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首都圏マンション契約率と価格に異変アリ!?新築マンション価格はどうやって決まるか

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高騰する首都圏新築マンション!即日完売する物件と売れ残る物件の違い

どうも千日です。不動産経済研究所が11月の首都圏新築マンションの販売動向を発表しました。ここ3か月の間ずっと下がり続けていた契約率がやっと回復したようです。

今日は、新築マンションの価格動向と契約動向を分析します。

それと、こうした新築マンションの価格がどうやって決められているのか?についてお教えしましょう。

新築マンション契約率の推移

(%)

2017年新築マンション契約率推移

契約率 1月 2月 3月 4月 5月
近畿圏 75.1% 74.5% 73.3% 78.2% 79.9%
首都圏 61.6% 68.4% 66.2% 66.3% 72.2%
6月 7月 8月 9月 10月 11月
80.2% 73.6% 80.0% 74.5% 74.2% 77.7%
67.2% 71.9% 68.2% 64.9% 60.7% 67.9%

基本的に首都圏の契約率が低い理由は、その圧倒的な価格の高さにあります。

新築マンション価格の推移

新築マンションの販売価格の推移を見てみましょう。

(万円)

2017年新築マンション販売価格推移

価格 1月 2月 3月 4月 5月
近畿圏 3,341 3,747 3,987 3,833 3,570
首都圏 6,911 5,793 5,588 5,918 5,981
6月 7月 8月 9月 10月 11月
3,776 4,264 3,549 4,186 3,863 3,609
5,672 6,562 5,794 5,823 5,586 5,551

だいたい1.5倍くらいの価格になっているのですね。庶民にはなかなか手が出ないというのがその理由です。

即日完売マンションと半分も売れないマンションの2極化

契約率を地域別に見てみましょう。東京23区と神奈川、千葉は首都圏の平均を大きく上回っていますが、東京都下と埼玉が極端に悪いです。

地域別 23区 東京都下 神奈川 埼玉 千葉
契約率 70.6% 56.7% 72.0% 51.5% 77.4%

つまり、これらの物件が特に割高感が強く、全体の契約率の足を引っ張っている状態なのですね。

ただ、埼玉の物件が全て不調なのか?というとそういう訳でもなく、即日完売している物件もあるのです。

以下は2017年11月の即日完売物件は以下の3物件127戸です。

  • イニシア墨田 3期 (東京都墨田区、3戸、平均5,058万円、平均1倍、最高1倍)
  • プラウド大倉山サウスコート (神奈川県、40戸、平均7,004万円、平均1.4倍、最高4倍)
  • プラウド浦和東仲町ガーデン (埼玉県、84戸、平均6,425万円、平均1.29倍、最高4倍)

野村不動産のプラウド浦和東仲町ガーデンは6,425万円という、首都圏の平均を遥かに超える価格帯ですが、84戸が即日完売です。

人気が集中する物件は即日完売する中で、人気の無い物件は半分も売れていないという状況なのですね。

ちなみに、一時期隆盛を誇ったタワーマンションの人気にも陰りが見えてきているようです。11月の20階以上の超高層物件(タワマン)の契約率は53.0%と首都圏全体の平均を下回り、前年同月の契約率65.1%を12.1ポイント下回っています。

半分くらいしか売れていないんですね!

新築マンションの価格はどうやって決まっているか?

こうした、新築マンションの価格がどうやって決められるのか、気になるところですよね。

価格には二つのアプローチがあります。

  • いくらで売りたいか?
  • いくらなら売れるか?

いくらで売りたいか?=価格高騰の理由

まずは、基本的な価格の決め方についてお話しておきましょう。

マンションデベロッパーはマンションを販売することで儲けているわけですから、仕入れ値よりも売値が高くなければ商売になりませんよね。

つまり、土地の仕入れ値と建物の建築価格を足してこれに利益を乗せて全体の価格を出します。

  • 土地の仕入価格が高いと、その分価格が高くなります。
  • 建物の建築費用が高いと、その分価格が高くなります。

つまり、都心のタワーマンションがベースとして高い理由は、こうした理由によるものです。

また、開発を開始してから販売開始までには1年くらいの時間差が生じます。土地については開発当時の地価の水準が反映されますので、マンションの価格は地価の変動に対して若干のタイムラグが生じることがあるのですね。

現在のマンション価格が首都圏を中心に高くなっているのは、現在売り出し中のマンションの土地開発時点ですでに東京五輪が決まっており、土地の仕入れ価格が高騰していること、また、オリンピック関連工事によって、建築価格が高騰していることが主な理由として挙げられます。

部屋ごとのメリットが数値化されて価格に反映されていく

その後、マンションの各部屋に価格を分配していくのですが、その場合、専有面積だけでなく、各部屋の方角の良し悪しや、間取りの良し悪しも考慮されます。

  • 例えば南向きの部屋であれば日当たりという点でプラスポイント
  • 角部屋であれば、2方向からの眺望がありプラスポイント
  • また、ルーフバルコニーなど専有部ではなくても、専用できるスペースが多いとプラスポイント

こうした、条件面を数値化して価格に振り分けていくことで、各部屋の価格が決められていきます

いくらなら売れるか?=最終的な落としどころ

最近の新築マンション価格の高騰の理由として、オリンピック誘致によって海外の不動産投資家の注目を集め、不動産バブルになっているんだ、とも言われています。

マンションデベロッパーとしては、売れるなら高い方が良いに越したことは無いですが、さすがに全ての物件を投資家が購入してくれるわけではありません。

本来の目的=マイホームとして購入する人に対していくらなら売れるか?という側面からも考えて値決めをするのです。

  • 会社としてはできるだけ儲けたいです。つまり高く売りたいです。
  • しかし、高すぎると、完売できなくなります。
  • 完売できないと、その在庫をずっと売り続けなければなりません。

人件費も広告費も固定資産税もずっとかかり続けるのです。

つまり、その物件が想定する期間で完売できるかどうか?という切り口から売値を最終的に調整するのです。

「即日完売」はデベロッパーにとっては機会損失でもある

即日完売!

確かに、景気の良い言葉ではありますけど、売り手の見方としては、『あちゃー、もう少し高くても売れたかなぁ…』というモノなのですよね。

これが建築会社なら、その後の大規模修繕工事などで、また売上が見込めるのですが、販売会社(デベロッパー)はもうそれっきりなのです。

後で不具合が見つかったら、保証しなければならない、債務だけです。

じゃあ、なぜもっと高く売らないのか?

売れるには住宅ローンに通る値段でなければならない

読みを誤った、という面もあるかもしれませんが、売れるなら高くすれば良いという訳でも無いのです。

きれいごとを言えば、『良質な住まいを適正な価格でご提供します』という話になるのですが、もっと明確な損得勘定で家の価格には自ずと上限があるのです。

 

その家を購入する人が住宅ローンの審査に通らなければ売れない。

 

こういうことです。身もふたもないですが。

金融機関の審査は、抵当権を設定する物件の価格、住宅ローンを借りる人の属性(年齢、年収、職業など)がキーです。

  • その物件の立地と建物のランクからどれだけの担保価値があるか?
  • その物件を買う人がどんな人か?

そういう条件で、自ずと売れる値段の上限というのは決まってきます。

例えばプラウド浦和東仲町ガーデンでは、浦和市という都市の立地で上限があり、浦和市で住居を探す人の属性でも上限があるということです。

そこにピッタリはまったので、即日完売ということになったのですね。これがミスマッチを起こすと、大量に売れ残るのです。つまり、もう少し高くしても「買いたい」という人は出てくるかもしれませんが、その人たちが審査に通らなければ、意味なしです。

なので、即日完売というのは、売り手にとって痛し痒しというところなのですね。

自分にはいくらの家が買えるか?という尺度を持つ

あくまで、価格というのは「売り手がいくらで売りたいか?」「いくらなら売れるか?=買い手がいくらなら買うか(買えるか)?」というポイントで決まります。

ですから、「即日完売!倍率最大4倍!」というような物件が本当に「お買い得」なのか?というと必ずしもそうとは限らないということですね。

  • 銀行が住宅ローンを貸せる価格であり、
  • 想定する購入希望者とマッチしている。

ということです。彼らにとって家は商品です。売って終わりです。

我々がいくらの家を買うかを決めるのは、そういう考え方ではありません。家を買うというのは人生をかけたプロジェクトです。その成功のためには2つの尺度が必要です。

  • 身の丈に合った家なのか?
  • その家を買って老後を生きられるのか? 

自己資金を貯める今からすでに始まっており、住宅ローンの返済を継続することで徐々に実現していき、人生の最後にやっと完成するプロジェクトです。

参考記事

 

まとめ~不動産バブルの終わりと今後の価格交渉

基本的にここ最近の新築マンションの価格は「デベロッパーが売りたい価格」で推移してきたと言えます。契約率が全体として低迷しているのは、買い手とのミスマッチが原因であることは明らかです。

高すぎる価格はこれから下がっていく。これが自然な流れなのですね。

特に首都圏の新築マンションでその傾向が顕著になってきます。ただ、価格交渉についてはそのデベロッパーの懐事情によっても傾向と対策が異なってきます。

近日中にザイオンラインで主要なマンションデベロッパーの売上と売れ残り物件の情報を分析し、デベロッパー別に値引き交渉のワンポイントアドバイスをまとめた記事を公開する予定です。

現在、記事の校正作業中ですので、公開されましたらこの投稿でお知らせします。たまにのぞいてみてください。

追記

公開されました!Googleのニューストピックにも上がったようです。

多くの人に読んで欲しいです。

新築マンションを値引きする会社はどこ?デベロッパーの懐具合から傾向を分析(2018年度版)

無料メールマガジンに登録されている方には公開と同時にお知らせします。メルマガでは、その分析についての補足情報や、もう少し踏み込んだ解説も行いますのでこの機会に登録して頂ければ嬉しいです!

以上、千日のブログでした。

《あとがき》

この前、出張で六本木界隈を歩いていたときに、偶然目にしたステ看板が衝撃的だったので、つい写メしてしまいました。

南青山ヒルトップレジデンス140.44㎡16300万円 

1おく6せんまんのマンションの広告がこんな違法ステ看板で宣伝されている!

関西ではまずお目にかからないモノです。電話する人いるんでしょうか…?

2017年12月20日

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