者を取られない為の施策だと千日は推理しました。とすると、自ずと彼らが下限とする金利が見えてきます。
 
2016年3月の主要6行の借り換え申し込み件数は2万3千600件にのぼり、前年同月比3.6倍に増えたそうです。
 
ではどこまで下げられるか、銀行の決算から推定してみます。
 
EDINETで公開されているメガバンク3行の資金運用利率と資金調達利率は以下の通りです。
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  • 銀行の収益=資金運用勘定×資金運用利回り
  • 銀行の費用=資金調達勘定×資金調達利回り
概ねこんな感じで、収益から費用を差し引いた利益で銀行員の給料や支店の家賃を払っているんです。
 
住宅ローンの場合は約0.17%の団体信用生命保険料を銀行が負担しますので、資金調達利回りに加えて0.17%が各銀行の費用となります。
 
2015年9月の資金調達利回りに0.17%を足すと以下のようになります。
  • 三菱UFJ 0.45%
  • 三井住友 0.44%
  • みずほ 0.41%
0.625%で貸した時の儲けはこの差額の0.175%から0.215%です。これはどういう利回りかというと、3,000万円も貸して一年に5〜6万円しか儲けが無いということです。
 
これでは給料も家賃も出ません。
 
それでも金利を下げる理由は、以下の思惑があるからです。
 
  • 属性の良い債務者を取り込んで、金利上昇局面で儲けを得る。
  • 不透明感の強いマーケット環境では安全資産に投資したいが、国債は価格が上がり過ぎているので、銀行にとっての安全投資である住宅ローンを増やしたい。
  • 預金を取り込める。教育ローンなど金利の高い商品を売れる。
 
今の所、住宅ローンについては、貸し渋りには振れていないという事なので、日銀の想定した方向に流れていると言えるでしょう。
 
また今回、変動金利には手を付けなかった所を見ると今の0.6%台が3大銀行にとってほぼ下限に近いのではないでしょうか。
 
 

変動金利の店頭金利と優遇金利の仕組み

変動金利では銀行の店頭金利に従って6カ月毎に金利が変動します。例えば2016年9月の変動金利0.625%というのは店頭金利ではありません。
 
  • 店頭金利 2.475%
  • 優遇金利 1.85%
  • 差し引き 0.625%←適用金利
 
店頭金利とは言わば、銀行の設定する金利の定価みたいなものです。そこから割引しますというのが優遇金利です。
 
優遇金利には全期間優遇と当初優遇があるので注意が必要です。
 
 

店頭金利が上がる時と銀行の収益性・安定性ランキング

店頭金利とは、銀行が設定する定価ですから、銀行に決定権があります。想定されている店頭金利が上がる時とは、
変動金利の指標となる政策金利が上がる時ですね。
 
それと忘れてはいけないのが、
銀行の財政が厳しくなった時にも店頭金利は上がるということです。
 
他の銀行が上げずに自行だけ上げたら利用者は皆逃げてしまいますので、ギリギリまで我慢するでしょうが、いよいよ危ないとなれば上げざるをえません。
 
変動金利で借りる場合は銀行の収益性安定性にも気を配りましょう。
 

メガバンクの収益性ランキング

収益性は資金運用利回りと資金調達利回りの差に現れますので、1.の表をネットすればそれが見えて来ます。
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収益性が高いランキングでは以下のようになりますね。
1位 三井住友銀行
2位 三菱UFJ銀行
3位 みずほ銀行
グラフにすると以下のようになります。それぞれ変動はありますが、ここ最近で順位が入れ替わることは無いですね。
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収益性が高いということは、銀行全体の利益率の足を引っ張る住宅ローンを抱えても他の投資によって持ち堪えられるバッファーが厚いということを意味します。
 

メガバンクの安定性ランキング

安定性の指標としては自己資本比率とリスク管理債権の割合を目安にします。
 
BIS規制の自己資本比率ランキング
自己資本比率はリスク資産に対する自己資本(元手)の割合です。この比率が大きいということが銀行の安定性を表します。
 
このブログではBIS規制によって銀行に要求されている自己資本比率を使います。国際業務を行う銀行は8%以上の水準を維持しなければなりません。
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3行ともに安全圏に居ますね。その中で三井住友銀行が頭1つ抜けています。三菱UFJ銀行は2015年3月から9月にかけて、少し落ちています。
 
3行ともに大幅クリアしていますが敢えて順位を付ければ、以下のようになるでしょう。
1位 三井住友銀行
2位 みずほ銀行
3位 三菱UFJ銀行
 
 
リスク管理債権の割合ランキング
リスク管理債権とは正常債権以外の債権を言います。支払が滞って条件を緩和したり、全く払えなくなった債権を総称してリスク管理債権と言います。
 
債権全体に対するリスク管理債権が小さいということは、予定通りお金が回収出来ているので、安定していると言えます。また、債権の管理コストもかからないので収益性にも影響します。
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三井住友銀行は2014年3月期は最もリスク管理債権の割合が多かったですが、ここ最近で大幅に改善し、直近の2015年9月期は最も少なくなっています。
 
三菱UFJとみずほ銀行も徐々に減らして、同じ水準になっています。同率2位です。しかし、債権の総額では三菱UFJ銀行が最大なので、これを鑑みて、2位三菱UFJ、3位みずほと順位付けしました。
1位 三井住友銀行
2位 三菱UFJ銀行
3位 みずほ銀行
 
 

収益性、安定性ともに1位は三井住友銀行

やっぱりというか、こういう結果になりましたね。実はそれを反映したデータもあります。住宅ローンの債権残高と住宅ローンの割合です。
 
やはり収益性・安定性のある銀行に利用者も集まっているのでしょう。
 

貸付金残高に対する住宅ローン残高のランキングでも三井住友銀行がトップ

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貸付金の残高は三菱UFJ銀行がトップですが、住宅ローン残高は三井住友銀行がトップです。割合にしてみるとその傾向が顕著に表れますね。
 
貸付金残高に対する住宅ローン残高の割合をグラフにしてみました。
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三井住友銀行が頭1つ抜けてトップです。それを三菱UFJ銀行とみずほ銀行が追う形になっています。
 
変動金利で借りる場合の銀行の収益性と安定性を判断する際に参考になるかと思います。
 
  • 2016年4月6日に借り換え申し込み件数の増加を更新しました
  • 2016年9月1日に金利の情報を更新しました
  • 2018年4月1日に三菱東京UFJ銀行が三菱UFJ銀行に行名を変更したのに伴い行名を更新しました。

以上、千日のブログでした。

《あとがき》
千日のブログでは、住宅ローンはもちろんのこと、マンションに関する様々なお役立ち情報を公開しています。
情報は常に入手可能な最新のものに更新してます。また、こんな記事を書いてほしいということがあれば、リクエストを随時募集しています。
2016年8月15日
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