諸説ある住宅ローンのセオリーを解説します
どうも千日です。去年からスタートした千日の住宅ローン無料相談ドットコムでは、住宅ローン控除をうまく利用して得する返済方法をおススメしています。
基本的な考え方としては、このサイトを読んで頂ければ一目瞭然なのですが、一概に言えることでも無いのですよね。
基本的なセオリーを理解して、自分にあてはめることが出来れば、自ずと自分にとって最適な方法が見えてきます。
- なるべく少なく、期間も短くして早く完済すべき。
- 今の超低金利のメリットを最大限に生かすために、「借りられるだけの金額」を「出来るだけ長く借りて」おくべき。
一見、全く反対のことを言っているようですが、どちらも合理的です。
『人によって考え方が違う』とかいうようなぼんやりした話ではなく、各々にとって、完済までの一本の道が見えてくるような、ちゃんとした答えを出しておこうと思います。
では始めますね。
目次
当初の10年は住宅ローン控除の上限内で繰上げ返済はセーブすべし
まず、当初の10年間について住宅ローン控除が受けられる人には共通して以下の法則が当てはまります。
- 『当初の10年は』自分の住宅ローン控除の上限を使い切るために『借りられるだけの金額を』借り続ける。
住宅ローン控除とは、各年の12月31日のローン残高×1%をその年の所得税と翌年の住民税からマイナスする減税の措置です。
借入の利率が1%未満の場合
借入の利率が1%未満の場合は、住宅ローン控除との差引でローン残高の分だけ逆にお金が儲かってしまいます。
色んな借入残高で計算すると以下のようになります。
- 金利:0.45%
- 期間:35年元利均等返済ボーナス払いなし
借入残高が多ければ多いほど『収入』が増えますよね。
ですから、頑張って繰上げ返済して貯金を減らしたり、無理に頭金を沢山入れて貯金を減らすよりも『借りられるだけ借りておく』方が合理的なのです。
借入の利率が1%以上の場合
借入の利率が1%以上の場合は、住宅ローン控除との差引で費用がマイナスにはならないものの、かなり利息の費用を削減することが出来ます。
金利だけ変えてシミュレーションすると以下のようになります。
- 金利:1.17%
- 期間:35年元利均等返済ボーナス払いなし
借入残高が多いほど『費用』が増えますよね。
ならば、繰り上げ返済した方が得…?
いえいえ、それは違います。繰上げ返済したところで、節約できる利息の額も大したことはないのです。
住宅ローン控除の効果で負担する利率がすごーく低くなっているからです。
例えば、住宅ローンの利率が1%の場合、住宅ローン控除の1%でほぼ利息の負担はゼロパーセントになります。
言い換えれば、10年間は利息はタダみたいなものです。
利息がタダの期間に繰り上げ返済しても、節約できる利息はゼロ円ということです。
つまり、
- 住宅ローン控除が受けられる人については、
- 当初の10年間に限り、
- 自分の住宅ローン控除の上限の範囲で、
- 借りられるだけ借りた方が得。
これは一つの法則として成り立つでしょう。
パーソナルな条件は『3.自分の住宅ローン控除の上限』です。これをザックリでも知っておく必要があります。
これは必ずしも正確でなくてもいいです。
なぜなら、今後10年で所得が増えていくでしょうし、新しい家族の誕生によって扶養家族も増えていきますし、所得税法も年々改正されるので、正確に予測することは元々困難だからです。
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住宅ローン控除が終わったら早期返済するべし
そして、10年の住宅ローン控除の期間が終わったら、あとは借入元本に乗じた利率がそのまま支払利息の費用となります。
そうなったら、元本を減らして利息の負担を減らすことが、合理的な状況となります。
ただし、それによって貯蓄がなくなるような極端な繰上げ返済はかえって自分の首を絞めることになるのは言うまでもありません。
- 子供の教育費
- 老後の資金
- いざという時にセイフティーネットを利用しながら家族の生命と生活を守れるだけの貯蓄
こういったことを考えて、貯蓄を残しておく必要があります。特に老後資金は大事ですよ。
2017年2月現在で老齢年金の支給開始は65歳からです。60歳で定年となる人は、少なくとも年金支給開始までの5年間の蓄えが無ければ老後破産のリスクが上がります
それ以外は返済してしまった方が良いでしょう。銀行が勧めてくる投資信託に手を出すより100倍マシだと思います。
これだけのお金を遊ばせておくなんて、もったいないですよ。
相手はこんな風に言って来るでしょう。
その真意は…
繰上げ返済資金を投資信託に縛り付け、手数料収入を取らないともったいないでしょ。
なんです。
頭金を多くすることで金利優遇が受けられるARUHIスーパーフラット8
ARUHIのスーパーフラット8という住宅ローンをご存じでしょうか。頭金を2割入れるとフラット35の金利から一律0.1%引下げになる商品です。
例えば住宅ローンを4,000万円借りたとしても、その1%の40万円の住宅ローン控除を受けられるのは年収700万円以上の人からです。
案外、住宅ローン控除を使い切れる人って少ないんですよ。
例えば4,000万円の物件を買うのにその2割の800万円を頭金に入れたら借入は3,200万円ですね。32万円ならば年収600万円で使いきれます。
- 当初の借入を低く抑えてジャストサイズにする。
- 借入元本が減る分利息は少なくなる。
- さらに金利も0.1%安くなる。
自分の条件を見ながら上手に利用すれば、まさに『超』お得な住宅ローンです。
また借入には手数料がかかります。トータルの支払いで他の銀行のフラット35と比べてどうか?という点については、しっかりとシミュレーションする必要があります。
アルヒはWebからの借り入れで、事務手数料(通常2.2%)が融資金額 × 1.1 % (消費税込)になります。ARUHI スーパーフラットをお申し込みの場合は「ご融資額×2.2%(消費税込)。最低事務手数料220,000円(消費税込)です。
住宅ローンの返済計画は『残高』又は『毎月の元利均等返済額』に注目
続いては、住宅ローンの返済計画の考え方です。
住宅ローン関係のブログやサイトを眺めていてよく目にするのが、このフレーズです。
金利が今の水準と同じとすれば…
これを見ると、さすがに温厚な千日も苛立ちを隠せなくなります。その仮定に何の意味があるんでしょう?
またごくまれに、読む人を煽るようにこんなこと書いている人もいます。
利息制限法及び出資法の最大金利は20%だから変動金利だとそのくらいまで…
銀行がこんな金利を適用しなければならない社会情勢下で、自分だけが給料を今と同じ水準で支給されて、のうのうと住宅ローンを払えると思っているんでしょうか?
そこで、千日が提唱しているのが『金利』ではなく『金額』で判断する方法です。
住宅ローンの『金額』には2つあります。
- 住宅ローンの残高
- 住宅ローンの毎月の元利均等返済額
この2つです。
住宅ローンの『残高』に注目して返済すべきケース
- マイホームの買い替えによる一括返済を行うことを予定している。
- 即金で買えるけど、住宅ローン控除のためにあえて住宅ローンを組んだ。
こういう場合は『残高』に注目して住宅ローンの返済計画を立てます。
つまり、35年の住宅ローンを組んではいるけど…
- 35年その家に住むつもりはない。
- 35年住宅ローンを借りるつもりはない。
こういうケースです。
最も適合するのは今の環境であれば、10年固定金利ですね。
- 金利が1%未満で安いので、借り入れ元本の分だけ儲かる。
- しかも、住宅ローン控除の10年間その金利で固定される。
- 金利そのものが安いので、10年以内のいつ売却しても利払いのロスが少なくすむ(むしろ儲かっている)。
千日が30代前半の比較的若い人に10年固定を勧める傾向が多いのは、ライフスタイルの変化によって住み替えの可能性が高い場合です。
また、30代から40代の10年間は、社会の中でも働きによる付加価値が増えて収入を大きく増やせる年代でもあります。
まだ今は収入が少なくても10年後にはその残高がプレッシャーにならないような収入になっている可能性があります。
10年以内に売却しない場合は、その間に貯めた繰り上げ返済資金でもって残高を減らすことで金利の上昇リスクをコントロールできるようにしておくのです。
注目し、計画するべきは、
- 10年後の残高と
- 繰上げ返済に使える貯金の額
ということです。
けして10年後の金利をタラレバで考えてはいけません。
10年後にならなければ答えは出ません、考えるだけ時間の無駄です。
住宅ローンの『毎月の元利均等返済額』に注目して返済すべきケース
- 今後マイホームの買い替えは考えていない。
- 家を即金で買えるわけがないでしょ。
こういう場合は『毎月の元利均等返済額』に注目して住宅ローンの返済計画を立てます。
つまり、ある程度は繰り上げ返済も考えているけど…
- 基本的にこの家を売るつもりはない。
- 定年退職までに完済できればいい。
こういうケースです。
最も適合するのは今の環境であれば、35年の超長期の固定金利ですね。
- 住宅ローン控除の10年間はもちろんのこと、全期間その金利で固定される。
- 金利そのものが安いので、ずっと借り続けても家計を圧迫しない(昔は2%から3%が普通だった)。
千日が万人向けにフラット35に代表される超長期固定金利を勧める傾向が多いのは、借入の時点でリスクが無いうえにそれが割安であるからです。
千日自身が今住宅ローンを借りるなら、検討するのは先の10年固定かフラット35のどっちかです。
マイホームの売却や繰上げ一括返済を考えておらず、固定金利を選ぶのなら、住宅ローンの『残高』は全く関係のない世界のものです。
ただの数字です。それを払う事なんてないのです。
大事なのは『毎月の元利均等返済額』ですよね。
元利均等返済額を35年ならば420回、遅れることなく払いきれば住宅ローンというミッションはクリアです。
- 住宅ローンとは決まったお金(元利均等返済額)を420回銀行に払うこと。
これが正確な定義でないことは百も承知ですが、マイホームを売らない、一括返済しない人にとっての本質なのです。
家を売却しない・ローンを繰上げ一括返済しない場合は、毎月の手取り月給で確実に払える範囲に住宅ローンの元利均等返済額を設定する必要があります。
注目し、計画するべきは、
- 元利均等返済額は最低の手取り月給額の40%以内にする。
- 絶対にボーナス払いを入れない。
ということです。
毎月がしんどいなと思っても、けしてボーナス払いにしてはいけません。大事なことなので2度言います。
たとえ、年収に占めるボーナスの割合が半分であっても、ボーナス払いにしてはいけません。
- 支払いは絶対に一定にする。
これが思わぬアクシデントに強い資金計画です。足りない場合はボーナスを充当するのです。ボーナスに合わせて支払いを決めてはいけません。
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変動金利は折衷型で高収入の人向け
いかがでしたでしょうか。ここまで出てこなかったのが変動金利ですね。変動金利は折衷型です。
- いずれ住み替えることを考えているが、その時期は全くの白紙である。
- 10年固定もあるが、10年後にそこまで貯金を貯める自信は無い。
こういう人には変動金利が適合します。そういう意味では変動金利も万人向けと言えば万人向けかもしれません。
ただ、固定金利と違うのは『金利変動リスク』に晒されているということです。
金融機関が6カ月ごとに見直す基準金利(店頭金利とも言う)によって適用金利が上下することがあります。
但し、返済額については5年ルールと125%ルールがあります。
- 5年ルール:基準金利が上がっても5年間は直前の元利均等返済額に据え置く。
- 125%ルール:一度に上げる元利均等返済額の金額は直前の125%を上限とする。
これ、金融機関によって若干ルールが異なることがあるので注意が必要なのですが、この二つのルールによってイキナリ返済額が跳ね上がるリスクは抑えられているのですね。
しかし、金利が上がって毎月の元利均等返済額が不動ならば、元金の減りは遅くなります。
そして、底だまりで残った元金は最後に一括で払うことになります。(払えない場合はあらかじめ銀行に相談します)
- 短期的には固定金利よりも低い金利なので、売却した時に支払利息のロスが少ない。
- 金利が上がっても5年は支払いが据え置かれ、一度に上がるのも125%まで。
- 売却して一括返済すれば、底だまりで残った元金も清算できる。(返済期間の途中で売却する可能性が高いことが前提)
千日のセオリーでは変動金利を選ぶ場合は毎月の元利均等返済額の25%は上がったときのために貯蓄しておくことをお勧めしています。
この貯蓄は、最後まで売却しなかった場合のことを見越しての繰上げ返済又は最終回の返済のための貯金です。
金利は安いですが、その分、金利変動リスクに対して準備しておくのですね。結果として固定金利よりも多くのお金を住宅ローンのために確保しておく必要がありますので、収入の高い人向けの住宅ローンです。
詳しくは金利タイプ選びのセオリー | 千日の住宅ローン無料相談ドットコムをご一読くださいね。
以上、千日のブログでした。
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ランキング | 年齢 | |||
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20代 | 30代 | 40代 | 50代以上 | |
新規借入 | 20代800未満 | 30代600未満 | 40代600未満 | 50代1000未満 |
30代600~1200 | 40代600~1200 | 50代1000以上 | ||
20代800以上 | 30代1200以上 | 40代1200以上 | ||
借り換え | 20代借換 | 30代借換 | 40代借換 | 50代借換 |
団信 | 20代団信 | 30代団信 | 40代団信 | 50代団信 |
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