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マッキンゼー超エリートの時給がヤバすぎて震えた~時間と価値に対する考え方

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新人でも時給ウン万円のマッキンゼーの時間と価値に対する考え方の裏側

どうも千日です。最近『時給換算したらいくら』というフレーズをよく耳にするようになりました。

この時給換算は、今ではとてもメジャーなツールですが、ある賢い人が言い出して、皆が使うようになった感じです。そして最近、これを言い出した『賢い人』を発見しました。マッキンゼーです。

正式名称は「マッキンゼー・アンド・カンパニー」、ジェームズ・O・マッキンゼーにより設立されたアメリカ合衆国に本社を置くコンサルティング会社です。平均年収は日本円で2300万円でその範囲はおよそ600~8000万円、 最大年収は1億円以上といわれます。

今日はこのマッキンゼーの超エリートの高次元な時間価値の考え方とその裏側をつまびらかにして見せましょう。

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マッキンゼーでは新入社員でも時給〇万円!←にある誤解

以下はある有名なビジネス本の著者が書いている有名なエピソードです。

 

彼が新卒で入社した「マッキンゼー ・アンド・カンパニー」では入社してすぐ、クライアントから、一時間につき〇万円というコンサルタント料を取っていました。つまり、彼はクライアントに対して、料金に見合うだけの価値を提供すべく、対峙しているのです。

さらに、彼の上司は、時間当たり、彼の4倍もの額を取っていました。

マッキンゼーの社員は、常にクライアントから「この人にはこれだけの額を支払う価値があるか」という視線を向けられている状況なのです。

だから、彼は必死に一時間ごとにかかる料金に見合う価値を相手に提供できているかどうかを考えながら仕事をするのだそうです。

 

ここまで読んで「スゲー!」と思ったのであれば、イエローシグナルですよ。

 

価格がどうやって決まるか?を知らない新人への刷り込み

こうした話を聞かされると、『さすがマッキンゼー!イケてるゼー!』と思うんでしょうか。

しかし、ウラがあります。

マッキンゼーに入ってくるような意識が高く、勉強ができて、能力の高い、でもまだ世の中を知らないコに自分の能力以上の仕事をさせるための刷り込みです。

そもそもなんですが、コンサル料は総額で決まります。

クライアントはコンサルによって得られるメリットと支払うコスト(コンサル料)を天秤にかけて、メリットの方が大きいと判断したから、コンサルを依頼するのです。

つまり、その新人がやってきてヒアリングしたり、PCでカチャカチャやってる作業にウン万円も払っているわけではありません。

ただ、コンサルというものの目に見えるコストが人件費だから、時給の積み上げでコンサル料を見せているだけです。

この著者が本気でそう思って書いてるのだとしたら、コンサル価格の本質を理解する前にマッキンゼーを卒業してしまったんですね。

後述しますけど、マッキンゼーの新人が時給〇万円も取れる理由は、そういうこと(=新人でもそれだけのバリューがある)じゃないんですよ。

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時間の価値が上司とのチームワークでも試される←の本音とは?

また価値を最大化するためのコミュニケーションの方法について、以下のようなエピソードが象徴的に語られています。

 

マッキンゼーのクライアントからは、1時間の価値が上司とのチームワークでも試されるようになるそうです。

どういうことかというと、1時間につき4倍もの価値がある上司と、新人の彼が一時間のミーティングをしたら、その一時間に新人の5倍ものコストがかかっていることになりますよね。

ということは、新人が上司とミーティングするのは、まず一人で5時間以上試行錯誤して、それでも解決策が生まれなかった時に行うべきものになるそうです。

もし彼が4時間で解決策を考えられるなら、上司の1時間をもらうより自分でやるべきということなのです。

しかし、6時間以上かかっても解決できないものを1人で考えていると、上司から注意されるんだそうです。

それは、私に相談すればキミの価値の5時間分で解決することだ。それなのに一人で抱えてしまうから、6時間分もかかってしまった。

キミがお客様から頂いている一時間分ものお金を無駄にしてしているのだ。

そういう所だゾっ、出木杉クゥン。

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クライアントや社会への価値を事務所のコストカットに巧みにすり替え

そもそもの前提として、新人の1時間に〇万円の価値があるということが『建前』でしか無い上に、上司がその4倍というのも『建前』なんですよ。

  • お客様から頂いた売上代金を分配する比率だ。

これがリアルです。新人が1に対して上司が4というのはバリューではなくて、コストの配分の論理なのです。

つまり一つのタスクを完成させるのに、最小のコストでやるならば…

  • 時給1の人が6時間かけてやると6のコストです。
  • 時給1の人と4の人が力を合わせて1時間やると5のコストです、少なく済みます。

これは、誰にとってのメリットでしょうか?

  • 新人がしょうもない失敗をして時間がかかったらからといって、追加料金なんて取りません。
  • 逆に思ったよりもスンナリ解決策が出てきて短い作業でレポートを出せたり、解決できても値引きなんてしませんよ。

つまり、これはマッキンゼーにとってのメリットなんです。これを何となくですが、クライアントのメリットであるかのようにすり替えて言ってるんですよね。

注意深く読めばわかると思います。

 

真面目で内省的な人から搾取するアベノミクス政治への警鐘

千日は、これが肯定的に捉えられてお手本になっていることに、戦慄しました。

ヤバすぎる…!

あくまで私の直観ですが、こうした価値観が『マッキンゼーすごいぜー』でお手本とされるんだったら、これからみんな、とことん搾取されるでしょうね。

私は公認会計士として、こうしたコンサルの業界にいましたが士業の人って一部の例外を除いて、とても真面目で内省的な人が多いです。

1時間〇万円の時給に見合う仕事できてる?

こういわれたら『イヤーそこまで提供できないですスミマセン…』となる人がほとんどです。

このマッキンゼーの時給思考と最近問題となっている、裁量労働制、高度プロフェッショナル制度が組み合わさったらどうなるんでしょうか?

  • 従来の過労の問題はいわゆる『体育会的』なガチムチのワーカホリック集団の中で、ついていけなくなって心身を壊してしまうという感じですよね。
  • 今後の過労の問題は、真面目で内省的な人が『時給の期待』に応えるために自分で高い負荷をかけて孤独に過労死するようなことになっていそうです。

在宅勤務でも真面目で内省的な人はひとり過労死するでしょうね。そんな未来なんて、いらないですよ。

アベノミクスの限界~上げ底の弁当

2008年リーマンショックで始まった世界的な不景気から浮上するために安倍内閣が繰り出した経済政策を通称アベノミクスと言います。

安倍首相の名前とエコノミクスとかけ合わせた造語で「財政出動」「金融緩和」「成長戦略」という「3本の矢」で、長期のデフレを脱却し、経済成長を目指すものです。

3本の矢の中でも「金融緩和」が上手く機能してデフレを脱却できた、という分析結果が出ています。

しかし一方でブラック企業や過労死という社会問題も出て来ました。大企業の経営者が賃金を減らして利益を「作る」事を覚えたからです。

同じものを作るなら、安い時給で人を使うことで利益を出せます。

でも、その利益は安い労働力を使ったからであって、価値ではないです。 目に見える数字としての利益はありますが、中身が無い。こうして作られた利益は社会に還元されず、その企業に溜め込まれる(内部留保する)ことになります。

つまりは上げ底の弁当みたいなものなんですよ。見た目は沢山あるように見えるけど、食べてもお腹いっぱいにならない。「景気が上がってる」と言われても全く実感がない。実はそれにマッキンゼーもいっちょ噛んでいるんです。

 

マッキンゼーの新人がなぜ時給〇万円も取れるのか?

  • 価値を創るより安く仕事をやらせる方が、遥かに簡単です。
  • 利益は数字として具体的に、客観的に経営努力の成果として評価されます。

前半に紹介したマッキンゼーの手法をコンサルとしてクライアント企業に適用すれば、短期的に利益を作ることができるでしょう。

さらに言うと、このマッキンゼーの考え方「時給思考」「時給信仰」はその卒業生が色んなところで本に書きます。

会社の内部留保を増やす「時給信仰」を社会に流布せしめる影響力がマッキンゼーの価値の源泉です。

つまり今後ウン十年にわたり、能力のある人からその労働を搾取し続けることのできるメソッドです。

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彼らが売るのは、未来の子供たちが受け取る給料を減らして今の経営者が得るためのノウハウと風土です。

現在の企業はその分け前をコンサル料としてマッキンゼーに前払いしているんです。これ積算したらかなりの金額でしょうね。

だからこそ、マッキンゼーのコンサルには、「自分は他人よりもイケてると心底信じることのできる」将来有望な若者に時給〇万円払う価値があるんです。

 

まとめ~筋金入りのリアリストが架ける橋

基本的に私は「時給思考」というものについては、否定的です。

  • マッキンゼーのように、そのものを商売にしているコンサル会社。
  • 自分の任期の間だけ利益を出したい企業の経営者。

上記以外の人は、誰も幸せにならないと思っています。一見、カッコいいかもしれません。短期的には数字上の利益を出すかもしれません。

しかし、長期的には結局まわりまわってみんなを不幸にする考え方です。

こちらの記事では、時給思考に対して『橋を架ける思考』という言葉を提唱しています。 

  • 一緒に同じ道を行く人のために、
  • 後から同じ道を行く人のために、

安全に渡れる橋を架けること。

そして、この橋は私が架けたものだ!と自分に対して胸を張れること。これは皆がそれぞれの分野で、職場で、実行できることなのだと思っています。

自分のモチベーションを貨幣によってはいけません。そして、自分の価値を貨幣で測ってもいけません。

どうしても他人との比較になり、どんどん卑屈になり目標自体も矮小化していきます。

最後はビル・ゲイツ氏の言葉で締めたいと思います。

Don’t compare yourself with anyone in this world… if you do so, you are insulting yourself.

自分のことを、この世の誰とも比べてはいけない…それは自分自身を侮辱する行為だ。

ビル・ゲイツ(1955~)

以上、千日のブログでした。

《あとがき》

私の書いた本のタイトルなんですが家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本です。どう見ても『時給思考』の本ですよね。

実用書のタイトルって著者は決められないんです。出版社が出版会議で決めます。多分私が考えたら絶対にこのタイトルにはならなかっただろうと思います。

も、この本のタイトルとしては悪くないと思っています。

放っておけば損得勘定の橋を渡ってしまう人に…

そっちの橋は危ないよ!こっちを渡りなさい!

と伝えるチャンスのあるタイトルだと思うからです。

2018年3月22日 

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