今年こそ自分の家を持ちたい…時は満ちたか?
どうも千日です。マイホームを建てる、買うという決断。住宅ローンの金利タイプについては、自分の収入や貯金、その時々の金利だけでなく住宅の供給状況、ひいては社会情勢によっても判断が微妙に変わってくるものです。
そこで2018年から2019年に住宅を建てよう、買おうとしている人向けに書きます。
- 今年こそ自分の家を持ちたい…時は満ちたか?
わたしが家を買った合理的ではない動機
多くの人が家を買うタイミングは、結婚して家族を持ったタイミングとか、初めての子供を授かり、子供を育てる環境について真剣に考えるようになってからというのが多いのではないでしょうか。
しかし、わたしが家を買うきっかけはちょっと変わっていて、結婚の前、今の妻との交際中のことでした。
妻との結婚に両親から反対されていました。当時の私はすでに30代の半ばを過ぎたころで、さすがに誰と結婚してどう失敗しようと本人の責任だろう、と今にしても思う年ごろでしたが、そんな歳まで実家で上げ膳据え膳の生活をしていた自分にも責任はあったかと思います。
そこで「ひとつ家でも買ってやろう」と思ったのです。まったくどういう思考回路なのか、本人ながら今でも理解に苦しみますが、当時のわたしにはそれしかありませんでした。
両親はさらに反対しましたし、妻(当時まだ妻ではありませんでしたが)も反対でした。しかし、結局わたしは当時けして安くはなかった新築のマンションを買い、その彼女と結婚し、今そのリビングでこの原稿を書いています。
今この投稿を読んでいる方の多くはこれから家を買おうとしている人だと思います。
ただ「自分が欲しい」それでいいと思う
じゃあ、逆に聞きます。なんで家を買おうと思ったのですか?
人間は自分が思うほどには合理的な生き物ではありません。なのに私たちは自分の考えや行動に対して合理的であるべき、合理的なはずだ、と思いこみがちです。特に家を買うという重要な局面ではそうなります。
そういうときに、人間は後付けで合理的な動機を探します。
- 家族のため。
- 家賃がもったいない。
- 金利が低いので買い時。
- 資産が欲しい。
- 老後の安心のため。
これら5つの「動機」は営業マンが家を売るための営業トークであり「だから家を買うのが合理的だ」と思い込ませるための仕掛けです。
これを刷り込まれたまま家を買うと、こんなはずでは無かった…という後悔に繋がってしまうのです。動機は『ただ、自分が欲しい』それでよいのです。
しかし、なればこそ、それを最後までやりぬきハッピーエンドを迎えるには、売り手のバイアスを排除した理詰めの方法論が必要でしょう。
それをまとめたのがこの二つのカテゴリーです。
- 住宅ローンの千日メソッド-物件選びと値引き交渉のコツ カテゴリーの記事一覧 - 千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える
- 住宅ローンの千日メソッド-賃貸か持家かどっち? カテゴリーの記事一覧 - 千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える
家を建てる、買うには、人生の中で適した時期がある
買いたいと思った今しか買えない。
こんな風に営業マンは言うかもしれませんが、それは彼が今、売りたいからそう言っているだけですよね。
金利が安かろうが、掘り出し物だろうが、関係ありません。不動産に掘り出し物などありません、全て価格に反映されています。
物件価格に対して十分な自己資金が無く、安定した収入が見込める仕事環境になければ、リターンの無いリスクを負う事になります。
無理なく返せる住宅ローンの判定方法
千日は以下の4つを満たすことをお勧めしています。
- 毎月の返済は手取り月収の4割以下でボーナス払いなし
- 返済額が一定になる元利均等返済方式
- シミュレーションの金利は固定金利
- 定年時のローン残高は1000万円以下
実際にはこの条件を満たしていなくても住宅ローンが組めることがあります。しかし借りられるという事と返せる(返した上で老後の貯蓄も出来る)というのは別の話です。
こちらのカテゴリーにまとめています。
- 住宅ローンの千日メソッド-住宅ローンの基礎 カテゴリーの記事一覧 - 千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える
- 住宅ローンの千日メソッド-老後の安心のために カテゴリーの記事一覧 - 千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える
年齢・手取り月収別、頭金ゼロ円で購入できる家の値段
(単位:万円)
|
月収15万 |
月収20万 |
月収25万 |
月収30万 |
月収35万 |
月収40万 |
25歳 |
1997 |
2663 |
3329 |
3995 |
4661 |
5327 |
30歳 |
1997 |
2663 |
3329 |
3995 |
4661 |
5327 |
35歳 |
1997 |
2663 |
2972 |
3535 |
4125 |
4714 |
40歳 |
1997 |
2357 |
2630 |
3043 |
3550 |
4057 |
45歳 |
1768 |
2029 |
2263 |
2515 |
2934 |
3354 |
前提条件:元利均等返済、ボーナス払いなし、定年60歳、固定金利1.38%
これを見て、
若ければそれだけ住宅ローンをたくさん借りられるので高い家が買える。
と思われた人もいるかもしれませんが、そんなに単純な問題ではありませんよ。
自分の身の丈と満足できる物件価格が合致するタイミング
25歳といえば入社して3年目くらいですね。自己資金については、親から援助を受ければなんとかなるとしても、入社3年目で今後住宅ローンを払いきるまでのキャリアパスを(何となくでも)イメージできる人がどれだけいるでしょうか。
今より高価な物件でも買えるかもしれません。今検討している物件は高すぎかもしれません。
自分の身の丈を測れるようになり、その身の丈と満足できる物件価格が合致する時期が、本当に家を買うのに適したタイミングなのです。
待つ間、貯蓄を進めるのも家を買うプロジェクト
特に今は、東京オリンピックを控えて首都圏を中心に新築マンションの価格が高騰しています。不動産経済研究所の調査によると、2017年10月度の新築マンションの近畿圏の戸当たり価格の平均3863万円に対して、首都圏の戸当たり価格の平均が5586万円と、1.4倍だそうです。
もしも自分の欲しい家と、その価格が釣り合わないのだとしたら、それはまだ家を買うべきタイミングでは無いのかもしれません。来るべき時のために貯蓄に励むこともまた、家を買うプロジェクトです。
わたしが購入したときは、今思えば公認会計士としての収入のピークでした。その年のリーマンショックを境に収入はじりじりと減っていき、わたしが購入したのと同じクラスの新築マンションの物件価格も下がっていきました。
あと1年待てば1割安く買えたかも?なんて思ったときもありましたが、自分の身の丈が測れるようになったと思っても、必ずしも思い通りになるとは限らないのですよね。
では、2018年の社会経済情勢で注意すべきポイントをまとめておきましょう。
2018年~2019年度のマイホーム購入のポイント
この時期のポイントは4つあります。
- 消費税の増税(8%から10%への増税)延期
- 減税制度の延長
- 低金利と銀行間の融資争奪戦の今後
- 北朝鮮問題の行方と金利動向
1.消費税が10%になる前に!と焦る必要なし
消費税の8%から10%への増税は2019年10月1日からに延期されています。
10%に上がる前に買っておかなければ…
こういうことをいう人がいますけど、どうでしょうか、実質的にはそれほど変わらないというのが千日の考えです。
- 土地代金はもともと非課税
- 一般の人から中古住宅を購入する場合も非課税
消費税は単純に物件価格に8%を乗じたものじゃありません。建物の値段にだけ課税され、土地には課税されません。建物もけして少額ではありませんが、消費税相当分は値引き交渉すれば、比較的無理なく引いてもらえるような金額ですよ。
また、中古住宅を購入する場合はそもそも非課税になるケースが多いです。というのも、不動産業者でない一般人から住宅を購入する場合は非課税だからです。
例えば、読み終わった本をブックオフに売るのに、その代金を消費税込みでもらうことが無いのと同じことです。
この場合10%の消費税がかかるのは、不動産仲介業者に支払う手数料だけです。
ただし、買おうとしている中古住宅が不動産業者の所有であった場合には消費税がかかることになりますので、その点はご注意くださいね。誰が所有かによって変わってくるということです。
いずれにしても…
増税による値上がり幅は値引き交渉すれば、無理なく引いて貰える範囲の金額です。
2.消費税増税をカバーする減税制度がある
消費税の増税によって消費マインドの低下に歯止めをかけようというのが各種の減税制度の狙いです。
- 住宅ローン控除の3年延長
- 贈与税の非課税の延長
また、マイホームの購入を促進するために各種の補助金制度があります。節税や補助金を知らずに家を建てる、買うと、500万円くらい損してしまうこともあります。こちらのカテゴリーで詳しく書いています。
住宅ローン控除は3年延長
住宅ローン控除は、10年間の各12月末日のローン残高×1%をその年の所得税からマイナスする減税措置です。
現在10年の期間を3年延長し、13年にする方向で政府与党が最終調整に入っています。
加えて、この適用期限は当初は2019年6月30日までに住宅を取得した場合だったんですけど、これが2年半延長されて2021年12月31日までに延長されました。
もう少しゆっくり検討しても、住宅ローン控除は逃げませんね。
贈与税の非課税も延長
また、贈与税の非課税枠が拡大されています。親からお金を援助して貰ったら贈与税がかかりますが、住宅資金に限り非課税となる枠が大幅に拡大されているんです。
親に財産がある人にとって、これは低金利や通常の節税のレベルを遥かに超えたお得な措置です。
契約の締結期間は10%の消費税となってからも設定されています。これは前述したように、土地の代金はそもそも非課税になるからです。
また、不動産業者でない一般の人から中古住宅を購入する場合も非課税です。
3.超低金利と融資争奪戦の激化の影響
住宅ローンとしては確かに借り時と言えます。固定金利は2016年より少し上がったとは言ってもまだ低金利ですし変動金利ではネット銀行などは0.45%を切るほどの低金利です。
特に変動金利が0.45%を切っている状況について、「単に低い」ではなくいかに異常な低金利かということを、具体的に理解しておきましょう。
変動金利とは銀行間で資金を融通し合う短期プライムレートに連動して銀行が金利を上下させることが出来る金利タイプです。
例えば住信SBIネット銀行が出している0.439%の変動金利で銀行が幾ら儲かるのか、考えたことはありますか?
銀行は金融市場から資金調達しており、メガバンクの調達金利はだいたい0.28%前後です。これと変動金利0.5%との差が銀行の儲けとすると0.16%ほど。3000万円貸したとしても年間でたった5万円弱の儲けなのです。
それでもやっていけるのは、過去の高い金利で借りている人から、毎月の利息が黙っていても入ってくるからです。
そして、この価格競争は銀行間の借り換え競争も激化させました。
銀行間で、お互い過去の高い金利で借りてくれている人を交換しているのです。そして今の激安金利で貸している。まるで、巨大な蛇が自分の尻尾を飲み込んでいるような状況なのです。しかし、住宅ローンに返済期限がある限り、この価格競争には終わりが来ます
- 横並びで一斉に金利を上げれば、他行に借り換えられない。
- 繰上げ返済されても、元々赤字の金利だから気にせず、損切りする。
いつかは、こうした状況がやってくるだろうという予測記事を書いています。
これは銀行について書いているのですが、この波は、銀行だけでなく自分の勤めている会社にもやってくる波ではないでしょうか。
千日メソッドでは基本的に金利動向を読むということはしません。しかし、読まないのと考えないのは全然違います。
変動金利の二つの「4」(=返済額の4分の1を貯金した上で手取り月収の4割以下にする)、絶対にボーナス払いにしない、など少し保守的すぎるのでは?と思われるひとも居るかもしれません。あえてそれを千日が要求するのには、こうした合理的な理由があるのです
2018~2019年の住宅ローンには、大きく分けて二つの選択肢があります。
- 0.45%の史上最低金利を維持しているネット銀行の変動金利にして金利が上がったら繰り上げ返済する。
- まだまだ低金利のフラット35などの固定金利にする。
高付加価値のネット銀行の変動金利の選び方
変動金利であれば、ネット銀行が最も低金利です。
ただ、金利が安ければ何でも良いということではなく、4つのポイントがあります。
- 大手銀行の資本が入っているネット銀行を選ぶ。
- 5年ルールと125%ルールの適用があるネット銀行を選ぶ。
- 疾病保障が無料で付帯する付加価値の高いネット銀行を選ぶ。
- 実店舗での相談や通信料キャッシュバックなど様々な付加サービス があるネット銀行を選ぶ。
この4つの中でも、5年ルールと125%ルールの適用があるというのは重要なポイントです。
これが無いと金利変動リスクが高くなりすぎるからです。
- 5年ルールとは、金利が上昇しても5年間は直前の元利均等返済額を維持するというものです。
- 125%ルールとは、金利が上昇してから5年経過して毎月の元利均等返済額を増やす時には、直前の125%までを上限にするというものです。
変動金利で借りる場合は毎月の返済額の4分の1を貯蓄したうえで、貯蓄と返済額の合計が手取り月収の4割以下にすることをお勧めしていますが、これはこの5年ルールと125%ルールがあることが前提になっています。
この5年ルールと125%ルールの適用が無い銀行もあります。新生銀行、ソニー銀行にはこうしたルールがありませんので、金利の見直しで基準金利が上がれば、その月から支払い額が上がります。
金利が安いところを選ぶのではありません。少なくとも上記の4つを満たすところがお勧めです。
詳しくはこちらをどうぞ。
変動金利で繰り上げ返済するタイミング
変動金利は、銀行が金利を上げることが出来るので、金利上昇のリスクがあります。 安いうちに繰り上げ返済して債務を早く減らすという作戦は、割と多数派ですが、この作戦には落とし穴があります。
- 金利が上昇するようなケースは好景気で収入も増加するので『負担』はむしろ減ることもある
- 金利上昇によって毎月の返済額はすぐに増加せず5年ごとの見直し
- 返済額が増額されても従来の1.25倍までというルールがある
- 繰り上げ返済は安い利息で融資を受けているメリットを自ら放棄している側面もある
住宅ローンを変動金利で借りる人は、むしろ毎月の返済額が安い分、いざと言う時の蓄え(預貯金)に回せるのがメリットなんです。
もし、病気などで収入が急に激減したら? 繰り上げ返済したお金は返って来ませんよ。
フラット35のメリット
歴史的な低金利に加え日銀のマイナス金利を反映してフラット35の金利もすごく下がっています。
正確な金利情報については銀行のサイトで直接確認して下さいね。
フラット35のメリットはずっと固定金利の安心にありますので当然、変動金利よりも高いです。そして、その安心料も人類史上初の歴史的な安さになっているんです。
またフラット35には、あまり知られていないですが、借り入れ後に賃貸に用途変更が可能であるなど、民間の住宅ローンには無いメリットがあります。詳しくはこちらをどうぞ。
2019年はアメリカの長期金利の上昇は鈍化する
2019年の動きとしては、英国の欧州連合(EU)離脱協議への懸念や英政治不安、ハイテク景気の終わりが安全資産の買い圧力になっていて、債券の価格が上がり、長期金利が下がる傾向が続いています。
また、2018年11月28日のパウエルFRB議長の発言を受けて、米国の利上げペースが緩やかになるとの思惑から、さらに時間外取引で米長期金利が低下(価格は上昇)しました。
日本国債にも買いが入り、29日の債券市場で10年物国債の利回りは、0.080%に低下しています。
さらに、早いペースで進む金利低下に対して日銀が国債の買い入れオペ(公開市場操作)を減額していないことも、買い安心感につながったようです。
2019年3月までの実行なら固定金利でもさほど上がらない
来年の前半まではアメリカ金利は鈍化するでしょう。
大きなスパンで見れば日米の金利差はおおむね3%で現在まで来ています。
アメリカの金利が4%とかになったとしても日本の金利は1%です。1%という金利は日銀が金融緩和の出口に出てる水準ですね。2%の物価上昇率目標も達成できているということになります。
逆にアメリカが再び3%を下回ると、また日本の長期金利がマイナスになってしまうということもあり得るんですが、マイナスになったとしても「上下0.2%」までは静観するでしょう。
2019年3月まで、という期限付きであれば、住宅ローンの金利はさほど上がらないと予想できます。
2018年~2019年のマイホーム選びは慎重に、必ず値引き交渉を!
外部環境の変化については、なかなか予測は難しいですが、東京五輪を前にして首都圏を中心に不動産価格は一時期かなり上昇しました。
高すぎる価格設定によって売れ残った完成在庫が2017年後半で臨界点に達し、これから順次、値引き販売される可能性が高いと見ています。ただしそれぞれの会社によって傾向と対策があります。
これからのライフプランでは生涯収入(特に年金)の減少が予想されます。特に出産や子育てなどのお金のかかるライフイベントを控えている人は慎重を期すべきです。値引き交渉は、そのリスクを下げるという意味合いがあります。
住宅ローンを支払いながら、将来に備えた貯蓄をしていけるか?保険は?今と未来の家族構成を踏まえた冷静な判断が必要です。
以上、千日のブログでした。
《あとがき》
注文住宅を建てる場合は、増税前、増税後のどちらが有利になるのか気になるところですよね。それだけではなく、太陽光や省エネ住宅にすることで利用できる補助金もあります。
考えること決めなければならないことが沢山あるなかで、それを整理して資金計画を立てるのは至難の業ですよ。みんな一度は知恵熱を出すといいます。
2018年12月5日
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新規借入 | 20代800未満 | 30代600未満 | 40代600未満 | 50代1000未満 |
30代600~1200 | 40代600~1200 | 50代1000以上 | ||
20代800以上 | 30代1200以上 | 40代1200以上 | ||
借り換え | 20代借換 | 30代借換 | 40代借換 | 50代借換 |
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