千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える

千日太郎が送る住宅ローンの最新ニュース、ほぼ毎日21時にYouTube生配信、失敗しないマイホームの購入から返済計画のバイブルとして、多くの方からご支持頂いています。

千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える

住宅ローンに精通した公認会計士千日太郎による専門サイト、21時からYouTube生配信、最新の金利動向から失敗しない住宅ローン、マイホームの購入計画についてWBS(テレビ東京)ほか多数の経済専門メディアでコメントしています。本サイトにはプロモーションが含まれています。

毎日更新!日米金利の最新動向➤
お勧め住宅ローン(CPA監修更新)➤
リスクと負担を減らす借り換えランキング➤
PR

2018年の住宅ローンは変動金利と10年固定どっちがおすすめか?

Sponsored Link

変動金利は「今が底」10年固定は「妥当な水準」どっちにする?

どうも千日です。私が持っている認識は今は変動金利が絶対的に安くて住宅ローンの金利として通常妥当と思われる水準を遥かに下回っているということなんです。

それに対して、10年固定はかつて絶対的に割安だったが、今は正常化しているという認識です。

  • 変動金利の最安は住信SBIネット銀行の0.439%(借り換え)
  • 10年固定の最安はイオン銀行の0.69%です。過去最安のときは三井住友信託で0.35%でした。

ですね。つまり…

  • 変動金利6か月ごとに金利を見直しますが、今のところ最安
  • 10年固定10年間は金利が変わらないが、今の変動金利よりは高い

過去は金利が同じか、10年固定の方が低かったので千日太郎は10年固定推しだったんですが…

今はどっちを選ぶのが正解なのでしょうか?プロの考え方を解説します。

f:id:sennich:20180304161224j:plain

変動金利と10年固定金利の返済方針の共通点と相違点

変動金利は銀行が金利を自由に変動させられる金利タイプですけど、支払額は5年刻みで固定されているんですよ。

また、当初の10年間は住宅ローン控除があるので、金利の上昇による利息の負担は相殺されるのです。

この2つがあるので、実は変動金利と10年固定金利は非常によく似た金利タイプなのです!

元利均等返済 変動金利 10年固定金利
金利の引下幅 ずっと変わらない。 10年後のタイミングで大きく減ってしまう。
毎月の返済額 当初10年は最大125%まで。 当初10年間は固定。
住宅ローン控除 金利が上昇すると元本が減らない分住宅ローン控除の恩恵が増える。 10年間は恩恵が確定する。

これを解説していきますね。

金利の引下幅(優遇)の違い

変動金利は基準金利(店頭金利)からの引下幅(優遇)というものが借入期間にわたってずっと一定に適用されます。

これに対して、10年固定は10年間は金利が固定されていますが、それが終わった時点の引下幅(優遇)は、大きく減ってしまうようになっています。

《イオン銀行10年固定の場合》

f:id:sennich:20180304164457p:plain

つまり、こういうことですね。

  • 変動金利より高い金利でスタートして10年固定される。
  • 10年経過したらその時点の基準金利からの引下幅が減るので、最初から変動金利で借りていた場合よりも高い金利が適用される。
住宅ローンを35年間借りるのだとすれば、後半の長い期間について高い金利を取られてしまうことになります。 
なので、10年固定で借りる場合は…
  1. 多額の繰上げ返済
  2. 借り換え又は金利交渉で安い金利にシフト
  3. 住み替えして全額繰上げ返済

こうした方針がとれる人、とらざるを得ない人に向いた金利タイプと言えるのですね。

 

5年ルールと125%ルールで固定される毎月の返済額

  • 変動金利は当初10年間の支払いは最大125%までで固定されている。
  • 10年固定金利は当初10年間の支払いは固定されている。

変動金利には5年ルールと125%ルールがあります。

5年ルールとは、金利が上昇しても5年間は直前の元利均等返済額を維持するというものです。つまり、急に金利が上がったからといって毎月の支払いが急に増えるわけでは無いんですよね。

125%ルールとは、金利が上昇してから5年経過して毎月の元利均等返済額を増やす時には、直前の125%までを上限にするというものです。つまり大きく金利が上がっても毎月の支払いは125%までしか上がらないということです。

つまり、住宅ローンを借りてからすぐに金利が上がっても、5年間は毎月の支払額は変わらず、次の5年間に上がるのは1.25倍が上限ということですから、最悪のケースでも10年間は1.25倍までしか支払は増えないんです。

これに対して10年固定金利というのは、文字通り10年間の金利は固定されていますので、元利均等返済額はずっと変わらず固定されていますよね。

 

住宅ローン控除で相殺される金利の上昇

  • 変動金利は金利が上昇しても10年は住宅ローン控除で相殺される。
  • 10年固定金利は10年間は住宅ローン控除によるキャッシュバックが確定する。

住宅ローン控除は住宅ローンの利息を国が肩代わりしてくれる減税制度です。 家を購入した年の年末から数えて10回、年末の住宅ローン残高の1%を上限として税金を還付する(キャッシュバック)するものです。

例えば年末の住宅ローンの残高が4000万円であればその1%は40万円ですね。結構デカいです。そういうキャッシュバックが10回あるのですから数百万円単位のお金が返ってくるものです。

変動金利で当初の10年間はローンの金利が上がっても1%まではキャッシュバックされるのですから、負担は相殺されるということです。

これに対して、10年固定金利では文字通り10年間の金利は固定されていますので、住宅ローン控除のキャッシュバックも固定されるということになります。 

 

繰り上げ返済に対するスタンスの違い

  • 変動金利:残高をコントロールできる人に向いている。
  • 10年固定:10年目の残高を減らせる人に向いている。

変動金利は『残高をコントロールできる人』に向いた金利タイプと言えます。6か月ごとの短いスパンで金利が上がる可能性がありますが、支払額は固定されています。そのしわ寄せは元本に来るのですね。

  • 金利が上がったことで減らなかった元本は底溜まりとなり、最終回に一括又は分割で払うことになります。
  • ですから、元本が溜まってしまわないように、ちょうどよい金額を繰り上げ返済して、元本を減らしておけば安心ということです。

10年固定は『10年目の残高を減らせる人』に向いた金利タイプです。10年目の残高にフォーカスしているのが、変動金利との大きな違いです。

  • 10年目の金利がどうなっているかによって、それ以降の毎月の支払額が変わってきますが、それは今の時点では分かりません。
  • 分かっているのは10年目の残高であって、それを安全な残高にするための貯蓄が重要になってくるのです。

このように繰上げ返済に対するスタンスが違ってきているのですね。

 

4000万円借りる場合の繰上げ返済のシミュレーション

典型的な例で4000万円を変動金利0.5%、借入期間35年、元利均等返済、ボーナス払い無しで借りた場合の表を作りました。

このときの、毎月の元利均等返済額は103,834円になります。

 (単位:万円)

4000万円借入から金利上昇したら繰上返済すべき金額
残期間 30年 25年 20年 15年
残高 3470 2927 2371 1800
0.5%→1.0% 246 173 114 65
0.5%→1.5% 465 331 221 128
0.5%→2.0% 666 477 320 187
0.5%→2.5% 847 612 413 243
0.5%→3.0% 1010 738 500 297
0.5%→3.5% 1162 852 581 347
0.5%→4.0% 1298 960 659 396
0.5%→4.5% 1423 1060 730 443
0.5%→5.0% 1541 1150 799 488

 

例えば借入から5年後には、残期間30年になっていて、そのときの残高は3470万円です。

その時点で金利が0.5%から2.5%に上昇したとしたら、847万円を繰上げ返済することで、今後も103,834円の毎月の返済で完済できるということです。

このように、金利が上がったときに即座にこれだけの金額を繰上げ返済して元本をコントロールすることが出来るなら変動金利も怖くないのですね。

上の表は

で使った表です。合わせてよんでみてください。

 

繰上げ返済のタイミング

  • 変動金利:5年後と10年後に注目
  • 10年固定:10年後にのみ注目

変動金利が上がる可能性が高いタイミングを2023年とすると、今から5年後ですね。

また、当初の10年は住宅ローン控除がありますので、金利の上昇による利息の負担は相殺されることになります。また、一度に上がる返済額は125%が上限でそれは5年間維持されます。

なので、繰上げ返済するタイミングとしては10年後でも良いですね。

10年固定の場合は10年後に一転集中ということになります。変動金利の場合は5年ルールと125%ルールで緩やかに支払額が増えていきますが、10年固定は10年後にイキナリそのタイミングがやってきます。

確実に10年後の残高を安全圏に持っていけるということが重要になってくるのですね。

 

想定する金利は現時点の基準金利

  • 変動金利:2.5%前後
  • 10年固定:3.0%前後

どれだけ上がるのか?というのはその時になってみないと分かりません。ただ、その目安としては現時点の基準金利(店頭金利)くらいになることは想定しておいた方が良いでしょう。

変動金利であれば2.5%前後のところが主流です。

10年固定の場合は10年後の引下幅が減ってしまいますので、変動金利の基準金利に0.5%プラスして3.0%くらいに考えておくことをお勧めします。

上の表でいくと、残期間25年でその時の残高が2927万円です。その時点の金利が0.5%→3.0%に上がった場合に必要な繰上げ返済額ということで、738万円の繰上げ返済資金が目標ということになりますね。

当初10年の金利が違いますので、若干の誤差は生じますが、概ね近似しているはずです。

 

 

まとめ~結局どっちがオススメなのか?

千日は、住宅ローンの金利タイプには変動金利と固定金利しか無いと思っています。

  • 変動金利:金利変動リスクを借りる側が負う。
  • 固定金利:金利変動リスクを貸す側が負う。

この考え方でいくと、10年固定金利は『変動金利』です。借入期間にわたってずっと金利が固定しているものだけが固定金利なんです。

ですから、変動金利も10年固定金利もどちらも、金利変動リスクに対して自分で対応していかなければならないのですね。

ただ、その対応の仕方というものが違ってくるんだということです。どう違うかは前述したとおりです。

自分にとってベストな住宅ローンは、不動産の価格、用意できる頭金の額、購入時点の収入と年齢、家族構成にライフプラン…ちょっと考えただけでも、どんな前提を置くかによって何がベストかは変わってくるものです。

しっかり理解したうえで結論を出しましょう。

以上、千日のブログでした。

《あとがき》

2018年1月31日に千日太郎の著書家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本が発売されています。

こちらの著書では、それぞれの金利タイプに合わせた住宅ローンの賢い組み方、返済方法について詳しく書いています。

その金利タイプごとに、どういう心構えと準備が必要なのか?他の本には無い踏み込んだ内容になっていると自負しています。

ぜひお手に取ってみてくださいね。

2018年3月4日

毎月更新!千日太郎の金利先読み住宅ローンランキング

毎月更新!年齢、年収別の最適住宅ローンランキング➤姉妹サイト「千日の住宅ローン無料相談ドットコム」へ

ランキング 年齢
20代 30代 40代 50代以上
新規借入 20代800未満 30代600未満 40代600未満 50代1000未満
30代600~1200 40代600~1200 50代1000以上
20代800以上 30代1200以上 40代1200以上
借り換え 20代借換 30代借換 40代借換 50代借換
団信 20代団信 30代団信 40代団信 50代団信

千日太郎おすすめ住宅ローン

変動金利の千日メソットカテゴリー

千日の住宅ローン無料相談.comで変動金利の質問に答えています