変動と固定どっち?ある意味物件選びよりも悩ましい住宅ローンの金利タイプの選択
日銀が史上初となるマイナス金利を導入してから、人類史上初ともえいる長期金利の低下が続きましたが、2016年の最後にトランプ氏がアメリカ大統領選挙に当選したことによるトランプショックで再び上がり始めましたね。そして今、トランプ氏への期待は収束し、北朝鮮の地政学リスクが顕在化してきました。
- 2016年2月9日には長期金利が史上初のマイナス。
- 2016年6月の英国EU離脱ショックでさらに固定金利が最低を更新。
- 2016年11月にトランプ氏が大統領に当選、当日急落した長期金利がV字回復し、9カ月ぶりに0%を上回る。
- 2017年北朝鮮リスクが顕在化、長期金利が再びマイナス圏へ。
まさにジェットコースターですね。
こんな時期に家を購入する人にとっては住宅ローンの金利タイプを変動金利・固定金利のどちらにすべきか?悩ましい所です。住宅ローンの契約は引渡しのタイミングで金利が決定するので、ギリギリまで悩むんですよね。
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住宅ローンは変動金利か固定金利かどっち?
変動金利か固定金利か?マンションや戸建住宅を買う時に誰もが悩みます。下手したら住宅を選ぶよりも悩むのが住宅ローンの金利タイプ、変動か固定かです。
ここまで固定金利が下がった今ですが、ちょっと経済学をかじった人なら…
変動金利一択でしょ
なんて言うんでしょうね。しかし、住宅ローンを借りるのは最長35年、短い人でも15年位の期間です。
10年を超えるとまず誰も予測できない。
5年位先までなら現在(いま)の状況を軸に何と無く予想を立てられますが…10年を超えると、それこそ預言者でもない限りは全く予想がつきません。
例えば、初代iPhoneの発売開始は2007年6月29日、現在から遡ること10年以上前です。iPhoneが出てくるまではパカパカのガラケーが席巻してました。
およそ10年前の2007年に誰が現在のスマホ社会を予想出来たでしょうか?
住宅ローンの金利タイプを決めるのは、高さがわからず、下がどうなってるかもわからない崖から飛び出すのに似ています。
変動金利と固定金利の一番簡単な解説
①変動金利と固定金利の定義
- 変動金利は銀行が必要に応じて金利を変動させることが出来る金利タイプ
- 固定金利は借入期間に亘り金利を固定する金利タイプ
ふざけんなそんなことは知ってる
なんて声が聞こえてきそうですが、一応言っておかないと、話せない性分なんです。それに、結構言葉は選んでます。
例えば10年固定なんていうローンの金利タイプがありますが、これは変動金利です。
当初の10年間は金利が固定され、10年経過後は変動金利になるか、改めてその時点の金利水準で固定金利を選択するかを選ぶタイプですね。
②債務者と銀行のどちらが金利変動リスクを負うかがポイントです
- 銀行が他の銀行からお金を借りる時の金利が低い時は住宅ローンの金利は低くする
- 銀行が他の銀行からお金を借りる時の金利が高い時は住宅ローンの金利は高くする
- 変動金利=金利変動リスクを自分が負う
- 固定金利=金利変動リスクを銀行が負う
- 予測出来る始めの期間は現在の金利水準で銀行が利ザヤを取れるような金利で固定する。
- 予測出来ない後半の期間はその時になってから銀行が利ザヤを取れるような金利を決める。
変動は止まっており、固定は動いている
①短期プライムレートを誰が上げたり下げたりしているのか?
リーマンショック前後の政策金利の推移
赤い矢印のところがリーマンショックの2008年9月15日です。それまでずっと0.5%だった政策金利はこれを境に0.1%になり、2017年の現在までずっと0.1%です。
因みに私が今のマンションの引き渡しを受けたのは2008年11月でした。
よくぞこんなタイミングで…
人生一寸先は闇ですね。しかしどうということはありません。この通りのんびりブログなど書いています。
はじめに『少し経済学をかじった人なら変動一択』というのは、チャイナリスクと日銀のマイナス金利政策のショックがこのリーマンショックを思わせるからです。
この混乱は、今回も住宅ローンの金利を下げる方向に政府の判断をリードするかもしれません。これ以上は下げられないので、『上げない』という表現が妥当でしょう。
同時に下がりもしない状態なんですが、それについてはマイナス金利政策下で変動金利が下がらず固定している理由をご覧ください。
②史上初 日銀のマイナス金利
さらに2016年1月29日に日銀がデフレ脱却の為にマイナス金利を導入しました。史上初です。これによって銀行が日銀に預けている預金の金利がマイナスになります。
銀行は日銀から預金を引き上げて来るのですが、その資金は積極的な融資に回るだろうというのが、政府の狙いです。
つまり住宅ローンの競争はさらに激化し、ローン金利を下げる方向に行き、住宅需要を支える…という思惑でしょうが、銀行の利益は薄くなって行きます。さじ加減が難しい所ですね。
③変動金利は相対的に止まっている
④固定金利は相対的に動いている
フラット35の固定金利も借り入れ時点の金利は動いている
フラット35は住宅金融支援機構という国が運営する団体が債権を買い取る又は返済を保証するという形になっています。銀行は融資事務を代行して右から左に資金を流すだけですから、固定の手数料を取るだけです。そして住宅金融支援機構は国の出先機関ですから、これも固定的な経費を取るだけです。
つまり、債券市場の金利がダイレクトに反映しやすい仕組みになっています。
ですから、以下の式でフラット35の金利が決まるのです。ここ最近の利益率は0.66%で推移しています。
- フラット35金利(35年)=機構債の表面利率+利益率(約0.66%)
それが団信の新制度によってその保険料相当の0.28%が金利に組み込まれることになりましたので、以下の式に変化することになります。
- フラット35金利(35年)=機構債の表面利率+利益率(約0.66%)+0.28%(団信保険料)
フラット35の金利推移
年月 | フラット35金利 | 表面利率 | 利益率 | 団信 |
2016年5月 | 1.08% | 0.34% | 0.74% | 0.00% |
2016年6月 | 1.10% | 0.36% | 0.74% | 0.00% |
2016年7月 | 0.93% | 0.23% | 0.70% | 0.00% |
2016年8月 | 0.90% | 0.19% | 0.71% | 0.00% |
2016年9月 | 1.02% | 0.33% | 0.69% | 0.00% |
2016年10月 | 1.06% | 0.37% | 0.69% | 0.00% |
2016年11月 | 1.03% | 0.34% | 0.69% | 0.00% |
2016年12月 | 1.10% | 0.41% | 0.69% | 0.00% |
2017年1月 | 1.12% | 0.48% | 0.64% | 0.00% |
2017年2月 | 1.10% | 0.46% | 0.64% | 0.00% |
2017年3月 | 1.12% | 0.47% | 0.65% | 0.00% |
2017年4月 | 1.12% | 0.46% | 0.66% | 0.00% |
2017年5月 | 1.06% | 0.40% | 0.66% | 0.00% |
2017年6月 | 1.09% | 0.43% | 0.66% | 0.00% |
2017年7月 | 1.09% | 0.44% | 0.65% | 0.00% |
2017年8月 | 1.12% | 0.47% | 0.65% | 0.00% |
2017年9月 | 1.08% | 0.42% | 0.66% | 0.00% |
2017年10月 | 1.36% | 0.42% | 0.66% | 0.28% |
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まとめ 住宅ローンで失敗しないために~保障にも注目し複数の金融機関で審査を通しておく
- 決断に中途半端な保留をしない
- どんなことがあっても諦めない
複数の金融機関で審査を通しておき、ギリギリまで引っ張る
ですから2重3重に打つ手を用意しておく必要があります。複数の金融機関で審査を通しておくことは、 今の環境で失敗しないための住宅ローンのセオリーです。
- 変動金利と固定金利=金利タイプ
- 民間融資とフラット35=民間融資と公的融資
上記のように金利タイプや債権者などで、違うタイプの住宅ローンで審査を通しておき、その時に最も有利なものを選ぶことをお勧めします。
変動金利で考えている人にお勧めの組み合わせ
固定金利で考えている人にお勧めの組み合わせ
固定金利は、借りた後はずっと金利が変わらないのですが、借りるタイミングでたまたま長期金利が高騰すると、高い金利で35年間の返済をしなければなりません。そういう場合はまだ、変動金利にしておいた方が得だということになります。
多くの人にとって一世一代の選択となります。妥協せず後悔しない、正しい選択をしたいですね。
- 2017年6月2日に住信SBIの団信情報を更新しました
- 2017年8月15日に情報を更新し、金利タイプの解説YouTube動画へのリンクを貼りました
- 2017年10月7日に情報更新し、フラット35の団信新制度を加味
以上、千日のブログでした。
《あとがき》
2017年から2018年にかけての住宅ローンが変動か固定か?について最新の状況を踏まえた記事を書きました2017年~2018年度の住宅ローンは固定か変動か?日銀が金利操作する環境下での新たなセオリーどうぞ読んでみてください。
千日の姉妹サイト『千日の住宅ローン無料相談ドットコム』では日々色んな方から寄せられる相談に、千日が回答し記事にしています。
良かったら読んでみてくださいね。
2017年3月6日
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30代600~1200 | 40代600~1200 | 50代1000以上 | ||
20代800以上 | 30代1200以上 | 40代1200以上 | ||
借り換え | 20代借換 | 30代借換 | 40代借換 | 50代借換 |
団信 | 20代団信 | 30代団信 | 40代団信 | 50代団信 |
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